【連載】VALORANT 初心者攻略指南

【VALORANTパッチノート考察速報:9.11編】朗報か、悲報か——ネオンの弱体化でメタはどう変わる?

2024.12.12 まいる
日本時間12月10日(火)、パッチノート9.11の情報がお披露目された。
以前より告知されていたネオンの弱体化だけでなく、小規模ながら驚くべき場所にも切り込んできたアップデートだ。


今回も下記の発表内容やコミュニティーの反応などをもとに、このアップデートがどのようなものなのか解説しよう。


ネオンメタがついに終焉か
「ハイギア」「オーバードライブ」が弱体化


朗報なのか悲報なのかは、人によっても意見が分かれるだろう——。ついに、ネオンに対して弱体化が施された。パッチ8.11以降、大幅なアビリティーの強化により、ネオンメタのムーブメントが生み出されたことは、一度でも試合をプレーしたことがある方ならご存知だろう。走り撃ち、スライディング、そしてショットガン——。そんなネオン一強時代を終わらせるべく、ついにRiotが重い腰を上げたようだ。

■ハイギア(E)
・スライド回数:2 >>> 1
・スライディング中の命中精度:精度最大 >>> しゃがみ移動時の精度

今までは、スライディング時の精度低下がほとんど無効化されていた。つまり、横に動きながら弾を真っ直ぐ飛ばすことができるという、「ストッピング」という概念を大きく覆す能力を持っていた。

それがこのパッチ9.11からは、しゃがみ歩き並の射撃精度へと低下する。以前に比べれば多少弾丸がバラけるようにはなったはずだ。

▲弱体化後の射撃エラー。以前よりかは多少弾がバラけるようになったハズだ

ただ、弱体化がまだ不十分だという声も多い。例えばファントムで走り撃ちしたときの移動エラー量が「6.00°」、歩きながらだと「3.00°」となる。一方でスライディング撃ちをしたときの初弾は「0.80°」のみで済む。ぱらぱらと軽く弾痕が広がりはするものの、走り撃ちに比べれば格段に高い精度を誇る。いまだだに「真っ直ぐ飛ぶ」といっても過言ではないだろう。

▲ファントムのエラー量のグラフ(水色の部分が移動による誤差)。スライディングをすると基本は走り撃ちと同等のブレが発生するが、最初の2~3発は少ない誤差で発射される

ただし、ストックが2→1になったのには注目したい。2キルで復活という仕様は健在だが、軽率にスライディングを使うことができなくなった。「スライディングを使わせる」という意識で対峙すれば、十分相手にできるだろう。

■オーバードライブ(X)
・アルティメットの効果時間:20秒 >>> 10秒
・ULTポイント:7 >>> 8

前述の「ハイギア」にくわえ、アルティメットアビリティーの「オーバードライブ」も弱体化された。実はこのアビリティー、2年以上前のエピソード5から特に手が加えられておらず、その頃からずっと「ぶっ壊れ」ていたのである。

なぜ今になって弱体化されたのかというと、世界がネオンの強さに「気付いた」からであろう。もともとピーキーな性能を持つ「知る人ぞ知る」というニッチなエージェントだったが、パッチ8.11で多少扱いやすくなったことがきっかけで、世間がネオンの秘める爆発力や破壊力を知ってしまったのだ。

実際戦ってみると分かるが、こちらの攻撃は当たらないのに、相手のビームはゴリゴリと体力を削ってくる。頭に当てられようものならほぼ即死だ。もし相手にネオンがいるのならば、尻尾を巻いて逃げ出すか、あるいは震えながら角待ちをするかの二択となることだろう。

▲最後に「オーバードライブ」が変更されたのは、2022年8月のパッチ5.03のことだ。世間がこの強さに気づくのは、ここから2年も先のことだ

それが今回、効果時間がなんと半減。アルティメットポイントも7→8になり、使えるようになるまでの道が遠くなった。

筆者個人としては、この変更は非常に歓迎したいところだ。圧倒的な人数不利でさえも覆しうる最強アビリティーであることは言うまでもないが、それが少しでも楽になることは歓迎したい。もちろんアビリティーの威力自体は変わっていないが、よりアグレッシブな対策も可能になるだろう。

ネオンメタは続く? それとも終わる?


これらの変更により、約半年ほど続いたネオン一強時代は終わりを迎えるのだろうか?

筆者個人としては、ネオンの強さはそこまで変わっていないという点を主張したい。とげとげしかった部分が多少丸くなったものの、強さの本質は変わっていない。

ネオンが強い理由を「ダッシュ」や「スライディング」などと考える人も多いだろうが、個人的にはそれよりも「エリア制圧力の高さ」が一番だと考える。ダッシュで飛び込んで、敵の注目を集めながら、自分自身と味方でサイトをどんどん開拓する。

これこそがネオンの最大の強みであり、かつて🇰🇷DRXのRb選手(当時)がVCTで披露した「速いVALORANT」そのものだ。

▲何度見ても鮮やかなRbの名プレー。オペレーター対策のために、味方のアビリティーとともに前へ前へと滑り込む(https://www.youtube.com/live/txUkS66HXCM?si=3BcaHTd9nB-sSpAn&t=7607

また現実的な話として、そもそもショットガンを使うのなら問題ないという考えもある。いくらスライディング時の射撃精度が下がったからといっても、ジャッジなら関係ない。ただ前に突っ込んで、連射すればいいだけなのだから……。

ゆえに、ネオンはまだまだ第一線を張れる。それは間違いないだろう。

だがしかし、心情的に「弱くなったキャラ」を使い続けるかどうかも、それはそれで疑問符が浮かぶ。好き好んでネオンを使っていた層には大して影響はなさそうだが、ジェットやレイズの代替として仕方なく使っていたような人は、これを機に別のデュエリストへ転向するのかもしれない。

実際、数戦コンペティティブをプレーした体感では、ネオンの使用率は前の半分程度に減少したような気がする(ランク帯にもよるだろうが)。これがメタの終わりと言われればそうかもしれないが、今後もある程度の使用率は維持し続けるだろう。特に来年のプロシーンでは、ネオンが暴れまわる試合がいくつか見られるはずだ。

好き嫌いは分かれるだろうが、筆者個人としては、今くらいの温度感が一番ちょうどいいかもしれない。

ヴァイスがついに強化、新たなセンチネルの道は拓けるか?


今年8月に追加されたばかりなのに、あまり使う人が少ない新エージェント「ヴァイス」に、ついに初のテコ入れが施された。

■レーザーヴァイン(C)
・「レーザーヴァイン」の通過時に棘から受けるダメージ:6 >>> 10
・垂直方向のドロップスポーンの高さ:450 >>> 300
・セージの「スロウオーブ」のように、敵のダッシュの速度を低下させ、スタンさせるようになります。

■アークローズ(E)
・発動後の構えの速さ:平均的 >>> 高速

まだ馴染みの少ない方にも説明しておくと、「レーザーヴァイン」は地面にイバラを敷く設置型のアビリティーだ。このイバラにふれただけではダメージは発生しないが、その中で移動するとダメージを受ける。

一方で「アークローズ」は、壁に設置することができるフラッシュだ。設置後にインタラクトすることで、独特の効果音とともに直視した者を目眩ましする。使用後は回収したり、そのまま一定時間後に再使用することも可能だ。

どちらもマイナーチェンジ的な変更に留まったが、「レーザーヴァイン」のダメージ量が増加したことは多少影響がありそうだ。今までも通過するだけでかなりのダメージが発生していたが、それがほぼ1.5倍に。多少ダメージを負った状態では、なかなかに近づきたくはない代物だ。

▲真っ直ぐ通り抜けると、90HPを持っていかれる。もし目の前に茨が広がっていたら、立ち入らずに待機することをオススメする

▲スロウ効果も追加され、ジェットの「テイルウィンド」などでの移動距離も減少する。無理やり通り抜けるのはかなり厳しそうだ

とはいえ、この程度の強化だけでは、残念ながらヴァイスがメジャーになることは考えづらいだろう。そもそもヴァイスは別に弱いわけではないのだが、他のセンチネルが優秀なために、置き換えるメリットが薄いという点が大きい。イニシエーター的な運用をするにしても、それはそれで他のエージェントに勝る点も少ないため、積極的に採用する動機は薄い。つまり、器用貧乏なエージェントなのだ。

よって、結局のところ「稀に見かける」程度になるだろうとは思われる。今現在は多少見かける機会も増えるだろうが、そのうち落ち着くはずだ。ただ、使う分には楽しいキャラクターなので、これを機に一度手を出してみるのもありかもしれない。

ピンシステムの変更で戦い方はどう変わるのか


ネオンの弱体化の影に隠れて、しれっと仕様が大幅に変更されたのは「ピン」機能だ。Zキーを押す、あるいは、マップを開いてクリックすることで、ミニマップやフィールド上に目印を設置することができる。

『VALORANT』のリリース初期からあまり変わらなかったこの機能が、このパッチ9.11から、突如として仕様が変更された。

■ピンシステム
・スモークがフィールド内のピンを遮るようになり、ピンはスモーク上に着地するようになります。
・マップ上で打ったピンはフィールド内には現れず、ミニマップ上にのみ表示されるようになります。

今回の仕様変更で、Zキーを押したときのピンがスモークを貫通しなくなった。今まではスモークを貫通して、地形やオブジェクトにピンが刺さっていたのが、今やスモークの表面にピンが留まってしまう。

▲Zキーによるピンは、スモークの表面に刺さる(貫通しない)。またスモークの中からピンを使用した場合も、同様にスモークの境界面にピンが打たれる

そしてさらに、マップ上で打ったピンは、フィールド内では表示されなくなった。Zキーで打つピンとは表示や効果音も区別され、プレーヤーのミニマップ上でのみ表示されるようになる。

▲マップ上で打ったピンはフィールドに表示されない。表示や効果音も別。個人的には効果音がうるさく感じるが、慣れの問題なのかもしれない

この仕様変更で影響を受けるのが、やはりスパイク設置後の解除妨害だろう。スパイク上にピンを打ち、そこにアビリティーを設置したり、あるいは銃でスモーク抜きをしたりするなど——スモークなどでスパイクが視認できないときに、相手の解除を阻止するために有効な手段だった。

しかしこの変更により、それがかなり困難になる。スパイクをスモークで遮られればピンは打てないし、すでに死んだプレーヤーがピンを打とうにも、フィールド上には反映されない。地形や空間をより把握するか、あるいはスパイク周辺のエリアを保持し続けるかの選択が迫られている。

▲スパイクの正確な位置が分かりにくく、スモーク抜きが難しくなったほか、ソーヴァの「ハンターズフューリー」やキルジョイの「ナノスワーム」など、解除遅延アビリティーも正確に当てるのが難しい。これは困った

この仕様により、結果的にスモークの価値が非常に高くなったといえる。またハーバーやヴァイパーのような、スクリーン状の目隠しをできるエージェントの評価も変わるだろう。コントローラーをよく使う人は、スパイク設置後に向けてリソースを温存することも求められそうだ。

また、この弊害として「死んだあと暇」という問題がある。序盤にやられてしまったら、もう声を出す以外にやることがない。

解除阻止ピンの対策案


さっそく、数試合ほどプレーしてみて、この仕様変更に対する現状の解を考えてみた。

1.スパイク設置時にピンを打つ
スパイクを設置した際に、その設置した人自身が足元にピンを打つという方法だ。プレーヤーが直接刺したピンは、他のプレーヤーにも視認することができる。もちろんピンは自動的に消えてしまうが、その位置をある程度覚えておくと、解除されたときでも勝率が幾分か上がるだろう。

▲思いのほかピンが消えるのは早いが、ないよりはずっといい。味方に具体的な設置場所を伝えるのも忘れずに

2.決まった定点をつくっておく
スパイクの設置地点はある程度決まっているので、「ここにスパイクを設置したら、ここを向いて撃てばいい」や「ここに向けてアビリティーを使えば解除を阻止できる」みたいな定点をつくるのもアリだ。シチュエーションが限定的になるのは仕方ないが、自分でいろいろと試行錯誤してみるのも面白いだろう。

3.スパイク設置よりもエリアを広げることを優先する
これはピンうんぬんとは関係のない話だが、基本的な戦略として今後はより重要となってくるだろう。結局のところモク抜きしなければならないシチュエーションを減らし、より有利な展開を作ることが大事だということだ。

▲バインドの例:あえてジェット・スカイが前で敵と交戦することで、そもそもサイトに入らせないようにしている。たとえこのふたりが勝負に負けても、大幅な時間稼ぎができる

具体的には設置した後に、敵の数が少なそうなところに進行するとか、スパイクを視認できる地点を複数確保しておくなど——。「エリア」の概念を語りだすと難しいが、端的に言うならば相手にとっての安全地帯を減らすということだ。敵の持つ選択肢を減らし、そもそも解除すら許さない。そんな心意気こそが、勝利への近道となる。

4.オーディンを使う
圧倒的な弾数こそ正義。スモークを蜂の巣にする勢いで、たくさんの弾丸を撃ち込めばいいのだ。かなり暴論のように聞こえるかもしれないが、実際のところこれはかなり有効で、ガチ解除をされるようなシチュエーションで大いに役立つ。もちろん独特の挙動に慣れておく必要があるが、それは練習次第だろう。

▲弾幕を張って、解除を強引に阻止。とはいえ見当違いなところを撃たないように、マップの形状をある程度理解する必要はある

まとめ


  • ネオンはULTが少し弱体化されたくらいで、あまり以前と大差はなし! でも試合での使用率はちょっと減るかも?
  • ヴァイスは強化されたものの、目立った変化は特になし!
  • ピンシステムの変更は、戦略や試合運びに大きな変化をもたらす。スモークの価値が上がり、エリア取りの重要性がさらに増すかも。オーディンを練習するのが吉

以上が、パッチ9.11に基づく総評である。まさか「ピン」に切り込んでくるとは想像だにしなかったが、その他の調整はかなり妥当なものばかりだ。内容の賛否はともかくとして、年末に相応しいものであることは間違いない。

このアップデートをきっかけに、どれほどメタが移り変わり、どこまで戦略の幅が広がるのか。これから訪れるさまざまな変化に目を凝らしつつ、2024年ラストスパートを駆け抜けていきたいところだ。

▲VALORANT Esports APACの責任者であるJake Sin氏は、ネオンに「追悼の意」を捧げた


© 2024 Riot Games, Inc. All Rights Reserved.
【連載】VALORANT 初心者攻略指南
eSports World の
Discord をフォローしよう
SALE 大会 チーム 他にも...? 他にも

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

コラム VIEW ALL