【PJCS2025 ゲーム部門 チャンピオンインタビュー】 「みまもり設定」1日2時間でチャンピオン!? 『ポケモン S・V』の「ダブルバトル」で勝つための秘訣とは?

2025.6.26 宮下英之
2025年6月21日(土)〜22日(日)にパシフィコ横浜で開催された「ポケモンジャパンチャンピオンシップス2025」(PJCS2025)のゲーム部門の試合が行われ、ジュニアカテゴリはウエズ ヒデオ選手、シニアカテゴリはイケダ コウスケ選手、マスターカテゴリはキヌガワ ユウマ選手がそれぞれ日本一に輝いた。

ゲーム部門は、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』を使用。1月~4月に開催されたインターネット大会「ポケモンジャパンチャンピオンシップス2025 予選」(第1回~第4回)のいずれかで上位入賞し、招待制インターネット大会の「本戦」を勝ち抜いた上位入賞者が、「PJCS2025」の参加資格を獲得できる。いずれもBo3(2ゲーム先取)だ。

パシフィック横浜でのオフライン対戦会場は常に超満員!

カテゴリーは年齢によって分けられており、「ジュニアカテゴリ」は2013年以降生まれの小学生、「シニアカテゴリ」は2009年以降 2012年以前生まれの中学生〜高校生、「マスターカテゴリ」は2008年以前生まれで高校生以上となっている。

対戦はダブルエリミネーショントーナメントで、1度負けても勝ち続ければ決勝まで行けるルール。対戦は2匹ずつの「ダブルバトル」で、登録した6匹の中から合計4匹を選んで戦う。トップ8まではBo1(1ゲーム先取)、トップ8以上はすべてBo3(2ゲーム先取)で、グランドファイナルはロウワー側の選手は一度勝利して「リセット」した後、もう一度勝利しなければならない。

今回は、各カテゴリーのチャンピオンにインタビュー。ゲームボーイから続く元祖ポケモンバトルの伝統を引き継ぐゲーム部門の日本チャンピオンたちは、どんな考え方でこの大会に臨んだのかをうかがった。


ジュニアカテゴリ トーナメント表(トップ4)


ジュニアカテゴリ トップ8 手持ちポケモン


シニアカテゴリ トーナメント表(トップ4)


シニアカテゴリ トップ8 手持ちポケモン


マスターカテゴリ トーナメント表(トップ4)


マスターカテゴリ トップ8 手持ちポケモン



ジュニアカテゴリ・ウエズ ヒデオ選手「リアクションを取らないこと」



──「PJCS2025」優勝、おめでとうございます! 今日の試合はどうでしたか?

ウエズ選手:大会の雰囲気が盛大で、めっちゃ緊張しました。ミスはなかったです。思い通りにできました。去年からずっと緊張していたので(※「PJCS2024」にも参戦)、うれしいというよりはほっとしたという感覚です。

──優勝できるという自信はありましたか?

ウエズ選手:「頑張ろう」という感じでした。

──『ポケモン スカーレット・バイオレット』で勝つために重要なことは?

ウエズ選手:リアクションを取らないことです。

たとえば、Bo3で1回勝って「おっしゃー!」となっても、そこから負けると「ううー…」(落ち込んだ様子を見せて)ってなっちゃうから。

──優勝インタビューの時、感謝を伝えたい人を言いかけていましたよね。誰だったんでしょう?

ウエズ選手:『ポケモン』の先生が4人いて、しゃちさん、てるさん、とり。さん、ビッチィさんです。

──決勝戦では、「特別なポケモン」(2体だけ選べる伝説のポケモンなどのこと)はもちろんですが、ドーブルの「ムラっけ」を生かした戦い方が大会を通してかなり話題になりました。どんな理由で採用したんでしょう?

ウエズ選手:(マスターカテゴリチャンピオンの)キヌガワ選手の真似をして使いました。めっちゃ使いやすかったです。

キヌガワ選手:ありがとうございます(笑)。

決勝戦第1試合ではドーブルが登場。「ムラっけ」による素早さアップからの「ねこだまし」、「このゆびとまれ」と「きあいのタスキ」で攻撃を引きつける動きで、相手の思うように戦わせない動きが効果的だった

──ウエズ選手は「PJCS2024」にも「PWCS2024」にも出場していて、昨年は日本一が取れなかったと悔しがっていましたよね。去年の敗北から今年までの間、どんな気持ちでしたか?


ウエズ選手:負けてからもいつものように「もう絶対日本一取るんだぞ!」っていう感じでした。

──最後に、世界大会への意気込みをお聞かせください。

ウエズ選手:結果はどうなってもいいので、優勝目指して頑張ります。

最後の一撃は、『ポケモン S・V』を象徴するテラスタルのミライドン対コライドンというエモい展開となった


シニアカテゴリ・イケダ コウスケ選手「緩急をつけた行動と、とにかくランクバトル!」




──「PJCS2025」優勝、おめでとうございます! まずは今日の試合を振り返ってみていかがでしたか?

イケダ選手:僕は「PJCS」出場が初めてだったので、オフラインで対面で対戦するというのも初めてで、いい体験でした。

──緊張はありましたか?

イケダ選手:緊張はしましたね。初戦も準決勝も緊張しましたが、準々決勝ではめちゃくちゃやばいミスをして負けかけたんですけど、ギリギリ勝てました。

──優勝したという実感はいかがですか?

イケダ選手:(大会が)初めてだったので、ベスト8、ベスト4くらいまで行けたらいいなと思っていたら優勝してしまって。自分でも驚いているし、実感はまだあまりないです。

──試合に勝てた理由はどう分析していますか?

イケダ選手:自信を持ってプレーできたということもあるかもしれませんが、駆け引きに緩急をつけて、ここは安定の行動、ここは強気な行動、としっかり使い分けられたことかなと思います。

──優勝インタビューで、対戦を始めてから7カ月、自宅では「みまもり設定」(※保護者が子どもの1日あたりのプレー時間を制限する機能。時間を超えると警告が出て遊べなくなる)の範囲内でプレーしているとのことでしたが、制限時間はどれくらいですか?

イケダ選手:1日2時間までです。

──お父さんにちょっとお願いして「延長して」とかもできない?

イケダ選手:うちではできないです(笑)。

──1日2時間のゲーム以外では、具体的にはどんな練習をされてきたんでしょうか?

イケダ選手:「umbra」のお三方の動画は常にチェックして、動画で勉強してきました。それ以外では『ポケモンHOME』の「バトルデータ」でポケモンの採用率もしっかり見て、環境の流れとかを考えました。「このポケモンが増えてきたからこの技を入れよう、このポケモンを入れるか」みたいな感じで、変えていくことをしました。

──2時間のゲームプレーの方は、どんなふうに活用してきたんでしょう?

イケダ選手:ポケモンを変える時やったら、育成にちょっと時間をかけてから対戦して、「違うな」と思ったらポケモンを変えて……みたいに、1日2回くらい試すことを繰り返していました。

──その結果として、今回の構築(パーティ)が出来上がったということですね。みまもり設定2時間で日本一になれるというのは、世の中のお父さん、お母さんたちにとっても心強いと思うんですが、勝つコツはなんでしょうか?

イケダ選手:「ランクバトル」はほんまにめちゃくちゃやりました。いろいろな構築を試したので、今の構築にたどり着くまでにも結構時間がかかりました。でも幅広い構築を使ったことで、相手の構築の嫌なこととかも結構分かるようになったし、ここぞという自分の構築にも取り込めた部分がよかったかなと思います。

──最後に、世界大会に向けて意気込みをお願いします。

イケダ選手:今回「PJCS」でいい成績を残せたので、自信を持って次の「PWCS」までの時間を過ごして、いい構築を組んでいけたらと思います。


マスターカテゴリ・キヌガワ ユウマ選手「寝る間も惜しんで『ポケモン』のことだけを考えた」




──「PJCS2025」マスターカテゴリでの優勝、おめでとうございます! まずは感想をお聞かせください。

キヌガワ選手:年々大会の規模感が大きくなっていて、配信卓も豪華になって、そこに立ててうれしかったです。

──緊張はなかったですか?

キヌガワ選手:緊張はそこまでせず、いつもどおりという感じでした。

──優勝したという実感は湧いてきましたか?

キヌガワ選手:実感は全然ないですね……。僕の中での全盛期は『ポケットモンスター ソード&シールド』の時だと思っていたのですが、まさかの『スカーレット&バイオレット』で優勝できて、自分でも驚いています。いまのルールもあまり得意という感覚もなく優勝できたので。

──試合に勝つための秘訣はありますか?

キヌガワ選手:たまに聞かれるのですが、僕は毎回やり続けること、考え続けること、対戦し続けることだと答えています。練習あるのみです。

──決勝戦はおそらく見ている方全員がハラハラドキドキの展開でしたが、キムラ選手に2本連続で取られてリセットされてしまってから1勝するまでの間、どんな気持ちでしたか?

キヌガワ選手:最初からずっと、噛み合えば勝てるし噛み合わんかったら負ける、みたいな状況が続いていました。結局キムラ選手がうますぎて全然取れる雰囲気がないところに、たまたま「りゅうせいぐん」が外れてくれて。もちろん「りゅうせいぐん」の避けを呼び寄せようとしてはいましたが、あれはほんとにたまたまで、自分的にも「お、やった!」みたいな感じでしたね。

──でも、リセットされてから取り返して、フルセット最後の5戦目、キヌガワ選手はそれまでと違うゴリランダーとドードルという「特別なポケモン」じゃない組み合わせを出しましたよね。あそこは「これで絶対勝てる」といった決断だったのか、どんな心境だったんですか?

キヌガワ選手:先週アメリカの大会(NAIC。North America International Championships)に同じ構築で参加していて、その時もミライドンに対して何回か投げたことある出し方だったんです。もっと早めに出したかったんですけど、1本取ってからと思っていてなかなか1本が取れず、最後は使いたかったんです。

前週のNAICでも同じ組み合わせで挑み、ベスト8に入賞した

──では、賭けではなくてこれでいけるという確信はあった?

キヌガワ選手:そうですね。

──優勝インタビューでは、本来なら「PJCS」が終わったらちょっと休憩したいとのことでしたが、「PWCS2025」への切符も手にしました。ここからの2カ月、どんなふうに取り組む予定ですか?

キヌガワ選手:実はここまで、人間をやめてたんじゃないかっていうくらい寝る時間を削って、起きている時間もプレーしていない時も考えることはできるので、ずっと「ポケモン」のことを考える生活をしていました。

──ということは、それをまだ続ける?

キヌガワ選手:やるしかないですね。日本の1位として。

──では、最後にあらためて、世界大会への意気込みを聞かせてください。

キヌガワ選手:日本一を取った人は世界大会でも一番いい結果を残しがちなので、その流れに乗って、しっかり日本人選手の中でもトップ、なんなら世界でも優勝を目指して取り組みたいと思います。

※ ※ ※

運要素が強いとも言われる『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の「ダブルバトル」だが、考察を続け、パーティー構築を研究し尽くした選手が上位に進出していることは間違いない。その中でさらに、運をも味方につけるために、自分にできることを追求してきた選手だけが、クリスタルのトロフィーを手にすることができた。

今大会は特に、3つのカテゴリそれぞれで時間や方法の異なる選手が勝利しているのが印象的だった。2日間の試合の中で無限に行われてきた駆け引きの面白さは、アーカイブ動画でもきっと伝わるだろう。すでに『ポケモン S・V』を遊び尽くした人も、ぜひこの大会を機会に「ダブルバトル」にもふれてみてほしい。

なお、世界大会である「WCS2025」に関しては、「PJCS2025」の各カテゴリトップ4の選手は招待出場権を獲得。さらに、トップ64までの選手にも出場権が与えられる。チャンピオンの3名だけでなく、「PJCS2025」を戦い抜いたすべての日本人選手の、バンクーバーでの活躍にも期待したい。



●ポケモンゲーム部門アーカイブ
1日目

2日目

ゲーム部門|ポケモンジャパンチャンピオンシップス2025:
https://www.pokemon.co.jp/ex/pjcs/2025/game/

『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』公式サイト:https://www.pokemon.co.jp/ex/sv/ja/
ポケモンカードゲームトレーナーズウェブサイト:https://www.pokemon-card.com/
『ポケモン GO』公式サイト:https://pokemongolive.com/
ポケモンユナイト』公式サイト:https://www.pokemonunite.jp/ja/
ポケットモンスターオフィシャルサイト:https://www.pokemon.co.jp/

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