【連載】VALORANT 初心者攻略指南
【VALORANTパッチノート先取り速報:9.08編】なぜネオンはナーフされないのか——ゲッコーの弱体化やサンセットの変更など小規模なバランス調整がメインの新パッチ
- マッププールが変更、スプリットとパールが復活
- ゲッコーは総合的には弱体化、安定した性能にバランス調整
- 圧倒的守り有利「サンセット」 Bサイトのテコ入れで試合展開はどう変わるのか?
- ネオンはなぜ弱体化されない? コミュニティでは止まない怨嗟(えんさ)の声
- ネオンに「破壊」されないプレーのコツとは
- まとめ
きたる日本時間10月22日(火)、パッチノート9.08の情報がお披露目された。
この発表によると、ゲッコーの弱体化やサンセットの変更が施される予定であるとのこと。Episode9も大詰めとなるなか、今回は上記の発表内容やコミュニティーの反応などをもとに、このアップデートでどのようにプレー環境が変化するのか、独自に予測する。
そして——、みなさんが気になるであろう、ネオンメタの現状についても詳しく解説していこう。
このパッチからマッププールが変更となる。バグによって一時的に除外されていたスプリットも、ついにプレー可能となった。
現状コンペティティブやPremierなどでプレー可能なマップは以下の通りだ。
→アセント、アビス、バインド、ヘイヴン、パール、スプリット、サンセット
2023年末のパッチノート7.12で強化が行われて以降、アビリティーの回収スピードがめちゃくちゃに早くなったゲッコー。今回ようやく、この仕様にメスが入る形となった。
ゲッコーのアビリティーは「モッシュピット」以外、使用後に落ちたオーブを拾うことで、もう一度使うことができる。今回のパッチでは、この行為にかかる時間が延長された。
現在、回収にかかる時間は1.5秒だ。以前の1秒の頃と比べると、やはり遅く感じるのは間違いない。ただこれでも実装当初の2秒よりもまだまだ早い。正直今までが爆速すぎたということもあり、申し訳ないがこれは妥当な調整だろう。
そのほかにも、「ウィングマン」はわずかに強化、そのほかの「ディジー」や「スラッシュ」も少しだけ弱体化された。
特に大きな変更が「スラッシュ」の使用に必要なULTポイントが8になったことだろう。「ウィングマンでスパイク設置→ULTオーブ回収」という一連のルーティンで、脅威のULT回転率を誇っていたゲッコー。うまくやれば12ラウンド中4回は使用できた「スラッシュ」も、3回程度に減ってしまうのではないだろうか。
今後はより慎重なアルティメットの使用が必要そうだ。
圧倒的守り有利「サンセット」
サンセットは主にBサイトが調整された。Bサイト内の景色はがらりと様変わりし、よりアタッカーサイドがサイト内で耐えやすく調整されている。まだまだ守り有利マップであることには変わりないだろうが、攻守ともにやはり戦い方は変わってくるだろう。
変更点をおさらいしつつ、どのようなプレーが想定されるかを見ていこう。
Bメインは中央の箱がなくなり、代わりに別のオブジェクトが配置された。特にリテイク時、この箱の存在はとても厄介だった。左右からちょこまかとピークされ、解除ができないもどかしさを何度味わったことか。
だが今回の変更により、その「メイン耐え」も難しくなった。箱がなくなったことにより、よりBメインの構造がシンプルに。つまり、リテイクも比較的容易になったということだ。
だからこそ攻め側はよりいっそう、サイト内での攻防が重視されるようになるだろう。
一方でBメインの外側(サイトに面した部分)は、よりシンプルな構造に変更された。左側の壁がフラットになり、さらに右側にあった箱が削除。エントリー時に見るべき箇所が減った分、入口の幅がちょっとだけ狭くなった。サイファーの強みが少し減少した反面、アセント見たく中々厳しいエントリーになりそうだ。
サイト側は、中央の柱に大きなくぼみが出現。これで比較的安全に設置ができるようになり、サイト内でのエリア保持も少しはマシになりそうだ。
サイト内も構造が大きく変化。タピオカ側からの風景ががらりと変わり、リテイクが若干難しくなった。
なお、タピオカに置いてある箱の形状も少し調整された。どう変わったのかは、正直プレーしてみてもよくわからなかった。
中央コートヤードもマイナーチェンジされ、右側にあるヤシの木が伐採。その代わりに小さな木箱がぽつんと配置された。中央は圧倒的にアタッカー有利のエリアだが、この木箱の登場により、守り側のプッシュが少ししやすくなった。
今後はこの箱の裏も警戒しながら攻めなければいけなくなった(とはいえ、以前にもこの位置に敵が入っていることはよくあったが)。
ネオンはなぜ弱体化されない?
さて、この記事の本題は実は「ネオンがなぜそのままだったか」である。6月のパッチノート8.11から早4カ月、この日を境にネオンメタの時代がやってきた。筆者個人的な印象でも、コンペティティブでネオンを見かける機会は異様に増えた。体感3試合に1回はネオンがいる。
ストッピングが重要視される『VALORANT』において、走ることが取り柄という異色のエージェント。コミュニティでは「早くネオンを調整しろ」や「ナーフしてくれ」という怨嗟とも言える声が相次いでいる。
ネオンは「ハイギア」(ダッシュ)を行うことにより、ほかのエージェントよりも素早く走ることができる。このハイギア中に銃を撃つことはできないが、「スライディング」を行うことで高速で横に移動しつつ、素早く武器を構えることができる。
先日行われた「Red Bull Home Ground 2024 APAC Qualifer」でも、🇯🇵ZETA DIVISIONのDep選手や🇰🇷T1のBuZz選手などが使用し、華麗なプレーで会場を湧かせた。
同大会ではネオンの使用率は約50%(APACのみ)。ヘイヴン・サンセット・ロータスの広めのマップでは多用される一方、バインドやアセントなどの小さめのマップでは著しく使用率が低いことが特徴だ。広い空間を満遍なく使え、そして長い移動時間を少しでも短縮できることが、このネオン構成の強みであるということだ。
個人的にもっとも印象に残っているプレーは、「VCT Stage2 Masters Copenhagen 2022」のFPX対DRX戦のプレーだ。
このプレーをはじめて目にしたときは、『VALORANT』の既成概念がぶっ壊れたような感じがした。この当時ネオンはかなり微妙な評価を受けていたが、それでもRb選手の手にかかればこのとおりだ。
筆者は以前の記事で「ネオンのピック率が上がることはない」と予想したが、それは大きな間違いだった。
だがその理由は、「ネオンがめちゃくちゃ強いから」ではなく「ほかのデュエリストが弱くなったから」であることが大きいだろう。
パッチ8.11以前では、レイズがよく使われていたエージェントだったと記憶している。そしてそれ以前は、ジェットがどこでも使われていた時代があった。かくいう筆者も『VALORANT』を始めた当初はずっとジェットを使っていた。
だがジェットは、2022年の「ティルウィンド」の仕様変更からはじまり、ULTである「ブレードストーム」の威力減少や「クラウドバースト」や「アップドラフト」の弱体化などを経て、それ以降すべてのアビリティーにテコ入れが入った。一時は栄華を極めていたジェットだが、今や見る影もないほどにナーフされてしまったわけだ。
その代替として見出されたレイズも、2023年に「ブームボット」の効果時間が10秒→5秒に変更されて以降、ずっと弱体化されっぱなしだ。ペイント弾の威力は減り、「ブラストパック」も敵にダメージを与えなくなり、「ブームボット」は極めて限定的な索敵しかできなくなった。
ここからわかることは、Riotは「かんたんで強いエージェント」を減らそうとしているのだろう。
もちろんネオンは強いエージェントだが、ほかのデュエリストと比べてエージェントやマップとの相性が激しかったり、プレーに戦略や技術が求められる場面は数多い。
実際、ネオンを使ってみると結構難しい。直線的に走ると普通に撃たれて倒されるし、実質2個の「スライディング」は使いどころがかなりシビア。「リレーボルト」は味方に容赦なく被弾するし、「ファストレーン」は一歩間違えば利敵行為にすらなり得る。サイファーのワイヤーを切ることができないというのも厳しい。
このように、ある程度のテクニックとタクティクスが必要なネオンは、現状Riotのお眼鏡に叶ったということだろうか。彼らの求めるゲームバランスと現環境がどの程度一致しているのかはわからないが、少なくともすぐに修正されない現状を見るに、ゲームバランスが崩れているとは考えていないのだろう。『VALORANT』らしくないという声はごもっともだが、ほかのデュエリストがまだまだ頼りない以上、この環境はしばらく続きそうだ。
もし仮に今後ネオンが弱体化されるのなら、その代わりとしてアイソやフェニックスあたりがガッツリ強化される——未来もあるかもしれない。ちょっと楽しみだ。
とはいえ、現環境でネオンはかなりぶっ壊れた性能をしていることは事実。だが一方で、強化がされたからといって本質的な部分は実装当初からあまり変わっていない。つまるところ、ネオンが敵にいたときの対処法を覚えておけばある程度は大丈夫だということだ。
敵チームにネオンがいるということは、かなりアグレッシブな攻撃を見せてくるということは容易に想像できる。その傾向や対処法をある程度知っていれば、ちゃんと乗り切ることができるはずだ。
例えば、
・一気にサイトの中になだれ込んでくる → いったんサイトは空っぽにして、落ち着いてからリテイクをする
・ULTが溜まった時にプッシュして来がち → 詰め待ちをしてみる
・スペクターやショットガンをよく持っている → なるべく近距離で戦わない
スモークがあって、そこからネオンがスライディングで飛び出してくる。これはよくあることだが、わかっていても速すぎてだいたい勝てない。
その理由は、人間の反射神経がネオンのスピードについていけないから。だからこそ、ネオンに合わせた置きエイムをしておくことが大事だ。
クロスヘアの位置を「壁から頭2個分を離す」というのがよくある置きエイムだが、対ネオンにおいてはその3倍くらいあっても十分だろう。筆者はネオンの足音が聞こえたら、頭5個分を意識している。まあそれでも一撃で倒すのは至難の業だが、弾を当てることは十分可能だ。
どうあがいても勝てないときは、ジャッジを出そう。それが難しいなら、せめてショーティーは持っておこう。
目には目を、歯には歯を、という奴だ。相手のネオンがショットガンやスペクターを持って距離を詰めてくるのなら、こちらも近距離に強い武器を出せばいいだけの話だ。ネオンはそこまで索敵ができるキャラクターでもないため、特に単純なラッシュを繰り返してくるような相手にはとても効果的だろう。相手に恐怖を植え付けて、サイト内を蹂躙されないようにするのだ。
また個人的には、オーディンもおすすめ武器だ。撃たれたときに足が遅くなる「ヒットストップ」という現象が『VALORANT』には存在するが、走ることが取り柄のネオンにはこれが大敵だ。逆に言えば、一発でも当ててしまえば、大きく相手の機動力を割くことができる。そこでオーディンを使えば、高い発射レートと攻撃力で、ネオンのダッシュを無効化してそのまま蜂の巣にできるという算段だ。
ただし、オーディンを使うにはちょっとばかし慣れが必要なので、練習しておくことをおすすめする。
・ゲッコーの変更はいい塩梅(あんばい)のバランス調整。ULTが減ったのが少し痛いか。
・サンセットはBサイトが大幅に変更。アタッカー側はよりサイト内を使った戦いが必要そうだ。
・ネオンはおそらく今後も弱体化されない。それより、他のデュエリストが強化されるのが先かも?
以上が、パッチ9.08に基づく総評だ。好き嫌いが分かれそうな現環境だが、しばらくこの潮流が変わることはないだろう。
ただ個人的には、現在のネオンメタ環境はとても好きだ。もちろん走り撃ちで倒されたときは怒り狂いそうになるが、それを凌駕するほど試合の「緩急」が面白い。一筋縄ではいかないエージェントではあるものの、さまざまな選択肢を生み出すことができるポテンシャルを秘めている異色のエージェントだ。マッププールにパール・スプリットが復活したが、このネオン環境でどのような新しいプレーが見られるか、非常に楽しみなところである。
ただひとつだけ……。さすがにULTは強すぎる。
これだけは調整されることを切実に願う。
© 2024 Riot Games, Inc. Used With Permission
— VALORANT // JAPAN (@VALORANTjp) October 22, 2024
この発表によると、ゲッコーの弱体化やサンセットの変更が施される予定であるとのこと。Episode9も大詰めとなるなか、今回は上記の発表内容やコミュニティーの反応などをもとに、このアップデートでどのようにプレー環境が変化するのか、独自に予測する。
そして——、みなさんが気になるであろう、ネオンメタの現状についても詳しく解説していこう。
マッププールが変更、スプリットとパールが復活
このパッチからマッププールが変更となる。バグによって一時的に除外されていたスプリットも、ついにプレー可能となった。
■ マップローテーション
● パールとスプリットがコンペティティブキューに復活
● アイスボックスとロータスをコンペティティブキューから削除
● パールとスプリットがコンペティティブキューに復活
● アイスボックスとロータスをコンペティティブキューから削除
現状コンペティティブやPremierなどでプレー可能なマップは以下の通りだ。
→アセント、アビス、バインド、ヘイヴン、パール、スプリット、サンセット
ゲッコーは総合的には弱体化、安定した性能にバランス調整
2023年末のパッチノート7.12で強化が行われて以降、アビリティーの回収スピードがめちゃくちゃに早くなったゲッコー。今回ようやく、この仕様にメスが入る形となった。
■ 球体
● ワールド内に存在する時間を短縮 20秒 >>> 15秒
● 回収にかかる時間を延長 1秒 >>> 1.5秒
● ワールド内に存在する時間を短縮 20秒 >>> 15秒
● 回収にかかる時間を延長 1秒 >>> 1.5秒
ゲッコーのアビリティーは「モッシュピット」以外、使用後に落ちたオーブを拾うことで、もう一度使うことができる。今回のパッチでは、この行為にかかる時間が延長された。
現在、回収にかかる時間は1.5秒だ。以前の1秒の頃と比べると、やはり遅く感じるのは間違いない。ただこれでも実装当初の2秒よりもまだまだ早い。正直今までが爆速すぎたということもあり、申し訳ないがこれは妥当な調整だろう。
■ ディジー(E)
● 投てき後のアクティブ時間が短縮 1.5秒 >>> 1秒
● ディジーの対象捕捉アルゴリズムをアップデートして命中率を向上。
● ディジーのベトベトのフラッシュを受けるとミニマップも見えなくなるように変更。
● 投てき後のアクティブ時間が短縮 1.5秒 >>> 1秒
● ディジーの対象捕捉アルゴリズムをアップデートして命中率を向上。
● ディジーのベトベトのフラッシュを受けるとミニマップも見えなくなるように変更。
■ ウィングマン(Q)
● スタンの扇状の効果範囲の角度が増加 45度 >>> 65度
● ウィングマンがスパイク設置後に球体になった際に固有のビジュアルを追加。
● スタンの扇状の効果範囲の角度が増加 45度 >>> 65度
● ウィングマンがスパイク設置後に球体になった際に固有のビジュアルを追加。
■ スラッシュ(X)
● ULTポイントが増加 7 >>> 8
● ULTポイントが増加 7 >>> 8
そのほかにも、「ウィングマン」はわずかに強化、そのほかの「ディジー」や「スラッシュ」も少しだけ弱体化された。
特に大きな変更が「スラッシュ」の使用に必要なULTポイントが8になったことだろう。「ウィングマンでスパイク設置→ULTオーブ回収」という一連のルーティンで、脅威のULT回転率を誇っていたゲッコー。うまくやれば12ラウンド中4回は使用できた「スラッシュ」も、3回程度に減ってしまうのではないだろうか。
今後はより慎重なアルティメットの使用が必要そうだ。
圧倒的守り有利「サンセット」
Bサイトのテコ入れで試合展開はどう変わるのか?
サンセットは主にBサイトが調整された。Bサイト内の景色はがらりと様変わりし、よりアタッカーサイドがサイト内で耐えやすく調整されている。まだまだ守り有利マップであることには変わりないだろうが、攻守ともにやはり戦い方は変わってくるだろう。
変更点をおさらいしつつ、どのようなプレーが想定されるかを見ていこう。
Bメイン
Bメインは中央の箱がなくなり、代わりに別のオブジェクトが配置された。特にリテイク時、この箱の存在はとても厄介だった。左右からちょこまかとピークされ、解除ができないもどかしさを何度味わったことか。
だが今回の変更により、その「メイン耐え」も難しくなった。箱がなくなったことにより、よりBメインの構造がシンプルに。つまり、リテイクも比較的容易になったということだ。
だからこそ攻め側はよりいっそう、サイト内での攻防が重視されるようになるだろう。
Bサイト(手前)
一方でBメインの外側(サイトに面した部分)は、よりシンプルな構造に変更された。左側の壁がフラットになり、さらに右側にあった箱が削除。エントリー時に見るべき箇所が減った分、入口の幅がちょっとだけ狭くなった。サイファーの強みが少し減少した反面、アセント見たく中々厳しいエントリーになりそうだ。
Bサイト
サイト側は、中央の柱に大きなくぼみが出現。これで比較的安全に設置ができるようになり、サイト内でのエリア保持も少しはマシになりそうだ。
Bサイト(後方)
サイト内も構造が大きく変化。タピオカ側からの風景ががらりと変わり、リテイクが若干難しくなった。
タピオカ
なお、タピオカに置いてある箱の形状も少し調整された。どう変わったのかは、正直プレーしてみてもよくわからなかった。
中央
中央コートヤードもマイナーチェンジされ、右側にあるヤシの木が伐採。その代わりに小さな木箱がぽつんと配置された。中央は圧倒的にアタッカー有利のエリアだが、この木箱の登場により、守り側のプッシュが少ししやすくなった。
今後はこの箱の裏も警戒しながら攻めなければいけなくなった(とはいえ、以前にもこの位置に敵が入っていることはよくあったが)。
ネオンはなぜ弱体化されない?
コミュニティでは止まない怨嗟(えんさ)の声
さて、この記事の本題は実は「ネオンがなぜそのままだったか」である。6月のパッチノート8.11から早4カ月、この日を境にネオンメタの時代がやってきた。筆者個人的な印象でも、コンペティティブでネオンを見かける機会は異様に増えた。体感3試合に1回はネオンがいる。
ストッピングが重要視される『VALORANT』において、走ることが取り柄という異色のエージェント。コミュニティでは「早くネオンを調整しろ」や「ナーフしてくれ」という怨嗟とも言える声が相次いでいる。
ネオンはダッシュとスライディングが最強
ネオンは「ハイギア」(ダッシュ)を行うことにより、ほかのエージェントよりも素早く走ることができる。このハイギア中に銃を撃つことはできないが、「スライディング」を行うことで高速で横に移動しつつ、素早く武器を構えることができる。
先日行われた「Red Bull Home Ground 2024 APAC Qualifer」でも、🇯🇵ZETA DIVISIONのDep選手や🇰🇷T1のBuZz選手などが使用し、華麗なプレーで会場を湧かせた。
同大会ではネオンの使用率は約50%(APACのみ)。ヘイヴン・サンセット・ロータスの広めのマップでは多用される一方、バインドやアセントなどの小さめのマップでは著しく使用率が低いことが特徴だ。広い空間を満遍なく使え、そして長い移動時間を少しでも短縮できることが、このネオン構成の強みであるということだ。
個人的にもっとも印象に残っているプレーは、「VCT Stage2 Masters Copenhagen 2022」のFPX対DRX戦のプレーだ。
このプレーをはじめて目にしたときは、『VALORANT』の既成概念がぶっ壊れたような感じがした。この当時ネオンはかなり微妙な評価を受けていたが、それでもRb選手の手にかかればこのとおりだ。
ネオンの強化は、Riotが出した「ジェットメタ・レイズメタ」へのアンサーである
筆者は以前の記事で「ネオンのピック率が上がることはない」と予想したが、それは大きな間違いだった。
だがその理由は、「ネオンがめちゃくちゃ強いから」ではなく「ほかのデュエリストが弱くなったから」であることが大きいだろう。
パッチ8.11以前では、レイズがよく使われていたエージェントだったと記憶している。そしてそれ以前は、ジェットがどこでも使われていた時代があった。かくいう筆者も『VALORANT』を始めた当初はずっとジェットを使っていた。
だがジェットは、2022年の「ティルウィンド」の仕様変更からはじまり、ULTである「ブレードストーム」の威力減少や「クラウドバースト」や「アップドラフト」の弱体化などを経て、それ以降すべてのアビリティーにテコ入れが入った。一時は栄華を極めていたジェットだが、今や見る影もないほどにナーフされてしまったわけだ。
その代替として見出されたレイズも、2023年に「ブームボット」の効果時間が10秒→5秒に変更されて以降、ずっと弱体化されっぱなしだ。ペイント弾の威力は減り、「ブラストパック」も敵にダメージを与えなくなり、「ブームボット」は極めて限定的な索敵しかできなくなった。
ここからわかることは、Riotは「かんたんで強いエージェント」を減らそうとしているのだろう。
もちろんネオンは強いエージェントだが、ほかのデュエリストと比べてエージェントやマップとの相性が激しかったり、プレーに戦略や技術が求められる場面は数多い。
実際、ネオンを使ってみると結構難しい。直線的に走ると普通に撃たれて倒されるし、実質2個の「スライディング」は使いどころがかなりシビア。「リレーボルト」は味方に容赦なく被弾するし、「ファストレーン」は一歩間違えば利敵行為にすらなり得る。サイファーのワイヤーを切ることができないというのも厳しい。
このように、ある程度のテクニックとタクティクスが必要なネオンは、現状Riotのお眼鏡に叶ったということだろうか。彼らの求めるゲームバランスと現環境がどの程度一致しているのかはわからないが、少なくともすぐに修正されない現状を見るに、ゲームバランスが崩れているとは考えていないのだろう。『VALORANT』らしくないという声はごもっともだが、ほかのデュエリストがまだまだ頼りない以上、この環境はしばらく続きそうだ。
もし仮に今後ネオンが弱体化されるのなら、その代わりとしてアイソやフェニックスあたりがガッツリ強化される——未来もあるかもしれない。ちょっと楽しみだ。
ネオンに「破壊」されないプレーのコツとは
とはいえ、現環境でネオンはかなりぶっ壊れた性能をしていることは事実。だが一方で、強化がされたからといって本質的な部分は実装当初からあまり変わっていない。つまるところ、ネオンが敵にいたときの対処法を覚えておけばある程度は大丈夫だということだ。
ネオン対策その①:ネオンのプレーの特色を知る
敵チームにネオンがいるということは、かなりアグレッシブな攻撃を見せてくるということは容易に想像できる。その傾向や対処法をある程度知っていれば、ちゃんと乗り切ることができるはずだ。
例えば、
・一気にサイトの中になだれ込んでくる → いったんサイトは空っぽにして、落ち着いてからリテイクをする
・ULTが溜まった時にプッシュして来がち → 詰め待ちをしてみる
・スペクターやショットガンをよく持っている → なるべく近距離で戦わない
ネオン対策その②:エイムの置き位置を広げておく
スモークがあって、そこからネオンがスライディングで飛び出してくる。これはよくあることだが、わかっていても速すぎてだいたい勝てない。
その理由は、人間の反射神経がネオンのスピードについていけないから。だからこそ、ネオンに合わせた置きエイムをしておくことが大事だ。
クロスヘアの位置を「壁から頭2個分を離す」というのがよくある置きエイムだが、対ネオンにおいてはその3倍くらいあっても十分だろう。筆者はネオンの足音が聞こえたら、頭5個分を意識している。まあそれでも一撃で倒すのは至難の業だが、弾を当てることは十分可能だ。
ネオン対策その③:ショットガンを出そう
どうあがいても勝てないときは、ジャッジを出そう。それが難しいなら、せめてショーティーは持っておこう。
目には目を、歯には歯を、という奴だ。相手のネオンがショットガンやスペクターを持って距離を詰めてくるのなら、こちらも近距離に強い武器を出せばいいだけの話だ。ネオンはそこまで索敵ができるキャラクターでもないため、特に単純なラッシュを繰り返してくるような相手にはとても効果的だろう。相手に恐怖を植え付けて、サイト内を蹂躙されないようにするのだ。
また個人的には、オーディンもおすすめ武器だ。撃たれたときに足が遅くなる「ヒットストップ」という現象が『VALORANT』には存在するが、走ることが取り柄のネオンにはこれが大敵だ。逆に言えば、一発でも当ててしまえば、大きく相手の機動力を割くことができる。そこでオーディンを使えば、高い発射レートと攻撃力で、ネオンのダッシュを無効化してそのまま蜂の巣にできるという算段だ。
ただし、オーディンを使うにはちょっとばかし慣れが必要なので、練習しておくことをおすすめする。
まとめ
・ゲッコーの変更はいい塩梅(あんばい)のバランス調整。ULTが減ったのが少し痛いか。
・サンセットはBサイトが大幅に変更。アタッカー側はよりサイト内を使った戦いが必要そうだ。
・ネオンはおそらく今後も弱体化されない。それより、他のデュエリストが強化されるのが先かも?
以上が、パッチ9.08に基づく総評だ。好き嫌いが分かれそうな現環境だが、しばらくこの潮流が変わることはないだろう。
nerf neon or kill me
— Zest (@Zestvlrt) October 20, 2024
ただ個人的には、現在のネオンメタ環境はとても好きだ。もちろん走り撃ちで倒されたときは怒り狂いそうになるが、それを凌駕するほど試合の「緩急」が面白い。一筋縄ではいかないエージェントではあるものの、さまざまな選択肢を生み出すことができるポテンシャルを秘めている異色のエージェントだ。マッププールにパール・スプリットが復活したが、このネオン環境でどのような新しいプレーが見られるか、非常に楽しみなところである。
ただひとつだけ……。さすがにULTは強すぎる。
これだけは調整されることを切実に願う。
© 2024 Riot Games, Inc. Used With Permission
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