【インタビュー】新生ZETA DIVISION OW部門が描く頂点へのシナリオ——Shu、Bernar、Crustyが語る衝撃ロスターの裏側

2026.2.28 gappo3
オーバーウォッチ(OW)』の公式大会「Overwatch Champion Series 2026」開幕直前まで沈黙を続けていたZETA DIVISION(ZETA)が、ついにそのベールを脱いだ。

発表されたロスターはプレーヤーもコーチ陣も含め、前年度とは全く違うラインアップで構成されていた。昨年までのZETAが堅牢で防衛的なチームだとするならば、今年はかなり攻撃的なプレースタイルを予感させる面子だ。

まさにZETAの根底をも揺るがすような大改革とも言えるが、どのような流れでこれほどまでに興味深いチームを作り上げることができたのか。

チームの中心核となるShu(しゅー)、前年度から唯一の引継ぎとなるBernar(べるなる)、そして世界一の名将と名高いCrusty(くらすてぃ)に話をうかがった。

▲左からShu、Crusty、Bernar

チーム編成の主軸はShu


——先日ZETA OW部門が発表されましたが、とんでもないメンバーがそろい踏みでした。どういった経緯で選ばれたのでしょうか。

Shu:ZETAからオファーをいただいた際に、僕を中心にチームを構成してほしいと提案されました。その方向性に合わせて、当時FAだったKnife(ないふ)とMealgaru(みるがる)を僕自身が直接選びました。

BernarはもともとZETA所属の選手で、僕の方から一緒にプレーしたいという意向を伝えたことで、チームに残ってもらう形になりました。

Viol2t(ばいおれっと)については、FAになったという連絡を受けて「もし組めたら面白いチームになる」と感じ、合流を決めました。

このふたりとは、Houston Outlaws(ひゅーすとんあうとろーず)時代に共にプレーした経験があり、その際に築いた関係性やチームワークは今でも信頼の土台になっていて、再び同じ舞台で戦いたいと思える存在でした。

その後、DPSのポジションが1枠空いている状況で選手を探していたところ、まさかのProper(ぷろぱー)から「チームからFAの許可をもらい、新しいチームを探せるようになった。以前からShuと一緒にプレーしたいと思っていた」という連絡をもらいました。そうして最後にピースが加わり、現在のロスターが完成しました。

——昨年度のロスターと比べてどのような違いや特徴がありますか?

Shu:優勝できるメンバーがそろったなと思います。これまでのZETAを支持する方には複雑な心境かもしれませんが、前年度の選手たちへのリスペクトを込めた上で、あえて正直に言えば、戦力は全方位においてアップグレードされたと確信しています。

KnifeやMealgaruといった若手の勢いに加え、今年は自分やProper、Bernarなど、自ら仕掛けていく「主導的」なプレーヤーがそろっています。そこに、守備的な視点から冷静にオーダーを出せるViol2tが加わることで、攻守のバランスが完璧に整ったチームになると確信しています。

個人の能力は極めて高いのですが、勝敗を分けるのは「土壇場での一戦の差」だと考えています。有利な時に勝つのは当然ですが、本当に強いチームは、苦しい状況でもコミュニケーションを絶やさず、自力で流れを引き寄せられる。昨年の試合を見ていて「ここさえ勝てれば……」と惜しく感じたのは、まさにその勝負所での強さの部分ですね。

——Shu選手と言えばCrazy Raccoon(CR)という印象がありますが、古巣のCRに対してはどのように評価していますか。

Shu:まだ開幕前なので一概には言えませんが、自分がいなくなったことによる変化はあるでしょう。ただ、自分はメインサポートに苦手意識があったので、その部分の柔軟性に関しては、今の彼らの方がむしろパフォーマンスを出しやすいかもしれません。全体としては、そこまで大きな戦力変動はないという印象です。


ZETAの意志を継ぐのは、最高のオフタンクBernar


——Bernar選手は前期から唯一残った選手となります。Bernar選手目線では今季ZETAについてはどのように感じていますか

Bernar:新しい選手が入って大幅に変わった部分は大いに期待できます。Shuが言った通り、今回のZETAはかなりアップグレードされたと思うので、自分がパフォーマンスを出し切れれば必ずいい成績に繋がるんじゃないかと思っています。

Shuも私のことを国内最高のオフタンクプレーヤーだと評してくれているので、期待に応えられるよう全力を尽くさないといけないですね。Shuの選択を後悔させないように頑張ります。

——過去にはひとりでタンクを背負う時期もあり、相方の交代も多かったBernar選手ですが、新相棒となるMealgaru選手にはどんな印象を持っていますか?

Bernar:彼は以前所属していたWAE(WAY)時代から注目していましたが、若手とは思えないほどスキルの高いタンクです。練習への取り組みも本当に真面目なので、僕が隣でうまくポテンシャルを引き出してあげれば、さらに化けるはず。将来的には、戦術面でも背中を預けられるような、素晴らしい選手になると確信しています。


最も衝撃的な電撃加入——名将Crusty


——選手のロスターもさることながら、Crustyコーチの加入もかなり衝撃的なニュースです。どういった経緯でZETAに加入したのでしょうか。

Crusty:昨年までサウジアラビアのGen.Gで活動していましたが、正直に言えば心身ともに疲れ果ててしまい、一度現場を離れて休養が必要だと感じていました。SNSでLFT(移籍先募集)を出すこともせず、1年ほどゆっくりするつもりだったんです。

ところが、どこから情報が漏れたのか、不思議なことに多くのチームから勧誘が届きまして(笑)。その時はすべてお断りしていたのですが、そんな折にViol2tとShuから「このロスターでやりませんか」と連絡が来たんです。そのメンバーを見た瞬間「これなら、また頂点を狙える」と直感しましたね。

元々は休養するつもりだったので少しだけ悩みましたけど、これほどまでのメンバーを見せつけられたら断る方が難しいでしょう。すぐに加入することを決めました。

——Crustyコーチの目線ではZETAのプレーヤーたち、そしてZETAの組織自体をどのように評価していますか。

Crusty:私はZETA DIVISION(運営会社であるGANYMEDE)をとても気に入ってます。選手たちだけではなくスタッフも信頼できますし、フィジカル的にもメンタル的にもさまざまなサポート体制を整えてくれています。

大きなビジョンを掲げても、それを叶えるに足る環境や仕組みまで整えてくれていることには本当に驚きました。日本と海外ではかなり違う環境になるだろうと覚悟していましたが、フタを空けてみると完全に同じでびっくりしました。

ZETAで活動に専念すれば、素晴らしい成績を残せると確信しました。


目指すは優勝、それも2回


——今年はヒーローの追加数やバランス調整の量に関しても2025年以上に多くなると思うのですが、その点についてはおふたりはどのように感じていますか。

Shu:「毎シーズン新しいヒーローを発表する」とBlizzardは名言しているし、そうなると以前よりも個人練習の時間は増えると思います。チーム練習の時間も増やさないといけないし、試合の流れもまた新しく変わりそうですね。ただ、その中でも一番大事なのはやっぱりコミュニケーションです。

Bernar:新しいヒーローが多く追加されるということは、すべてのチーム、すべての選手にも平等に負担が増えるということです。今のZETAは完全に新しいメンバーで新しいスタートを切ることになりますから、アップデートによる負担はそこまで重くはありません。

逆に既存のチームは、大規模なアップデートのたびに、これまで築き上げてきた戦術を一度リセットして、ゼロから構築し直さなければなりません。僕たちは今まさに新しいスタートを切ったばかりなので、その点ではむしろチャンスだととらえています。

また、先ほど話した中でもProperとKnifeとViol2tは本当にヒーローの幅が広くて、その部分におけるメリットは計り知れないと思います。アップデートによるゲーム内容の変更は、基本的にチームにとってはポジティブなものになるでしょう。

——今年のZETAにおいて最も重要な人物は誰になりますか。

Crusty:(日本語で)自分です。

チームの中では一番年上ですし、立場としても責任のある位置にいるので、まずは自分がしっかりしなければいけないと考えています。自分が落ち込んだり弱気になったりすると、どうしてもチーム全体の士気にも影響してしまいますから——。

選手たちが安心して自分を信じてついてこられるように、常に安定した姿勢を見せることが大切だと思っています。そういった意味でも、自分のコンディション管理が一番重要ですね。

Bernar:自分自身の状態はとても重要だと考えています。

もし自分に弱さや足りない部分が出てしまえば、それは必ずチームメートにも影響してしまいます。自分ひとりだけの問題で完結するならまだしも、チームで戦っている以上、味方に悪い影響を与えることは避けなければいけません。だからこそ責任感を持って、まずは自分がしっかりとパフォーマンスを維持することを意識しています。

自分が安定して結果を出し続けることで、チームにとって頼れる存在になれますし、最終的には成績にも繋がっていくと思っています。そういった意味で、自分自身のコンディションを最優先に考えています。

Shu:自分とViol2tです。サポートふたりの連携というのは、チーム全体に与える影響が非常に大きいと思っています。だからこそ、ふたりで密にコミュニケーションを取りながら、試合の流れやゲームメークを主導していくことが最も重要だと考えています。


——最も警戒しているチーム、戦いたいチームを教えてください。

全員:Team Falcons、Crazy Raccoon、Twisted Mindsです。(全会一致)

——今年の目標についてそれぞれお願いします。

Shu:最低でも国際大会(Major)で2回以上優勝すること。

Bernar:まだ優勝経験はないですが、今年のメンバーは優勝するためのメンバーだと思うので、絶対にMajorで優勝したいです。

Crusty:優勝はもちろん大前提ですが、ただ勝つだけじゃなくて「シンデレラストーリー」を歩みたいんです。時には手痛い敗北を喫したり、チーム内で激しくぶつかり合ったり……。そうした紆余曲折を乗り越えて、最後にはZETAが頂点に立つ。そんなアニメのようなドラマチックな展開を、このメンバーで作っていきたいですね。

——最後にファンに対してのメッセージをお願いします。

Bernar:これまでずっとファンの皆さんには「頑張ります」「いい成績を出します」と伝えてきましたが、今年は特に自分にとっては重要な一年になると感じています。

兵役という節目も控えていて、もしかすると最後になる可能性もありますから、今年は本当に結果にこだわって取り組まなければいけないと思っています。ファンの皆さんが試合を観るときに、純粋に楽しんでもらえるような姿を見せたいですし、不安ではなく、安心して応援してもらえる選手でありたいですね。

最後まで全力で戦いますので、ぜひ信じて応援していただけたらうれしいです。

Shu:実は、少し心配していることがあるんです。今回の大きなロスター変更で、昨年からのメンバーはBernarだけになってしまいました。だから、ずっとZETAを応援してきたファンの皆さんの心が、自分たちから離れていってしまうんじゃないかって……。正直、すごく怖いです。

でも皆さん、離れていかないでくださいね(笑)。僕たちも死ぬ気で頑張りますから!!

Crusty:これまで応援してくださっているファンの皆さんには、本当に感謝しています。新しいZETAでも、しっかりと結果を残せるよう全力で取り組んでいきますので、引き続き応援していただけたらうれしいです。

皆さんの応援にきちんと応えられるように、面白い試合をお見せしたいと思っています。

今後ともよろしくお願いします。

——ありがとうございました!

———

ZETAはこれまでも他タイトルを含め、日本以外でもロスターを展開し、グローバルに活動の場所を拡げている。

特に『オーバーウォッチ』において、2025年はサウジ勢の台頭が目立ったものの、「修羅の国」とも称されるKRリージョンの存在感は依然として世界最高峰だ。
その舞台をあえて選び続け、結果に恵まれない時期を経てもなおチームを存続させ、今年の大変革へと辿り着いた。

そこには、ZETAの明確な意志と覚悟が見て取れる。

そしてもうひとつ、見逃せない事実がある。
2026年シーズン1の世界大会の舞台が、日本であるということ。ホームで迎える世界の大舞台。この場所に立つことを、ZETAが切望しているのは間違いないだろう。

この選択が報われるかは、もちろん誰にも分からない。ただひとついえるのは、今年の「OWCS KR」は昨年以上に熾烈な争いになるということ。

ZETA DIVISIONに、そしてKRリージョンに、大きな期待を寄せたい。


編集:いのかわゆう


gappo3 プロフィール


オーバーウォッチ 2』のプロリーグ「Overwatch League」公式日本語配信の解説担当。初代『オーバーウォッチ』にて創設されたプロゲーミングチーム「Green Leaves」での活動を基盤に、2017年からライター業を開始。eスポーツ中心のインタビュー記事やコラム記事を数多く手がけてきた。

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