【インタビュー】ゆうき「前半は様子見でした」——ともくんを追い詰めた『ぷよぷよeスポーツ』年間王者の“見えすぎる盤面”
2月8日(日)に開催された『ぷよぷよeスポーツ』の年間王者を決めるセガ公式大会「GigaCrysta ぷよぷよグランプリ ファイナル」で見事優勝を勝ち取ったのは、小学生のゆうき選手。
前回王者のdelta選手を破って勝ち上がると、決勝ではともくん選手と対戦。20本先取の一戦は19:19までもつれる死闘となったが、最後はその極限の勝負を制し、年間王者の座をつかみ取った。
AIのような正確さと素早い判断力を武器に、これまでも数々の大会で優勝実績を重ねてきたゆうき選手。今大会でもその完成度の高いプレーは健在で、世代や立場を超えたトッププレーヤーたちとの戦いを制し、その実力を改めて証明する形となった。
そんなゆうき選手に、決勝戦を終えた直後にインタビューを実施。極限の決勝戦をどうとらえていたのか、そして年間王者として今何を思うのかをうかがった。

ともくん戦の前半は様子を見ていた
——優勝おめでとうございます。普段の練習はどれくらいしているんですか?
ゆうき:ありがとうございます。1時間から2時間ぐらいです。
——今回、大会に向けて特別に行った練習はありますか?
ゆうき:いつもより練習量は増やしました。前の週にひぽにあさん主催の「おういリーグ」という大事な大会があって、それに向けてずっと練習していたので、最近はめちゃくちゃ練習していました。
——予選から決勝まで、負けなしの勢いで勝ち進んできていましたが、唯一予選のSAKI選手相手には3:10と、大差をつけての敗北でした。ゆうき選手らしくない立ち回りにも見えたのですが、何があったのでしょうか。
ゆうき:試合中、集中できなくなってしまって……。立て直そうとはしていたんですが、集中力が壊れてしまったんです。調子は完璧だったのに、集中できなくて……。
それで、「あー、終わったー」と思って、諦めてめっちゃご飯食べてたら、なんか決勝戦に上がれてて(笑)。

——勝敗的には3人並んで、あとは得失点差で勝者を争う形になっていましたもんね。
ゆうき:(僕が1位になるには)最後のぴぽにあさんがめっちゃいい条件で勝たなきゃいけなくて……。実はぴぽにあさんの試合中、後ろでお祈りしてました(笑)。
——ゆうき選手の立ち回りで驚いたのは、連鎖のバリエーションです。連鎖のルートを途中で変えているようなアレンジがあったり、つながっていないと思っている部分がつながっていたりと、会場でも驚きの声が上がっていました。どういった感じで盤面を見ているのでしょうか。

ゆうき:自分で言うのもアレなんですけど、どういう連鎖があるのかっていうのは、ぷよ界隈で一番見えていると思っています。みんなが見えない発火(連鎖をスタートする最初の一手)とか、みんなが見えない打ち方とか——。そういうのをするのは特に得意なんですよ。

——『ぷよぷよ』では連鎖の積み方や戦術にトレンドがあり、多くのプロ選手がトレンドを使っています。ゆうき選手自身、新たな戦略は考えていますか?

ゆうき:例えば「全消し拒否」っていうテクニックがあります。「全消し」って普通絶対取った方が有利なんですけど、それを僕は取らない試合展開を実践しています。今日も決勝で試してみたのですが、自分で記事を書いたり、練習したりしたことで実力が付いたと思っています。
——「2手全消しをあえて取らない」という戦術に手応えはありましたか?

ゆうき:正直に言うと、めちゃくちゃ勝率が高い戦術、というわけではなかったです。ただ、なんとなく「やりたいな」と思ってしまって(笑)。
実際に使ってみたら勝てて、それはすごくうれしかったですね。
最近は、前期の試合で一度、序盤の戦い方を少し変えてみたこともあったんですけど、相手にすぐ読まれてしまって。それでも勝ててはいたんですが、やっぱりしっくり来なくて、途中で諦めて、いつものスタイルに戻したらうまくいった、という感覚でした。
——決勝戦の話も振り返らせてください。結構差が開いてからの盛り返しとなりました。自分の中でプレースタイル変えたとか、考え方を変えたところはありましたか?
ゆうき:そうですね、前半は、相手の様子を見たくて本気を出していませんでした。ともくん選手はいろんなことができるプレーヤーです。2ダブ(2連鎖の2色同時消し)とか、本線火力(メインとなる最大連鎖)もそうだし、中盤もうまい。全部ができるからこそ、どのプレーをしてくるのかっていう様子見が必要で、 それを最初の10本ぐらいに回しました。
その後はガチモード入って「さすがに勝てる気がする」と思いながらやって勝てました。
——今日は17連鎖という大連鎖を見せるシーンもありました。普段から連鎖の練習に重点を置いているのでしょうか。

ゆうき:実戦の中で練習することが多いですね。最近はひとりでCPU相手に、本線(メインとなる最大連鎖)をしっかり組む練習もしていました。その影響で本線の火力はかなり上がったと思います。
ただ、ひとつ弱くなった部分もあって。それが「凝視力」、相手のフィールド(盤面)を見る力です。CPU相手だと相手を見る必要がないので、あまり意識していなかった分、少し落ちてしまった感覚はありました。
——連鎖に特化した練習をするというより、あえて弱点も含めて実戦の中で鍛えていく、というスタイルなのでしょうか。
ゆうき:そうですね。特定の要素だけを切り出して練習するというよりは、とにかく対戦数を重ねて、その中でいろいろ学んでいく感じです。
対戦しながら修正して、また組み重ねていく、という練習が多いですね。
——決勝戦のともくん選手は、ゆうき選手の憧れの選手でもあると思います。そんなともくん選手に勝利して、改めてどんな気持ちですか?
ゆうき:これまで何度も、ともくん選手には本当にギリギリのところで負け続けてきました。一先の勝負や、9:10といったスコアで敗れたこともあって、「やっぱり自分はまだ届かないんだな」と感じるくらい、悔しい思いをしてきました。
それくらい憧れの存在だったので、ここまで大事な舞台で、ようやく勝つことができたのは本当にうれしいです。
——話は変わって、今年は「日本eスポーツアワード」で2冠を受賞するといった快挙もありました。実際、賞を受賞して気持ちに変化はありましたか?

ゆうき:正直なところ、受賞したときは「うれしいな」という気持ちが一番でした。
ただ、去年は万博関連のイベントにゲストとして呼ばれたりと、外に向けて目立つ機会が多かったので、今年はそこまで有名になれるかは正直分からないな、という気持ちもあります。
それでも、これからもっと頑張っていきたいという思いはあります。
将来的には、プロ選手として戦うだけでなく、実況解説や大会のゲストとして参加するなど、delta選手のように、いろいろな形で『ぷよぷよ』を広めていく活動にも挑戦していきたいです。
競技としてだけでなく、もっと多くの人に『ぷよぷよ』の面白さを知ってもらえる存在になれたらと思っています!
——最後にファンに向けてひと言お願いします。
ゆうき:これからもめちゃくちゃ頑張るんで応援よろしくお願いします!
——ありがとうございました!
そんな異次元の強さを誇るゆうき選手のお母さんが会場に来ていたので、ゆうき選手への想いをうかがった。
——ゆうき選手はトッププレーヤーとして活躍されていますが、幼少期から何か片鱗のようなものはありましたか?
ゆうき選手の母:片鱗というより、好きなことに対する熱量がとにかくすごい子でした。ひとつのことにハマると、とことん集中するタイプだったと思います。
——最初から『ぷよぷよ』に熱中していたのでしょうか?
ゆうき選手の母:最初は一緒に『テトリス』を遊んでいたんですけど、途中から急にぷよぷよを始めて——。気づいたら、ひとりで大きな連鎖を組むようになっていました。そこから「オンラインで対戦してみたい」と自分から言い出して、小学1年生の誕生日に対人戦ができる環境を用意しました。

——やはり大会となると勝ってうれしいことばかりではないと思います。悔しい結果となってしまったとき、母親としてどんな言葉を投げかけているのでしょうか。
ゆうき選手の母:子どものほうが、よほどすごい世界で戦っているので、私が余計なことを言う必要はないと思っていて。基本的には「お疲れさま」と伝えるくらいです。
なるべく干渉しすぎないようにしていますね。
——特に励ましたりはしないんですね。
ゆうき選手の母:日によりますけど、基本は見守るだけです。切り替えたいときは、甘いものを食べながら少し話すくらいですね(笑)。
——決勝戦では、憧れのともくん選手との対戦になりました。優勝が決まった瞬間、お母さんが涙している姿が印象的でした。どんなことを思っていたのでしょうか。
ゆうき選手の母:勝ち負けよりも、「憧れの選手と、この大きな舞台で戦う」という目標がかなったことが、まずうれしかったです。
勝ち負けとかじゃなくて、まずそれがかなっていることに、もうずっと込み上げていて……。 試合が終わった瞬間は、うれしいというよりは、ホッとした気持ちが大きかったですね。
——今後、どんな選手、どんな大人になってほしいですか?
ゆうき選手の母:そうですね……。選手であり続けてほしい、というよりは、『ぷよぷよ』に限らず、本人が「これがやりたい」と思えることに出会ったら、そこに全力で飛び込んでほしいな、という気持ちです。

——お話をうかがっていると、とても前向きにeスポーツを応援されている印象を受けます。まだeスポーツに対する否定的な見方もある中で、応援しようと思えたきっかけは何だったのでしょうか。
ゆうき選手の母:『ぷよぷよ』のコミュニティは、年齢に関係なく子どもたちを温かく受け入れてくださるんです。
オフライン大会でも自然に声をかけていただけて、学校以外でいい影響を受けられる環境だと感じています。それも、応援したいと思えた理由のひとつですね。
——「日本eスポーツアワード」での2冠受賞についてはいかがでしたか?
ゆうき選手の母:正直、想像もつかないところまで来てしまったな、という気持ちです(笑)。同時に、支えてくださっているプレーヤーの皆さんや、eスポーツを盛り上げてくださっている方々への感謝を忘れないでいてほしいなと思っています。
——ありがとうございました!
極限の19:19を制し、年間王者の座をつかみ取ったゆうき選手。その強さは、単なる反射神経や操作精度だけでは語れない。盤面を読む発想力、既存の定石に安住しない探究心、そして「全消し拒否」に象徴されるような柔軟な発想こそが、彼を唯一無二の存在にしている。
一方で、インタビューの最後に見せた姿は、そんな“異次元の強さ”とは少し違う表情だった。優勝のお祝いに食べたいものを聞かれると、「焼肉も食べたいし、お寿司も、オムライスも全部食べたい!」と、思わず本音があふれ出るその様子に、会場も和やかな空気に包まれた。極限の勝負を戦い抜いた直後でも、そこには等身大の小学生らしい無邪気さがあった。

また、母親へのインタビューからは、結果に一喜一憂しすぎず、子どもの意思を尊重し続けてきた家庭の姿勢も浮かび上がる。好きなことに本気で向き合える環境があったからこそ、ゆうき選手は挑戦を恐れず、独自のスタイルを磨き続けてきたのだろう。
そしてもうひとつ印象的だったのが、『ぷよぷよ』コミュニティの存在だ。年齢や立場を超えて自然に声をかけ合い、競技としての厳しさと、人としての温かさが同居する空間。その環境が、若い才能を安心して受け入れ、伸ばしていく土壌になっている。
今年で35周年を迎えようとしている『ぷよぷよ』。その普遍的なルールであるからこそ、歴代のプレーヤーのテクニックが継承され、そしてさらなる進化を遂げることができる。eスポーツにとって難しいとされている技術の継承が実現できているのも“ぷよぷよ界隈”ならではといえる。
圧倒的な実力と、まだまだ子どもらしさも垣間見える無邪気さ。「小学生王者誕生」に新時代の幕開けとなった2026年。強力な若手にベテランがどう食らいついていくのか、来シーズンも楽しみだ。

■関連リンク
ゆうき選手 X:
https://x.com/kryu_puyo
ぷよぷよキャンプ:
https://puyo-camp.jp/
ぷよぷよeスポーツ 特設サイト:
https://esports.sega.jp/
©SEGA
撮影:いのかわゆう
編集:いのかわゆう
前回王者のdelta選手を破って勝ち上がると、決勝ではともくん選手と対戦。20本先取の一戦は19:19までもつれる死闘となったが、最後はその極限の勝負を制し、年間王者の座をつかみ取った。
AIのような正確さと素早い判断力を武器に、これまでも数々の大会で優勝実績を重ねてきたゆうき選手。今大会でもその完成度の高いプレーは健在で、世代や立場を超えたトッププレーヤーたちとの戦いを制し、その実力を改めて証明する形となった。
そんなゆうき選手に、決勝戦を終えた直後にインタビューを実施。極限の決勝戦をどうとらえていたのか、そして年間王者として今何を思うのかをうかがった。

ともくん戦の前半は様子を見ていた
ゆうきの最適解が導き出した優勝への近道とは
——優勝おめでとうございます。普段の練習はどれくらいしているんですか?
ゆうき:ありがとうございます。1時間から2時間ぐらいです。
——今回、大会に向けて特別に行った練習はありますか?
ゆうき:いつもより練習量は増やしました。前の週にひぽにあさん主催の「おういリーグ」という大事な大会があって、それに向けてずっと練習していたので、最近はめちゃくちゃ練習していました。
おういリーグとは
『ぷよぷよeスポーツ』を使用したコミュニティ大会で、JESU公認プロライセンス保持者であるひぽにあ選手(SBI e-Sports所属)が主催しているリーグ形式のコミュニティ大会。
多数の強豪プレーヤーが参加し、コミュニティの交流と競技レベルの向上、ぷよぷよファンが楽しめる場づくりを目的としている。現在は「新おいうリーグ」という名称で現在も開催が続いている。
『ぷよぷよeスポーツ』を使用したコミュニティ大会で、JESU公認プロライセンス保持者であるひぽにあ選手(SBI e-Sports所属)が主催しているリーグ形式のコミュニティ大会。
多数の強豪プレーヤーが参加し、コミュニティの交流と競技レベルの向上、ぷよぷよファンが楽しめる場づくりを目的としている。現在は「新おいうリーグ」という名称で現在も開催が続いている。
——予選から決勝まで、負けなしの勢いで勝ち進んできていましたが、唯一予選のSAKI選手相手には3:10と、大差をつけての敗北でした。ゆうき選手らしくない立ち回りにも見えたのですが、何があったのでしょうか。
ゆうき:試合中、集中できなくなってしまって……。立て直そうとはしていたんですが、集中力が壊れてしまったんです。調子は完璧だったのに、集中できなくて……。
それで、「あー、終わったー」と思って、諦めてめっちゃご飯食べてたら、なんか決勝戦に上がれてて(笑)。

▲オフライン大会になると、観客や対戦相手の声、仕草なども目に飛び込んでくる。そういった環境が特別だったのか——。配信外の予選のさなか、自ら心を落ち着かせようと胸に手を当てるゆうき選手
——勝敗的には3人並んで、あとは得失点差で勝者を争う形になっていましたもんね。
| Group B | ゆうき | ぴぽにあ | SAKI | Yoshi | 得失点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 👑 ゆうき | ― | ○ 10-4 | × 8-10 | ○ 10-4 | 10 |
| ぴぽにあ | × 4-10 | ― | ○ 10-3 | ○ 10-1 | 10 |
| SAKI | ○ 10-8 | × 3-10 | ― | ○ 10-3 | 2 |
| Yoshi | × 4-10 | × 1-10 | × 3-10 | ― | -22 |
▲ゆうき選手のBブロックは勝利数2の選手がひしめき合っていて混戦状態だった
ゆうき:(僕が1位になるには)最後のぴぽにあさんがめっちゃいい条件で勝たなきゃいけなくて……。実はぴぽにあさんの試合中、後ろでお祈りしてました(笑)。
——ゆうき選手の立ち回りで驚いたのは、連鎖のバリエーションです。連鎖のルートを途中で変えているようなアレンジがあったり、つながっていないと思っている部分がつながっていたりと、会場でも驚きの声が上がっていました。どういった感じで盤面を見ているのでしょうか。

▲連鎖に見慣れてくると、プロの試合を見ていても、どんな連鎖ルートなのかが見えてくるようになる。しかし、ゆうき選手の連鎖は、思わぬところから本線につながるといったイレギュラーな連鎖を緊急で狙うこともあり、観戦者はおろか、実況解説陣までもが連鎖の行方を見失うことも(https://www.youtube.com/live/uaeHu56VNwE?si=DcaHYp63mQKuKFDg&t=26896)
ゆうき:自分で言うのもアレなんですけど、どういう連鎖があるのかっていうのは、ぷよ界隈で一番見えていると思っています。みんなが見えない発火(連鎖をスタートする最初の一手)とか、みんなが見えない打ち方とか——。そういうのをするのは特に得意なんですよ。

▲連鎖の流れをとっさの判断で切り替えるテクニックはゆうき選手の得意とするところ。試合を落としても、解説陣も驚かされる展開を見せるシーンも(https://www.youtube.com/live/uaeHu56VNwE?si=VSjwAttMPAXD4U7m&t=26978)
——『ぷよぷよ』では連鎖の積み方や戦術にトレンドがあり、多くのプロ選手がトレンドを使っています。ゆうき選手自身、新たな戦略は考えていますか?

▲積み方のトレンドとしては「先折りGTR」といった名称で有名な積み方がある。下段の四角で囲っている部分、特に左下の部分は非常に連鎖に組み込みやすいという理由から、多くのプロが採用している積み方だ
ゆうき:例えば「全消し拒否」っていうテクニックがあります。「全消し」って普通絶対取った方が有利なんですけど、それを僕は取らない試合展開を実践しています。今日も決勝で試してみたのですが、自分で記事を書いたり、練習したりしたことで実力が付いたと思っています。
——「2手全消しをあえて取らない」という戦術に手応えはありましたか?
2手全消しとは
『ぷよぷよeスポーツ』では、フィールドに積まれているぷよをすべて消すと「全消し」となり、次にぷよを消したときに、通常より多くのおじゃまぷよ(30個追加)を相手に送ることができる。
また、『ぷよぷよeスポーツ』では、ぷよが降ってくるパターンはランダムではあるものの、両者同じパターンのぷよが落下してくる。1手目と2手目に同じ色が続いた場合、簡単に「全消し」ができるため、一般的に「全消し」を狙うのが王道とされているが、ゆうき選手はあえて「全消し」をしない選択肢を攻略に取り入れている。
参考記事:
俺が考えた未来の最強全消し戦の立ち回り #ぷよらーアドカレ2025
『ぷよぷよeスポーツ』では、フィールドに積まれているぷよをすべて消すと「全消し」となり、次にぷよを消したときに、通常より多くのおじゃまぷよ(30個追加)を相手に送ることができる。
また、『ぷよぷよeスポーツ』では、ぷよが降ってくるパターンはランダムではあるものの、両者同じパターンのぷよが落下してくる。1手目と2手目に同じ色が続いた場合、簡単に「全消し」ができるため、一般的に「全消し」を狙うのが王道とされているが、ゆうき選手はあえて「全消し」をしない選択肢を攻略に取り入れている。
参考記事:
俺が考えた未来の最強全消し戦の立ち回り #ぷよらーアドカレ2025

▲その「2手全消しをあえて取らない」という戦術を決勝戦という大舞台で身をもって攻略に取り入れるゆうき選手。その探究心と度胸は、もやは達観しているようにさえ見える。しかもその作戦で勝利しているのだから、いやはや末恐ろしい(https://www.youtube.com/live/uaeHu56VNwE?t=29139s)
ゆうき:正直に言うと、めちゃくちゃ勝率が高い戦術、というわけではなかったです。ただ、なんとなく「やりたいな」と思ってしまって(笑)。
実際に使ってみたら勝てて、それはすごくうれしかったですね。
最近は、前期の試合で一度、序盤の戦い方を少し変えてみたこともあったんですけど、相手にすぐ読まれてしまって。それでも勝ててはいたんですが、やっぱりしっくり来なくて、途中で諦めて、いつものスタイルに戻したらうまくいった、という感覚でした。
——決勝戦の話も振り返らせてください。結構差が開いてからの盛り返しとなりました。自分の中でプレースタイル変えたとか、考え方を変えたところはありましたか?
ゆうき:そうですね、前半は、相手の様子を見たくて本気を出していませんでした。ともくん選手はいろんなことができるプレーヤーです。2ダブ(2連鎖の2色同時消し)とか、本線火力(メインとなる最大連鎖)もそうだし、中盤もうまい。全部ができるからこそ、どのプレーをしてくるのかっていう様子見が必要で、 それを最初の10本ぐらいに回しました。
その後はガチモード入って「さすがに勝てる気がする」と思いながらやって勝てました。
——今日は17連鎖という大連鎖を見せるシーンもありました。普段から連鎖の練習に重点を置いているのでしょうか。

▲大会では大連鎖がぶつかり合うシーンはよくあることだが、それでも13〜15連鎖くらいにとどまる。ゆうき選手は決勝戦という大舞台で驚異の17連鎖を決めるシーンも(https://www.youtube.com/live/uaeHu56VNwE?si=sM7omE2UgPBJlktp&t=29321)
ゆうき:実戦の中で練習することが多いですね。最近はひとりでCPU相手に、本線(メインとなる最大連鎖)をしっかり組む練習もしていました。その影響で本線の火力はかなり上がったと思います。
ただ、ひとつ弱くなった部分もあって。それが「凝視力」、相手のフィールド(盤面)を見る力です。CPU相手だと相手を見る必要がないので、あまり意識していなかった分、少し落ちてしまった感覚はありました。
——連鎖に特化した練習をするというより、あえて弱点も含めて実戦の中で鍛えていく、というスタイルなのでしょうか。
ゆうき:そうですね。特定の要素だけを切り出して練習するというよりは、とにかく対戦数を重ねて、その中でいろいろ学んでいく感じです。
対戦しながら修正して、また組み重ねていく、という練習が多いですね。
——決勝戦のともくん選手は、ゆうき選手の憧れの選手でもあると思います。そんなともくん選手に勝利して、改めてどんな気持ちですか?
ゆうき:これまで何度も、ともくん選手には本当にギリギリのところで負け続けてきました。一先の勝負や、9:10といったスコアで敗れたこともあって、「やっぱり自分はまだ届かないんだな」と感じるくらい、悔しい思いをしてきました。
それくらい憧れの存在だったので、ここまで大事な舞台で、ようやく勝つことができたのは本当にうれしいです。
——話は変わって、今年は「日本eスポーツアワード」で2冠を受賞するといった快挙もありました。実際、賞を受賞して気持ちに変化はありましたか?

▲日本国内のeスポーツ界における功績を表彰する年に一度の祭典「日本eスポーツアワード2025」では、「U18部門」、「マインドゲームプレーヤー賞」の2冠を受賞した(出典:日本eスポーツアワード2025 ©︎JAPAN eSPORTS AWARDS)
ゆうき:正直なところ、受賞したときは「うれしいな」という気持ちが一番でした。
ただ、去年は万博関連のイベントにゲストとして呼ばれたりと、外に向けて目立つ機会が多かったので、今年はそこまで有名になれるかは正直分からないな、という気持ちもあります。
それでも、これからもっと頑張っていきたいという思いはあります。
将来的には、プロ選手として戦うだけでなく、実況解説や大会のゲストとして参加するなど、delta選手のように、いろいろな形で『ぷよぷよ』を広めていく活動にも挑戦していきたいです。
競技としてだけでなく、もっと多くの人に『ぷよぷよ』の面白さを知ってもらえる存在になれたらと思っています!
——最後にファンに向けてひと言お願いします。
ゆうき:これからもめちゃくちゃ頑張るんで応援よろしくお願いします!
——ありがとうございました!
ゆうき母が語る「好きなことに全力で向き合う強さ」とは
そんな異次元の強さを誇るゆうき選手のお母さんが会場に来ていたので、ゆうき選手への想いをうかがった。
——ゆうき選手はトッププレーヤーとして活躍されていますが、幼少期から何か片鱗のようなものはありましたか?
ゆうき選手の母:片鱗というより、好きなことに対する熱量がとにかくすごい子でした。ひとつのことにハマると、とことん集中するタイプだったと思います。
——最初から『ぷよぷよ』に熱中していたのでしょうか?
ゆうき選手の母:最初は一緒に『テトリス』を遊んでいたんですけど、途中から急にぷよぷよを始めて——。気づいたら、ひとりで大きな連鎖を組むようになっていました。そこから「オンラインで対戦してみたい」と自分から言い出して、小学1年生の誕生日に対人戦ができる環境を用意しました。

——やはり大会となると勝ってうれしいことばかりではないと思います。悔しい結果となってしまったとき、母親としてどんな言葉を投げかけているのでしょうか。
ゆうき選手の母:子どものほうが、よほどすごい世界で戦っているので、私が余計なことを言う必要はないと思っていて。基本的には「お疲れさま」と伝えるくらいです。
なるべく干渉しすぎないようにしていますね。
——特に励ましたりはしないんですね。
ゆうき選手の母:日によりますけど、基本は見守るだけです。切り替えたいときは、甘いものを食べながら少し話すくらいですね(笑)。
——決勝戦では、憧れのともくん選手との対戦になりました。優勝が決まった瞬間、お母さんが涙している姿が印象的でした。どんなことを思っていたのでしょうか。
ゆうき選手の母:勝ち負けよりも、「憧れの選手と、この大きな舞台で戦う」という目標がかなったことが、まずうれしかったです。
勝ち負けとかじゃなくて、まずそれがかなっていることに、もうずっと込み上げていて……。 試合が終わった瞬間は、うれしいというよりは、ホッとした気持ちが大きかったですね。
——今後、どんな選手、どんな大人になってほしいですか?
ゆうき選手の母:そうですね……。選手であり続けてほしい、というよりは、『ぷよぷよ』に限らず、本人が「これがやりたい」と思えることに出会ったら、そこに全力で飛び込んでほしいな、という気持ちです。

——お話をうかがっていると、とても前向きにeスポーツを応援されている印象を受けます。まだeスポーツに対する否定的な見方もある中で、応援しようと思えたきっかけは何だったのでしょうか。
ゆうき選手の母:『ぷよぷよ』のコミュニティは、年齢に関係なく子どもたちを温かく受け入れてくださるんです。
オフライン大会でも自然に声をかけていただけて、学校以外でいい影響を受けられる環境だと感じています。それも、応援したいと思えた理由のひとつですね。
——「日本eスポーツアワード」での2冠受賞についてはいかがでしたか?
ゆうき選手の母:正直、想像もつかないところまで来てしまったな、という気持ちです(笑)。同時に、支えてくださっているプレーヤーの皆さんや、eスポーツを盛り上げてくださっている方々への感謝を忘れないでいてほしいなと思っています。
——ありがとうございました!
まとめ
極限の19:19を制し、年間王者の座をつかみ取ったゆうき選手。その強さは、単なる反射神経や操作精度だけでは語れない。盤面を読む発想力、既存の定石に安住しない探究心、そして「全消し拒否」に象徴されるような柔軟な発想こそが、彼を唯一無二の存在にしている。
一方で、インタビューの最後に見せた姿は、そんな“異次元の強さ”とは少し違う表情だった。優勝のお祝いに食べたいものを聞かれると、「焼肉も食べたいし、お寿司も、オムライスも全部食べたい!」と、思わず本音があふれ出るその様子に、会場も和やかな空気に包まれた。極限の勝負を戦い抜いた直後でも、そこには等身大の小学生らしい無邪気さがあった。

▲決勝戦では胸を押さえるしぐさも。「気持ちを落ち着かせるためにやっていた。これのおかげで緊張しなかった」と、語るゆうき選手。天才的なプレーの中に繊細さも垣間見えた瞬間だ
また、母親へのインタビューからは、結果に一喜一憂しすぎず、子どもの意思を尊重し続けてきた家庭の姿勢も浮かび上がる。好きなことに本気で向き合える環境があったからこそ、ゆうき選手は挑戦を恐れず、独自のスタイルを磨き続けてきたのだろう。
そしてもうひとつ印象的だったのが、『ぷよぷよ』コミュニティの存在だ。年齢や立場を超えて自然に声をかけ合い、競技としての厳しさと、人としての温かさが同居する空間。その環境が、若い才能を安心して受け入れ、伸ばしていく土壌になっている。
今年で35周年を迎えようとしている『ぷよぷよ』。その普遍的なルールであるからこそ、歴代のプレーヤーのテクニックが継承され、そしてさらなる進化を遂げることができる。eスポーツにとって難しいとされている技術の継承が実現できているのも“ぷよぷよ界隈”ならではといえる。
圧倒的な実力と、まだまだ子どもらしさも垣間見える無邪気さ。「小学生王者誕生」に新時代の幕開けとなった2026年。強力な若手にベテランがどう食らいついていくのか、来シーズンも楽しみだ。

▲おなじく小学生でありながらベスト4という快挙を果たしたきーくん選手。ゆうき選手のよきライバルとしてふたりの活躍に期待がかかる
■関連リンク
ゆうき選手 X:
https://x.com/kryu_puyo
ぷよぷよキャンプ:
https://puyo-camp.jp/
ぷよぷよeスポーツ 特設サイト:
https://esports.sega.jp/
©SEGA
編集:いのかわゆう
【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『仁王2』。
X:@sdora_tweet
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『仁王2』。X:@sdora_tweet
Discord をフォローしよう
SALE
大会
チーム
他にも...?
他にも