【特集】深遠なるゲーミングデバイスの世界
【特集】深遠なるゲーミングデバイスの世界:アケコン編第2弾「Hit Box Arcade製 hitBOX」を紐解く!【レビュー】 (1/2)
ゲームをするにあたって必要不可欠といえるのがコントローラー。特に格闘ゲームで圧倒的なシェアを誇っているのが、レバーとボタンというシンプルな構造で複雑なコマンドが入力できる「アーケードスティック」通称「アケコン」だ。
しかしここ最近、プロ選手の間で話題になっているのが「ヒットボックス」と呼ばれる「レバーレスアーケードコントローラー」だ。
最速入力が可能で、正確な入力が実現できるとプロ、アマ問わず格ゲーのプレイヤーたちの注目を浴びている「ヒットボックス」。その異常なまでの性能から「使用を禁止にする大会も増えてくるのでは?」と物議を醸すほどの話題性を持っている。
今回、そんな話題沸騰中の「ヒットボックス」のなかでも、元祖「ヒットボックス」とも言える「Hit Box Arcade製 hitBOX」をお借りすることができたので、そちらを紹介していこう。
なお本記事で「hitBOX」と記載されているものは、すべてHit Box Arcade製のものを示している。そのほかのメーカーや個人で作成されている「ヒットボックス」については、「レバーレスアーケードコントローラー」と記載する。
hitBOXの歴史は2010年までさかのぼる。当時も今と変わらず、格闘ゲームのコントローラーといえばレバー操作が当たり前の時代であったが、北米からレバーのないアケコンが姿を見せ始める。いわゆるレバーレスアーケードコントローラーだ。
海外ではアケコンのほかにキーボードで格闘ゲームをプレイするプレイヤーも少なからず存在する。そのキーボード操作をアレンジしてボタンに置き換えたのが、hitBOXの原型とも言える。
当時のレバーレスアーケードコントローラーは、自作で作られているものが多く、ボタンの配置や形状、サイズなどもまちまち。そこでHit Box Arcade社が格闘ゲームで最適なサイズ、デザインを開発。そうしてできたレバーレスアーケードコントローラーが「hitBOX」なのだ。
全体的なサイズは思ったよりも小ぶりという印象。比較として筆者が所有しているアーケードスティックと並べてみたので確認してほしい。横幅はしっかりと確保してあるので、天板が小さくてプレイしづらいというところも感じないのはうれしいところ。
赤色のボタンがレバーの役割を担っていて、白色のボタンが各種攻撃ボタンとなっている。PlayStation®4を基準にするとボタンの配列は以下の通りだ。
スティックの押しこみ(R3、L3ボタン)はないものの、そのほかのボタンはすべてカバーされているので、一般的な格闘ゲームなら問題なくプレイできる。なおボタンの配列はビュウリックス配列を基準にしていて、基本的には横並びに配列されている。
hitBOXのメリット
hitBOXの最大とも言えるメリットは理論上最速の入力が可能という点だ。レバー操作では左から右、下から上と反対側のキーを入力する際に必ずしもニュートラルを介さなければならないのに対し、hitBOXの場合、各方向キーが独立しているため、限りなくニュートラルを経由せずに逆方向に入力することができる。
またレバーの場合、アナログな入力が可能となっている形状も手伝って曖昧な入力や誤入力が増え、コマンドの入力のミスが目立ってしまう。一方でhitBOXの場合は、ボタンを押すというシンプルな操作の組み合わせになっているので、比較的簡単に正しいコマンドが入力できるのがメリットとも言える。
レバーが線を描くように操作するのに対し、hitBOXは点で操作することになるので、全体的に操作はキビキビになるというイメージだ。
もちろん、その操作をしたからと言って、左と右の同時入力がゲームに反映されているわけではない。それはhitBOXにおけるボタンの優先順位が影響している。hitBOXの方向キーボタンには優先順位があり、上ボタンがもっとも優先順位が高いボタンとなっている。なお、左、下、右の優先順位はない。
例えば、下ボタンと上ボタンを同時に入力した場合、上ボタンが優先されるのでキャラクターはジャンプする。また下ボタンを押しっぱなしにした状態で上ボタンを入力しても、下ボタンの入力が解除されキャラクターはジャンプする。上ボタンを離せば即座に押しっぱなしにした下ボタンの入力が生きるという寸法だ。
ちなみに左と右を同時に入力した場合はどちらの入力も相殺され、ニュートラルという状態になる。
hitBOXのおもな仕様はこんな感じ。では引き続き実際に使ってみた使用感や、hitBOXが抱えている問題について解説していこう。
しかしここ最近、プロ選手の間で話題になっているのが「ヒットボックス」と呼ばれる「レバーレスアーケードコントローラー」だ。
最速入力が可能で、正確な入力が実現できるとプロ、アマ問わず格ゲーのプレイヤーたちの注目を浴びている「ヒットボックス」。その異常なまでの性能から「使用を禁止にする大会も増えてくるのでは?」と物議を醸すほどの話題性を持っている。
今回、そんな話題沸騰中の「ヒットボックス」のなかでも、元祖「ヒットボックス」とも言える「Hit Box Arcade製 hitBOX」をお借りすることができたので、そちらを紹介していこう。
なお本記事で「hitBOX」と記載されているものは、すべてHit Box Arcade製のものを示している。そのほかのメーカーや個人で作成されている「ヒットボックス」については、「レバーレスアーケードコントローラー」と記載する。
hitBOXとは
hitBOXの歴史は2010年までさかのぼる。当時も今と変わらず、格闘ゲームのコントローラーといえばレバー操作が当たり前の時代であったが、北米からレバーのないアケコンが姿を見せ始める。いわゆるレバーレスアーケードコントローラーだ。
海外ではアケコンのほかにキーボードで格闘ゲームをプレイするプレイヤーも少なからず存在する。そのキーボード操作をアレンジしてボタンに置き換えたのが、hitBOXの原型とも言える。
当時のレバーレスアーケードコントローラーは、自作で作られているものが多く、ボタンの配置や形状、サイズなどもまちまち。そこでHit Box Arcade社が格闘ゲームで最適なサイズ、デザインを開発。そうしてできたレバーレスアーケードコントローラーが「hitBOX」なのだ。
基本スペック
天板の上には色違いのボタンが12個配置されているだけ。白を基調としたアクリルのプレートは洗練されたデザインで、どことなく高級感があふれている。まずは筐体のスペックを紹介しよう。【基本スペック】
サイズ:約 (幅)405mm x (奥行き)175mm x (高さ)60mm
重量:約2kg
ケーブル長:約3m
ボタン配置:ビュウリックス配列(方向キーボタンは含まない)
パーツ:三和製(天板のボタン)
対応デバイス:PlayStation®4/PC
サイズ:約 (幅)405mm x (奥行き)175mm x (高さ)60mm
重量:約2kg
ケーブル長:約3m
ボタン配置:ビュウリックス配列(方向キーボタンは含まない)
パーツ:三和製(天板のボタン)
対応デバイス:PlayStation®4/PC
全体的なサイズは思ったよりも小ぶりという印象。比較として筆者が所有しているアーケードスティックと並べてみたので確認してほしい。横幅はしっかりと確保してあるので、天板が小さくてプレイしづらいというところも感じないのはうれしいところ。
ボタンのサイズや配列
特筆すべきはボタンのサイズ。一般的なアーケードスティックに使用されているボタンは30φなのに対し、hitBOXで使用されているボタンは、中央のボタンをのぞきひとまわり小ぶりな24φが使われている。24φのサイズは標準的なアーケードスティックのスタートボタンを連想してもらえるとイメージがつくかと思う。赤色のボタンがレバーの役割を担っていて、白色のボタンが各種攻撃ボタンとなっている。PlayStation®4を基準にするとボタンの配列は以下の通りだ。
スティックの押しこみ(R3、L3ボタン)はないものの、そのほかのボタンはすべてカバーされているので、一般的な格闘ゲームなら問題なくプレイできる。なおボタンの配列はビュウリックス配列を基準にしていて、基本的には横並びに配列されている。
【ボタン配列について】
市販されているアーケードスティックの配列は大きく分けてノアール配列とビュウリックス配列の2パターンに分けられる。ノアール配置は、レバーとボタンの間隔が広めに取られていることや、ボタン配置が「への字」になっているのが特徴。この指の長さに準じたへの字のボタン配列により、ボタンが押しやすいので人気がある。アーケード版の『鉄拳7』は、このノアール配列の筐体を採用しているため、鉄拳プレイヤーにも好まれている。
一方、ビュウリックス配列はレバーとボタンの間隔が近く、ボタンはほぼ横並びに配置されているのが特徴。多くのアケコンがこちらの配列を採用していることもあり、こちらの方がメジャーではある。アーケード版の『ストリートファイター 4』や『ブレイブルー』の筐体で使われていることもあり、それらを中心にプレイしているプレイヤーにも人気がある。
市販されているアーケードスティックの配列は大きく分けてノアール配列とビュウリックス配列の2パターンに分けられる。ノアール配置は、レバーとボタンの間隔が広めに取られていることや、ボタン配置が「への字」になっているのが特徴。この指の長さに準じたへの字のボタン配列により、ボタンが押しやすいので人気がある。アーケード版の『鉄拳7』は、このノアール配列の筐体を採用しているため、鉄拳プレイヤーにも好まれている。
一方、ビュウリックス配列はレバーとボタンの間隔が近く、ボタンはほぼ横並びに配置されているのが特徴。多くのアケコンがこちらの配列を採用していることもあり、こちらの方がメジャーではある。アーケード版の『ストリートファイター 4』や『ブレイブルー』の筐体で使われていることもあり、それらを中心にプレイしているプレイヤーにも人気がある。
hitBOXのメリット
理論上最速が可能なボタン入力
hitBOXの最大とも言えるメリットは理論上最速の入力が可能という点だ。レバー操作では左から右、下から上と反対側のキーを入力する際に必ずしもニュートラルを介さなければならないのに対し、hitBOXの場合、各方向キーが独立しているため、限りなくニュートラルを経由せずに逆方向に入力することができる。
またレバーの場合、アナログな入力が可能となっている形状も手伝って曖昧な入力や誤入力が増え、コマンドの入力のミスが目立ってしまう。一方でhitBOXの場合は、ボタンを押すというシンプルな操作の組み合わせになっているので、比較的簡単に正しいコマンドが入力できるのがメリットとも言える。
レバーが線を描くように操作するのに対し、hitBOXは点で操作することになるので、全体的に操作はキビキビになるというイメージだ。
方向ボタンの優先順位
また方向ボタンの優先順位にも注目したい。hitBOXは方向ボタンが独立しているため、hitBOX独自の入力が可能となっている。例えば左と右を同時入力したり、下や上を同時に入力したりと、レバーでは不可能な入力も可能になってしまうのだ。もちろん、その操作をしたからと言って、左と右の同時入力がゲームに反映されているわけではない。それはhitBOXにおけるボタンの優先順位が影響している。hitBOXの方向キーボタンには優先順位があり、上ボタンがもっとも優先順位が高いボタンとなっている。なお、左、下、右の優先順位はない。
例えば、下ボタンと上ボタンを同時に入力した場合、上ボタンが優先されるのでキャラクターはジャンプする。また下ボタンを押しっぱなしにした状態で上ボタンを入力しても、下ボタンの入力が解除されキャラクターはジャンプする。上ボタンを離せば即座に押しっぱなしにした下ボタンの入力が生きるという寸法だ。
ちなみに左と右を同時に入力した場合はどちらの入力も相殺され、ニュートラルという状態になる。
通称ガフロコンとの違い
ガフロコンとは株式会社ワンコネクト所属のプロゲーマー、ガフロ選手が自作したレバーレスアーケードコントローラーで、hitBOXと同等の性能を持っている。2018年にガフロ選手が使用し始めたことから話題となり、さらにウメハラ選手が使い始めたことから一気に話題となったコントローラーだ。
hitBOXとの大きな違いは、「ボタンの増設」と「ボタンの優先順位」の違いだ。ガフロコンはhitBOXとは違い同じ入力のボタンを複数配置することができる。例えば上ボタンをふたつセットしたり、左右ボタンをふたつセットしたりと増やせるボタンもさまざまだ。
これにより左手では操作がおぼつかないところを右手で操作することが容易になったり、レバーよりも複雑化してしまう一部のコマンドをボタン配置を変更することで入力しやすくなるなどのメリットがあった。
またボタンの優先順位にも違いがある。ガフロコンは左右を同時入力した際、ニュートラルにはならず、あとに入力したボタンが優先*される。これにより、一部のコマンドが非常に素早く入力できるようになったり、相手の方向に歩きながら瞬時にガードできたりもできる。
*内部の基板の設定によりhitBOXと同等の挙動に変えることも可能
ガフロコンとは株式会社ワンコネクト所属のプロゲーマー、ガフロ選手が自作したレバーレスアーケードコントローラーで、hitBOXと同等の性能を持っている。2018年にガフロ選手が使用し始めたことから話題となり、さらにウメハラ選手が使い始めたことから一気に話題となったコントローラーだ。
hitBOXとの大きな違いは、「ボタンの増設」と「ボタンの優先順位」の違いだ。ガフロコンはhitBOXとは違い同じ入力のボタンを複数配置することができる。例えば上ボタンをふたつセットしたり、左右ボタンをふたつセットしたりと増やせるボタンもさまざまだ。
これにより左手では操作がおぼつかないところを右手で操作することが容易になったり、レバーよりも複雑化してしまう一部のコマンドをボタン配置を変更することで入力しやすくなるなどのメリットがあった。
またボタンの優先順位にも違いがある。ガフロコンは左右を同時入力した際、ニュートラルにはならず、あとに入力したボタンが優先*される。これにより、一部のコマンドが非常に素早く入力できるようになったり、相手の方向に歩きながら瞬時にガードできたりもできる。
*内部の基板の設定によりhitBOXと同等の挙動に変えることも可能
hitBOXのおもな仕様はこんな感じ。では引き続き実際に使ってみた使用感や、hitBOXが抱えている問題について解説していこう。
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