【特集】eスポーツ入門

日本最強はどのチーム? どの選手? 2020-2021年のeスポーツ最強チーム&選手 タイトル別まとめ

2021.1.2 宮下英之
スポーツにおける最大の魅力は、なんといっても「強さ」だ。日本一、世界一の選手やチームは掛け値なしに注目されるし、その競技においてプロモーションしたい企業側にとっても大きな価値がある。

そこで本記事では、公式大会が開催されているeスポーツタイトルで、2020年末現在の日本最強のチーム・選手をご紹介したい。選出基準は、2020年に国内大会・国際大会で好成績を収めた者、世界大会に挑戦もしくは挑戦権を持っているチームや選手としている。

なお、日本最強チーム・選手が判明した段階で、随時追加していく予定だ。

2021.1.27 『ストリートファイターV』を追加。

ストリートファイターV チャンピオンエディション「ウメハラ」「ガチくん」

日本が誇るeスポーツ系格闘ゲームの代表的なタイトル『ストリートファイターV』。シリーズ最新作の『チャンピオンエディション』を用いたシーズン5となった2020年度は、新型コロナの影響で世界各地の大会優勝者やファン投票の結果により、2021年2月20日にドミニカ共和国で、決勝トーナメント「カプコンカップ 2020」を開催する予定だった。

しかし残念ながら、各国とも海外への渡航が厳しい情勢が続いており、カプコンは苦渋の決断として2020年度の「カプコンカップ」の中止を決定。

では、2020年時点での日本最強は誰かと言えば、様々な大会がある中でこの「カプコンカップ2020」への出場権を勝ち取ったウメハラ選手とガチくん選手の2名だろう。

7月25日〜26日にかけて開催されたアジア-東大会1は、ウイナーズ側はときど選手、Veloren選手を下したウメハラ選手が勝ち上がる。一方のルーザーズ側を勝ち抜いたのはふ〜ど選手。奇しくも同じMildom Beast所属のふたりによるグランドファイナルとなった。

ウメハラ選手のガイルに対してふ〜ど選手はポイズンをチョイス。序盤はふ〜ど選手がウメハラ選手を翻弄し、リセットをかける。3セットを先取した方が勝利という場面で、2-2までもつれた末、ウメハラ選手が日本勢としていち早くカプコンカップ出場権を手にした。



もうひとつの試合は10月24日〜25日に開催されたアジア-東大会2。グランドファイナルは、ウイナーズブラケットを勝ち抜いたガチくん選手とルーザーズから上がってきたももち選手の戦いだ。序盤からももち選手のセスに苦しめられガチくん選手は、2-1で破れてリセットに。しかし、小さなスキを見逃さなかったガチくん選手がそこからストレートで勝利した。


ちなみに、2021年3月には、カプコンカップに替わるエキシビションマッチとして「CAPCOM Pro Tour 2020 シーズンファイナル」が開催され、東アジア代表のウメハラ選手とガチくん選手が直接対決も果たしている。



リーグ・オブ・レジェンド「V3 Esports」

リーグ・オブ・レジェンド』は、世界をいくつかの地域に分けて、春シーズン(Spring)、夏シーズン(Summer)という年2回のリーグ戦を行い、夏シーズンで地域上位に残ったチームが世界大会「Worlds」に挑むという方式だ。

日本はプロリーグ「LJL」があり、「Worlds」に進出できる枠はひとつ。つまり、夏シーズンで優勝したチーム=日本最強チームがそのまま世界に挑むことになる。

その2020年夏シーズンで、長らく日本最強の座を守ってきたDetonatioN FocusMeを破り、初の世界大会出場を成し遂げたのがV3 Esportsだ。

経験豊富なトップのPaz選手、若手としてチームを引っ張るミッドのAce選手、大胆な動きで敵を仕留めるジャングルのBugi選手、正確無比な動きで何度も窮地から逆転してきたADCのArcher選手、そして日本人サポートとして大きく成長したRaina選手の5人が、マップコントロール能力とチームワークを武器に「LJL」を制した。

残念ながら「Worlds 2020」ではプレイインステージ(予選)で1勝4敗となったが、DFM一強だった「LJL」から別のチームが勝ち上がった意義は大きい。2021年はさらにリーグとして実力が底上げされ、世界での活躍にまた一歩近づけるはずだ。

LJL 2020 Summer Split レギュラーシーズン 結果
1 V3 Esports 12勝-2敗
2 Sengoku Gaming 10勝-4敗
3 Crest Gaming Act 9勝-5敗
4 DetonatioN FocusMe 8勝-7敗
5 Fukuoka SoftBank HAWKS gaming 7勝-8敗
6 Burning Core 6勝-8敗
7 AXIZ 3勝-11敗
8 Rascal Jester 2勝-12敗
※プレイオフではV3とDFMが戦い、V3が勝利を獲得した


PUBG「DetonatioN Gaming White」

4人1組のクワッドにて、16チーム64人が同時に戦う『PLAYERUNKNOWN'S BATTLE GROUNDS』の日本リーグ「PUBG Japan Series」(PJS)は、6月までが「Phase 1」、11月までが「Phase 2」という、年に2回の公式リーグ方式で開催されている。リーグは「Grade 1」と「Grade 2」という2部制で、戦績に応じてこのグレード間の入れ替えも行われる。

そんな「PJS」の2020年後期のシーズン6を制したのがDetonatioN Gaming White。言わずと知れた国内最大規模のゲーミングチームのPUBG部門だ。DMM GAMESとして最後の大会となった「PWI  2020」でも優勝を果たし、名実ともに2020年の『PUBG』最強チームを示してくれた。

2021年からは「PJS」に変わり、東アジア地域で争う「PWS」というリーグが開催され、国内だけでなくより国際色が強くなる。国内予選がどのようなかたちになるのかは今後発表されるだろうが、「PJS」を引き継いでアマチュアからプロまで幅広く参加できる大会になってほしい。

PJS season6 Phase2 Grade1結果
トータルキル/トータルスコア
1 DetonatioN Gaming White 118 181
DGW_Melofo 15/DGW_Gokuri 28/DGW_Machao 48/DGW_SSeeS 27
2 SunSister 108 155
SST_kendesu 25/SST_CrazySam 44/SST_Fhy 12/SST_poly 27
3 Ace1 92 154
A1_yuuno6 28/A1_ParMann 17/A1_Gomashio 28/A1_kamitas 19
4 Rascal Jester 83 139
RJ_Wesker 16/RJ_gabha 16/RJ_CiNVe 23/RJ_oka 28
5 Crest Gaming Xanadu 86 123
CGX_Rio01 25/CGX_Aries 20/CGX_Ruytv 24/CGX_eguto 17
6 ELEMENT.36 JAPAN 85 121
E36_Pureboy 29/E36_amonot 14/E36_satou 20/E36_Sylphia 22
7 SengokuGaming 72 116
SG_inko 16/SG_XhanZ 12/SG_Brost 22/SG_gaaamiii 22
8 V3 FOX 48 94
V3F_Manju 22/V3F_whitejack 3/V3F_tomus 13/V3F_sooon 6/V3F_mutsu 4
8 Zoo Gaming / Penguin 47 94
ZOO_FC 12/ZOO_SHEVA 16/ZOO_Yakky 7/ZOO_JapanNo1 12
10 GrimNight REDCELL 59 85
GNR_MileFy 14/GNR_masukun 13/GNR_relto 22/GNR_zminto 10
11 Dandelion 45 77
DL_Oluty 21/DL_xJoerg 10/DL_OukaMaru 5/DL_Melody 9
12 CYCLOPS athlete gaming 49 71
CAG_MAOxox 16/CAG_0wL 7/CAG_EveRyn 19/CAG_OMOCHI 7
13 BlackBird Xeno 47 70
BBX_asoner 12/BBX_Signales 16/BBX_Viaudy 9/BBX_MoruMoru 10
14 3R gaming Lotus 45 64
3RL_Sizukuuu 11/3RL_Ashleyyyy 7/3RL_VELLMOT 14/3RL_Eve 13
15 Gaming Team SELECTOR 41 48
GTS_Hasetaro 4/GTS_gankyuu 10/GTS_Yulius 4/GTS_Syuto 23
16 AnimationCafe InVeLz 38 47
ACI_JayPar 9/ACI_Gy3 12/ACI_Halo 10/ACI_ChiiMy 7


PUBG MOBILE「BLUE BEES」

NTTドコモによるプロリーグの運営が始まることで、eスポーツ界隈で大きな話題となっている『PUBG MOBILE』のプロシーン。世界ではとてつもない規模の大会が開催されており、急速にeスポーツタイトルとしての存在感が高まっている。

日本リーグは2020年からスタートし、「PMJL」(PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE)のシーズン0として開催された。この大会で優勝した1チームが、世界24チームと競い合う「PUBG MOBILE GLOBAL CHAMPIONSHIP」に参戦可能となる。

その中で、日本最強の称号を勝ち取ったのが愛知のBLUE BEESだ。国内最強を決めるグランドファイナルでは、全24チームの中でモストキル賞の上位5名に3名が名を連ねる攻撃的なスタイルで注目を集めた。

世界大会でも予選を9位で通過し、SUPER WEEKENDでは18位と健闘。この悔しさをバネに、2021年の活躍にも期待したい。

PMJL SEASON 0 GRAND FINALS 結果
順位 チーム名 ランクPT キルPT 合計PT
1 BLUE BEES BLUE BEES 55 95 150
2 Lag Radical Lag Radical 92 52 144
3 REJECT.W REJECT.W 74 62 136
4 とろ~るげいみんぐ とろ~るげいみんぐ 78 47 125
5 JUPITER JUPITER 58 58 116
6 Brain Juice Brain Juice 46 52 98
7 Esterku Esterku 45 39 84
8 Re Start from Zero Re Start from Zero 42 37 79
9 REJECT.S REJECT.S 36 40 76
10 Crescent Gaming Vega Crescent Gaming Vega 38 35 73
11 SCARZ SCARZ 28 43 71
12 TEAM SEXY TEAM SEXY 35 32 67
13 ちーむきゃらこん ちーむきゃらこん 39 19 58
14 SunSister SunSister 19 30 49
15 Revolution PhoeniX Revolution PhoeniX 27 22 49
16 AQUOS DetonatioN Violet AQUOS DetonatioN Violet 32 12 44



コール オブ デューティ モダンウォーフェア「Libalent Vertex」

『コール オブ デューティ』シリーズのeスポーツ大会は、PS4版を用いて毎年開催されている。2020年はプレシーズンマッチ、Spring、Summerという3つの大会が行われているが、これまで9大会連続で優勝を果たしているのがLibalent Vertexだ。

最強メンバーを集めた上で地道な練習と研究をコツコツと積み重ねる堅実なスタイルは、普段はフランクに見える選手からは想像できないほどストイック。定石と臨機応変な動きの両方を、各選手がまんべんなくできるところが強さの秘密だろう。

ちなみに、世界大会「Call of Duty League」に参戦するための地域予選「Call of Duty Challengers APAC Finals」では、参戦資格を満たしていなかったLibalent Vertexは予選から参戦し惜しくも敗退。日本からはSCARZが参戦し、APAC地域8位となっている。

Call of Duty Challengers⽇本代表決定戦 Summer 決勝大会 結果
優勝 Libalent Vertex
準優勝 SCARZ
3位 Monarch
4位 REJECT FAKER



VALORANT「Absolute JUPITER」


『LoL』のライアットゲームズがeスポーツに特化させたタクティカルシューターが『VALORANT』だ。その2020年の最強チームをひとつ絞り込むのは非常に難しい。なにしろ、大会ごとに優勝チームが入れ替っている状態で、しのぎを削り合うトップチームが本当に多いからだ。

その中でもあえて1チームを挙げるとすれば、やはりAbsolute JUPITERだろう。世界のFPS系eスポーツとして常に上位ティアーに位置付けられている『カウンターストライク:グローバルオフェンシブ』(CS:GO)で長年日本最強を維持してきたチームがそのまま、『VALORANT』に殴り込みをかけてきた。

『CS:GO』と比べるとスキルやアイテムなどできることが多く、シンプルながら高度な戦略的要素が求められるあたり、彼らにとって非常に相性のいいタイトルだったと言える。その強さはタイトルが変わってもまったく衰えることがなく、むしろモチベーションはこれまでで最も高い。世界大会に連なる「First Strike」においても他を寄せ付けずに勝利を果たし、日本最強の名を確実なものとした。

とはいえ、『VALORANT』には多くのトップチームが存在することもたしか。2021年の覇権を握るのは誰か、今から予想するのも楽しみだ。


VALORANT FIRST STRIKE JAPAN powered by RAGE 結果
優勝 Absolute JUPITER
準優勝 BlackBird Ignis
3位 REJECT
4位 DetonatioN Gaming


レインボーシックス シージ「CYCLOPS athlete gaming」


数多くのeスポーツタイトルの中で、日本チームが最も世界で活躍しているのが『レインボーシックス シージ』だろう。ここまで日本のプロチームが世界を経験しているタイトルは他にない。

その理由は、リーグのピラミッドが非常に充実していることからも伺える。国内大会はアマチュアから参加できる「オープン」と「ルーキー」、その上に「ジャパンナショナルズ」がある。さらに、日本も所属するAPAC地域から上位4チームが年3回開催される世界大会「Major」に挑む。そして、毎年2月頃に開催される世界一決定戦「Six Invitational」に挑むという、世界一への流れが明確にできている。

その中で2020年にAPAC地域の代表として勝ち上がったのが、CYCLOPS athlete gaming。オセアニアや韓国の強豪チームを相手に一歩も引かない強さを見せて、悲願の「Six Invitational」参戦を勝ち取った。

Six Invitational 2021 APAC予選 決勝 結果
優勝 CYCLOPS athlete gaming
準優勝 Xavier Esports
3位 MercenarieZ
3位 GUTSGaming




クラッシュ・ロワイヤル「PONOS」


韓国でのプロリーグシーズンなどを経験してきたベテランから若手まで、多彩な才能が集まっているのが、PONOSクラッシュ・ロワイヤル部門だ。

世界大会は、イーストとウエストという2つのリーグでの戦いを経て、それぞれ4チームずつがトーナメント形式で最強を決める「世界一決定戦」として行われている。

そしてPONOSは、このトーナメントで3位決定戦をしっかり勝ち抜いて世界3位を獲得。2021年もさらなる活躍に期待したい。

クラッシュ・ロワイヤル 世界一決定戦 結果
1位 Team Queso
2位 SK Gaming
3位 PONOS
4位 paiN Gaming



ハースストーン「glory選手」


2014年に登場したデジタルトレーディングカードゲームとして世界各国で人気を誇るのが、ブリザードエンタテインメントの『ハースストーン』だ。同社の『World of Warcraft』シリーズのキャラクターを素材とし、PC版だけでなくモバイル版も遊べること、日本語対応が充実していることなどから、日本にも多くのプレイヤー、コミュニティが存在する。

公式大会としては日本はアジア太平洋地域に属しており、日本一を決める大会はない。ただし、この地域の大会や世界大会にも日本人として出場する選手は多く、2020年は「グランドマスター」という大会に3人の日本人選手が参戦していた。

その中でも最高位に位置するのはglory選手。というのも、12月の「2020年ハースストーン世界選手権」において優勝を果たしたからだ。日本人選手が『ハースストーン』で世界一になったのは初! glory選手には、優勝賞金として20万ドル(約2000万円)が授与される。

2020年ハースストーン世界選手権 結果
優勝 glory(アジア太平洋)
準優勝 Jalra(ヨーロッパ)




ぷよぷよeスポーツ「live選手」


アーケードで登場して以来、子どもから年配の方まで誰もが遊べる気軽さと奥深さで親しまれている『ぷよぷよ』。そこにeスポーツの対戦要素を盛り込んだ最新タイトルが『ぷよぷよeスポーツ』だ。JeSUのプロライセンス認定タイトルとして多くのプロ選手が活躍しているほか、アマチュアの大会なども積極的に開催されている。

そんな『ぷよぷよeスポーツ』の日本一を決める戦いとしては、2020年末に開催された「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2020 KAGOSHIMA ぷよぷよ部門」が適任だろう。残念ながらオフラインでの現地大会は開催できなかったものの、のべ8万3000人の中から予選を勝ち抜いた125名が集結し、たったひとりの日本一を決める。大会としては小学生以上の部となっており、プロアマ問わず参加できるため、勝者は文字通り2020年の『ぷよぷよeスポーツ』日本一プレイヤーと言っていい。

そんな大会を制したのが、プロとしても活躍しているベテランのlive選手。「埼玉県代表」として参戦したlive選手は、決勝戦では序盤でヨッシー選手にリードを許すも、早めの連鎖などを駆使して10対5で優勝を勝ち取った。

全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2020 KAGOSHIMA ぷよぷよ部門 結果
優勝 live(埼玉県代表)
準優勝 ヨッシー(大阪府代表)
3位 fron(埼玉県代表)
3位 delta(東京都代表)




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