【特集】深遠なるゲーミングデバイスの世界
【北斗の拳 ラオウ&サウザーモデル レビュー】 AKRacingが拳王・聖帝の玉座を作ったらすごすぎた
- 強さ、愛、そして哀しみを知る、「北斗の拳」屈指のふたりの王
- 「北斗の拳40周年記念」に恥じない凝ったデザイン
- 「Premium」をベースにしたオリジナルのクッション設計
- 総評:「北斗の拳」ファンなら一生モノ
eスポーツブーム、新型コロナによる在宅ワーク、巣ごもり需要などで一気に市民権を得たゲーミングチェア。中でも老舗のAKRacingは、eスポーツのプロ向けだけでなく、シックなデザインのオフィス向け、本田翼監修の女性・子ども向けモデルまでニーズや年齢を問わず誰もが使えるラインアップを取りそろえてきた。
そんなAKRacingから今回登場したのは「北斗の拳」とのコラボチェア「北斗の拳 ラオウ」と「北斗の拳 サウザー」(以下、北斗の拳コラボモデル)だ。北斗神拳の使い手「ラオウ」と、南斗鳳凰拳の使い手「サウザー」という、作品中でも高い人気かつ圧倒的な強さを誇る王者のチェアを再現した。
といっても、ベースモデルはAKRacingの「Premium」であり、正直なところデザイン重視のイロモノだろうという印象を持っていた。しかし、今回2脚ともお借りして2週間ほど使わせていただき、印象はガラッと変わった。まさに「玉座」と呼ぶにふさわしい仕上がりとなっている。
今回は製品の性質上、「北斗の拳」のストーリーを踏まえた上で、製品の品質などをレビューしていきたい。
AKRacingを手がけるテックウインド株式会社によると、今回のコラボは「北斗の拳連載40周年企画の一環として、版権元より商品化できないかという相談を受けたことから始まった」という。
実際に、7月6日(土)〜9月1日にかけて兵庫県立美術館で開催された「北斗の拳 40周年 大原画展~愛をとりもどせ!!~」でも展示されており、公式の玉座として大反響を呼んでいた。
ファンには今さらかもしれないが、「北斗の拳」は週刊少年ジャンプにて、原作・武論尊先生、漫画・原哲夫先生のタッグで描かれたマンガだ。1983年〜1988年の約5年にわたって連載され、テレビアニメ・映画・ゲーム・パチンコなどなど多方面でメディアミックスが展開されてきた。
ストーリーは、核戦争後の世界を舞台として、「北斗神拳」の伝承者であるケンシロウが貧しい生活を強いられる人々を守るために巨大な悪の力と戦うというもの。はじめは敵として出逢いながらも、のちに分かり合える「強敵(とも)」と表現されるライバルキャラクターの人気も高い。今回の「北斗の拳モデル」のふたりもまさにそんな人物だ。
余談だが、筆者は小学生時代にジャンプでの連載とテレビアニメを経験したドンピシャ世代。「北斗の拳」という作品はもはや少年時代の必須科目であり、テレビアニメから火がついた「ひでぶ」や「あべし」といった断末魔の叫び、「お前はもう死んでいる」といった決め台詞は、当時の小学校で聞かない日はないほどだった。
ラオウはケンシロウにとって兄(義兄)であり、絶対的な力で世界を支配しようとしている人物。初期の「北斗の拳」のストーリーはいわば“壮大な兄弟ゲンカ”。北斗神拳の伝承者として選ばれた弟のケンシロウに嫉妬したことから、ラオウが生まれたといっても過言ではないだろう。
ケンシロウが北斗神拳の真髄「無想転生」の境地に至った時にも、「哀しみ」が必要と知り、ケンシロウの恋人でありラオウ自身も愛していたユリアをさらい手にかけるなど、ある意味では不器用な男。圧倒的ヴィラン(悪役)として描かれつつも、純粋に愛と力を求めた姿がファンにも愛されている。ケンシロウとの戦いで敗れた後に、「我が生涯に一片の悔いなし!!」とラオウが手を天に突き上げ昇天していく光景は、漫画の歴史に残る名シーンだ。
一方のサウザーは、北斗神拳と双璧をなす南斗聖拳の使い手。自らの権力の象徴として「聖帝十字陵」という建造物のために人々を強制労働させるなど、典型的な暴君として登場する。しかし後に、南斗鳳凰拳を極めるために尊敬する師を手にかけなければならないという伝承の儀式を経て、慈愛の強さゆえに非情になってしまったとわかるなど、やはり悲哀を感じさせる面もある。
サウザーもケンシロウとの戦いにおいて、最終奥義を見破られた際に発した「退かぬ!!媚びぬ省みぬ!!」という言葉が印象的。諦めの悪さとプライドの高さを象徴するネットスラングとして、今もなお使われている。
ふたりとも単なるヴィランではなく、残虐な行動のきっかけが純粋に強さを求めたが故だったことは共通している。こじつけになってしまうが、死に物狂いで寝食を忘れて強さを追い求めるeスポーツに挑む者にとっても、常に戦いの場に身を置いているという意味では、戦いに身を置く者ほど共感できる部分もあるかもしれない。
さて、前置きが長くなったが、ここからはそんな「北斗の拳コラボモデル」を詳しく見ていこう。
なんといっても一番の魅力は、そのデザインだ。今回はデザイナーが作成した案を元に、原作の原哲夫先生自身が監修・ブラッシュアップして最終的なデザインが決定。特別な複雑な配色や素材・パターンが採用されている。
ラオウモデルは、鎧をまとったラオウとその玉座をイメージし、ゴールド×グレーのツートーンカラーに赤をアクセントとして利かせた威厳に溢れる配色パターンを採用。背面には拳王軍のエンブレムを加工し、着座時の背面部分から拳王の風格を感じさせる。
サウザーモデルは、サウザーの玉座をデザインソースとして、ゴールド×バーガンディ(ワイン色)の配色に、アームレストの天板もゴールドをあしらった。こちらも背面には拳聖を象徴する聖帝軍のエンブレムを配置している。
今回、「北斗の拳」ならではのエンブレムや意匠などは、極力エンブロイダリー(刺繍)での加工にこだわったと言い、細部まで非常に精密に仕上げられている。座面の曲部や凹凸部などのステッチにもAKRacingだからこその高級感が漂う。
両モデルとも、自宅や自室に置くと考えるとかなり派手に思えるかもしれないが、実物を見てみるといかにもといった全面キラキラというわけではなく、威厳を感じさせながらも日常使用でも派手すぎない、落ち着いた配色になっていることがわかる。作品のイメージに振り切るなら、もっと全体を金色にすることもできただろうが、そうしなかったのはユーザーの日常使用を思ってのことだろう。
ここからは、AKRacingが誇る機能面にも注目してみよう。
ベースモデルは「Premium」というオフィスやテレワークなども見越したフラッグシップモデル。「北斗の拳コラボモデル」と「Premium」との違いは、背もたれのヘッドレストと腰部分のランバーサポートのクッションくらいだ。
具体的には、「北斗の拳コラボモデル」ではクッションの裏側に穴が空いておらず、クッション自体が薄型の新しいタイプになっている。「阪神タイガースモデル」や「BEAMSコラボモデル」でも薄型クッションになっているが、あちらは背面に穴が空いており、設置位置の調整も可能だ。腰のクッションの高さ調整機能も「北斗の拳コラボモデル」では省かれている。
ヘッドレストの上下位置が調整できないというとデメリットにも感じてしまうが、そもそもラオウやサウザーがの玉座というコンセプトを考えると納得がいく。実際に身長175cm、体重80kgほどの筆者の体型では、従来の「Premium」のクッションよりも薄型クッションの方が快適に感じた。
というのも、「Premium」のクッションはかなり分厚く膨らんだ形状のため、首の凹んだ部分を支えるかたちになる。対してこのクッションは、首ではなく頭全体を支えてくれる。ここは枕と同様に、首の湾曲部を支えてほしいのか、首全体を支えてほしいのか、という好みもあるだろう。
腰のクッションも、背中に挟んで使っていて特に不具合を感じることはなかった。クッション自体の反発が強く、体重を預けた分だけ適度に押し返してくれるところが非常に心地いい。
これ以降の機能については「Premium」と同等だ。
座面は、両サイドに立っているサポート部分にしっかりした骨材が入っていることで、腰がずるずる動いたりすることはほとんどなく、座るとスポッっと収まる印象だ。窮屈というよりも、まさにレーシングカーに座る時のような安定感を感じさせてくれる。
また、この座面のクッションが厚さ10cmとかなり厚めなところも好印象だった。座った時にショックを吸収しつつ体重を支えてくれるバランスの良さは、1週間ほど座ってみてかなり実感できた。ベースの「Premium」モデルも同様だが、底付きすることなく圧倒的に疲れにくく快適に過ごせたのは、この厚みのせいだろう。
そのほか、体格に合わせた各種調整機能も「Premium」譲り。座面の高さ、アームレストの高さ、背もたれの角度なども調整可能だ。アームレストはわざわざ「北斗の拳コラボモデル」だけのために塗装を施している。
ふと、「ラオウモデルやサウザーモデルを謳う以上、彼らが座れないとダメだよなぁ……」とも思い、サイズとスペックもチェックしてみた。
まず、耐荷重が150kgまで着座できるとあり、ラオウは145kg、サウザーは98kgのため、どちらもしっかり使用できる。座面幅は39cmで、ラオウはヒップ130cm、サウザーは102cm。着座部分だけを見ればサイドサポートに当たることなくしっかり包み込んでくれるサイズ感だ。背もたれの高さは93cmで、ラオウが210cm、サウザーが181cm。ヘッドレストの位置もちょうどいい高さと言えるだろう。
これらの数値は、おそらく開発時に意識したわけではないだろう。しかし、普段あまり気にしたことがなかったが、長期間利用する高い買い物と考えると耐久性という点では重要なポイントだ。AKRacingの「Premium」だからこそ、これらを軽々とクリアできていたと言える。
ちなみに、原作(ゼノンコミックス発行の「北斗の拳 究極版」では、ラオウが7〜10巻、サウザーは7〜8巻に登場している。
最後に、実際に2週間使わせていただいた感想をまとめてみたい。
レビュー中、身長150cmの女性スタッフから180cm程度の男性スタッフまで、さまざまな体型のメンバーにも仕事で試してもらったが、一様に快適さと安心感を感想として挙げていた。
筆者も使ってみて感じたのは、精密な作りや遊びのない仕上がりのレベルの高さだ。関節などのギミックを増やせば、当然ながらその分各部の剛性は下がってしまう。ベースモデルの「Premium」という名前のとおり、「北斗の拳コラボモデル」に感じる高級感と安心感は、そこにもあるように思う。軽自動車のシートと高級車のシートの違い、とでも言えるだろうか。
デザインとカラーについては、シンプルにラオウやサウザーが好きなら一択。また、人とは違うユニークなデザインのチェアが欲しいという人にとっても、ここまで凝ったチェアはなかなかお目にかかれない。
「北斗の拳コラボモデル」を純粋にチェアとして評価したとしても、きっと後々後悔する心配はないはずだ。信念に生きた二人の王たちのように。
北斗の拳 ラオウ:https://www.akracing.jp/products/detail/40
北斗の拳 サウザー:https://www.akracing.jp/products/detail/41
AKRacing公式直販ストア:https://www.akracing.jp/
AKRacing Amazonストア:https://www.amazon.co.jp/akracing
そんなAKRacingから今回登場したのは「北斗の拳」とのコラボチェア「北斗の拳 ラオウ」と「北斗の拳 サウザー」(以下、北斗の拳コラボモデル)だ。北斗神拳の使い手「ラオウ」と、南斗鳳凰拳の使い手「サウザー」という、作品中でも高い人気かつ圧倒的な強さを誇る王者のチェアを再現した。
といっても、ベースモデルはAKRacingの「Premium」であり、正直なところデザイン重視のイロモノだろうという印象を持っていた。しかし、今回2脚ともお借りして2週間ほど使わせていただき、印象はガラッと変わった。まさに「玉座」と呼ぶにふさわしい仕上がりとなっている。
今回は製品の性質上、「北斗の拳」のストーリーを踏まえた上で、製品の品質などをレビューしていきたい。
強さ、愛、そして哀しみを知る、「北斗の拳」屈指のふたりの王
AKRacingを手がけるテックウインド株式会社によると、今回のコラボは「北斗の拳連載40周年企画の一環として、版権元より商品化できないかという相談を受けたことから始まった」という。
実際に、7月6日(土)〜9月1日にかけて兵庫県立美術館で開催された「北斗の拳 40周年 大原画展~愛をとりもどせ!!~」でも展示されており、公式の玉座として大反響を呼んでいた。
【#北斗の拳 × #AKRacing】
— ✨北斗の拳公式情報局‼️ (@hokutonokeninfo) July 12, 2024
北斗と南斗、2人の覇者の玉座は#北斗の拳40周年大原画展 神戸展にて
実物が展示中‼️
座り心地の良い椅子から眺めるは、
兵庫県立美術館の名景色、
青リンゴと海と空…!
是非、お立ち寄りください✨ https://t.co/kZ0nqfpbCF pic.twitter.com/1x6RNPuQ5U
ファンには今さらかもしれないが、「北斗の拳」は週刊少年ジャンプにて、原作・武論尊先生、漫画・原哲夫先生のタッグで描かれたマンガだ。1983年〜1988年の約5年にわたって連載され、テレビアニメ・映画・ゲーム・パチンコなどなど多方面でメディアミックスが展開されてきた。
ストーリーは、核戦争後の世界を舞台として、「北斗神拳」の伝承者であるケンシロウが貧しい生活を強いられる人々を守るために巨大な悪の力と戦うというもの。はじめは敵として出逢いながらも、のちに分かり合える「強敵(とも)」と表現されるライバルキャラクターの人気も高い。今回の「北斗の拳モデル」のふたりもまさにそんな人物だ。
余談だが、筆者は小学生時代にジャンプでの連載とテレビアニメを経験したドンピシャ世代。「北斗の拳」という作品はもはや少年時代の必須科目であり、テレビアニメから火がついた「ひでぶ」や「あべし」といった断末魔の叫び、「お前はもう死んでいる」といった決め台詞は、当時の小学校で聞かない日はないほどだった。
ラオウはケンシロウにとって兄(義兄)であり、絶対的な力で世界を支配しようとしている人物。初期の「北斗の拳」のストーリーはいわば“壮大な兄弟ゲンカ”。北斗神拳の伝承者として選ばれた弟のケンシロウに嫉妬したことから、ラオウが生まれたといっても過言ではないだろう。
ケンシロウが北斗神拳の真髄「無想転生」の境地に至った時にも、「哀しみ」が必要と知り、ケンシロウの恋人でありラオウ自身も愛していたユリアをさらい手にかけるなど、ある意味では不器用な男。圧倒的ヴィラン(悪役)として描かれつつも、純粋に愛と力を求めた姿がファンにも愛されている。ケンシロウとの戦いで敗れた後に、「我が生涯に一片の悔いなし!!」とラオウが手を天に突き上げ昇天していく光景は、漫画の歴史に残る名シーンだ。
一方のサウザーは、北斗神拳と双璧をなす南斗聖拳の使い手。自らの権力の象徴として「聖帝十字陵」という建造物のために人々を強制労働させるなど、典型的な暴君として登場する。しかし後に、南斗鳳凰拳を極めるために尊敬する師を手にかけなければならないという伝承の儀式を経て、慈愛の強さゆえに非情になってしまったとわかるなど、やはり悲哀を感じさせる面もある。
サウザーもケンシロウとの戦いにおいて、最終奥義を見破られた際に発した「退かぬ!!媚びぬ省みぬ!!」という言葉が印象的。諦めの悪さとプライドの高さを象徴するネットスラングとして、今もなお使われている。
ふたりとも単なるヴィランではなく、残虐な行動のきっかけが純粋に強さを求めたが故だったことは共通している。こじつけになってしまうが、死に物狂いで寝食を忘れて強さを追い求めるeスポーツに挑む者にとっても、常に戦いの場に身を置いているという意味では、戦いに身を置く者ほど共感できる部分もあるかもしれない。
「北斗の拳40周年記念」に恥じない凝ったデザイン
さて、前置きが長くなったが、ここからはそんな「北斗の拳コラボモデル」を詳しく見ていこう。
なんといっても一番の魅力は、そのデザインだ。今回はデザイナーが作成した案を元に、原作の原哲夫先生自身が監修・ブラッシュアップして最終的なデザインが決定。特別な複雑な配色や素材・パターンが採用されている。
ラオウモデルは、鎧をまとったラオウとその玉座をイメージし、ゴールド×グレーのツートーンカラーに赤をアクセントとして利かせた威厳に溢れる配色パターンを採用。背面には拳王軍のエンブレムを加工し、着座時の背面部分から拳王の風格を感じさせる。
サウザーモデルは、サウザーの玉座をデザインソースとして、ゴールド×バーガンディ(ワイン色)の配色に、アームレストの天板もゴールドをあしらった。こちらも背面には拳聖を象徴する聖帝軍のエンブレムを配置している。
今回、「北斗の拳」ならではのエンブレムや意匠などは、極力エンブロイダリー(刺繍)での加工にこだわったと言い、細部まで非常に精密に仕上げられている。座面の曲部や凹凸部などのステッチにもAKRacingだからこその高級感が漂う。
両モデルとも、自宅や自室に置くと考えるとかなり派手に思えるかもしれないが、実物を見てみるといかにもといった全面キラキラというわけではなく、威厳を感じさせながらも日常使用でも派手すぎない、落ち着いた配色になっていることがわかる。作品のイメージに振り切るなら、もっと全体を金色にすることもできただろうが、そうしなかったのはユーザーの日常使用を思ってのことだろう。
「Premium」をベースにしたオリジナルのクッション設計
ここからは、AKRacingが誇る機能面にも注目してみよう。
ベースモデルは「Premium」というオフィスやテレワークなども見越したフラッグシップモデル。「北斗の拳コラボモデル」と「Premium」との違いは、背もたれのヘッドレストと腰部分のランバーサポートのクッションくらいだ。
具体的には、「北斗の拳コラボモデル」ではクッションの裏側に穴が空いておらず、クッション自体が薄型の新しいタイプになっている。「阪神タイガースモデル」や「BEAMSコラボモデル」でも薄型クッションになっているが、あちらは背面に穴が空いており、設置位置の調整も可能だ。腰のクッションの高さ調整機能も「北斗の拳コラボモデル」では省かれている。
ヘッドレストの上下位置が調整できないというとデメリットにも感じてしまうが、そもそもラオウやサウザーがの玉座というコンセプトを考えると納得がいく。実際に身長175cm、体重80kgほどの筆者の体型では、従来の「Premium」のクッションよりも薄型クッションの方が快適に感じた。
というのも、「Premium」のクッションはかなり分厚く膨らんだ形状のため、首の凹んだ部分を支えるかたちになる。対してこのクッションは、首ではなく頭全体を支えてくれる。ここは枕と同様に、首の湾曲部を支えてほしいのか、首全体を支えてほしいのか、という好みもあるだろう。
腰のクッションも、背中に挟んで使っていて特に不具合を感じることはなかった。クッション自体の反発が強く、体重を預けた分だけ適度に押し返してくれるところが非常に心地いい。
これ以降の機能については「Premium」と同等だ。
座面は、両サイドに立っているサポート部分にしっかりした骨材が入っていることで、腰がずるずる動いたりすることはほとんどなく、座るとスポッっと収まる印象だ。窮屈というよりも、まさにレーシングカーに座る時のような安定感を感じさせてくれる。
また、この座面のクッションが厚さ10cmとかなり厚めなところも好印象だった。座った時にショックを吸収しつつ体重を支えてくれるバランスの良さは、1週間ほど座ってみてかなり実感できた。ベースの「Premium」モデルも同様だが、底付きすることなく圧倒的に疲れにくく快適に過ごせたのは、この厚みのせいだろう。
そのほか、体格に合わせた各種調整機能も「Premium」譲り。座面の高さ、アームレストの高さ、背もたれの角度なども調整可能だ。アームレストはわざわざ「北斗の拳コラボモデル」だけのために塗装を施している。
ふと、「ラオウモデルやサウザーモデルを謳う以上、彼らが座れないとダメだよなぁ……」とも思い、サイズとスペックもチェックしてみた。
まず、耐荷重が150kgまで着座できるとあり、ラオウは145kg、サウザーは98kgのため、どちらもしっかり使用できる。座面幅は39cmで、ラオウはヒップ130cm、サウザーは102cm。着座部分だけを見ればサイドサポートに当たることなくしっかり包み込んでくれるサイズ感だ。背もたれの高さは93cmで、ラオウが210cm、サウザーが181cm。ヘッドレストの位置もちょうどいい高さと言えるだろう。
これらの数値は、おそらく開発時に意識したわけではないだろう。しかし、普段あまり気にしたことがなかったが、長期間利用する高い買い物と考えると耐久性という点では重要なポイントだ。AKRacingの「Premium」だからこそ、これらを軽々とクリアできていたと言える。
項目 | 数値 |
---|---|
椅子の高さ | 124cm~131cm |
座面幅 | 39cm |
座面奥行 | 52.5cm |
座面厚さ | 10cm |
座面高さの調整幅 | 31cm~38cm |
地面からのアームレスト高さ | 57cm~71.5cm |
背もたれ高さ | 93cm |
荷重制限 | 150kg |
本体重量 | 22.5kg |
梱包時の重量 | 27.5kg |
箱の寸法 | 幅88 x 奥行き68 x 高さ38(cm) |
ちなみに、原作(ゼノンコミックス発行の「北斗の拳 究極版」では、ラオウが7〜10巻、サウザーは7〜8巻に登場している。
総評:「北斗の拳」ファンなら一生モノ
最後に、実際に2週間使わせていただいた感想をまとめてみたい。
レビュー中、身長150cmの女性スタッフから180cm程度の男性スタッフまで、さまざまな体型のメンバーにも仕事で試してもらったが、一様に快適さと安心感を感想として挙げていた。
筆者も使ってみて感じたのは、精密な作りや遊びのない仕上がりのレベルの高さだ。関節などのギミックを増やせば、当然ながらその分各部の剛性は下がってしまう。ベースモデルの「Premium」という名前のとおり、「北斗の拳コラボモデル」に感じる高級感と安心感は、そこにもあるように思う。軽自動車のシートと高級車のシートの違い、とでも言えるだろうか。
デザインとカラーについては、シンプルにラオウやサウザーが好きなら一択。また、人とは違うユニークなデザインのチェアが欲しいという人にとっても、ここまで凝ったチェアはなかなかお目にかかれない。
「北斗の拳コラボモデル」を純粋にチェアとして評価したとしても、きっと後々後悔する心配はないはずだ。信念に生きた二人の王たちのように。
【eSports World編集部の評価】
操作性:★★★★★
機能性:★★★★★
拡張性:★★★☆☆
デザイン性:★★★★★
価格:★★★☆☆
総合評価:4.2
ベースモデルの「Premium」に対して、「北斗の拳コラボモデル」のヘッドレストとランバーサポートが異なる部分は、その分デザインが凝っていること、人によってはこちらの方が使いやすいと感じるかもしれないという意味では50:50と評価した。
あらためて感心させられた全体的な剛性感と快適さ、ベースフレームの強靭さと各部パーツの信頼性の高さは他メーカーとは一線を画している。
「北斗の拳」という作品に価値を感じている人にとって、「コラボモデルだから多少性能が劣っても……」という妥協は一切なく、コラボに魅力を感じている人なら間違いなく「買い」の逸品だ。
操作性:★★★★★
機能性:★★★★★
拡張性:★★★☆☆
デザイン性:★★★★★
価格:★★★☆☆
総合評価:4.2
ベースモデルの「Premium」に対して、「北斗の拳コラボモデル」のヘッドレストとランバーサポートが異なる部分は、その分デザインが凝っていること、人によってはこちらの方が使いやすいと感じるかもしれないという意味では50:50と評価した。
あらためて感心させられた全体的な剛性感と快適さ、ベースフレームの強靭さと各部パーツの信頼性の高さは他メーカーとは一線を画している。
「北斗の拳」という作品に価値を感じている人にとって、「コラボモデルだから多少性能が劣っても……」という妥協は一切なく、コラボに魅力を感じている人なら間違いなく「買い」の逸品だ。
北斗の拳 ラオウ:https://www.akracing.jp/products/detail/40
北斗の拳 サウザー:https://www.akracing.jp/products/detail/41
AKRacing公式直販ストア:https://www.akracing.jp/
AKRacing Amazonストア:https://www.amazon.co.jp/akracing
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