【特集】eスポーツ入門
日本での「eスポーツ」の認知度と理解度は? eスポーツ関連調査から紐解く (6/7)
5.eスポーツ系ゲームをやらない理由、やってみたいと思うゲーム
eスポーツ系ゲームをやったことがない理由では、「そのゲーム自体に興味が無いから」という回答が最も多く38.2%であった。その次に、「機器などをそろえることが面倒だから(18.4%)」「他に優先したい趣味があるから(13.2%)」が続く。eスポーツ系ゲームの普及のためには、そもそも興味がない人に興味を持ってもらうことも必要と考えられる。
eスポーツ系ゲームをやったことがない人の趣味が何かをみてみると、旅行、ショッピング、グルメ・食べ歩きといった行動型の趣味、音楽鑑賞、映画鑑賞、読書といった伝統的なコンテンツ型の趣味が多いことがわかる。これらの趣味を好む人にとって、eスポーツ系のゲームの魅力をどう伝えるかが課題であると考えられる。
現在のeスポーツ系のゲームにはない「新しいゲーム」への興味を聞いたところ、「学習力の向上や認知症予防など、脳に良い効果をもたらすゲーム」(23.8%)、「カロリー消費を伴うゲーム」(18.6%)、「将来に役立つ知識や教養がみにつくゲーム」(17.6%)が上位となり、実質的な効果が出るようなゲームへの関心がある程度認められた。
以上の分析から、eスポーツ系ゲームをやらない人に対するアプローチとして、興味を刺激し、魅力を伝え、新たな付加価値を創出することが重要と考えられる。
また、自身の子供がeスポーツをやることについてどう思うか、という質問では、「子供がやりたいことであれば、やるべきだと思う」という中立的立場が38.8%で、「好ましくないと感じる」の24.4%を上回った。子供がやりたいと思うような魅力を作っていくこともeスポーツ市場の拡大には有効と考えられる。eスポーツに関心が低い層や子供を取り込み、日本におけるeスポーツ市場を発展させるためには、教育・ヘルスケア産業との連携強化も有効ではないか。
eスポーツの普及のためには、今現在遊んでいない層の取り込みが大切だ。「eスポーツ系ゲームをやったことがない理由」に関しては、他の趣味を持っている方たちが多い。ある意味当然ではあるが、つまりeスポーツが音楽、映画、読書などよりも魅力的なものであることが伝わらなければ、新たに始める人は生まれにくいということだ。
その点については、現在は大会のオンライン配信やTV番組での紹介など、以前に比べて格段にeスポーツを「目にする機会」が増えているところが、かなり好材料と言えるのではないか。『リーグ・オブ・レジェンド』の国内リーグ「LJL」などは、渋谷のセンター街の先にあるよしもとの施設で生観戦も可能など、eスポーツに触れられるチャンスも増えてきている。
eスポーツは切磋琢磨して素晴らしいプレイを披露する選手が存在しなければ成立しないが、圧倒的多数を占めるのは観客の方だ。そして観客が多いほど、そこにビジネスチャンスを見出し、スポンサードする企業やプロゲーマーを育成するチームなどが生まれる。
そういった意味で、観客が増えるような仕掛けを、様々なメディアやeスポーツ主催者たちが用意でき始めていることで、すぐには難しくても、eスポーツに関わる人口はじわじわ増えていくだろう。
【特集】eスポーツ入門
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