【特集】eスポーツ入門

そもそも日本における「eスポーツ」の位置付けは? 興隆と現状を探る

2019.3.14 井ノ川結希(いのかわゆう)
ここ数年、さまざまな場所で「eスポーツ」という単語を耳にすることになった。ゲーム好きな人はもちろん、そうでない人も「eスポーツ」という言葉だけは聞いたことがあるという人も少なくないはず。

「eスポーツ」の情報をいち早く発信する「eSports World」のオープニング記事として、まずはこのサイトで取り上げていく「eスポーツ」という言葉の定義、日本におけるeスポーツという世界の現状について、解説していきたい。

「eスポーツ」という言葉の定義


「eスポーツ」という言葉は「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略称で、複数のプレイヤーで対戦されるビデオゲームをスポーツ、競技として捉える際の名称である。

表記方法としては、
  • eスポーツ
  • eSports
  • esports
  • e-sports
などさまざまな表記が使われているが、「eSports World」においては日本の競技タイトルをベースに取り上げることと、幅広い年代に浸透するには日本語表記が好ましいという意味から、「eスポーツ」を用いることとしたい(ただし、大会の名称やメーカー等による表記は尊重する)。

さて、日本でメジャーなeスポーツのジャンルといえば対戦格闘ゲームや、スポーツゲームパズルゲームなどが挙げられる。これらは複数人で対戦ができるゲームであり、日本でも昔から広く親しまれている。

通常のゲーム大会とは異なり、eスポーツにおける大会はスポーツ、競技として捉えられるので、大会に参加した選手には成績に応じた賞金が用意されている。海外の大会では賞金総額が1000万ドルや2000万ドルといった高額な大会も頻繁に行われているため、テニスやゴルフといった多額の賞金を獲得できるスポーツと遜色のないジャンルとして確立されているのだ。


海外では1990年後半から世界規模の大会が開催されているなか、残念ながら日本はeスポーツの発展途上国と言われている。日本の文化におけるビデオゲームは、娯楽や子供の遊びといった認識が根付いており、いまだにビデオゲームのプロといっても、サッカーやゴルフのプロといったものとは異なり、軽視されがちなのも現状だ。

そのため、昨今「eスポーツ」という言葉自体は広まってきてはいるものの、eスポーツが何を示しているのかという認知度は高いとは言いがたい。

そんな現状を打破すべく、eスポーツの人気をビジネスに結びつけようと、さまざまな企業がeスポーツに参加してゲーム業界を盛り上げようとしている。

「日本eスポーツ連合」の誕生


日本eスポーツ連合(Japan eSports Union。以下、JeSU)は2018年2月1日に設立された一般社団法人。それまで複数あった国内のeスポーツ推進団体を統合し、eスポーツの普及やプロライセンス発行、大会の認定、eスポーツ選手の育成など、さまざまな活動を行っている。


JeSUに結集したのは、日本eスポーツ協会(JeSPA)、e-sports促進機構、日本eスポーツ連盟(JeSF)の3つ。ライセンス制度を立ち上げ、条件に見合った選手に対してプロライセンスを発行。現在もプロライセンス所持選手を徐々に増やしている。なお、JeSUのラインセンス定義は以下の通り。

■JeSU公認プロライセンス
JeSU 公認プロライセンスとは、JeSU が別途公認する大会において当該大会規約に基づき好成績を収め、競技性、興行性ある大会等へ出場するゲームプレイヤーとしてプロフェッショナルであるという自覚を持ち、スポーツマンシップに則り、国内eスポーツの発展に寄与し、ゲームプレイの技術の向上に日々精進することを誓約する者で、ライセンス取得に相応しいと判断された者に対して、「ジャパン・eスポーツ・プロライセンス」、 「ジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンス」、 「ジャパン・eスポーツ・チームライセンス」の3種の種別に応じて発行されるものをいう。
(出典:「JeSU公認プロライセンス規約」)

このJeSUのプロライセンスを所持していると、JeSUが公認する大会にプロとして出場する資格が得られる。そして、プロとして大会に出場した場合、プロとしての特典(賞金や報酬など)を獲得できるようになるとのこと。

それだけではなく、JeSUが定める国際大会に関しては、日本代表として出場できるようになる。こういった働きかけでプレイヤーがプロライセンス獲得を目指し、プレイヤー同士が切磋琢磨していける環境が生まれるのは嬉しいことだ。

すでに、昨年9月には、第18回アジア競技大会のデモンストレーション競技として開催されたeスポーツタイトルに日本人選手が出場し、『ウイニングイレブン 2018』では見事金メダルを獲得。11月には「第10回 eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」にも選手を派遣している。国内でも、いわゆる国体のeスポーツ版とも言える「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」の開催にも関わっている。

2018年12月時点でライセンス認定されているタイトルは、『ウイニングイレブン 2019』、『コール オブ デューティ ブラックオプス4』、『ストリートファイターV アーケードエディション』、『鉄拳7』、『パズドラ』、『ぷよぷよ』シリーズ、『モンスターストライク』、『レインボーシックス シージ』、『GUILTY GEAR Xrd REV 2』、『BLAZBLUE CENTRALFICTION』、『BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE』の11種類となっている。

eスポーツのジャンル


eスポーツとして扱われるゲームタイトルは年々増えてきているが、主要となるジャンルは下記の7種類になる。

対戦格闘ゲーム


プレイヤーが操作したキャラクター同士が1対1、または複数人対複数人で対戦するゲーム。日本におけるeスポーツゲームの代表とも言える。『ストリートファイターV』シリーズや『鉄拳』シリーズなどが代表的なゲームだ。

▲鉄拳7 出典:バンダイナムコエンターテインメント

主なeスポーツ対象格闘ゲーム(2019年2月現在)
  • ストリートファイターV アーケードエディション(カプコン
  • 鉄拳7(バンダイナムコエンターテインメント)
  • ギルティギア Xrd REV2(アークシステムワークス)
  • BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE(アークシステムワークス)
  • THE KING OF FIGHTERS XIVSNK

パズルゲーム


画面上部から出現するブロックを敷き詰めてスコアを競うゲーム。対戦モードでは相手の画面に障害物を飛ばして妨害することで相手のミスを誘い勝敗を決めるのが主流だ。いわゆる落ち物パズルゲームと呼ばれるジャンルで『ぷよぷよ』や『テトリス』が代表作。

ぷよぷよeスポーツ 出典:セガゲームス

主なeスポーツ対象パズルゲーム(2019年2月現在)
  • ぷよぷよeスポーツ(セガゲームス)

スポーツゲーム


サッカーやバスケットボール、ベースボールなど実際のスポーツのゲーム。プレイヤーは選手を操作して得点を競うことになる。『ウイニングイレブン』や『FIFA』、『激闘パワフルプロ野球』が代表的なゲーム。ラジコンで3人制サッカーを行う『ロケットリーグ』などもここに含んでいいだろう。

▲ウイニングイレブン 2019 

主なeスポーツ対象スポーツゲーム(2019年2月現在)
  • ウイニングイレブンシリーズ(コナミデジタルエンタテインメント)
  • FIFAシリーズ(エレクトロニックアーツ)
  • ロケットリーグ(Psyonix)

FPS(ファースト・パーソン・シューティング)


「First Person Shooting」の略で、一人称視点で展開されるシューティングゲーム。ソロやチーム戦などゲームやルールによって対戦人数は異なる。『コール オブ デューティ ブラックオプス』、『レインボーシックス シージ』や、『Counter-Strike: Global Offensive』が代表的なゲームだ。

▲Counter-Strike: Global Offensive

また、最近では『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』や『フォートナイト』、『Apex Legends』といったバトルロイヤル系のFPSも増えてきている。これらは数十人の中からただ一人勝ち残ることを目指すモードのほか、2〜4名程度でタッグを組み、協力しながら戦うモードでの大会なども開催されている。

なお、厳密には「FPS」は1人称のプレイヤー目線で、キャラクター自体は手元しか見えないゲームを指す。『フォートナイト』のように背後から3人称視点でキャラクターの姿が見えるタイプのゲームは「TPS」(サード・パーソン・シューティング)と呼ばれる。そのため、プレイヤー自身がキャラクターを動かすタイプのゲームを総称して「シューティング」と呼ぶこともある。また、『PUBG』のようにFPS視点とTPS視点を切り替えられるゲームも存在する。

主なeスポーツ対象FPSゲーム(2019年2月現在)
  • コール オブ デューティ ブラックオプス4(アクティビジョン)
  • レインボーシックス シージ(ユービーアイソフト)
  • カウンターストライク:グローバルオフェンシブ(Valve)
  • PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG Corp)
  • フォートナイト(エピックゲームス)
  • エーペックスレジェンド(エレクトロニックアーツ)

RTS(リアルタイムストラテジー)


リアルタイムストラテジー(Real-time Strategy)とは、プレイヤーが指揮官となり、リアルタイムに進行する時間の中で部隊に指令を与えながら相手の部隊と戦っていく戦略的なゲーム。『StarCraft II』や『Age of Empires』が代表的だ。

▲Age of Empires II HD

主なeスポーツ対象RTSゲーム(2019年2月現在)
  • スタークラフトII(ブリザード)
  • エイジ・オブ・エンパイア(マイクロソフト)

MOBA(マルチプレイヤー・オンラインバトルアリーナ)


「Multiplayer Online Battle Arena」の略で、複数のプレイヤーがふたつのチームに分かれて対戦するゲームのジャンル。先述したRTSとは異なり、1プレイヤーが1キャラを操作するのが基本だ。『リーグ・オブ・レジェンド』や『Dota2』が代表的なゲーム。

▲リーグ・オブ・レジェンド

主なeスポーツ対象MOBAゲーム(2019年2月現在)
  • リーグ・オブ・レジェンド(ライアットゲームス)
  • Dota2(Valve)
  • VainGlory(Super Evil Megacorp)

カードゲーム


いわゆるトレーディングカードゲームのデジタル版で、「CCG」(コレクタブルカードゲーム)、「OCG」(オンラインカードゲーム)、「TCG」(トレーディングカードゲーム)といったさまざまな略称があるが、ここでは総じて「カードゲーム」とする。

デッキと呼ばれるカードの束からカードを出し合って、1対1で勝敗を決めるゲーム。代表的なのは『ハースストーン』だが、国内で人気の『シャドウバース』や、『遊戯王』『ドラゴンクエストライバルズ』などもある。

▲シャドウバース

主なeスポーツ対象カードゲーム(2019年2月現在)
  • ハースストーン(ブリザード)
  • シャドウバース(Cygames)
  • 遊戯王シリーズ(コナミデジタルエンタテインメント)
  • ドラゴンクエストライバルズ(スクウェアエニックス)

モバイルゲーム


スマートフォンやタブレットといったいわゆるモバイル端末内のゲームもeスポーツタイトルとして注目されている。ジャンルはさまざまだが、代表的なものとしては『モンスターストライク』、『クラッシュロワイヤル』、『パズル&ドラゴンズ』の派生タイトル内の対戦機能を用いた『パズドラレーダー』などが挙げられる。

特に国内では、スマートフォンのユーザーが非常に増えており、eスポーツの分野としても一大勢力になっている。一方で、ガチャなどによる課金をしなければ勝負ができないといった、ビジネスモデル上の課題もある。



主なeスポーツ対象スマートフォンゲーム(2019年2月現在)
  • クラッシュ・ロワイヤル(Supercell)
  • パズドラレーダー(ガンホー)
  • モンスターストライク(XFLAG
  • PUBG MOBILE(PUBG)

eスポーツを戦うゲーム機のクロスプラットフォーム化


ここまで紹介してきたeスポーツとして扱われるゲームのプラットフォームは、PlayStation 4、Xbox One、Nintendo Switchといった家庭用のコンソールのほか、パソコン、スマートフォンといったさまざまなデバイスでプレイが可能。

なかでも『ストリートファイターV アーケードエディション』や『フォートナイト』といった一部のタイトルは、別のデバイス同士でも対戦ができる。このように異なるハード同士で通信プレイが可能なことを「クロスプレイ」と呼ばれる。

クロスプレイが可能かどうかは、ハードウェアやゲームのメーカーの考え方によるため、すべてのゲームが必ずしもクロスプラットフォーム化していくとは限らない。なかには、『コール オブ デューティ ブラックオプス4』や『レインボーシックス シージ』のように、PS4版とPC版ではまったく別に大会が開催されている例もある。

しかし、今後はこのようなタイトルが増えて、ハードの垣根を超えた戦いが当たり前の時代になっていくだろう。


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