【特集】eスポーツ入門

日本での「eスポーツ」の認知度と理解度は? eスポーツ関連調査から紐解く (2/7)

2019.3.15 eSports World編集部

1.eスポーツの認知・理解度

eスポーツ」という言葉を聞いたことがある人は、78.8%に達しているが、「内容について、どのようなものか知っている」人は3割程度に留まっている。日本におけるeスポーツ元年と言われた昨年は、メディア等でも取り上げられ言葉としては知られているものの、内容の理解浸透までは進んでいないといえる。

「内容について、どのようなものか知っている」という内容理解率は、男性の20代から40代で高く、男性20代では45.4%、男性30代では50.0%、男性40代では47.5%に達している。

また、eスポーツに対して抱く印象についての質問で、最も多かった回答は「新しい、先進的(29.8%)」であった。「どのようなものか、イメージがわかない(26.0%)」を除くと、次に多いのが「楽しそう(22.5%)」であり、ポジティブな印象を持っていることが分かる。

一方で、「一部の人が没頭している特殊な趣味」(17.9%)や「不健康そう」(15.2%)といったネガティブな回答も目立つ。 若い世代ほど、ポジティブな印象がネガティブな印象を上回っており、その境目は、男性は40代、女性は30代となっている。男性では、eスポーツの内容についてよく知っている若い世代は、ポジティブな印象を持ち、内容を知らない人はネガティブな印象を持つ傾向がある。

「eスポーツ元年」から2年目を迎える2019年、果たしてこの業界は拡大していけるのか。それを占う上で「eスポーツに対して抱く印象」の最多回答が「新しい、先進的(29.8%)」、「楽しそう(22.5%)」とポジティブな印象が半数を超えていた点はプラスの要素だ。

TV番組などで採用されているeスポーツタイトルは、対戦格闘ゲームやサッカーゲームなどだが、これらはリアルスポーツとしても柔道のような1対1の対戦競技や実際のサッカーといったかたちでイメージしやすく、「eスポーツ」という言葉と頭の中でつなげやすい。

ただし、人気のeスポーツタイトルでも、TVなどで放映する際に視聴者の年齢制限などが必要なFPSタイトルに関しては放送されることが少なく、好きな方は知っていても普段触れることのない方にとっては未知の世界ととらえられても仕方がないかもしれない。同様に、MOBAのようにルールを熟知していなければ観戦を楽しみにくいタイトルについても、身近にMOBAが好きな人でもいなければ触れる機会は少ないだろう。

一方で、世界ではこのMOBAやFPSのタイトルが最も人気のあるeスポーツのジャンルとしても知られており、ここが日本がeスポーツの潮流から取り残されてしまった一因にもなっていそうだ。


例えば『フォートナイト』のように、過激な描写を極力抑えて年齢を問わず遊べるようにしたバトルロイヤルゲームの人気が高まっていることを考えると、これまでのようにFPS=戦争といったイメージではなく、新しいタイトルの登場次第で、日本でもFPSなどのeスポーツタイトルが広まっていく可能性は大いにある。あるいは、戦争までいかなくてもサバイバルゲームのようなノリで楽しめるライトな(ゲーム自体が虚構の)タイトルであれば、今後露出が増える可能性もある。

MOBAの代表格である『リーグ・オブ・レジェンド』などは、逆に年齢制限がそれほどなく、若年層でも遊べることやPCの要求スペックが低めなこと、無料で遊べることなどから、全国高校eスポーツ選手権で採用されるなど、若いうちから遊べる環境が徐々に整えられている。

これからeスポーツを発展させていくためには、幼少期から練習や習熟が必要になってきているリアルスポーツと同様に、プレイヤーが若い世代になることは明白。数年後に彼らがeスポーツ業界の中心として関わるようになることを考えると、小学生でも遊べるようなeスポーツタイトルが生まれ、高校生向けのeスポーツ大会が開かれるといったかたちで、一過性のブームではなく長く続いていく素地は出来上がっていると言えそうだ。
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