【特集】eスポーツ入門

日本での「eスポーツ」の認知度と理解度は? eスポーツ関連調査から紐解く (1/7)

2019.3.15 eSports World編集部
2018年が「eスポーツ元年」と呼ばれ、今度こそ本当の元年だったと多くの人々が評価する理由のひとつとして、2018年の流行語大賞に「eスポーツ」という言葉がノミネートされた、という話題がよく挙げられる。

LJL 2019 Spring Split

「ユーキャン 新語・流行語大賞」の定義は以下の通りだ。
この賞は、1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰するもの。
(出典:ユーキャン 新語・流行語大賞とは https://www.jiyu.co.jp/singo/)

惜しくも大賞は逃したものの、他のノミネート用語を見渡してみると、ここに「eスポーツ」が入っていることは広く一般大衆にも周知され、注目されたことの指標と考えていい。

では、実際にいま、日本で「eスポーツ」はどれくらい周知されているのか。

今回は株式会社NTTデータ経営研究所の「eスポーツへの興味関心・eスポーツ系ゲーム実施状況に関する調査」を参照しながら、「eスポーツ」にこれから求められるものと可能性を探ってみたい。
(なお、本文中の引用部分に関しては「カッコ」でくくり、表記を明確に分けている)

■調査結果
http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/190228/supplementing01.html#result

eスポーツの内容を理解している人は3割程度

この調査は、株式会社NTTデータ経営研究所が、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に、「eスポーツへの興味関心・eスポーツ系ゲーム実施状況に関する調査」として実施したものだ。

本調査では、「eスポーツの認知・内容理解の状況やeスポーツ系ゲームの実施状況について調査を行い、やり始めたきっかけ、継続理由、やらない理由の分析を通じて、今後のeスポーツ普及に向けたアプローチのあり方への考察を試みた」という。

調査結果全体を見渡すと、「eスポーツ」という言葉を聞いたことがある人は全体の8割近いものの、「内容について、どのようなものか知っている」人は3割程度に留まっており、内容の理解浸透までは進んでいない。eスポーツ系のゲームをやったことがない最大の理由は 「そのゲーム自体に興味が無いから」が多数だった。

一方、「学習力の向上や認知症予防などの効果」、「カロリー消費を伴うゲーム」、「将来に役立つ知識や教養がみにつくゲーム」といった、自分自身の頭脳や身体に実質的な効果が現れそうなゲームへの関心は、ある程度認められている。調査結果では、「日本でのeスポーツ普及に向けては、興味がない層の取り込みや新たな付加価値創造が普及の鍵であるといえます」と分析している。ただし、これらはゲームという形式をとったダイエットや健康のためのアプリで、他者と腕を競い合うeスポーツ系ゲームとはそもそもの目的が異なる。単に「ゲーム」とくくったとしても、内容によって切り分ける必要はあるかもしれない。

他にも、「フィジカルスポーツの習慣の有無の影響」として、ユーザーのリアルスポーツとeスポーツの経験の関連性についても調査している。「スポーツ活動の習慣がない人に比べて、スポーツ活動の習慣がある人の方が、eスポーツの内容理解率は高く、ポジティブな印象を持っている傾向が強かった」という点は、プレイヤー側にたって考えれば、eスポーツとして遊ばれているゲームタイトルがその名の通り「スポーツ」の要素に近いものであると捉えやすい。調査報告でも「フィジカルスポーツとeスポーツの連携に向けて示唆を与える結果となりました」と結論づけている。

ここからは、もう少し詳細な調査結果を見てみよう。
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