【特集】eスポーツ入門

eスポーツにスポンサードしている日本企業 9社

2021.2.1 宮下英之
世界を見渡せば、多くの大企業がeスポーツチームや選手、大会などに出資している。Red Bull、マイクロソフト、プーマなどなど、それぞれの業界で活躍する名だたる企業ばかりだ。

しかし、日本だって負けてはいない。海外より遅れてはいるものの、徐々に大手企業がeスポーツへのスポンサードを始めている。早くから出資する企業のメリットを考えれば、先物投資として今から体制を作っておきたいという思惑もあるだろう。

今回はそんな、読者の誰もが聞いたことがあるであろう、日本の大手企業をご紹介しよう。あなたが知っているあの有名企業も、eスポーツに関わり始めているのだ!

※本記事における「日本企業」は、eSports World編集部による独自のセレクトです。


コカ・コーラ


飲料メーカー大手の日本コカ・コーラが出資しているのは、テレビ東京、電通と共同で2019年に主催された「Stage:0」という大会だ。「高校生eスポーツ甲子園」と銘打っているように高校生を対象とし、テレビ放送もされ、アンバサダーにはアンガールズ田中やみちょぱ、応援マネージャーには日向坂46も抜擢された。

同イベントのプレイヤーもギャラリーも高校生がメインと考えると、やはりコカ・コーラのイメージは非常に強く、ゲームとのシナジーも強いと言えるだろう。チョイスされたタイトルは、『リーグ・オブ・レジェンド』『フォートナイト』『クラッシュロワイヤル』。飲料系のスポンサードの効果は見えやすいのかもしれない。

コカ・コーラ
https://www.cocacola.jp/
Stage:0
https://stage0.jp/


日清食品


日本のメーカーながら、ニューヨーク・マンハッタンでの広告パネルなども有名な世界的企業、日清食品。もちろんメインの商品は「カップヌードル」だ。

大きな大会としては、世界最大の格闘ゲーム大会「EVO」、そしてその日本版である「EVO Japan」に協賛している。配信中の画面はもちろん、会場に行くとカップヌードルが配られたりもしている。


席を離れず、料理や洗い物もせずに食事ができるインスタントヌードルとゲームという組み合わせも親和性が高そうだ。

EVO Japan 2020
https://www.evojapan.net/2020/


江崎グリコ


友達とゲームを遊ぶテーブルの傍らには、いつもお菓子があった──誰しもそんな幼少期の体験はあるのではないだろうか。

そんなお菓子メーカーのグリコも、ついにeスポーツに参戦し始めた。先ごろ開催されたばかりの「Capcom Cup」では、ゲーム内にチョコ菓子の「Pocky」が登場するPRも行った。


ゲームとお菓子というのも親和性が高いジャンルのひとつ。特に格闘ゲームを遊ぶゲーマーにとっては、手が汚れず、食べカスをこぼさずに食べられるポッキーは最適。こうしたスポンサードのかたちも広がってほしい。

【狙え!ポッキーKO!】グリコ「ポッキー」と『ストリートファイターV』のコラボイベント「Pocky K.O. Challenge」開催中!
https://esports-world.jp/news/3013
ポッキー|江崎グリコ
https://www.pocky.jp/


ロート製薬


「ロート、ロート、ロート♪」のテレビCMでおなじみ、製薬会社のロート製薬は、CYCLOPS athlete gamingで『ドラゴンボール ファイターズ』で活躍するGO1選手に加え、2019年から『ストリートファイターV アーケードエディション』で活躍中のときど選手の個人スポンサーとなっている。


疲れ目に効く目薬の「ロートzi:」や、スキンケアブランド「OXY」のウェブCMも制作され、エントリーネームにも入っている。その昔は、夏場の小学生向けに「ドラゴンボール」のテレビCMなどがあったが、eスポーツ選手はさながら、現代の若者向けの広告キャラクターとして最適だったということだろう。

大企業が個人にスポンサードするというケースは中にはあるものの、お堅いイメージの製薬会社でもeスポーツに進出する時代になったという意味では、象徴的な企業名とも言える。

ロート製薬
https://www.rohto.co.jp/

わかさ生活


「ブルーベリーアイ」などでおなじみの健康食品メーカーのわかさ生活は、日本eスポーツ連合(JeSU)に加盟し、大会協賛というかたちで2018年から本格的にeスポーツ業界に進出している。


ゲームで最も酷使すると言われる目の疲れを癒してくれる食品やサプリメントを通して、選手はもちろん、観戦している人すべてに関係する分野でもあり、その影響力はかなり大きいと予想される。

元々のブランドイメージも、決して若者向けということではなかっただろうが、これからeスポーツファンの若者が見聞きする中で、少しずつ受け取られ方が変わってくるだろう。

わかさ生活
https://company.wakasa.jp/
JeSU スポンサー
https://jesu.or.jp/contents/sponsors/

福助


創業130年以上を誇る老舗の足袋=靴下ブランドの福助も、eスポーツに出資している。対象チームは、DetonatioN Gaming。『ストリートファイターV』の板橋ザンギエフや、『リーグ・オブ・レジェンド』の日本最強チーム「DetonatioN FocusMe」をはじめ、『PUBG』や『シャドウバース』など、多方面にわたって活躍中だ。



福助としては、ゲーマー向けの靴下を作成し、長時間座る中での下半身の血流の流れを良くさせることでパフォーマンスを向上させることを狙う。ゆくゆくは製品化などもされる可能性もあるだろう。特に、これまでゲーム業界とは縁遠いようなメーカーによる、製品開発につながるスポンサードのかたちも、今後は増えてくるかもしれない。

福助
https://www.fukuske.com/

au


携帯電話キャリアだけでなく、様々なサービスも手掛けるauは、DetonatioN Gamingのチームスポンサードや、JeSUへのスポンサード。auが目指す「豊かなコミュニケーション社会の発展」への取り組みの一環として、国内における競技レベルのアップ、eスポーツの普及へのバックアップを行う。


すでにスポンサードから丸2年が経過しており、ひかり回線による遅延のないハイスピードなネットワークは、オンラインゲームにおいては一定の知名度を得ていると言えるだろう。さらに、大会やイベントへの協賛も積極的に行っている。

韓国の『リーグ・オブ・レジェンド』のプロチーム「SKT T1」もSKテレコムという通信会社のチームだが、eスポーツとネットワークはかなり親和性が高い分野と言えそうだ。今後は他のキャリアもeスポーツ参入が増えるかもしれない。

au
https://www.au.com/
KDDIとSun-Genceによるプロeスポーツチーム「DetonatioN Gaming」へのスポンサー契約締結について
http://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2017/03/24/2371.html


日本テレビ


テレビ局の中で最も早く、本格的にeスポーツに携わったのは日本テレビだ。なんといっても、自社のeスポーツチーム「AXIZ」を立ち上げ、大会にも積極的に参戦している。チームとしては、格闘ゲーム部門、『LoL』部門、『シャドウバース』部門などを抱えている。


彼らが強みとするのは、自社のコンテンツにeスポーツ選手をアテンドできる点。テレビ番組でプロeスポーツ選手の解説をつけられるわけだから、番組制作上も非常にメリットが大きい。さらに、選手のファンからの視聴率も見込める。

マスメディアがeスポーツチームを持つことで、コンテンツ、自社PR、大会参戦など、あらゆるeスポーツのシーンで露出することができる価値は大きいだろう。

AXIZ
https://axiz.gg/


NTTドコモ


NTTドコモは、「X-MOMENT」という名称でeスポーツの大会を主催している。2021年の開催タイトルは『PUBG MOBILE』、『レインボーシックス シージ』、『ストリートファイターV チャンピオンエディション』、『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』の4つ。


NTTドコモは「世界につながるeスポーツリーグ」をスローガンとして、日本から世界へ挑む選手・チームの育成と、それ自体をエンターテインメントとして楽しめる環境づくりを進めている。国内のeスポーツリーグとしては、他のタイトルなどを含めて最大規模の大会と言える。

大会だけでなく、次世代通信規格である「docomo 5G」を活用したゲームなどの取り組みにも積極的で、「東京ゲームショウ」などでも展示。巨大企業によるeスポーツへの投資は始まったばかりだ。

NTTドコモ
https://www.nttdocomo.co.jp/


まとめ


eスポーツをスポンサードしている日本企業はまだまだこれだけではない。大企業から地元の中小企業、ベンチャー企業などが、eスポーツという新しい業界への潜在的な可能性にかけて、スポンサードを進めている。

eスポーツという若い業界には、我々のようなeスポーツメディア、eスポーツに興味を持っている読者、eスポーツタイトルを遊ぶプレイヤー、チームや選手のファンなどが集まっている。それぞれの属性にいる人々が何を求めて、どんな情報や製品を欲しているかを、スポンサードを受けるチームや選手がどれだけ理解できていて、どれだけのものを対価として返せるかがポイントだ。

「eスポーツ」という言葉が脚光を浴びたのが2018年、定着したのが2019年、そこから結果が求められた2020年、2021年は新型コロナウイルスの蔓延によりオンラインを余儀なくされた。しかし、多くのスポンサーはeスポーツへの投資を緩めることはなく、むしろオンラインで自宅観戦のスタイルが常態化したことにより、ある意味ではスポンサードの価値は高まったとも言える。

eスポーツ業界に対する一般企業のスポンサードはこれからが本番だ。

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