【連載】ストーム久保の「人生バーンナウト中だけど言わせてくれ!」

【独占公開!】たび重なる奇跡が起きて生まれた「SCARZ りゅうせい」誕生秘話を公開するぜ!

どうも、ストーム久保です。

先日発表がありましたが、私が所属しているプロゲーミングチームSCARZに「りゅうせい」が加入することになりました。


りゅうせいとは昔から交流があり、私にしては珍しく関係値が高い格ゲーマーだったので、同じチームメンバーになれたのは素直にうれしい出来事でした。

それに加えてりゅうせい加入に関して私も手伝っていた部分があり、うまく事が運べたのもあって本当に良かったです。


もしかすると、今プロゲーマーを目指している方の参考になるかもしれませんので、今回のコラムではどういった経緯で、そもそも『スト6』部門が存在しないSCARZへのりゅうせい加入の話が進んだのかをまとめてみました。

さすがに言える範囲は限られてしまいますが、せっかくなので昔からお世話になっているeSports Worldさんだけで公開させていただきます。



それでは始めていきますが、先に大前提を伝えておきましょう。

りゅうせいがSCARZに加入できたのは、奇跡的にすべての条件が噛み合った結果という他ありません。


(1)『スト6』部門を作りたい!というストーム久保とマネージャーの思惑


私にはSCARZ加入後からマネージャーについてもらっています。

マネージャーと私には「SCARZの格闘ゲームコミュニティ内の知名度を上げるためにも、『スト6』部門を作りたい」という共通の思惑があり、部門を立ち上げるにはどうすればいいのか常々相談していました。

部門設立には予算や運営などの難しい話もありますが、まずは選手がいなければ話になりません。

そこで設立の第一歩目として候補者を探すところから始めたのですが、今は『スト6』が強ければ富も名誉も未来も得られる時代なのを忘れていました。

候補を探し始めたのが2025年3月頃でしたが、もうこの時期にはフリーでめぼしい選手はほとんど残っていませんでした。

というのも、人気がある選手はマネジメントしてもらうため、腕に自信がある選手は5月から始まる海外大会への渡航費の支援を受けるために、プロゲーミングチームへ所属を済ませていた時期だったからです。誇張表現ではなく、『スト6』には夢が詰まっていますから……。

実際に、今年は移籍や脱退の話が例年に比べても多かったように見受けられます。

私たちもせっかく加入させるなら誰でもいいというわけではなかったので、雑に動くのはナシ。話し合った末、時期が悪いので落ち着くまでいったん待ち、準備が整ってからあらためて人材を探した方がいい、と結論づけます。

自分もマネージャーも早めに動きたい気持ちはありましたが、設立に向けた動きは一時的に止めることにしました。


……が、人材の問題を解決する出来事が突如として訪れます。

FAV gamingからりゅうせいが卒業するというのを目にし、これはチャンスだと考えました!


『スト6』部門設立の足掛かりとして、りゅうせいほど適している人材は他にいない。今頑張って動かないと絶対に後悔する気がしたので、りゅうせいを加入させるべくチームに働きかけることにしました。


(2)りゅうせい自身が持っていた、加入が適任である条件


まずはマネージャーに、りゅうせいをSCARZに加入させるべき理由や必要性をアピールするために、いくつか情報を送りました。一部をお見せしましょう。

  • プロライセンスを所持している
  • 国内外の大会に積極的に参加したい選手なので、コミュニティ内でSCARZの名前が出る機会が多くなる
  • 『SFL』への出場経験が多いので、もしSCARZが『SFL』出場を狙うなら役に立つ
  • ゲームに生き死にを賭けられる男なので、途中でモチベーションがなくなることはない
  • 久保と昔から付き合いがあり、人間性をよく知っているりゅうせいとならすぐに仕事ができる

たとえすぐに『スト6』部門が設立されなくても、りゅうせいがSCARZに所属して活動するだけで、知名度の高まるチャンスが増えるはず。

つまり、部門設立の当初の目的としていた「格闘ゲームコミュニティ内でのSCARZの知名度向上」を効果的に実現できます。

また、将来的にSCARZとして国内リーグ出場を目指すとしたら、プロライセンスを所持していたり、リーグの出場経験があるのは強みになります。特にリーグ戦は実際に出てみないと分からない難しさがあるので、経験者が有利だという持論も説明。

あとは、私個人がりゅうせいのゲームに対する姿勢や人柄を評価している部分を伝えました。私とりゅうせいのセットでなら受けられる仕事の幅も広がりますし、ちょうどいいとアピールしました。

加入前に仙台パルコで行ったイベントに呼び、りゅうせいの人気や人柄もチェックしました


マネージャーも、りゅうせいのコミュニティ内での知名度や大会などの活躍を知っていたおかげで、加入させることに乗り気になってくれました。

方向性も固まってきたところで、「それじゃあ、加入させるか!」

……なんて、そう簡単に話が進むわけがありません。


ここまでは熱意の戦いでしたが、ここからは大人の戦いです。


(3)会社を説得できる、社会性のある人物の存在


今りゅうせいを逃したら、次に求めている人材が現れるのはいつか分かりません。

このチャンスを逃さずに何としてもりゅうせいを取るしかない! と私は息巻いていましたが、当たり前のことながら、私とマネージャーには加入させるかどうかの決定権はありません。

SCARZはチームであるのと同時に会社でもあるので、代表の友利さんをはじめとした上層部の方々を説得したり、りゅうせいがしっかりとした待遇を受けられるように予算などを確保しなければいけません。

そういった大人の戦いの場では、社会経験がない私はまさに役立たず。

「MR2000超えてます!」とか「対空が出ます!」と言っても無意味ですし、仮に私が言われる側だったら「黙って座ってろ」って思います(笑)。

ということで、社会性と熱意を持っているマネージャーにあとは任せることにしました。

毎週進捗を聞かせてもらっていて、最初の方は「ちょっと厳しいかも……」と難しそうだったのですが、時間が経つにつれて「いけるかもしれません……」「あと一押し!」と徐々にゴールに近づき、そして丸投げしてから数週間。

ついに「りゅうせいさん、加入確定しました!」と連絡がマネージャーから届いた時は喜びましたし、短期間でよく説得できたなと驚きました。これが私が持ち合わせていない「社会性」というものか……。

りゅうせい加入と同時での『スト6』部門の設立は叶いませんでしたが、代表の友利さんは「加入してもらうならちゃんと支えていきたい」とのことで、りゅうせいには選手活動に集中してもらえる待遇を約束してくれました。


「プロチームに所属する」ということの重み


りゅうせいとSCARZ、両者が満足いく形で加入の話は終わりを迎えました。

SCARZにストーム久保が加入して始まった『スト6』部門設立の流れから、深刻な人材不足による頓挫の可能性を経由し、天啓のようなベストタイミングでやってきたりゅうせいの卒業。

そして、選手を支えてくれる方々がチーム内にいたという、何重にも重なった奇跡の上で「SCARZ りゅうせい」が誕生したわけです。

もしかすると、ここまで読んでくれた方の中には『りゅうせいは(ストーム久保の)コネでSCARZ所属しただけじゃん!』と叫びたくなる方もいるかもしれませんね。

確かに、今の時代に大手のプロゲーミングチームに加入するためには、実力だけでなく、コネ(というか人間関係)も重要な要素なのは間違いないと思います。

しかし、コネだけで加入させるほどプロゲーミングチームという会社は、社会は、単純ではありません。

りゅうせいがSCARZに加入できたのは、これまで培ってきた競技シーンでの経験や日々のゲームへの取り組み方、何よりゲームで生きていく覚悟が評価されたからでしょう。そして、チームを運営する方々に一緒に頑張っていきたい、支えていきたいと思わせたりゅうせいの勝ちです。



選手として雇ってもらうなら、まず実力があるのは当たり前

それに加えて、日々の取り組みや覚悟が周りに伝わるレベルになってようやく「コネと呼べるもの」が生まれると、加入の手伝いをする側になって初めて分かりました。

ちなみに、りゅうせいは加入しましたが、SCARZ『スト6』部門はまだ設立されていません

りゅうせいの加入は本当に突然決まったもので、SCARZとしても異例だったと思います。本来ならしかるべき準備や手順を踏んで立ち上げるはずですので、部門を作らないというわけではないのでご安心ください。

りゅうせいにはコンテンツクリエイター部門に加入してもらいましたが、競技シーン優先の選手として活動をしてもらう予定です。

2025年は「CAPCOM Pro Tour」対象の海外大会が頻繁に行われるため、チームの支援を受けながら積極的に大会に参加してもらい、SCARZの知名度向上に向けて頑張ってもらいます。そして、将来的にはメンバーを増やして『スト6』部門を設立してもらい、SCARZの選手4人で国内リーグに参戦するのが目標です。

その際には、りゅうせいがチームリーダー、久保は応援団長でもやりましょう。



マネージャーにはSCARZの事務所でパブリックビューイングができないか企画してもらって、みんなでリーグ戦を見ながら応援したいですね。

カゴメさん、いつもありがとうございます!

りゅうせい加入の流れ、今後のビジョンを語らせてもらったので、今回の記事はここまで。

本格的に始まりそうなSCARZの活動、みなさんも注目と応援をよろしくお願いいたします!


【ストーム久保 プロフィール】


ストリートファイターシリーズが好きな自称ネオ無職のストーム久保(30代)です。生きていくために仕事を探していたところ、編集の方に拾ってもらいコラムを連載させてもらえることになりました。言いたいことを言っていきます。
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