【連載】jyoriのなぜ? なに? ルーンテラ攻略

【年末年始スペシャル座談会】日本最強の『レジェンド・オブ・ルーンテラ』研究勢が語る、盛り上がるための方法とは? (6/7)

2023.12.30 宮下英之

eスポーツとしての公平なルールがもたらす矛盾


宮下:皆さん、『ルーンテラ』の競技性の高さと公平なルールについては評価されていますが、一方でライトなユーザーにとってはそれがあだになっている部分もありそうですよね。


Zetavzee:僕も結構いろんなカードゲームをやってきたんですけど、『ルーンテラ』は他のカードゲームと比べても頭ひとつ抜けている面白いゲームだと思ってます。あと、課金システムとかカードの収集という面に関しても比較的集めやすい。初心者が無課金からでも資産を揃えやすくて、すぐ戦える場に立てる。

ただ、そのシステム面の難易度が本当に複雑で……なんて言えばいいのかな、他のカードゲームって基本的に一方的に動いて、ターン終了のボタンを押したら終わるんですよ。で、あとは他の紙のゲームとかでもだいたいフェーズみたいなのがあらかじめ決まってて、最終フェーズに行ったらターンが終わる。ルーンテラだけは、ターンが終わる条件が「お互いパスをしたら」って言えばいいのかな?

jyori:うんうん。

Zetavzee:正直な話、『ルーンテラ』を始めて1、2週間ぐらいで最高ランクには達したんですけど、その段階では自分のターンが終わる条件っていうのを把握してなかったんですよ。

宮下:そのまま勝ち上がりはしたけども、っていう感じ?

Zetavzee:はい、ちょっとよくわからんけど、これで終わるらしいな、みたいなふんわりした認識だったんです。それくらいシステムが複雑で。

あとは、僕らは「スペルスピード」とかって呼んでるんですけど、スペルにもこのタイミングで唱えられる呪文、このタイミングで唱えられない呪文、唱えたら相手に優先権を渡さない呪文、みたいなのがあって、それで戦略の幅が広がってるんですけど、やっぱり最初はもう混乱すること間違いなしっていう状況になってて。本当に複雑で、ルールがややこしくてとっつきにくいなっていう面は否定できないと思ってます。

でも、カードゲーム単体としては非常に出来がいいものなので、もっと認知されるようなコマーシャルとかアピールをしてくれたらいいのになっていうのは思いますね。

宮下:みなさん、同じような悩みですね……。

Zetavzee:ただ、システムの面でもうひとつ、正直な話、僕はカードゲームってなんだかんだで流行るためには運要素、始めてすぐでも勝つことができる要素も必要だと思っています。『ルーンテラ』って複雑なシステムと戦略性の高さのせいで、そういう要素がかなり低いんですよね。そういう意味で、このゲームを流行らせるのは大変だろうなっていうのも、ちょっと思ってます。

宮下:運要素がないことは、実力で戦いたい人にとってはいいけれども、初めての人でも「うわ、勝てちゃった、すごいね!」みたいな新鮮な楽しさ、勝つことの喜びは感じにくいですよね。

Zetavzee:別の国産のカードゲームでも、そういう運要素を本当にできるだけ排除した『ディメンション・ゼロ』っていうゲームがあったんです。カードゲームとしては本来ありえないんですけど、下手な人には100回やったら99回勝つって言えた。ガチ勢にはすごく流行って、サービスが終了したのに今でもコミュニティが続いてるぐらい。

ただ、残念ながらそういう人しかいなかったので、割とすぐサ終されてしまった。競技性の高いカードゲームって、結構こういう運命と向き合っていかなきゃいけないんだろうなってのは、ちょっと思ってます。

産みの親は元『MTG』のトッププロだった中村聡っていう方で。その方が本当に競技性の高い国産カードゲームを作ろうって言って。口では運要素は嫌だって言いながらも、実際にやらせるとすぐやめてしまうんですよね。

タキ:いまポーカーが世界的に流行ってるのも、運で勝てるからかなと思うんですよね。

Zetavzee:そう、運で勝てる要素って大事だよね。

タキ:でも、『ルーンテラ』って元々運では勝てないゲームだったんですけど、逆に1年目ぐらいを境に運用素をかなり追加してきて、初心者を呼び込もうという努力は感じるんですよね。ただ、『ルーンテラ』を1年間やってきたオタクたちは運要素が嫌いなので、人が離れてしまった。

Zetavzee:複雑すぎるって話も、一度結構シンプルにされたんです。それでも他のゲームと比べるとまだまだ複雑なんですけど、その時も、結構既存のプレイヤーからは反発もありました。

宮下:既存プレイヤー、つまり『ルーンテラ』に慣れた人たちってことですよね。逆に、その時に新規は増えなかったんですか?

タキ:増えなかったですね。

jyori:まあ、知られてないので。そういうことがあったことすら。

タキ:なんかシステム変わったけど何? みたいな感じでした。

宮下:別ゲーにしたわけじゃなくて、アップデートの範疇ですもんね。

Zetavzee:僕は見た目ではわかりにくくても、一応それでとっつきやすくなって、新規参入のハードルが少し下がってるから、結果的には長い目で見たら増えてくれてるんじゃないかなと思いたいんだけどな。

タキ:オープンベータから正式リリースの時に変えていればまだ良かったかな。

jyori:確かに。そのタイミングならよかったね。

タキ:1年経ってからだと「いま?」っていう感じではありました。

宮下:そうなると、ライアットとしても動きがとりにくそうですよね。

タキ:『ルーンテラ』の開発チームがすごく頑張ってるのは感じます。ただ、「そうじゃない」っていうところもありますね。

jyori:タイミングの問題もだね。今年も競技シーンの方のシステムを作るということで、「ルーンテラオープン」の1年目でしたけど、頑張ってはいたよね。いろいろ問題も起きたけど。

Zetavzee:そうですね。競技シーンを立て直すというか、整理し直そうと。

ここちい:むしろ「シーズントーナメント」がAPACサーバーだけバグで数時間遅延するなどの欠陥だらけだったので、その欠陥が排除されたという意味では、我々にはよかったです。

宮下:端的に言うと、何がどう変わったんですか? 競技者からすると。

タキ:参加できる時間が自由参加になったんです。基本的に大会って、何時に始まって何時に終わり、じゃないですか。それが、「9戦回して9勝するか3敗するまでランクマッチみたいなのに潜ってください」という感じになったんです。

宮下:じゃあ、相手が誰かっていうのが決まってるわけじゃなく、本当にランダムで。

タキ:ランダムマッチ。それで、2日目に行くためにはもう運がめちゃくちゃいるみたいな話になって。

Zetavzee:2日目に残るためのラインはだいたい7勝くらい。当然うまい人を踏むと戦績ってとても出せないので、うまい人と当たらないことを祈るしかなかったんです。でも、そこは割とすぐ修正されて、今はだいたい同じ戦績の人と当たるようにされました。

宮下:大会の仕組みとしては、より実力のある人たち同士が戦えるし、実力のある人がちゃんと勝ち上がれる仕組みになってきてるっていうのはあるということですね。

jyori:そうですね。そういった改善とかシステム作りみたいなところは今年取り組まれていて、そこは評価はされています。

eスポーツとしての『ルーンテラ』のこれから】

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