【連載】jyoriのなぜ? なに? ルーンテラ攻略

“初心者あるある”から考える『ルーンテラ』3つの基本プレイ【連載 最終回】

2024.2.3 jyori
どうも! こんにちは。なぜなにカードゲームおじさん、Atlas Gaming所属のjyori(ジョリ)です。

今回は「『レジェンド・オブ・ルーンテラ』におけるプレイング」の話に踏み込んでいきます。

とは言っても、『ルーンテラ』のプレイングは複雑で、その状況に応じて臨機応変に動かなければいけない場面がとても多く、それを定石化するのは難しいです。

そこで、プレイングの話をするに当たって、「アタック」「パス」「ブロック」の基本動作3項目に絞って、お話をしようと思います。実はこの3項目だけでも、深掘りするとそれぞれで1記事書けてしまうくらい奥深いものですが、プレイヤーが「アタック」「パス」「ブロック」をする上でまず考えるべきことを可能な限りわかりやすくまとめていきます。

今回の記事の狙いは「多くのプレイヤーがやりがちなプレーから、別のこんな有効な選択肢もあるよ」という選択肢の幅を広げることです。

各項目で、初心者がやりがちな「初心者あるあるプレイ」を挙げながら説明していくので、自分のプレイや考えと照らし合わせながら読み進めてみてほしいです。

(1)アタックにいく? いかない?


『ルーンテラ』では、ラウンド開始時にアタックトークンを持っているプレイヤーが、そのラウンド中1回だけアタックにいく権利を持っています。

この章では、「アタックに行くべき盤面の状況」と「ラウンド中のどのタイミングでアタックに行くべきか」のお話をします。

アタックに行くべき状況とは?

前置きで、そもそも「なぜアタックにいくのか」を先に話しておきます。アタックにいく理由は主に2つ。

  •  顔(相手の体力のこと)を削りにいく
  •  ボードアドバンテージをとって顔を守る

アグロやミッドレンジのようなアグレッシブなデッキでは、前者の「顔を削りにいく目的」でアタックにいくことが多く、コントロール系のデッキでは後者の「ボードアドバンテージをとって顔を守る目的」でアタックにいくことが多いです。

アタックに行くことが多い状況は、

  • 相手の盤面が空で、こちらのユニットが並んでいるとき
  • 盤面で数的優位があり、横抜けで顔へのダメージが期待できるとき
  • こちらの方がサイズの大きいユニットが並んでいて、有利トレードが期待できるとき
  • 単純な1:1トレードが見込まれる盤面であるが、こちらの方が状況的においしい交換になるようなとき
  • いったんアタックすることで、行動権を相手に渡して相手の出方をうかがいたいとき(アタックのパス的な運用・高度)

これらの複合的状況から判断して、アタックにいくユニットを選択していきます。

▲数的優位かつサイズ優位の盤面でアタックにいく状況

アタックにいくタイミングは?

あなたはそのラウンド中に行動権が互いのプレイヤーで行き来する中で、「どこかのタイミングでアタックにいく選択をする」ことになります。

では、ラウンド中のどのタイミングでアタックに行くべきなのでしょうか?

初心者がやりがちなのが、そのラウンドで使えるマナを消費して、ユニットを盤面上に展開してからアタックにいくという選択です。

これを『ルーンテラ』の専門用語でユニットを展開(デベロップ)してからアタックにいくことから「デベロップアタック」と言います。

「デベロップアタック」には大きく2つの問題点があります。

1つ目が、「デベロップアタック」のためにユニットをプレイすると、相手に行動権が移ってしまう点。相手側からすると、こちらが何らかのユニットをプレイしたのを見て、それに合わせて有利になるような行動を選択できることになります。

例えば、「2|2のユニットをデベロップしたことで、相手に有利にブロックできるような2|3のユニットをプレイされてしまった」といった具合です。

『ルーンテラ』はなんらかのアクションをすると、基本的に行動権は相手に渡るので、「アクションに対するリアクションが後出しジャンケン的にできる」という点において、リアクション側が有利に働く構造になっています。

2つ目が、相手に動きを読まれやすくなる点にあります。

例えば、すべてのマナを消費してユニットを展開してからアタックにいったとしましょう。相手視点だと、こちらが「アタック中にバフ等のスペルでの追加行動がない」ということが確定してしまっています。

つまり、逆にこちらがマナをたくさん残してアタックした場合は、相手は「温存したマナでスペルを使ってくるかもしれない」という不確定要素のケアをしなければならなくなり、ここで駆け引きが生まれます。

▲3R目「たちはだかるアナグマ」をデベロップしてアタック。相手は、それを受けて「ヤダルスクのユキイヌ」をプレイ、2マナを残している

▲「ペトリサイトの大翼」で「ヤダルスクのユキイヌ」を釣ったところ、ユキイヌに「天破の一撃」を打たれて返り討ちにあってしまった!

この2つの問題点から明らかなのが「できるだけマナを残して、相手に後出しジャンケンをさせずにアタックにいくことが有効」。そんな場面が多々あるということです。

では、具体的にどうすればいいかというと、ラウンドの開始時にユニットを展開せずに最初の動きでアタックをしてしまえばよいのです。これを『ルーンテラ』の専門用語で、ラウンドの開始(オープン)時にアタックにいくことから「オープンアタック」と言います。

また、ブロックタイミングでは互いに「スロウスペル」は使えないので、相手にスロウスペルを使うタイミングを与えずにアタックに入れるという利点も「オープンアタック」にはあります。

「こちらの盤面に小型のユニットがすでに並んでいて、さらに小型のユニットをデベロップしたことにより、『殲滅』のようなAOEのスロウスペルを打たれて盤面を一掃されてしまう」。そんなケースをケアしてオープンアタックができるようになるとよいと思います。

▲3R目、マナをすべて使ってデベロップしたところ「殲滅」を打たれ……

▲ポロを残して、並んでいたユニットが壊滅してしまった……

使っているデッキやシチュエーションによっては「デベロップアタック」をする方が有効な場面も当然ありますが、ここで知っておくべきことは「デベロップアタック」には弱点があり、「オープンアタック」が有効なケースが試合中に多々あるということです。

アタックトークンを持っているラウンド開始時に、プレイヤーがまず考えるべきことは「オープンアタックをするか・しないか」です。今まで「デベロップアタック」ばかりやっていたというプレイヤーはこの癖をつけて、オープンアタックというプレイのバリエーションを身に付けるといいと思います。

(2)パスする? しない?


『ルーンテラ』では、ラウンド中の行動権が交互に行き来するのですが、行動権を使わずに「パス」することができます。

ここで、初心者がやりがちなのが、行動権がまわってきて使えるマナがあると、マナを消費してつい何かアクションをしてしまうという選択です。

さきほどの「アタック」のところでも話したとおり、『ルーンテラ』というゲームは構造上「リアクション」側が後出しジャンケン的に有利です。つまり、アクションぜず「パス」をして、相手に行動権を渡すことで「相手のアクション」を見て「こちらがリアクション」できるのです。

ここで知っておくべきことは「マナを残した状況であえてパスすることで相手の動きをうかがう」という、いわゆる「様子見パス」が有効なケースが試合中に多々あるということです。

具体的なわかりやすいシチュエーションとしては、こちらが「雪崩」を持っていてマナを温存したままあえてパスをして、相手のデベロップ状況を見た上で、満を持して「雪崩」を打つといった具合です。

▲3R目パスをして、相手が「バンドルコマンドー」をデベロップしてきたのを見て「雪崩」をプレイ

▲相手のユニットをすべて破壊したぞ!

つまり行動権がまわってきたときに、プレイヤーがまず考えるべきことは「様子見パスをするか・しないか」です。

このことについては、「ヤマビ」さんというプレイヤーがXで言及していて、多くの『ルーンテラ』プレイヤーから共感を受けています。


ちなみに、この「様子見パス」はコントロールデッキになるほど有用な場面が多くなるので、遅いデッキを使う際により意識するといいと思います。

実を言うと、私はこのパスの判断がとても苦手なので、遅いデッキは普段あまり使いません。

(3)ブロックする? しない?


『ルーンテラ』における勝利条件は、対戦相手のネクサスのライフを0にすることです。

ここで大事な知識は、こちらの残りライフがいくつ残っていようが、相手のライフを先に0にすれば勝ちということ。こちらのネクサスに残り20点ライフが残っていようが、1点だけ残っていようが、先に相手のライフを0にすれば同じ勝ちということです。

ここで初心者がやりがちなのが、ネクサスのライフが減るのを恐れるあまり、相手のアタックをなにがなんでも「ブロック」してしまうことです。

あえてここは、ブロックせずに相手のユニットのアタックをスルーする、いわゆる「顔で受ける」という選択肢を頭に入れておくといいです。

▲相手のアタックをブロックせずにあえてスルー

▲次のアタックラウンドでチャレンジャーで相手のユニットを釣って、1:1交換

ただ、どこまで顔で受ければよいかの判断については、そのときどきのシチュエーションや対面のデッキによって異なってくるので、経験則によるところが大きいです。

まずは、今までならブロックに入っていたような場面で「これってひょっとして顔で受けるほうがいいんじゃない?」という、思考の選択肢を増やすことが大事だと思います。

回復を考えないとすると、試合中19点まではネクサスで受けることができるので、実はネクサスのライフ自体もゲーム中のリソースというわけです。

まとめ


『ルーンテラ』における基本のプレイングは「アタック」「パス」「ブロック」を「する」か「しない」かの、1試合に何回も訪れる「2択」でいかに正解を踏めるかの積み重ねに集約されています。

大会などで他のプレイヤーのプレイングを見る際に、今回紹介した項目にフォーカスして観戦してみると、また違った視点で観戦を楽しんだり、学んだりすることができるかと思います。

今回のまとめを箇条書きしておきます。

  • 『ルーンテラ』はゲーム構造上「後出しジャンケン」が強いゲームである
  • 「アタック」に行くべき状況を見極められるようになり、アタックユニットを正確に選べるようになるといい
  • 「アタック」をするタイミングについて、「オープンアタック」をするかどうかを考慮できるようになるといい
  • 行動権がまわってきたときに、「様子見パス」をするかどうかをまず考えることができるようになるといい
  • 「ブロック」の際、「顔で受ける」という選択肢を考慮して、ブロックを立てられるようになるといい

みなさんも「2択の達人」になって、有利に試合を進めて勝ちを積み重ねていきましょう!

今回も最後まで見てくれた皆様、ありがとうございました。

最後に


突然にはなりますが、2024年1月23日に『ルーンテラ』エグゼクティブプロデューサー&ゲームディレクターから発表された『ルーンテラ』の規模縮小にともなって、私はeスポーツの第一線から身を引くことにいたしました。今回の記事が最終回となります。


レジェンド・オブ・ルーンテラ 2024 - ゲームの現状
https://playruneterra.com/ja-jp/news/game-updates/state-of-the-game-2024/


約4年前のAtlas Gaming所属のタイミングでちょうど『ルーンテラ』の正式リリースとなり、「今後覇権を取れる可能性があるカードゲーム!」ということでスタートしましたが、実際には流行ることなく衰退の一途をたどり、このような形で私のeスポーツシーンとの関わりは終わりを迎えることとなりました。

本連載の1回目の内容にもつながりますが、「ルーンテラが流行っている世界線でも、同じようにこの4年間勝負してみたかった」という思いだけが心残りです。

しかしながら、『ルーンテラ』という大好きなカードゲームでなければここまで継続できなかったことも事実です。みなさんと共に戦い、成長できたことを誇りに思います。

私は、新たな「それぞれの旅路」に出かけることにします。

本連載を最後まで追ってくださった皆様、ありがとうございました!


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