【VALORANT Season Finals 出場チームインタビュー NOEZ FOXX編】BlackWiz「試合はまったく見なかった、ただ自分たちがやりたいことをやる」——0勝4敗だったREJECT相手に土壇場で勝利できた理由とは

2025.8.12 まいる
VALORANT』の公式国内リーグ「VALORANT Challengers Japan 2025」。Split 1~3での戦績をもとに、「サーキットポイント」という得点が各チームに与えられているが、今月開幕した最終幕である「Season Finals」には、このサーキットポイントが高い上位4チームが出場している。

▲各Splitのサーキットポイント表。上位を維持していたNFXは、Split 3でも2位という好成績を収め、Season Finals進出が決定した

そして今回、8月6日(水)と7日(木)の2日間をもって、オンラインで行われるすべての試合が終了した。6日(水)の試合で勝利したRIDDLE ORDER(RID)とFENNEL(FL)、そして7日の試合で勝利を収めたNOEZ FOXX(NFX)の計3チームが、残り2日間のオフライン大会へと出場する。

▲Season Finals Day 2の試合結果。RCは敗退が確定、準決勝へはFLとNFXが出場することとなった

▲現時点のトーナメント表。「Season Finals」はオンラインとオフラインで実施され、23日(土)の準決勝、24日(日)の決勝がオフライン(京王アリーナTOKYO)で実施される。NFXはここからFL・RIDの両方を打ち倒さなければならない

初日のFL戦では敗北を喫したものの、2日目のREJECT(RC)戦では見事勝利したNFX。特に今シーズンのNFXは、RC相手に0勝4敗と一度も勝利することができていなかった。しかし今回、負ければ敗退というまさに崖っぷちの状況の中、接戦ながらもNFXは初金星を手にすることができた。

これによりNFXは、京王アリーナTOKYOで開催される準決勝へ進出。ここでFLに勝利することができれば、翌日の決勝でRIDと対戦することとなる。

なお、今大会で優勝したチームには、今年10月にタイ・バンコクで開催予定の「VCT Ascension Pacific 2025」への切符が与えられる。こちらの大会はアジア太平洋地域から選りすぐり10チームが一同に介しガチンコ対決を繰り広げる舞台であり、ここで優勝することができれば、さらに「VCT Pacific 2026」という国際リーグへの昇格を果たすことができる。

▲オンライン最後の試合が、今シーズンのRC戦初勝利。ギリギリの戦いではあったが、土壇場でオフライン出場を決めた(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=16Gf06rdCEBrCVKP&t=25858

今回はそんな試合を繰り広げた翌日、オンライン通話にて開催されたメディア合同インタビューの様子をお届けする。このNFXからは、BlackWiz(ぶらっくうぃず)選手とTRY(とらい)コーチが応じてくれた。

DJふぉい「マジでお前ら最高」——大会への振り返りとオフラインへの意気込み


——オフライン出場おめでとうございます。

BlackWiz:ありがとうございます!

——まずはここまでの大会の振り返りと、オフラインイベントに向けた意気込みをお願いします。

BlackWiz:シーズン通して、いろいろ厳しいこともあったんですけど、こうやって最後にオフラインまで来られたことが、とりあえず良かったなと思います。

オフラインは、リベンジしたいFLと、あとは絶対王者のRIDだけなので、ちゃんと勝ちきってアセンションに行けたら——。あっ「行けたら」じゃないな、行きます!


TRY:練習がうまくいったところも、そうでなかったところもありますが、オフラインでは絶対に優勝するために、頑張って準備したいと思います。

——オフライン出場が決まった時、オーナーのFoyさんからは何か言われましたか?

BlackWiz:オフラインが決まった時は「マジでお前ら最高~」っていう感じでしたね。別になにか長く話したというよりは、「ありがとう」みたいなことを言われて終わりって感じです。今回は、特に深い話はしなかったです。

「相手の対策はしない」——連敗相手のRCに勝利した理由とは


——今シーズン、NFXはRC相手に負け続けていたかと思います。そんな中、このSeason Finalsでは見事勝利をおさめることができました。この初勝利について、チーム内でなにかRC対策はあったのでしょうか。

BlackWiz:最近の僕らは、もう対策というものはしていなくて、完全に自分たちにフォーカスするということだけを考えるようにしていました。

Split 1から3まで全部、RCに勝ちたいが故に対策しようとした結果、相手がその対策したことをやってこなかったりとか——。そういうことが起きたときに、自分たちのやりたいプレーができないことがあって、結局勝てなかったりしたので。

なので今回はもうRCの試合はまったく見ずに、もうただ自分たちがやりたいことをやろうっていう感じで。まあ、それが対策といえば対策かもしれないです。

TRY:少し前までは、相手の状況を意識するのが酷いクセだったので、相手が何をしてきても構わず自分たちが準備してきた戦略を見せよう、むしろ相手が自分たちのプレーに合わせてくるような主導権を取り戻す練習をしよう、というアドバイスをしました。

以前まではこれがうまくいかなくて、負けたりすることもあったんですが、今回の大会ではこれが修正されて、キツかったけどいい勝利ができたと思います。


——特にタイムアウト後に、戦略を持ち直していたようなイメージがあるんですが、どのようなことを話し合っていたのでしょうか。

BlackWiz:何話したかな。すいません、マジで全くタイムアウト中に何を話したか覚えてなくて(笑)。何を話したか覚えてる?

TRY:具体的な内容は覚えていないんですが、タイムアウトでは「絶対にこうしよう」という話をするよりは、「相手のここがちょっと弱い」みたいなラウンド後半まで使えるような内容を伝えます。

——技術的な内容が多いということですかね。

TRY:はい。

▲タイムアウト明けのラウンド、素早くBサイトからCに抜けて、道中の敵を殲滅。ローリングサンダーを無駄に使わせることもでき、超ビッグラウンドとなった(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=I5dOZiAkY6P4a8C2&t=23917

——今回、チーム内でMVPを決めるとしたら誰を選びますか?

BlackWiz:試合の活躍からすると、やっぱりeKoだと思いますね。一番練習もやってますし、試合のスコア以外のところでも活躍してくれたイメージがあります。

▲絶体絶命のYowamuを滝からのファストレーンで即座にカバーするeKo。この細やかなプレーにより、エコラウンド取得に繋がった(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=7JlVE_NHU_vIfNCV&t=17733

BlackWiz:昨日も試合前に、「こういうマインドを持っていたら今日の試合は絶対勝てるよ」みたいなことも言ってくれたので、やっぱりMVPはeKoかなと思います。

——TRYコーチはいかがですか?

TRY:私はふたりいると思います。まず、いろんなポジションをやってくれて、さらにIGLとは別で、チームで最年長のリーダーとしてまとめてくれるBlackWizが、MVPのひとり目ですね。

あとは、みんなが落ち込んでチームの雰囲気が悪くなっている時、そういった雰囲気を切り替えてくれるeKoが、MVPだと思います。

——オフラインでは、メンバーの誰を注目してほしいですか?

BlackWiz:ちょける(ふざける)人がいれば、すぐに言えたんですけど……。

Yowamu(よわむ)とXiaonuo(しゃお)は、そういうことを結構やりたがるタイプなんですけど、本番では恥ずかしがってやらない可能性があるので……まぁ、一応そのふたりにしておきます。


選手が自分で判断したことが正解。その判断ができるように育てるのがコーチの仕事


——今回、メインステージでは2位という好成績を収めました。この長期戦を戦っていく中で、安定して勝ち続けられた秘訣があれば教えてください。

BlackWiz:話が重複しちゃうんですけど、特定の選手に合わせた対策って、やっぱりリーグ戦を通して限界があるなという風に感じていて——例えば、相手との対戦が1日後だったり、相手がそのマップをやってこなかったり、僕らのカロードみたいに毎週構成が変わるような敵だったり、まぁいろいろあるわけじゃないですか。

そういった相手がやってくるかも分からないことを、ずっとシャドーボクシングみたいにやり続けるのって、自分たちの勝ち筋を潰しているんじゃないかと。

自分たちがやったことだったり、自分たちが練習して自信があることを、相手や状況に関係なく常にやっていくというのがあれば、結局どこでも勝てるなというのをこのリーグ戦を通じて感じました。

▲盤石な守りをする中で、さらにeKoのオペレーターが火を吹く。相手のアビリティーで足止めを喰らいながらも(「プラウラー」に噛まれながらも)、4キル目をもぎとった(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=c2d9_Kpr_v50RnXD&t=17900

BlackWiz:良くないようにも聞こえるかもしれないんですが、あえてアナライズ(分析)をしないという風に最終的には落ち着きました。前はIGLしていた時も、めちゃくちゃアナライズして、敵の動きを読んだりしていたんですけど、もう今はそういうのも辞めました。

困ったらコーチに頼る。それ以外は、自分たちの技量でやる。それを徹底してから、かなりいい順位まで行けたのかなと個人的には思っています。

TRY:私もBlackWizと同意見で、他のチームが何をしてきても、自分たちのやりたいことをやることです。個人的には、相手を分析すること自体が無意味であると、自分が選手だった時から思っていました。

選手たちがゲーム中に自分で考えて判断したことに正解があると思うので、そういった判断ができるように練習して育てる——それがコーチの仕事だと思います。NFXがメインステージで長く生き残れた理由も、この点にあると思います。


——Xiaonuo選手が加入してから、BlackWiz選手はスモーク役がメインだったところから、幅広いロールに変わったと思います。特にIGLをしていく中で、何か感じたことはありますでしょうか。

BlackWiz:僕、個人的には結構うまくいったと思っているんです。僕はスモーク役しかやってこなかった分、スモーク役に対する理解度はあるんですけど、他のイニシエーターやセンチネルの動きだったり、ランク以外でいろんな視点でプレーすることがなくて。大会を見てその人たちの動きを見るということはあっても、実際自分がプレーをして、どういうプレッシャーを感じるかとか、どういうコールができるのかとか、っていうのを全く分からなかったんですよ。

それで自分がイニシエーターやセンチネルを使うことで、自分がやっていないマップだったとしても、そういったキャラを使う人に対してフィードバックが出せるようになりました。

▲「パラノイア」で視界を奪われながらも、あえて前に前進するBlackWiz。このワンプレーだけで大きなエリアを維持することができ、素早いリテイクへと繋がった(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=i6_sXEmNEtOpEOsp&t=25761

BlackWiz:あとはスモーク役でしかできないIGLのコールがあったり、あるいは他のロールじゃないとできないコールがあったりして、そういった点でもコールの幅が結構広がったなと思っています。

その代わりに、やるキャラクターが増えた分、1キャラに対する熟練度とかは多分だいぶ落ちてしまったんですけど。でも、ゲーム理解度という面では、いろんなキャラをさわった分伸びたと思うので、結果的に僕がスモークを譲ったことがプラスには働いたかなと思います。

——今後、アセンション出場を目指していくにあたって、自分たちが世界に通用する部分、あるいは足りていない部分があれば教えてください。

TRY:私は通用しないことはないと思います。🇰🇷Gen.Gや🇸🇬Paper Rexのようなトップレベルのチーム以外なら、他とのレベル差はあまりないと思います。私たちのプレーをちゃんと出すことができれば、私たちの戦略は世界大会でも通じると思います。

——ありがとうござました!

———

一昨年、Repezen Foxx(当時)の「DJふぉい」らが突如eスポーツチームの設立を発表し、大きな話題となったNFX。初出場から徐々に成績を上げ続け、ついにこの2025年、初めてオフライン大会への出場を果たすこととなった。

安定した戦略を持ちながら、それでいて飛び抜けたプレースキル。特に、インタビューでも名前が挙がったeKo選手は、単純なフィジカルだけでなく、チームゲームの巧さという面でも明らかに際立っているだろう。彼らならきっと、FLやRID相手にも決して劣らない、素晴らしいプレーを繰り広げてくれることだろう。

▲タイムテーブル(https://valesports.jp/2025_Season_Finals/

そんな熱い試合が見られるのは、東京にある「京王アリーナTOKYO」という大型の屋内スポーツ施設。今年2月に「武蔵野の森総合スポーツプラザ」から名前が変わったばかりだが、数年前の東京オリンピックでは競技会場として利用されていた場所だ。

立ち向かうFLとRIDは、両者とも日本一の経験もある猛者。そんな彼らに、NFXのメンバーはどこまで喰らいつくことができるのだろうか。現地に行ける方も、配信で視聴する方も、ぜひ彼らに熱い声援を送っていただきたい。


© 2025 Riot Games, Inc. All Rights Reserved.


■関連SNS
VALORANT // JAPAN:
https://x.com/VALORANTjp

VALORANT Challengers Japan:
https://x.com/valesportscl_jp

■配信URL
Twitch:
https://www.twitch.tv/valorant_jpn

YouTube:
https://youtube.com/@VALORANTjp


編集:いのかわゆう


【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレーヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。

X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)
eSports World の
Discord をフォローしよう
SALE 大会 チーム 他にも...? 他にも

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

インタビュー VIEW ALL