【インタビュー】スト6×親子対決——セビ滅ができるテレビマンが仕掛ける“家族で楽しむeスポーツ”の新境地とは

現在テレビ朝日で『ストリートファイター6』(スト6)を題材にした「スーパーファミリーゲーミング」 (ファミゲー)が放送中。プロ選手が父親に本気で『スト6』をコーチングして、最終的に1対1のガチンコ対決を行うという企画だ。コーチングをするのはLa VISION所属のトラボ選手に、ODD PLAN所属のざぶとん選手。
『スト6』未経験のトラボ父、かたや格ゲー経験者であり現在進行形で『スト6』をプレー中のざぶとん父といった相反するふたりが、どのようなコーチングで腕を磨いていくのか——。子が親に格ゲーを教えるといった新境地が楽しめる注目のコンテンツとなっている。
そんなeスポーツ番組の仕掛け人が馬渕さん。ただのゲーム好きがたまたまテレビ局に入って番組を作るようになったという彼は、「ReAL eSports NEWS」や「アイ=ラブ!げーみんぐ」などのeスポーツ・ゲームに関する番組にも携わってきた。
オールドメディアと呼ばれるテレビ局側として、「スーパーファミリーゲーミング」の制作に至るまでの裏話、eスポーツに対して抱いている思いや、視聴者の声から見えてくるものなど、テレビ番組制作側のeスポーツに対する見方をうかがう。
——まず馬渕さんがeスポーツにふれたきっかけを教えてください。
馬渕:最初にゲームにふれたのは幼稚園の頃。父親がNINTENDO 64を買ってきてくれて、『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』がはじめてプレーしたタイトルですね。
その後も『スーパーマリオ64』のようなアクションゲームで遊んでいました。
小学校の高学年になると、父親の仕事の都合で上海に行くことになって——。テレビも見られなくなって、最新のゲームも遊べなくなってしまったんです。
そこで小学生ながらMMORPGに手を出して(笑)。今も稼働中の『C21』というゲームにはまっていました。
まあ、そのあとは『モンスターハンターポータブル 2nd G』など流行のゲームをやっていたって感じですね。
——なるほど。対戦ゲームもあるものの、「ストリートファイター」シリーズにはふれてこなかったんですね。
馬渕:そうですね。ただ友だちと遊ぶゲームが好きだったので、ひとり用よりも複数人で遊べるタイトルを多くプレーしていました。初めてオンラインの対戦ゲームをプレーしたのは大乱闘スマッシュブラザーズX』じゃないかな。
そのあと、中学になって帰国。帰国子女が集まる学校に通っていました。当時は日本ではPlayStation 3がメジャーでしたが、僕の通っていた学校はアメリカ帰りの生徒も多かったので、基本持っているハードがXbox360だったんですよ。
そのタイミングでニコニコ生放送(ニコ生)が流行りだして——。ニコ生を通じて知り合った多くの配信者が『ストリートファイター IV』(スト4)をやり出したんですよ。同時期に「GODSGARDEN」とか「TOPANGAリーグ」といった大会をニコ生でめっちゃ見てましたね。
その頃ですね。日本で初めてプロゲーマーが生まれたのは。ウメハラさん、マゴさん、ときどさんの3人。

彼らの活躍を「EVO」などで見るようになって「僕もやりたいっ!」って——。そこから父親に頼んでXbox360とアケコンを買ってもらって『スト4』をプレーするようになりました。
——いきなりアケコンとは本格的ですね(笑)。
馬渕:ゲーセンにも行ったことないのに、プロに憧れて形から入るっていうね。その頃僕は、中学3年生くらいだったんですけど、ときどさんのユニフォーム着て学校行ってましたからね。青いTシャツに黄色のロゴが入った——。もちろん、まわりにそんなやつはいない(笑)。
そこからですね。“eスポーツ”というものに興味が湧き始めたのは。

——『スト4』に出会ってからは、もう格ゲーにどっぷり?
馬渕:そうですね。その頃から僕自身もニコ生で放送するようになりました。その頃、学校の友だちは『Halo』というFPSゲームの実況動画を作っていたんですよ。僕も動画編集やりたいなぁと思って、教わって動画編集もやるようになりました。
しばらくして「アメリカでとんでもないゲームが流行っているらしいぞ」というのが学校で話題になったんです。そのタイトルが『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)です。

気がついたら同級生や先輩で仲のいい人たち、みんなが『LoL』をやりはじめて——。そこでメンバーを集めて、『LoL』の実況動画を作ったり、ゲーム配信を本格的にやるようになりました。
なんだかんだで人生で一番プレーしているのは『LoL』っていうくらい、今でも当時の仲間たちとDiscordでつながっていて、ゲームバー貸し切って紅白戦やったりしてますよ。
——すごい。
馬渕:そんなこんなで友人と一緒に動画投稿を繰り返していたら、「あなたの動画を見て、このゲームを始めました」って言ってくれた人がいて、それがうれしくて——。
そこから自分たちで作ったものを世に放って、それを見てくれてる人が喜んでもらえるような仕事をしたいと思ってテレビ局に面接を受けたんです。
——元々何かを作るということが好きだったというのもあったんですか?
馬渕:小学校から大学まではラグビーをやっていて、プレーヤーは早々にやめて4年間アナリストをやっていました。ラグビーを俯瞰で撮影して映像編集をしたり、各選手のスタッツを作ったり、作戦のプレゼンテーションを作ったり——。これってゲームの実況動画制作とか配信で培った知識をラグビーに置き換えただけなんですけどね。
まあゲームを通じて得られた知識や経験がいろいろなところで生きているといった話を面接で力説していたら、今こうしてここにいるっていう感じですね(笑)。
——なんか、めちゃくちゃさらりと言っているけど、テレビ局に就職するなんて、めちゃくちゃ大変なんだろうなーというのは予想できます(笑)。
馬渕:ゲーム好きのテレビマンがテレビ局にいる、というよりは「ゲーマーがたまたまテレビ局に入っちゃって、ゲーム番組作ってる」って感じです。
まあ元々テレビっ子でしたし、映像がめっちゃ好きで今でも映画やドラマはたくさん観ているので、この仕事は好きなんだと思います。

——テレビ局に就職したあとは、どのような仕事をしていたのでしょうか。
馬渕:ゲーム系の番組には大体関わっています。僕が入社したタイミングでテレビ朝日が「eスポーツを取り上げていこう」という感じで、eスポーツに関わるチームが社内にできたんですよ。
そこで僕が一番eスポーツに詳しかったので、チームのリーダーが僕を引っ張ってくれたんです。新入社員がそんなチームに入れることはなかなかないことで、タイミング的にものすごくラッキーだったというのもありますね。
チームに入ってからは「ReAL eSports News」の立ち上げを見させてもらったり、自分が持っているeスポーツの知識を共有したりして番組に携わっていました。
あとはeスポーツ大会やeスポーツイベントをゼロから作るところに入ったり、eスポーツの特番の企画に参加したりと、ずっとゲームの番組をやらせていただきました。

——そんな数多くの番組に携わってきた馬渕さんですが、今回「スーパーファミリーゲーミング」のテーマはどのようにして生まれたのでしょうか。
馬渕:今年のゴールデンウィークに実家の大阪に帰った時、80歳を超えるおばあちゃんとランチに行ったんです。話を聞くとおばあちゃんは登山クラブに入っていて、その連絡手段も年々デジタル化していると——。
今まで紙の会報や電話でやりとりしていたのがスマホになり、ウェブサイトになり——。雨で登山が中止になることも、サイト経由でやりとりしているみたいなんです。でも、おばあちゃんはガラケーでそういったところにアクセスする知識もない……。
「どうやって日程を確認してるの?」って聞くと、とりあえず集合場所の麓に行くって言うんですよ。それで、誰もいなかったら「今日は中止かな」って帰るみたいな。
——えーっ!
馬渕:それを聞いて「これはあかん」って思って、「今からiPhone買いに行こう!」って一緒に買いにいったんですよ。かといって、いきなりガラケーからスマートフォンの操作も難しいだろうし——。
そこでiPhoneの教科書的なものをPowerPointで作って、おばあちゃんに操作方法を教えてあげたんです。それこそ何気ない雑談をしながら。
2、3日くらいだったかな。よくよく考えたら、おばあちゃんとこんなに長い時間一緒に過ごしたことなかったなーって。聞く話のほとんどが初耳のエピソードばっかりなんですよ。父親と母親の馴れそめとか(笑)。
——めちゃめちゃ貴重な時間ですね!
馬渕:そう!
それでiPhoneの操作を教えていくと、結構分かってくれるんですよ。逆に「それってどうやるの?」って聞いてきたり。気がついたら、LINEで妹とやりとりしていて、ひ孫の写真を送ってもらっていたり、めちゃめちゃ頑張って操作を覚えてくれてたんです。
そんな他愛もない話をしたり、おばあちゃんに何かを教えたりする時間ってめっちゃいいなって思ったんですよ。
東京に帰る最中に「これをどうにか番組にできないか」と思ったのが最初のとっかかりでした。

——なるほど、馬渕さんの実体験から着想を得たんですね。
馬渕:そうですね。ちょうど今eスポーツではプロ選手のコーチングが流行っているじゃないですか。そこで「プロ選手が親にコーチングする」という企画を出してみたら、トライアル枠でOKをいただけました。
——やはり『スト6』というタイトルを選んだのはプレーヤー間口の広さでしょうか。
馬渕:そうですね。あとは「モダン操作」ですね。
親御さんにゲームを教えるとなった場合、『LoL』や『VALORANT』のようなチーム戦を1〜2週間では難しいです。そう考えると『スト6』は1対1の対戦というルールや操作法も含め、優れたツールだと思っています。
——実際に番組を制作してみていかがでしたか。
馬渕:一番良かったのは、さぶとん選手とトラボ選手のご家族にめちゃくちゃ感謝されたんですよ。「このような機会を作っていただいてありがとうございました」って。
——確かに。放送内でも話されていましたもんね。
馬渕:もう、その時点で番組を作って良かったなって思いましたね。これがなかったら生まれない家族の思い出がひとつできたわけで——。
僕が裏テーマに思っていた「下の世代から上の世代に教える絆」みたいなところで生まれる“気づき”もあると思うんですよ。
「お父さん、結構ゲームできるんだ」みたいな。僕がおばあちゃんにiPhoneを教えたときの感覚に近いもの、逆に自分の子どもが「人に何かを教えることができるんだ」という成長を感じられる——。そういった“気づき”がこの企画を通して得られたならばうれしいですね。
——確かに、そういった気づきは出演されている方だけでなく、見ている方にも感じられるものですよね。
馬渕:あと番組内で話されていましたが、息子の仕事(eスポーツのプロ選手)ってゲームをやらない人からしたら、あまりしんどさが伝わらないんですよね。
実際にお父さんにプレーしてもらって、eスポーツの難しさやしんどさ、苦しさを乗り越えたときに得られる達成感とか、そういった湧き上がるものを共感してもらえたということが大満足です。
——さぶとん選手とトラボ選手を起用した決め手はあったのでしょうか。
馬渕:理由は明確で、チームもご家族も快く引き受けてくれたから。また、チームサイドが番組製作に寄り添ってくれたのが大きな決め手になりました。
番組の外でも家族の温かみを感じる経験をさせてもらって、おふたりのご家族には本当に感謝しています。
——MCにスタンミさんや丹生明里さんを起用した決め手は?
馬渕:筋書きのない企画で、制作が進むまでは未知数でした。ただコーチングをして試合をしていく中で、僕らが思っている以上にすごいことになっちゃって(笑)。
これは、MCになれているタレントさんよりもゲームの難しさや、ゲームに対してポジティブなエネルギーを持っている方がいいなと思って、おふたりにお声がけさせていただきました。
あとは、ゲームが主体というよりは、ゲームを取り巻く人間ドラマとか 人間の成長を見せたかったので そういうところの良さを気づいてくれて、本当にいいなと思ってくれそうな人だというところもありますね。

——めちゃくちゃハマってましたね。ゲームを知っているからこその熱量が彼らから感じ取れました。
——さまざまなeスポーツの番組に携わってきて、馬渕さんから見てeスポーツはどのように変化してきたと感じていますか?
馬渕:僕はeスポーツというのは、ゲームのある側面にラベリングして名前を付けたものだと感じています。eスポーツに向いているゲームや向いていないゲームなど、さまざまなゲームが出ていますが、結局はプレーヤーの姿勢が「eスポーツであるか否か」だと最近感じています。
例えばひとり用のゲームをとことん早くクリアする企画「RTA in Japan」やハイスコアを競うゲームも僕の中ではeスポーツ。
本気で向き合ったときはeスポーツ。カジュアルにやるときはゲームみたいな感覚で僕は考えています。
eスポーツっていう言葉はラベリングであり、パッケージであり、僕らが信じているゲームのいい部分、面白い部分を、ゲームを知らない人にネガティブな受け取られ方をされないために作られたポジティブに聞こえるきれいな言葉なんですよね。
野球をの良さを伝えるときに「野球ってスポーツで〜」って言わないじゃないですか。
いつの日か、つまり「ストリートファイター6ってめっちゃ良くて〜」っていう感じで、eスポーツを枕詞に使わないで説明できる日が来たら、eスポーツが本当の意味で認められたことになると思っています。
——最後にこの番組を通じて伝えたいことをお聞かせください。
馬渕:何かをコーチングされて、何かに向き合って挑戦する過程、そしてそれが達成できた時の喜びというのは本当に尊いものです。「挑戦すること、戦うことは人生においてとてもいいことだぜ!」っていうのが伝わったらうれしいです!
まあeスポーツに特化すると、性別、年齢、国籍、障害の有無を取っ払って本気でやりあえるじゃないですか。そういった意味で誰でも戦えるんだから、一緒に挑戦しようぜっていうのが視聴者の方に伝えたいです。
——第2弾も期待されていると思いますがいかがでしょう。
馬渕: これから次第なので、とにかく面白いものを見ていただいて 面白かったら何かになるかなっていう楽観的なスタンスです。
僕自身、ゼロベースで企画からやったのが今回初めてなんですよ。初めての番組が、ゲーム界隈含め、多くの人に褒めていただけたのがものすごくうれしいです。
今後も、eスポーツを題材に意味のあるものを作っていこうというのが僕の人生の中のひとつの目標なので頑張っていきます。
——ありがとうございました!
ひとりのゲーマーがテレビ局に就職し、新しい角度からeスポーツの魅力を伝えていく。eスポーツという言葉は、まだまだ懐疑的な部分があったり、なんとなく便利なワードとして利用されることも多い。そんな疑問を抱きながらも、馬渕さんは「ゲームを知っているからこそ伝えられる視点」を大切にして番組作りに取り組んでいる。
そんな彼がゼロベースから作り上げた「スーパーファミリーゲーミング」 は、ちょうど番組で『スト6』に挑戦している親世代はもちろん、プロ選手として活躍している若者世代にも共感できるポイントが随所にちりばめられている。
もうひとつ、筆者が見て感じたのは家族でゲームを楽しむ時代が来たんだということ。古い世代の人間だと、ゲーム=悪の時代で育ってきた。家族がひとつのゲームに熱中するなんて夢のまた夢の世界だったが、そういった世界が当たり前のように広がっているのを見られたのは感慨深いものがあった。
実はトラボ選手は家族で『ファンタシースターオンライン』をプレーしていたのだとか。ざぶとん選手は家族で「モンスターハンター」シリーズをプレーしていたとか……。「プロゲーマーが輩出される家って、こうなんだな」と馬渕さん。改めて、時代の変化を感じると共に、「いい時代になったなぁ」と改めて感じた。
いよいよ最終回を迎えた「スーパーファミリーゲーミング」 は現在TVerで見逃し配信として配信中。全4回だが、一気に見たくなっちゃう魅力満載なので、ぜひこの機会にチェックしてほしい。
■関連リンク
スーパーファミリーゲーミング #1(見逃し配信):
https://tver.jp/episodes/epp4rvjibt
スーパーファミリーゲーミング #2(見逃し配信):
https://tver.jp/episodes/ep4ye2m293
スーパーファミリーゲーミング #3(見逃し配信):
https://tver.jp/episodes/eptf5aank8
スーパーファミリーゲーミング #4(見逃し配信):
https://tver.jp/episodes/eph51hv1xs
スーパーファミリーゲーミング【公式】:
https://x.com/sfg_tvasahi
馬渕さん X:
https://x.com/natto_pudding
撮影:いのかわゆう
編集:いのかわゆう
『スト6』未経験のトラボ父、かたや格ゲー経験者であり現在進行形で『スト6』をプレー中のざぶとん父といった相反するふたりが、どのようなコーチングで腕を磨いていくのか——。子が親に格ゲーを教えるといった新境地が楽しめる注目のコンテンツとなっている。
そんなeスポーツ番組の仕掛け人が馬渕さん。ただのゲーム好きがたまたまテレビ局に入って番組を作るようになったという彼は、「ReAL eSports NEWS」や「アイ=ラブ!げーみんぐ」などのeスポーツ・ゲームに関する番組にも携わってきた。
オールドメディアと呼ばれるテレビ局側として、「スーパーファミリーゲーミング」の制作に至るまでの裏話、eスポーツに対して抱いている思いや、視聴者の声から見えてくるものなど、テレビ番組制作側のeスポーツに対する見方をうかがう。
馬渕 真太朗(まぶち しんたろう)

プロゲーマーに憧れて『ストリートファイターIV』をプレー。その後『リーグ・オブ・レジェンド』などeスポーツタイトルに興味を持ち始める。学生時代のニコニコ動画やニコニコ生放送といった配信サービスでの動画制作を経て、2019年にテレビ朝日に入社。
「ReAL eSports News」や「テレビでもパズドラ!」や「アイ=ラブ!げーみんぐ」など、さまざまなゲーム・eスポーツ番組に携わる。『ストリートファイター6』を題材にした「スーパーファミリーゲーミング」が初めてゼロから企画した番組で、多くの反響を呼んでいる。

プロゲーマーに憧れて『ストリートファイターIV』をプレー。その後『リーグ・オブ・レジェンド』などeスポーツタイトルに興味を持ち始める。学生時代のニコニコ動画やニコニコ生放送といった配信サービスでの動画制作を経て、2019年にテレビ朝日に入社。
「ReAL eSports News」や「テレビでもパズドラ!」や「アイ=ラブ!げーみんぐ」など、さまざまなゲーム・eスポーツ番組に携わる。『ストリートファイター6』を題材にした「スーパーファミリーゲーミング」が初めてゼロから企画した番組で、多くの反響を呼んでいる。
プロゲーマーとの出会い
——まず馬渕さんがeスポーツにふれたきっかけを教えてください。
馬渕:最初にゲームにふれたのは幼稚園の頃。父親がNINTENDO 64を買ってきてくれて、『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』がはじめてプレーしたタイトルですね。
その後も『スーパーマリオ64』のようなアクションゲームで遊んでいました。
小学校の高学年になると、父親の仕事の都合で上海に行くことになって——。テレビも見られなくなって、最新のゲームも遊べなくなってしまったんです。
そこで小学生ながらMMORPGに手を出して(笑)。今も稼働中の『C21』というゲームにはまっていました。
▲オンラインロボアクションRPGの『鋼鉄戦記C21』。オリジナルロボットが作れて対戦もできるのが魅力だ
まあ、そのあとは『モンスターハンターポータブル 2nd G』など流行のゲームをやっていたって感じですね。
——なるほど。対戦ゲームもあるものの、「ストリートファイター」シリーズにはふれてこなかったんですね。
馬渕:そうですね。ただ友だちと遊ぶゲームが好きだったので、ひとり用よりも複数人で遊べるタイトルを多くプレーしていました。初めてオンラインの対戦ゲームをプレーしたのは大乱闘スマッシュブラザーズX』じゃないかな。
そのあと、中学になって帰国。帰国子女が集まる学校に通っていました。当時は日本ではPlayStation 3がメジャーでしたが、僕の通っていた学校はアメリカ帰りの生徒も多かったので、基本持っているハードがXbox360だったんですよ。
そのタイミングでニコニコ生放送(ニコ生)が流行りだして——。ニコ生を通じて知り合った多くの配信者が『ストリートファイター IV』(スト4)をやり出したんですよ。同時期に「GODSGARDEN」とか「TOPANGAリーグ」といった大会をニコ生でめっちゃ見てましたね。
その頃ですね。日本で初めてプロゲーマーが生まれたのは。ウメハラさん、マゴさん、ときどさんの3人。

▲ゲーミングデバイスメーカーMad Catz(まっどきゃっつ)とプロ契約をし、日本人初のプロゲーマーとなったウメハラ。写真後ろに映っているのは当時のときど。(写真:いのかわゆう)
彼らの活躍を「EVO」などで見るようになって「僕もやりたいっ!」って——。そこから父親に頼んでXbox360とアケコンを買ってもらって『スト4』をプレーするようになりました。
——いきなりアケコンとは本格的ですね(笑)。
馬渕:ゲーセンにも行ったことないのに、プロに憧れて形から入るっていうね。その頃僕は、中学3年生くらいだったんですけど、ときどさんのユニフォーム着て学校行ってましたからね。青いTシャツに黄色のロゴが入った——。もちろん、まわりにそんなやつはいない(笑)。
そこからですね。“eスポーツ”というものに興味が湧き始めたのは。

動画編集や企画の楽しさを知った中学生時代
——『スト4』に出会ってからは、もう格ゲーにどっぷり?
馬渕:そうですね。その頃から僕自身もニコ生で放送するようになりました。その頃、学校の友だちは『Halo』というFPSゲームの実況動画を作っていたんですよ。僕も動画編集やりたいなぁと思って、教わって動画編集もやるようになりました。
しばらくして「アメリカでとんでもないゲームが流行っているらしいぞ」というのが学校で話題になったんです。そのタイトルが『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)です。

▲世界的に爆発的な人気を誇る『LoL』。世界大会はeスポーツの中でもトップクラスの注目度で、国内シーンも毎年大きな盛り上がりを見せている
気がついたら同級生や先輩で仲のいい人たち、みんなが『LoL』をやりはじめて——。そこでメンバーを集めて、『LoL』の実況動画を作ったり、ゲーム配信を本格的にやるようになりました。
なんだかんだで人生で一番プレーしているのは『LoL』っていうくらい、今でも当時の仲間たちとDiscordでつながっていて、ゲームバー貸し切って紅白戦やったりしてますよ。
——すごい。
馬渕:そんなこんなで友人と一緒に動画投稿を繰り返していたら、「あなたの動画を見て、このゲームを始めました」って言ってくれた人がいて、それがうれしくて——。
そこから自分たちで作ったものを世に放って、それを見てくれてる人が喜んでもらえるような仕事をしたいと思ってテレビ局に面接を受けたんです。
——元々何かを作るということが好きだったというのもあったんですか?
馬渕:小学校から大学まではラグビーをやっていて、プレーヤーは早々にやめて4年間アナリストをやっていました。ラグビーを俯瞰で撮影して映像編集をしたり、各選手のスタッツを作ったり、作戦のプレゼンテーションを作ったり——。これってゲームの実況動画制作とか配信で培った知識をラグビーに置き換えただけなんですけどね。
まあゲームを通じて得られた知識や経験がいろいろなところで生きているといった話を面接で力説していたら、今こうしてここにいるっていう感じですね(笑)。
——なんか、めちゃくちゃさらりと言っているけど、テレビ局に就職するなんて、めちゃくちゃ大変なんだろうなーというのは予想できます(笑)。
馬渕:ゲーム好きのテレビマンがテレビ局にいる、というよりは「ゲーマーがたまたまテレビ局に入っちゃって、ゲーム番組作ってる」って感じです。
まあ元々テレビっ子でしたし、映像がめっちゃ好きで今でも映画やドラマはたくさん観ているので、この仕事は好きなんだと思います。

おばあちゃんとの会話から生まれたファミゲー
——テレビ局に就職したあとは、どのような仕事をしていたのでしょうか。
馬渕:ゲーム系の番組には大体関わっています。僕が入社したタイミングでテレビ朝日が「eスポーツを取り上げていこう」という感じで、eスポーツに関わるチームが社内にできたんですよ。
そこで僕が一番eスポーツに詳しかったので、チームのリーダーが僕を引っ張ってくれたんです。新入社員がそんなチームに入れることはなかなかないことで、タイミング的にものすごくラッキーだったというのもありますね。
チームに入ってからは「ReAL eSports News」の立ち上げを見させてもらったり、自分が持っているeスポーツの知識を共有したりして番組に携わっていました。
あとはeスポーツ大会やeスポーツイベントをゼロから作るところに入ったり、eスポーツの特番の企画に参加したりと、ずっとゲームの番組をやらせていただきました。

▲「テレビでもパズドラ!」や「アイ=ラブ!げーみんぐ」など、さまざまなゲーム・eスポーツ番組に携わっている馬渕さん(出典:テレビ朝日公式サイト)
——そんな数多くの番組に携わってきた馬渕さんですが、今回「スーパーファミリーゲーミング」のテーマはどのようにして生まれたのでしょうか。
馬渕:今年のゴールデンウィークに実家の大阪に帰った時、80歳を超えるおばあちゃんとランチに行ったんです。話を聞くとおばあちゃんは登山クラブに入っていて、その連絡手段も年々デジタル化していると——。
今まで紙の会報や電話でやりとりしていたのがスマホになり、ウェブサイトになり——。雨で登山が中止になることも、サイト経由でやりとりしているみたいなんです。でも、おばあちゃんはガラケーでそういったところにアクセスする知識もない……。
「どうやって日程を確認してるの?」って聞くと、とりあえず集合場所の麓に行くって言うんですよ。それで、誰もいなかったら「今日は中止かな」って帰るみたいな。
——えーっ!
馬渕:それを聞いて「これはあかん」って思って、「今からiPhone買いに行こう!」って一緒に買いにいったんですよ。かといって、いきなりガラケーからスマートフォンの操作も難しいだろうし——。
そこでiPhoneの教科書的なものをPowerPointで作って、おばあちゃんに操作方法を教えてあげたんです。それこそ何気ない雑談をしながら。
2、3日くらいだったかな。よくよく考えたら、おばあちゃんとこんなに長い時間一緒に過ごしたことなかったなーって。聞く話のほとんどが初耳のエピソードばっかりなんですよ。父親と母親の馴れそめとか(笑)。
——めちゃめちゃ貴重な時間ですね!
馬渕:そう!
それでiPhoneの操作を教えていくと、結構分かってくれるんですよ。逆に「それってどうやるの?」って聞いてきたり。気がついたら、LINEで妹とやりとりしていて、ひ孫の写真を送ってもらっていたり、めちゃめちゃ頑張って操作を覚えてくれてたんです。
そんな他愛もない話をしたり、おばあちゃんに何かを教えたりする時間ってめっちゃいいなって思ったんですよ。
東京に帰る最中に「これをどうにか番組にできないか」と思ったのが最初のとっかかりでした。

——なるほど、馬渕さんの実体験から着想を得たんですね。
馬渕:そうですね。ちょうど今eスポーツではプロ選手のコーチングが流行っているじゃないですか。そこで「プロ選手が親にコーチングする」という企画を出してみたら、トライアル枠でOKをいただけました。
——やはり『スト6』というタイトルを選んだのはプレーヤー間口の広さでしょうか。
馬渕:そうですね。あとは「モダン操作」ですね。
※モダン操作:必殺技がワンボタンで出せるカジュアル向けの操作方法。与えるダメージが落ちる分ん、誰でも遊びやすいのが特徴。
親御さんにゲームを教えるとなった場合、『LoL』や『VALORANT』のようなチーム戦を1〜2週間では難しいです。そう考えると『スト6』は1対1の対戦というルールや操作法も含め、優れたツールだと思っています。
——実際に番組を制作してみていかがでしたか。
馬渕:一番良かったのは、さぶとん選手とトラボ選手のご家族にめちゃくちゃ感謝されたんですよ。「このような機会を作っていただいてありがとうございました」って。
——確かに。放送内でも話されていましたもんね。
馬渕:もう、その時点で番組を作って良かったなって思いましたね。これがなかったら生まれない家族の思い出がひとつできたわけで——。
僕が裏テーマに思っていた「下の世代から上の世代に教える絆」みたいなところで生まれる“気づき”もあると思うんですよ。
「お父さん、結構ゲームできるんだ」みたいな。僕がおばあちゃんにiPhoneを教えたときの感覚に近いもの、逆に自分の子どもが「人に何かを教えることができるんだ」という成長を感じられる——。そういった“気づき”がこの企画を通して得られたならばうれしいですね。
——確かに、そういった気づきは出演されている方だけでなく、見ている方にも感じられるものですよね。
馬渕:あと番組内で話されていましたが、息子の仕事(eスポーツのプロ選手)ってゲームをやらない人からしたら、あまりしんどさが伝わらないんですよね。
実際にお父さんにプレーしてもらって、eスポーツの難しさやしんどさ、苦しさを乗り越えたときに得られる達成感とか、そういった湧き上がるものを共感してもらえたということが大満足です。
——さぶとん選手とトラボ選手を起用した決め手はあったのでしょうか。
馬渕:理由は明確で、チームもご家族も快く引き受けてくれたから。また、チームサイドが番組製作に寄り添ってくれたのが大きな決め手になりました。
番組の外でも家族の温かみを感じる経験をさせてもらって、おふたりのご家族には本当に感謝しています。
——MCにスタンミさんや丹生明里さんを起用した決め手は?
馬渕:筋書きのない企画で、制作が進むまでは未知数でした。ただコーチングをして試合をしていく中で、僕らが思っている以上にすごいことになっちゃって(笑)。
これは、MCになれているタレントさんよりもゲームの難しさや、ゲームに対してポジティブなエネルギーを持っている方がいいなと思って、おふたりにお声がけさせていただきました。
あとは、ゲームが主体というよりは、ゲームを取り巻く人間ドラマとか 人間の成長を見せたかったので そういうところの良さを気づいてくれて、本当にいいなと思ってくれそうな人だというところもありますね。

▲番組のMCとして出演しているのが、人気ゲーム配信者であり、モデル・俳優でもあるスタンミじゃぱんさん、元日向坂46のメンバーで、現在はYouTubeチャンネルを開設し、ゲーム配信者としても活動している丹生明里さんのふたり。初のメインMCなんだとか
——めちゃくちゃハマってましたね。ゲームを知っているからこその熱量が彼らから感じ取れました。
eスポーツとは、ゲームが本来持っている側面にラベリングしただけである
——さまざまなeスポーツの番組に携わってきて、馬渕さんから見てeスポーツはどのように変化してきたと感じていますか?
馬渕:僕はeスポーツというのは、ゲームのある側面にラベリングして名前を付けたものだと感じています。eスポーツに向いているゲームや向いていないゲームなど、さまざまなゲームが出ていますが、結局はプレーヤーの姿勢が「eスポーツであるか否か」だと最近感じています。
例えばひとり用のゲームをとことん早くクリアする企画「RTA in Japan」やハイスコアを競うゲームも僕の中ではeスポーツ。
本気で向き合ったときはeスポーツ。カジュアルにやるときはゲームみたいな感覚で僕は考えています。
eスポーツっていう言葉はラベリングであり、パッケージであり、僕らが信じているゲームのいい部分、面白い部分を、ゲームを知らない人にネガティブな受け取られ方をされないために作られたポジティブに聞こえるきれいな言葉なんですよね。
野球をの良さを伝えるときに「野球ってスポーツで〜」って言わないじゃないですか。
いつの日か、つまり「ストリートファイター6ってめっちゃ良くて〜」っていう感じで、eスポーツを枕詞に使わないで説明できる日が来たら、eスポーツが本当の意味で認められたことになると思っています。
——最後にこの番組を通じて伝えたいことをお聞かせください。
馬渕:何かをコーチングされて、何かに向き合って挑戦する過程、そしてそれが達成できた時の喜びというのは本当に尊いものです。「挑戦すること、戦うことは人生においてとてもいいことだぜ!」っていうのが伝わったらうれしいです!
まあeスポーツに特化すると、性別、年齢、国籍、障害の有無を取っ払って本気でやりあえるじゃないですか。そういった意味で誰でも戦えるんだから、一緒に挑戦しようぜっていうのが視聴者の方に伝えたいです。
——第2弾も期待されていると思いますがいかがでしょう。
馬渕: これから次第なので、とにかく面白いものを見ていただいて 面白かったら何かになるかなっていう楽観的なスタンスです。
僕自身、ゼロベースで企画からやったのが今回初めてなんですよ。初めての番組が、ゲーム界隈含め、多くの人に褒めていただけたのがものすごくうれしいです。
今後も、eスポーツを題材に意味のあるものを作っていこうというのが僕の人生の中のひとつの目標なので頑張っていきます。
——ありがとうございました!
———
ひとりのゲーマーがテレビ局に就職し、新しい角度からeスポーツの魅力を伝えていく。eスポーツという言葉は、まだまだ懐疑的な部分があったり、なんとなく便利なワードとして利用されることも多い。そんな疑問を抱きながらも、馬渕さんは「ゲームを知っているからこそ伝えられる視点」を大切にして番組作りに取り組んでいる。
そんな彼がゼロベースから作り上げた「スーパーファミリーゲーミング」 は、ちょうど番組で『スト6』に挑戦している親世代はもちろん、プロ選手として活躍している若者世代にも共感できるポイントが随所にちりばめられている。
もうひとつ、筆者が見て感じたのは家族でゲームを楽しむ時代が来たんだということ。古い世代の人間だと、ゲーム=悪の時代で育ってきた。家族がひとつのゲームに熱中するなんて夢のまた夢の世界だったが、そういった世界が当たり前のように広がっているのを見られたのは感慨深いものがあった。
実はトラボ選手は家族で『ファンタシースターオンライン』をプレーしていたのだとか。ざぶとん選手は家族で「モンスターハンター」シリーズをプレーしていたとか……。「プロゲーマーが輩出される家って、こうなんだな」と馬渕さん。改めて、時代の変化を感じると共に、「いい時代になったなぁ」と改めて感じた。
いよいよ最終回を迎えた「スーパーファミリーゲーミング」 は現在TVerで見逃し配信として配信中。全4回だが、一気に見たくなっちゃう魅力満載なので、ぜひこの機会にチェックしてほしい。
■関連リンク
スーパーファミリーゲーミング #1(見逃し配信):
https://tver.jp/episodes/epp4rvjibt
スーパーファミリーゲーミング #2(見逃し配信):
https://tver.jp/episodes/ep4ye2m293
スーパーファミリーゲーミング #3(見逃し配信):
https://tver.jp/episodes/eptf5aank8
スーパーファミリーゲーミング #4(見逃し配信):
https://tver.jp/episodes/eph51hv1xs
スーパーファミリーゲーミング【公式】:
https://x.com/sfg_tvasahi
馬渕さん X:
https://x.com/natto_pudding
【番外編 その1】昔の「ストリートファイター」は難しかった!
——まあ、我々は元々『スト4』で知り合った仲で、同じルーファス使いというのも共通点でしたね。
馬渕:『スト4』は本当に難しかった!
——ルーファスなんかは基本的なコンボの猶予がほぼないっていうね。
馬渕:辻式でコンボの猶予伸ばしたりね(笑)。

——今考えると、とんでもなく難しいゲームだったんだなぁと感じますね。
馬渕:あんなゲームでプロをやっていた、あの頃の時代のプロは、マジですごいなって思っています。
実は撮影の時におじゃました『スト6』の対戦会「Fighters Crossover」の場で、『ウル4』(スト4のバージョンアップ版)がおいてあったんですよ。そこで15歳で『ウル4』はじめたって子と対戦させてもらったですけど、指が覚えてました(笑)。
——まあ、我々は元々『スト4』で知り合った仲で、同じルーファス使いというのも共通点でしたね。
馬渕:『スト4』は本当に難しかった!
——ルーファスなんかは基本的なコンボの猶予がほぼないっていうね。
馬渕:辻式でコンボの猶予伸ばしたりね(笑)。

▲通称「辻式」と呼ばれるテクニックは、ふたつ以上のボタンを素早く入力することで、ふたつ目の技を複数回入力したことと見なし、本来つながりにくいコンボをつながりやすくするテクニック。『スト4』ではこういった細かいテクニックを挟まないとつながりにくいコンボが多かった
——今考えると、とんでもなく難しいゲームだったんだなぁと感じますね。
馬渕:あんなゲームでプロをやっていた、あの頃の時代のプロは、マジですごいなって思っています。
実は撮影の時におじゃました『スト6』の対戦会「Fighters Crossover」の場で、『ウル4』(スト4のバージョンアップ版)がおいてあったんですよ。そこで15歳で『ウル4』はじめたって子と対戦させてもらったですけど、指が覚えてました(笑)。
【番外編 その2】実はJeniさんとはゲーム友だち
——そういえば、着ているパーカーは「Jeni × 無敵時間コラボパーカー」のやつですね。
馬渕:そうそう。実はJeniさんとは昔からネットを通じたゲーム友だちで、15年くらい前からかな。彼が顔出しして活動を始めるまででは身体のことも知らなかったんです。


——特に公表してなかった?
馬渕:そうですね。その頃は一緒に『LoL』をやってました。ランクはゴールド。しかもトップレーンで、NA時代にですよ?
——すごい……。
馬渕:この前久しぶりに会って『スト6』で対戦しましたけど、ボコボコにされました(笑)。この企画は、彼から学んだ「eスポーツは誰でも楽しめる世界」という部分に強く共感して生まれた部分もあります。今後も彼に見習って、さらなるeスポーツの可能性を見つけていきたいですね。
——そういえば、着ているパーカーは「Jeni × 無敵時間コラボパーカー」のやつですね。
馬渕:そうそう。実はJeniさんとは昔からネットを通じたゲーム友だちで、15年くらい前からかな。彼が顔出しして活動を始めるまででは身体のことも知らなかったんです。

▲ LIFE IS 1CREDIT.のフレーズが書かれたパーカー。人生は1クレジット(1ゲーム)しかないからこそ謳歌しようといったメッセージが込められている

▲畠山駿也(プレーヤーネーム:Jeni)さん。デュシェンヌ型筋ジストロフィーという難病で動かせる筋肉は指先と首から上まで。それでも顎と指先でコントローラーを扱い、さまざまな大会に出場している。最近は自身がプロデュースするeスポーツ大会「ハチエフ25」を開催した
——特に公表してなかった?
馬渕:そうですね。その頃は一緒に『LoL』をやってました。ランクはゴールド。しかもトップレーンで、NA時代にですよ?
※当時(2010年頃)の『LoL』はまだ日本サーバーなく、日本人も北米のサーバーに接続していた。その頃の時代をサーバー名になぞらえて「NA時代」と呼ぶ
——すごい……。
馬渕:この前久しぶりに会って『スト6』で対戦しましたけど、ボコボコにされました(笑)。この企画は、彼から学んだ「eスポーツは誰でも楽しめる世界」という部分に強く共感して生まれた部分もあります。今後も彼に見習って、さらなるeスポーツの可能性を見つけていきたいですね。
撮影:いのかわゆう
編集:いのかわゆう
【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『Bloodborne』。
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