【2XKO開発者インタビュー】「ボタンを押すだけで素晴らしい技が出せる」——“LoL格ゲー”が描く格闘ゲームの新しいカタチとは

- ひとりでも、仲間とでも——協力プレーが可能な格闘ゲーム
- チャンピオンたちの活躍が大画面で—— 『2XKO』の世界観の秘密
- 日本での展示は1年半ぶり—— 進化したポイントと将来の展望とは
- 『2XKO』が目指す競技シーンの姿
- 格闘ゲーム初心者に向けた『2XKO』のイチオシポイント
ゲームの祭典「東京ゲームショウ 2025(TGS2025)」が、千葉県・幕張メッセで開催された。2025年9月25日(木)〜26日(金)は関係者やインフルエンサー向けのビジネスデー。そして27日(土)〜28日(日)は一般公開日となっており、関係者以外の一般ユーザーも入場できる。
このTGSに初の出展を果たしたライアットゲームズは、まもなくリリースを控えた新作の格闘ゲーム『2XKO(ツーエックスケーオー)』の試遊会を実施した。計4日間ある会期中には、非常に多くの来場者が列を成し、ブースの前の通路にも人があふれるほどの大盛況であった。


この『2XKO』は、同社が運営する名作MOBA『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)シリーズのチャンピオン(キャラクター)たちが登場する格闘ゲームだ。派手な技とコンボを繰り出しながら激突し、最大で2対2のタッグバトルを楽しむことができる。
今回はその『2XKO』の開発を主導した、ゲームディレクターのShaun Rivera(ショーン・リベラ)氏にインタビューを実施。ゲーム開発の裏側や今後の展開について、詳しくうかがった。
——まずは『2XKO』のコンセプトを教えてください。
Shaun Rivera(以下、Shaun):皆さんがワクワクできるような格闘ゲームを作りたかったんです。最初は1対1のゲームだったんですが、やっぱり友だちと一緒にプレーできたほうが楽しいですよね。ですから、なにか別のゲームモードを用意するのではなくて、もう基本の部分を最初から作って、2対2で対戦ができるチームゲームになりました。

——やはり、この「対戦」という要素は開発段階でも意識されたのでしょうか。
Shaun:もちろんチームプレーは意識していました。しかし、開発段階でいろいろと問題が起きたんですよ。例えば、友だちとプレーしたあとに、次の日その友だちが来られなかったら、知らない人と一緒にプレーしなければいけませんよね? そういったことを避けるためにソロプレーも視野に入れました。
しかし、ソロプレーはひとりでふたりのキャラクターを動かさなければなりません。それで操作が複雑すぎたら、それも問題ですよね。ですから、このゲームではソロプレーとデュオプレーの両方ができるように設計しました。
その結果、ソロ対ソロ、デュオ対ソロ、デュオ対デュオ——最大4人までプレーできるようになって、すごく楽しいゲームになったんじゃないかと思っています。
——4人でも対戦できるんですか?
Shaun:そうです、2対2でプレーできますよ!
ソロは、ふたりのチャンピオンを使います。一方でデュオは、それぞれがひとりずつ別のチャンピオンを使います。

——デュオプレーの場合、対戦中に操作プレーヤーが入れ替わるということですか?
Shaun:例えるなら、プロレスのような感じです。画面にはメインのキャラがいるんですが、画面の外にもまた別のキャラがいます。少しだけ出てきて攻撃して帰ったり、あるいはメインのキャラと入れ替わったり。
——面白い、新しいですね!
Shaun:そうですね!

チャンピオンたちの活躍が大画面で——
——『2XKO』では、『LoL』のチャンピオンたちが登場しますが、あえてこの既存のキャラクターを起用した理由はなんですか?
Shaun:まあ、160人以上のチャンピオンがいますから(笑)。しかもメカニックだったり、ひとりひとりいろいろなテーマがあります。彼らが格闘ゲームに入ったら、それはもう素晴らしいものが作れるかなという考えがありました。
チャンピオンたちが、大きな画面で技を出すところ——これは、皆さんも見たことがないですよね。『LoL』にもシネマティック(トレーラー)はありますが、基本はMOBAの状態で、画面のキャラクターも小さいです。もちろんそれも楽しいですけど、やっぱり格闘ゲームの中で、キャラクターがダイナミックに動いているところを見たかったんですよ!

しかも私たちは、ライブサービス(継続的にアップデートや運営を続けていくゲーム形態)なんですよね。例えチャンピオンが160人いても問題ないんです。
——160人!?
Shaun:「問題ない」というのは、これから(サービスを)続けていく上で、いろいろ選択ができるということです(笑)。
——実際にゲーム上でキャラクターが動いているシーンを見て、どう感じましたか?
Shaun:最初に見たときはプロトタイプですから、なんというか、こんな変な動きで(笑)。
——ロボットダンスみたいな(笑)。
Shaun:でも見た目はプロトタイプだとしても、チームの中ではすごく楽しめましたね。感動しました。
——『2XKO』では、画面全体でマンガのようなデザインとなっていますが、この点についてなにか理由はありますか?

Shaun:私たちのクリエイティブディレクターのMike(マイク)さんと、アートディレクターのKaton(ケイトン)さんが、よく頑張ってくれました。もう本当に、感動しますよ。このうちわを見るとスタイルは分かると思うんですが、輪郭に黒い線があったりして、Pop(浮き出る、際立つような)なデザインになっています。
また中にはPCのスペックがそこまで高くないユーザーもいるかもしれません。そんな人たちでもプレーできるように、グラフィックのクオリティーが低くても楽しめるようなスタイルにしています。
——日本のカルチャーの影響はありましたか?
Shaun:そうですね。もちろん、アメリカでも(日本の)アニメはすごく人気になっていますから、絶対にその影響はありますね。
日本での展示は1年半ぶり——
——最後に日本で試遊を行ったのはいつでしたか?
Shaun:去年(2024年)の「EVO Japan」ですね。
——当時は『Project L』という名前だったかと思いますが、その頃からなにか大きく変わったことはありますか?

Shaun:いろいろ変わりましたね。少し前に「アルファラボ 1」と「アルファラボ 2」というテスト版があったんですが、そこでたくさんの問題が発生しました。
まず我々が開発するうえで大事にしている要素が4つあります。それが「Play With」「Play As」「Play Against」「Spectate」です。
「Play With」は、キャラクターとともに、同じチームで楽しくプレーできること。
「Play As」は、そのキャラクターとして楽しくプレーできること。
「Play Against」は、そのキャラクターを相手に楽しく戦えること。
「Spectate」は、観戦していても楽しいこと。

Shaun:この4つのうち、ひとつでも欠けていたらダメで、改善する必要があります。その点で「アルファラボ 1」は、ゲーム全体が激しすぎて、4要素のうち3つは良くなかったですね。
それを受けて「アルファラボ 2」では、防御面を強化しました。しかし今度は、守るのが簡単になって、タイムアウト(時間切れ)が多くなりすぎました。見ている方も楽しくなかったです。
ですから今回のクローズドベータでは、これらのテスト版の真ん中になるように、攻守のバランスを調整しています。
——具体的に、どのように攻めと守りのバランスを調整したのですか?
Shaun:やっぱり皆さん、大きなダメージを与えるのが好きじゃないですか。攻めと守り、半分半分ではダメですよね。
ですが皆さんも、攻めるだけではなく守るチャンスも欲しいですよね。ずっと、攻めて攻めて攻めて——となると、本当にカオスですよ。キャラクターのコントロールができなくなりますから、ゲームとしてつまらないです。
ですから(アルファラボ 2からは)両方のバランスを取るために、もうちょっとだけ攻めを重くしました。

——現在、ゲーム内で使用できるチャンピオンは9人と、まだそれほど多くない状態だと思います。今後も増やしていく予定はありますか?
Shaun:発表されたばかりなんですが、アーリーアクセスが10月から始まるんですよ。これはクローズドベータとは違って、招待コードのようなものは必要なくて、誰でもダウンロードしてプレーできます。そして、この時に10番目のチャンピオンが登場する予定です。

Shaun:またこの発表の中で、2026年は合計5つのシーズンで構成されるとありました。このシーズンごとに、ひとりずつ新しいチャンピオンが登場する予定です。ですから皆さんも楽しみにしていてください。
——ちなみにShaunさんが、個人的に登場させたいチャンピオンは誰ですか?
Shaun:個人的には一番好きなチャンピオンの「マルザハール」を見て見たいです。ただ自分の意見よりも、プレーヤーの皆さんがなにを見たいかが大事ですから(笑)。
逆にあなたにとって気に入っているチャンピオンはいますか?
——あの刀を持っている「ヤスオ」ですね!
Shaun:ああ、ヤスオ! 大好きですね、私もメインですよ。ヤスオすごく好きです。

——Shaunさんは、なぜ「マルザハール」が好きなんですか?
Shaun:いやぁ、敵にとってウザいですから(笑)。
——(笑)。
Shaun:例えば、攻撃を出して、飛んでいったりして。それをしながら、別のレーンに行って、そこで迷惑をかけたりして(笑)。
あとは単純にテーマが好きですね——「ヴォイド」とか「虫」とか。宇宙人みたいな見た目もそうですし、「元人間がヴォイドの怪物を召喚している」という設定も面白いですね。

——『LoL』では「Worlds」があったり、『VALORANT』では「VCT」があったりと、Riot Gamesは競技シーンに対しても大きく力を注いでいるかと思います。本作も、このような国際大会の開催は計画しているのでしょうか。
Shaun:とりあえず将来は、トーナメントを作っている皆さんをサポートしたいと考えています。「First Impact」というものが発表されましたが、22個のコミュニティ大会をサポートする取り組みがあります。そのトーナメントでデュオが優勝したら、ボーナス賞金がもらえるという仕組みです。
『VALORANT』や『LoL』は、すごく大きな大会ができるじゃないですか。でも格闘ゲームの大会は、コミュニティの皆さんの力で作り上げてきたものですから、私たちの大会と他の『2XKO』の大会が一緒になったとき、どうなってしまうんだろうという不安が実はありました。
ですから、私たちはそういった方法ではなく、サポートをするという方法を考えています。「皆さんが今までにいろんな大会を作ってくれたおかげで、私たちはこのゲームを作れているんですよ」という敬意を払いたいんです。

——つまり、大規模な大会を目指すのではなく、小規模な大会がたくさん生まれることを目指すということでしょうか。
Shaun:はい、そうです。
——今のところは、公式大会も予定していない?
Shaun:はい。
——ここ最近は『ストリートファイター6』などのおかげで、格闘ゲームを始めてみた人も多いと思います。『2XKO』は、初心者に対してどのようなアプローチを行っていますか?
Shaun:まず『2XKO』は、コントロール(操作)が簡単です。難しい入力は必要なくて、ただボタンを押すだけで素晴らしい技を出すことができます。キーボード、アケコン、レバーレス、ゲームパッドなど——なにを使ってもOKなんです。自分の使いやすい方法でプレーできるように作られていますから。

でもそれだけじゃなくて、もちろんチュートリアルもありますし、アーリーアクセスから追加される「コンボトライアル」もあります。キャラクターがどういう風に動くかとか、どういうコンボができるのかとか、お気に入りのチャンピオンを使いこなすために、いろいろ試すこともできます。

Shaun:ただ一番はやはり、デュオプレーです。友だちと同じチームを一緒に組めることは、たぶん一番楽しい経験ですよ。
例えば友だちに格闘ゲームを教えた経験はありませんか?
私はあるんですが、やっぱり難しいですよ。だいたい、ぶん投げるか、優しく教えるかのどっちかです。でもそれは教えているほうが楽しくない。しかも、その友だちがゲームを続けてくれるのかも分からないですから、大変ですよ。
ただ私たちのゲームでは、それが必要ありません。プレースキルの差があっても、同じチームで世界に挑戦できる。負けても楽しいですよ。ですから皆さんには、実際にそういうふうに試してほしいです。
——ありがとうござました!
———
TGSで行われた試遊会も踏まえると、やはり一番に感じることは操作の簡単さ。格闘ゲームといえば、やはりコマンド入力。かっこいいコンボを決めるためには、複雑な操作を素早く正確に行うことが求められるのだ。練習を積み重ねて上達することは面白さのひとつではあるが、一方でこれが格闘ゲームの敷居を上げてしまう要因でもあったと思う。
一方でこの『2XKO』は、その複雑なコマンド入力がなくとも、かなり自由でアクロバットな動きが可能だ。もちろん賛否両論はあるかもしれないが、少なくとも格闘ゲーム初心者にとっては、これほどありがたい仕様はないだろう。特別なスキルや高価なデバイスも不要。気軽に気持ちよさを感じたい人は、ぜひ一度、ふれてみることをおすすめする。
本作『2XKO』のアーリーアクセスは、日本時間10月8日(水)に開始予定。10体目の新チャンピオンである「ティーモ」とともに、格闘ゲームの世界を体験してみよう。
2XKO公式:
https://2xko.riotgames.com/ja-jp/
アーリーアクセスについて:
https://2xko.riotgames.com/ja-jp/news/announcements/2xko-early-access-starts-october-7/
© 2025 Riot Games, Inc. Used With Permission
撮影:まいる
編集:いのかわゆう
このTGSに初の出展を果たしたライアットゲームズは、まもなくリリースを控えた新作の格闘ゲーム『2XKO(ツーエックスケーオー)』の試遊会を実施した。計4日間ある会期中には、非常に多くの来場者が列を成し、ブースの前の通路にも人があふれるほどの大盛況であった。

▲Riot Gamesブースは『VALORANT』『League of Legends』『2XKO』の3エリアで構成されている。三者三様、タイトルごとのさまざまな企画が体験できる

▲日本で試遊ができるのは、昨年4月の「EVO Japan 2024」以来。最大4人での対戦ができるということで、友だち同士でも楽しくプレーができる
この『2XKO』は、同社が運営する名作MOBA『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)シリーズのチャンピオン(キャラクター)たちが登場する格闘ゲームだ。派手な技とコンボを繰り出しながら激突し、最大で2対2のタッグバトルを楽しむことができる。
今回はその『2XKO』の開発を主導した、ゲームディレクターのShaun Rivera(ショーン・リベラ)氏にインタビューを実施。ゲーム開発の裏側や今後の展開について、詳しくうかがった。
ひとりでも、仲間とでも——協力プレーが可能な格闘ゲーム
——まずは『2XKO』のコンセプトを教えてください。
Shaun Rivera(以下、Shaun):皆さんがワクワクできるような格闘ゲームを作りたかったんです。最初は1対1のゲームだったんですが、やっぱり友だちと一緒にプレーできたほうが楽しいですよね。ですから、なにか別のゲームモードを用意するのではなくて、もう基本の部分を最初から作って、2対2で対戦ができるチームゲームになりました。

——やはり、この「対戦」という要素は開発段階でも意識されたのでしょうか。
Shaun:もちろんチームプレーは意識していました。しかし、開発段階でいろいろと問題が起きたんですよ。例えば、友だちとプレーしたあとに、次の日その友だちが来られなかったら、知らない人と一緒にプレーしなければいけませんよね? そういったことを避けるためにソロプレーも視野に入れました。
しかし、ソロプレーはひとりでふたりのキャラクターを動かさなければなりません。それで操作が複雑すぎたら、それも問題ですよね。ですから、このゲームではソロプレーとデュオプレーの両方ができるように設計しました。
その結果、ソロ対ソロ、デュオ対ソロ、デュオ対デュオ——最大4人までプレーできるようになって、すごく楽しいゲームになったんじゃないかと思っています。
——4人でも対戦できるんですか?
Shaun:そうです、2対2でプレーできますよ!
ソロは、ふたりのチャンピオンを使います。一方でデュオは、それぞれがひとりずつ別のチャンピオンを使います。

▲会場でも、最大4人(2対2)での試合が体験できた。見よう見まねでも心地よいコンボが決められるのが魅力だ
——デュオプレーの場合、対戦中に操作プレーヤーが入れ替わるということですか?
Shaun:例えるなら、プロレスのような感じです。画面にはメインのキャラがいるんですが、画面の外にもまた別のキャラがいます。少しだけ出てきて攻撃して帰ったり、あるいはメインのキャラと入れ替わったり。
——面白い、新しいですね!
Shaun:そうですね!

▲基本的には1対1の戦いだが、別のチャンピオンがサポートをしてくれたり、あるいは交代させたりすることができる。デュオプレーの場合は、その1キャラをひとりずつが担当できる(https://youtu.be/O_tJV-L131w?si=MgGbIjPNU2RbQ9E2&t=70)
チャンピオンたちの活躍が大画面で——
『2XKO』の世界観の秘密
——『2XKO』では、『LoL』のチャンピオンたちが登場しますが、あえてこの既存のキャラクターを起用した理由はなんですか?
Shaun:まあ、160人以上のチャンピオンがいますから(笑)。しかもメカニックだったり、ひとりひとりいろいろなテーマがあります。彼らが格闘ゲームに入ったら、それはもう素晴らしいものが作れるかなという考えがありました。
チャンピオンたちが、大きな画面で技を出すところ——これは、皆さんも見たことがないですよね。『LoL』にもシネマティック(トレーラー)はありますが、基本はMOBAの状態で、画面のキャラクターも小さいです。もちろんそれも楽しいですけど、やっぱり格闘ゲームの中で、キャラクターがダイナミックに動いているところを見たかったんですよ!

▲本作は画面全体でキャラクターが躍動する点が魅力だ。ゲームを通して、まるで1本の映画を見ているかのようなダイナミックな表現を可能としている
しかも私たちは、ライブサービス(継続的にアップデートや運営を続けていくゲーム形態)なんですよね。例えチャンピオンが160人いても問題ないんです。
——160人!?
Shaun:「問題ない」というのは、これから(サービスを)続けていく上で、いろいろ選択ができるということです(笑)。
——実際にゲーム上でキャラクターが動いているシーンを見て、どう感じましたか?
Shaun:最初に見たときはプロトタイプですから、なんというか、こんな変な動きで(笑)。
——ロボットダンスみたいな(笑)。
Shaun:でも見た目はプロトタイプだとしても、チームの中ではすごく楽しめましたね。感動しました。
——『2XKO』では、画面全体でマンガのようなデザインとなっていますが、この点についてなにか理由はありますか?

▲来場者には、アーリとヴァイが描かれた特製のうちわがプレゼント! 前後で異なる対照的なデザインがかっこいい
Shaun:私たちのクリエイティブディレクターのMike(マイク)さんと、アートディレクターのKaton(ケイトン)さんが、よく頑張ってくれました。もう本当に、感動しますよ。このうちわを見るとスタイルは分かると思うんですが、輪郭に黒い線があったりして、Pop(浮き出る、際立つような)なデザインになっています。
また中にはPCのスペックがそこまで高くないユーザーもいるかもしれません。そんな人たちでもプレーできるように、グラフィックのクオリティーが低くても楽しめるようなスタイルにしています。
——日本のカルチャーの影響はありましたか?
Shaun:そうですね。もちろん、アメリカでも(日本の)アニメはすごく人気になっていますから、絶対にその影響はありますね。
日本での展示は1年半ぶり——
進化したポイントと将来の展望とは
——最後に日本で試遊を行ったのはいつでしたか?
Shaun:去年(2024年)の「EVO Japan」ですね。
——当時は『Project L』という名前だったかと思いますが、その頃からなにか大きく変わったことはありますか?

Shaun:いろいろ変わりましたね。少し前に「アルファラボ 1」と「アルファラボ 2」というテスト版があったんですが、そこでたくさんの問題が発生しました。
まず我々が開発するうえで大事にしている要素が4つあります。それが「Play With」「Play As」「Play Against」「Spectate」です。
「Play With」は、キャラクターとともに、同じチームで楽しくプレーできること。
「Play As」は、そのキャラクターとして楽しくプレーできること。
「Play Against」は、そのキャラクターを相手に楽しく戦えること。
「Spectate」は、観戦していても楽しいこと。

Shaun:この4つのうち、ひとつでも欠けていたらダメで、改善する必要があります。その点で「アルファラボ 1」は、ゲーム全体が激しすぎて、4要素のうち3つは良くなかったですね。
それを受けて「アルファラボ 2」では、防御面を強化しました。しかし今度は、守るのが簡単になって、タイムアウト(時間切れ)が多くなりすぎました。見ている方も楽しくなかったです。
ですから今回のクローズドベータでは、これらのテスト版の真ん中になるように、攻守のバランスを調整しています。
——具体的に、どのように攻めと守りのバランスを調整したのですか?
Shaun:やっぱり皆さん、大きなダメージを与えるのが好きじゃないですか。攻めと守り、半分半分ではダメですよね。
ですが皆さんも、攻めるだけではなく守るチャンスも欲しいですよね。ずっと、攻めて攻めて攻めて——となると、本当にカオスですよ。キャラクターのコントロールができなくなりますから、ゲームとしてつまらないです。
ですから(アルファラボ 2からは)両方のバランスを取るために、もうちょっとだけ攻めを重くしました。

▲試遊中にも、コンボが繰り出されるたびに「かっこいい!」という声があがる。見ているだけでも楽しいのも、このゲームの強みだ
——現在、ゲーム内で使用できるチャンピオンは9人と、まだそれほど多くない状態だと思います。今後も増やしていく予定はありますか?
Shaun:発表されたばかりなんですが、アーリーアクセスが10月から始まるんですよ。これはクローズドベータとは違って、招待コードのようなものは必要なくて、誰でもダウンロードしてプレーできます。そして、この時に10番目のチャンピオンが登場する予定です。

▲誇り高きバンドル偵察隊の一員である「ティーモ」。相手に毒を与える設置型のキノコや、ゆっくりと降下しながら移動できるパラシュートなど、ギミックが満載のチャンピオン。なんともいやらしい戦い方ができそうだ(https://www.youtube.com/watch?v=wm9nlfEdVtM)
Shaun:またこの発表の中で、2026年は合計5つのシーズンで構成されるとありました。このシーズンごとに、ひとりずつ新しいチャンピオンが登場する予定です。ですから皆さんも楽しみにしていてください。
——ちなみにShaunさんが、個人的に登場させたいチャンピオンは誰ですか?
Shaun:個人的には一番好きなチャンピオンの「マルザハール」を見て見たいです。ただ自分の意見よりも、プレーヤーの皆さんがなにを見たいかが大事ですから(笑)。
逆にあなたにとって気に入っているチャンピオンはいますか?
——あの刀を持っている「ヤスオ」ですね!
Shaun:ああ、ヤスオ! 大好きですね、私もメインですよ。ヤスオすごく好きです。

▲居合い切りのような素早い刀裁きがかっこいいヤスオ。風を操り俊敏な身のこなしで敵を翻弄する
——Shaunさんは、なぜ「マルザハール」が好きなんですか?
Shaun:いやぁ、敵にとってウザいですから(笑)。
——(笑)。
Shaun:例えば、攻撃を出して、飛んでいったりして。それをしながら、別のレーンに行って、そこで迷惑をかけたりして(笑)。
あとは単純にテーマが好きですね——「ヴォイド」とか「虫」とか。宇宙人みたいな見た目もそうですし、「元人間がヴォイドの怪物を召喚している」という設定も面白いですね。

▲虫を召喚して戦わせつつ、自身も遠隔攻撃ができる「マルザハール」。MIDレーンをずっとプッシュし続けることができるため、初心者でもわりと使いやすいチャンピオンだ。対抗策を持ち合わせていないと、安全な場所からボコボコにされることも
『2XKO』が目指す競技シーンの姿
——『LoL』では「Worlds」があったり、『VALORANT』では「VCT」があったりと、Riot Gamesは競技シーンに対しても大きく力を注いでいるかと思います。本作も、このような国際大会の開催は計画しているのでしょうか。
Shaun:とりあえず将来は、トーナメントを作っている皆さんをサポートしたいと考えています。「First Impact」というものが発表されましたが、22個のコミュニティ大会をサポートする取り組みがあります。そのトーナメントでデュオが優勝したら、ボーナス賞金がもらえるという仕組みです。
『VALORANT』や『LoL』は、すごく大きな大会ができるじゃないですか。でも格闘ゲームの大会は、コミュニティの皆さんの力で作り上げてきたものですから、私たちの大会と他の『2XKO』の大会が一緒になったとき、どうなってしまうんだろうという不安が実はありました。
ですから、私たちはそういった方法ではなく、サポートをするという方法を考えています。「皆さんが今までにいろんな大会を作ってくれたおかげで、私たちはこのゲームを作れているんですよ」という敬意を払いたいんです。

——つまり、大規模な大会を目指すのではなく、小規模な大会がたくさん生まれることを目指すということでしょうか。
Shaun:はい、そうです。
——今のところは、公式大会も予定していない?
Shaun:はい。
格闘ゲーム初心者に向けた『2XKO』のイチオシポイント
——ここ最近は『ストリートファイター6』などのおかげで、格闘ゲームを始めてみた人も多いと思います。『2XKO』は、初心者に対してどのようなアプローチを行っていますか?
Shaun:まず『2XKO』は、コントロール(操作)が簡単です。難しい入力は必要なくて、ただボタンを押すだけで素晴らしい技を出すことができます。キーボード、アケコン、レバーレス、ゲームパッドなど——なにを使ってもOKなんです。自分の使いやすい方法でプレーできるように作られていますから。

▲会場では、人気キャラ「アーリ」のレバーレスコントローラーが用意されていた。これは……ほしい!
でもそれだけじゃなくて、もちろんチュートリアルもありますし、アーリーアクセスから追加される「コンボトライアル」もあります。キャラクターがどういう風に動くかとか、どういうコンボができるのかとか、お気に入りのチャンピオンを使いこなすために、いろいろ試すこともできます。

▲アーリーアクセスから追加される「コンボトライアル」。難易度別にさまざまなコンボ練習ができ、チャンピオンの使い方を実践形式で学ぶことができる(https://2xko.riotgames.com/ja-jp/news/announcements/2xko-early-access-starts-october-7/)
Shaun:ただ一番はやはり、デュオプレーです。友だちと同じチームを一緒に組めることは、たぶん一番楽しい経験ですよ。
例えば友だちに格闘ゲームを教えた経験はありませんか?
私はあるんですが、やっぱり難しいですよ。だいたい、ぶん投げるか、優しく教えるかのどっちかです。でもそれは教えているほうが楽しくない。しかも、その友だちがゲームを続けてくれるのかも分からないですから、大変ですよ。
ただ私たちのゲームでは、それが必要ありません。プレースキルの差があっても、同じチームで世界に挑戦できる。負けても楽しいですよ。ですから皆さんには、実際にそういうふうに試してほしいです。
——ありがとうござました!
———
TGSで行われた試遊会も踏まえると、やはり一番に感じることは操作の簡単さ。格闘ゲームといえば、やはりコマンド入力。かっこいいコンボを決めるためには、複雑な操作を素早く正確に行うことが求められるのだ。練習を積み重ねて上達することは面白さのひとつではあるが、一方でこれが格闘ゲームの敷居を上げてしまう要因でもあったと思う。
一方でこの『2XKO』は、その複雑なコマンド入力がなくとも、かなり自由でアクロバットな動きが可能だ。もちろん賛否両論はあるかもしれないが、少なくとも格闘ゲーム初心者にとっては、これほどありがたい仕様はないだろう。特別なスキルや高価なデバイスも不要。気軽に気持ちよさを感じたい人は、ぜひ一度、ふれてみることをおすすめする。
本作『2XKO』のアーリーアクセスは、日本時間10月8日(水)に開始予定。10体目の新チャンピオンである「ティーモ」とともに、格闘ゲームの世界を体験してみよう。
2XKO公式:
https://2xko.riotgames.com/ja-jp/
アーリーアクセスについて:
https://2xko.riotgames.com/ja-jp/news/announcements/2xko-early-access-starts-october-7/
© 2025 Riot Games, Inc. Used With Permission
撮影:まいる
編集:いのかわゆう
【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレーヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。
X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)

X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)
Discord をフォローしよう



