【連載】『LoL』チャレンジャーAirの楽しく勝てるサポート講座

サポートの“役割”を正しく理解しよう【Airの「楽しく勝てるサポート講座」第2回】

2020.12.30 Air
みなさんこんにちは、Airです。

第1回をお読みいただいた皆様、ありがとうございました。思った以上に反響をいただき、うれしい限りです。

いよいよ今回から本格的に、「サポート」をうまくなる方法や考え方について、ふれていきます。まずは基本的な部分ですが、あらためて「サポート」の仕事とは何なのか、その「理由」のところまで説明していきたいと思います。

その1 ADCとサポートの関係を理解しよう


さて、サポートはADCと一緒にボットレーンに行くロールです。上はトップレーン、真ん中はミッドレーン、下はボットレーンと呼びます。

▲レーンの場所と呼び方


他のレーンと違って1人でプレイするロールではなく、レーン戦はADCと2人で戦うロールです。では、なぜ2人で戦うのでしょうか? 

▲ボットレーンは2対2が基本

ADCは装備依存度がとても高いアタッカーです。スキルをメインとするチャンピオンが多い中、通常攻撃(右クリック)を主体に攻撃します。装備を積むことで通常攻撃のダメージを増やしたり、攻撃速度を早くしたりできます。通常攻撃が遠距離攻撃なのも特徴ですね。

通常攻撃はマナも必要ないので、装備がそろってしまえば最初から最後まで継続的にダメージを出すことが可能です。もちろん戦闘面もですが、オブジェクトに攻撃するときも同様です(タワー、バロン、ドラゴン等)。

ただし、攻撃面が強い分、防御面は他のチャンピオンよりも低く設定されているためにとても脆いです。特に最序盤は装備依存度が高く脆いため、他のレーナーよりも弱めです。

なので、ADCはサポートの補助を受けながらゴールドを集めて装備を買い、強くなっていきます

ここで、ADCは「終盤」に向けて強くなっていくということを忘れないでください。ADCが存在感を出すのは中盤以降、特に終盤です。

(※ADCのタイプによって序盤向けに作られたチャンピオンや、終盤向けに作られたチャンピオン、純粋なアタッカーだったり、スローやスタンで補助もできるADCも存在します。ADCのタイプやサポートとの相性、この構成ではどのようなタイプを選ぶのが強いなどは、別の記事で解説します)。

これでなぜ、ADCが1人のレーンではなくて2人のレーンなのかわかりましたね。でも、2人のレーンでもう一つ重要な要素があります。

それは「経験値」と「ゴールド」です。

レーンに流れてくる敵ミニオンが倒れた場合、その経験値は近くにいるチャンピオンに配られます。1人ならすべて獲得できますが、2人でいると分配されてしまいます。

もしボットレーンに序盤や中盤に試合を動かしたいファイターやメイジで行ってしまうと、1人ですべての経験値を獲得している他のレーンのファイターやメイジに対して勝てなくなり、存在感がないまま試合が進んでしまいます。

もちろん、序盤からボットレーン対面のADCに対しては有利が取れますが(詳しくは「構成」の記事で解説します)、試合が長引いた時に終盤にダメージを出す役割の人がいなくなるので、ADCがチームにいないとチームがダメージ不足に陥りやすくなります。

先ほど説明したように、ADCの強さは大部分が装備に依存するので、ADCは他のチャンピオンよりも経験値をサポートに分配するデメリットが少ないのです。ゴールドさえ安全に獲得できて装備が完成すれば試合に貢献できます。その分、序盤に弱くレベルも他のレーナーよりも低くなってしまうため、補助が必要なんですね。

では、サポートのチャンピオンはどうでしょうか。

ADCにゴールドを集めたいので、敵ミニオンのラストヒットを取ることで得られるCS(敵ミニオンのラストヒットを取ることで得られるゴールド)をADCにすべて渡します。経験値も分配するので、当然他のレーナーよりもレベルも低めです。チーム5人の中だったら一番弱い状態になりますよね。

その中でも、レベルと装備依存度が低く、ADCの補助に適した(攻めたり守ったりできる)チャンピオンが、サポートでは選ばれます。少ないレベルとゴールドで上手にやりくりするロールなんです。

ちなみに、同じ外側のレーンの中でボットレーナーが2人な理由は、ドラゴンの影響が大きいです。ドラゴンがチームに与える経験値やバフは試合の勝利を大きく左右します。そのためにボットレーンに2人を行かせて、ドラゴン側のレーンに人数を割いています。

ミッドレーンもドラゴン付近のレーンですが、マップの中心なので左右からのガンクを警戒しながらファームすることになり、危険が多いのでファームに適さないという意味と、序中盤に強いアサシンやメイジを1人で配置することで左右にロームし、試合を動かす方が合理的という2つの意味があり、サポートは配置しません。

これで、ボットレーンの仕組みはわかっていただけたでしょうか?

まとめ
  1. ADCは序盤に弱いが装備がそろった終盤に試合を大きく動かす力を得ることができる。
    装備依存度が高いので、経験値を分配しても他のチャンピオンよりもデメリットが少ない。
    そのためにレベル・ステータスが劣ってしまうので序盤に非力になる。
    安全にゴールドを集めて強くなるためにサポートの補助が必要。
  2. サポートは安全にADCをファームさせるために補助をする。
    CSも取れないし、経験値も分配するので、他のロールよりも少ないレベルと装備で試合を進めなければならない。
  3. ボットレーンに人数を裂くのはドラゴンを獲得するため

その2 レーニングでのサポートの役割を理解しよう


続いて、序盤のレーニング、レーン戦でのサポートの役割を考えてみましょう。

①ADCを育てるために行動する(敵を倒す、敵から守る)


サポートは、ADCが序盤から少しでも多くのゴールドを稼いで試合に貢献できるように、CSを取るのを回復やシールドで補助したり、キルができるように相手を捕まえて仕掛けたり、逆にキルされないように壁になって守ったりします。

理由
ADCを安全にファームさせることはもちろん大切ですが、敵のチームも同じようにファームを進めてきます。その上で敵よりも有利に試合を進めるため、敵がCSを取るのを通常攻撃やスキルを使って妨害したり、敵のチャンピオンを倒してゴールドを獲得したり、敵のタワーを削ってタワープレードを獲得し、ゴールドを獲得したりするのもサポートの仕事です。

ADCは敵の妨害を受けながらもファームをする必要があるので、そこをサポートが守ってあげます。守りながらも敵チームよりも多くのゴールドを獲得できるように行動します。

②ワードを置いて視界を取る(ADCの安全を確保する)


ワードを置くことによってより安全にADCがファーム(経験値やお金を稼ぐ)ことができます。視界を取っていないと相手のジャングルからガンク(奇襲)されてしまい、キルをされたり体力を削られてファームの妨害をされてしまいます。

理由
ガンクはレーンの有利不利を大きく左右します。ADCは装備依存度が高いので1回でも敵チャンピオンを倒してゴールドを獲得し、装備差がついてしまうとダメージトレードをした際にどうやっても勝てなくなってしまうんです。

そうなってくると安全にファームはできないですし、ドラゴンを獲得するための圧もなくなってしまいます。大きな不利につながらないように、そして逆に有利につなげるように、ワードによる視界の管理もサポートの仕事です。ワードの種類もたくさんあります、上手に活用して視界をコントロールしましょう(こちらも別記事で詳しく解説します)。

その3 ワードを置くことでチームの有利に繋がると理解しよう


そしてワードを置いて視界を得ることは、ボットレーンのためだけの話じゃないんです。

勘違いしている人が多いのですが、ワードはボットレーンがデスしないために置くだけではなく、チームを有利にするためにも置く必要があります。ここで簡単に、各レーンにとってのワードの意味をご説明します。

ADCにとってのワードの効果


ボット側に置いた自分のワードに、敵のジャングルが映ったとしましょう。そうするとADCは安全のために下がったりして、安全な行動ができますよね。

▲自陣のブッシュにワードを置くことで、敵ジャングルのガンクに対応できます

味方の他のレーンもそうです。サポートだけをやっていると自分の気持ちだけになってしまいますが、このゲームは5vs5のチームゲームなので、他のレーナーも存在しますよね。ボット側に敵のジャングルが映れば、味方の他のレーナーもそれに応じて行動できます。

ミッドにとってのワードの効果


特に、ミッドレーナーはマップの中心で戦って地形的には一番ジャングルによるガンクやサイドレーンのガンクを受けやすい場所です。ポジションには最大の注意を払ってファームや戦闘をしています。

なので、敵のジャングルの位置がわかるとガンクを受けないようにポジションを変更できます。チームの中心が崩れてしまうと、敵ミッドレーナーがサイドレーンにガンクをしたり、オブジェクトのコントロールに関わったりしてしまいますよね。

▲敵のラプター前にワードを設置した例(ミニマップの円)。敵ジャングルの場所がわかれば、ミッドも動きやすくなります

トップにとってのワードの効果


トップレーナーも同様です。トップレーナーはタンクやファイターなどの近距離攻撃をメインとしたチャンピオンが多いロールです。

そのため、敵を攻撃したりCSを取ったりするのにも基本的には敵に近づく必要があるので、戦ってからでは遅いんです。

例えば、敵の体力を上手に削ることができても、敵のジャングルのガンクが怖くてもう一歩踏み出せないなんて日常茶飯事です。ボット側に敵のジャングルが映れば、安全にそのもう一歩を踏み出すことができるし、上手にダメージトレードができるんです。

▲敵のジャングルの位置(ミニマップの円)を確認できているからこそ、トップは強気に攻められます

トップレーナーも、最序盤はドラゴンがないサイドにいることになるので孤独なレーンになりやすく、一回負けるとその不利が永遠に続いてしまうんですよね。何をするにも基本的には近距離戦なので敵に近づく必要があり、最悪の場合、CSを取ることさえもできなくなってしまいます。

ジャングルにとってのワードの効果


ジャングルも、常に敵のジャングルの行動を予測しながら、相手よりも有利を獲得するために動いてくれています。中立クリープを狩りながら、助ける必要があるレーン、逆に有利を広げられるレーンはないか、ガンクを受けそうなレーンは? ドラゴンやヘラルドのオブジェクトも取らなきゃ、って考えることが多いのです。

なので、敵のジャングルが映るだけでも、それに応じて有利な行動をとれるようになります、例えば敵チームのジャングルを荒らしたり、赤or青バフを奪ったりもできますね。

チームのためにもワードを置くことが大切なんです。

▲ボット側のワードに敵ジャングル(セジュアニ)が映ったので、ジャングルは安全に青バフをスティールできます


まとめ
  1. ADCを守って安全にファームさせる
    (少しでも多くのゴールドを獲得させるために、敵をキルしたりタワーを攻撃する)
  2. 視界を取るためにワードを置く
    (ADCを少しでも安全にファームさせる意味、相手のジャングルの位置の把握をする事で味方の他のレーナーが行動を判断し動くことができる意味)

ADCだけでなく、チーム全体のサポートを意識しよう


最後にサポートをする上で大事なことをもうひとつ。

サポートというロールは、ADCだけのサポートではなく、チームのサポートであるということを意識してください。序盤は確かにADCをサポートしながら試合を進めていきますが、もともとはチームのサポートです。

このゲームの勝ち方はたくさんあります。ADCを最初から最後まで守って勝つのもその一つですが、そのレパートリーだけでは勝てない試合も多いでしょう。

そのため、次回からは、序盤・中盤・終盤に分けながらサポートがどのように動いていけばいいのか、ADCと組み合わせたり、チームの構成に合わせたチャンピオンの選び方、メイジ/タンク/フック/エンチャンターに分けて、タイプ別で動き方などを、詳しく紹介していきます。

今回もありがとうございました。


今回紹介した『リーグ・オブ・レジェンド』用語集
  • ファーム(経験値やお金を稼ぐ)
  • ガンク(奇襲)
  • ADC(Attack Damage Carry)
  • CS(敵ミニオンのラストヒットを得ることで得られるゴールド)
  • ローム(歩き回るという意味。担当レーンを離れて、他レーンに移動したりすること)

Air(えあー)プロフィール


「サポートでもキャリーできる」をモットーに『リーグ・オブ・レジェンド』で活動。レートは最高ランクの「チャレンジャー」、ロールは「サポート」。シーズン10(2020年)終了時には日本サーバー12位、サポート1位を達成。初心者から上級者まで学べるサポート解説動画、配信を発信している。

Twitter:https://twitter.com/Air53xy
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