【大会特集】『LoL』国際大会「Mid Season Invitational 2022」

【MSI 2022 グループステージ振り返り】世界中の11チームが激突!「MSI」前半戦を振り返る

2022.5.19 SejuPoro
各地域から代表1チームが集って春夏シーズン間に行われる『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』国際大会「MSI」も、前半戦であるグループステージが終了した。全11チームの内、次のランブルステージへ進むことができるのは3つに分かれたグループの上位2チームのみ。各地域がそれぞれのプライドを賭けて挑んだグループステージ、各グループの結果をまずは振り返っていこう。

グループA:優勝候補T1が鎧袖一触、焦点は2位チームに


地元ファンの熱烈な視線を浴びるT1・Faker選手。今シーズンはキャリアの中でも素晴らしいパフォーマンスを披露し続けている

LCKでも圧倒的な強さを見せ、チームとしては韓国開催となる国際大会での初優勝を目指すT1に対し、2年ぶりの国際大会参加となるベトナム地域のSaigon Buffalo(SGB)、そしてラテン地域の新星Team Aze(AZE)に去年の活躍で注目が高まっている日本代表DetonatioN FocusMe(DFM)が挑むという関係で、グループAは進んだ。

試合においてはT1がその期待に応える強さを発揮して見せた。グループステージはあくまでウォーミングアップと言わんばかりにさまざまなピックを試しながらも、容赦ない展開力でジャイアントキリングを目指す挑戦者たちをねじ伏せて、全勝でのグループ突破だ。

SGBは日本の観戦ファンから「ベトナムの風が吹く」と呼ばれ愛されてもいる、攻撃的なスタイルを見事に披露して見せた。T1とのゲームはもちろん、DFMとも激闘を繰り広げながらその強さを発揮した。結果として、T1以外の試合できっちりと勝利をおさめて2位のでグループ突破を果たした。

AZEとDFMは、それぞれに格上となるチームと戦うための準備を整え、早い時間からリードを奪いに行く試合を見せることはできたものの力及ばず、互いに1勝ずつを分け合う形で3位での敗退となった。

グループA最終結果
  • 1位:T1(韓国代表・プール1) - 6勝0敗
  • 2位:Saigon Buffalo(ベトナム代表・プール2) - 4勝2敗
  • 3位敗退:DetonatioN FocusMe(日本代表・プール4) - 1勝5敗
  • 3位敗退:Team Aze(ラテンアメリカ代表・プール3) - 1勝5敗

グループB:プール2以下の3チームが大混戦に



グループステージ初日にPSGを破り喜び合うREDのメンバー。国際大会での低迷が続いているブラジル地域に希望の光をもたらした

昨年の「MSI」覇者として連覇に挑む中国代表Royal Never Give Up(RNG)、隣り合う地域で頻繁に選手の行き来もあり、中国チームとはある種のライバルともいえる南太平洋アジアPCS地域の代表PSG Talon(PSG)。昨年に引き続き出場を果たしているistanbul Wildcats(IW)と、ブラジルの存在感を示したいRED Canids(RED)がグループBで激突した。

強豪地域として圧倒的な強さを発揮するRNGだったが、前半戦を終えた段階でレイテンシーの問題が浮上し、すでに終えていた3試合が再試合となるというアクシデントに見舞われた。結果としてDay 5の最後に再試合3連戦というハードな日程に臨むこととなるが、再びその強さを見せつけて無敗のままランブルステージへと駒を進めた。

PSGは初戦となったRED戦で敗れたものの、その後は調子を取り戻して3勝3敗で2位通過を決めた。REDは事前評価の高いPSGとの戦いで勝利を収めたものの、その勢いで勝ちを重ねるまでには至らず2勝、昨年の雪辱を図ったIWが1勝でそれぞれ敗退となった。

グループB最終結果
  • 1位:Royal Never Give Up(中国代表・プール1) - 6勝0敗
  • 2位:PSG Talon(太平洋代表・プール2) - 3勝3敗
  • 3位敗退:RED Canids(ブラジル代表・プール4) - 2勝4敗
  • 4位敗退:istanbul Wildcats(トルコ代表・プール3) - 1勝5敗

グループC:過酷なクアドラプルラウンドロビンで英語圏チームが激突

LJLで2年間プレイしていたCorporal選手が所属していた、オセアニア代表ORDER。ランブルステージ進出はならず涙を呑んだ


1年ぶりに国際大会の舞台に帰ってきた欧州の王G2 Esports(G2)、北米地域の新たな星として期待を集めるEvil Geniuses(EG)、オセアニア地域の新たなリーグを勝ち上がってきたORDER(ORD)の3チームがグループCに集った。

このグループはチーム数が他グループより1つ少ないせいで、総当たり4回(クアドラプルラウンドロビン)と各チームあたりの試合が多いハードなグループで、かついわゆるEU vs NA(あるいはNA vs EU)と言われる伝統的なライバル関係のゲームが何度も繰り返される日程となった。

G2がプール1地域としての強さを見せつけ、追随する2チームを翻弄するゲームが続いた。一瞬ファンが不安になるようなシーンがあるのも「いつもの」G2のゲーム。EGは初出場ということで、新人が狙われるようなシーンからG2には敗れたものの、ORDにきっちり勝ち切って2位をキープ。ORDERは残念ながら勝利を挙げることはできなかった。

グループC最終結果
  • 1位:G2 Esports(欧州代表・プール1) - 8勝0敗
  • 2位:Evil Geniuses(北米代表・プール2) - 4勝4敗
  • 3位敗退:ORDER(オセアニア代表・プール4) - 0勝8敗

レイテンシー増加ツールによるトラブル、再試合


今大会はロックダウン中の上海にあるチームの施設からプレイしているRNGのメンバー。毎日のPCR検査が義務付けられ、建物からの外出もままならないという厳しい環境でのリモート出場となっている

こちらの記事でも報じられているが、グループBの決着日である5月13日の試合開始前に、lolesports公式Twitterにて、グループステージ前半のRNGがプレイした3試合を無効とし、再試合を行うと突然の発表があった。

今回の「MSI」はLPL代表であるRNGが現地である釜山に渡航できず、上海のチーム施設からプレイしている。中国から接続するとラグが大きくなるため、他のチームのプレイ環境でもレイテンシーを増加させ、平等な環境で大会が進行している……はずだった。しかし平等になっていたはずの環境では、釜山のグループステージ会場からの接続ラグの方が中国からの接続よりも大きくなっていたため、競技性を鑑みてRNGの試合のみ再試合という判断が下った。

これを受け、5月14日のグループCの試合終了後に3つの再試合が連続で行われ、全試合でRNGが勝利を収めた。

さらに5月17日に発表された詳細記事(英語)では、このレイテンシーの不均衡を引き起こしていた原因が、レイテンシー増加ツールにあったバグだったことが明かされた。システム修正後にこの問題は解消したものの、ゲーム内でのレイテンシーを示すPing値表示が、実際の値よりも13低くなっていることも判明したと解説されている。

「そもそも開催地に来ることのできない代表チームを大会に含めてもよかったのか?」「競技環境を公平にするという目的での一律レイテンシー増加は正しい解決法だったのか?」など、コミュニティでさまざまな議論を招いたこの問題。今回はこうした判断が下されたが、今後のeスポーツ国際大会の開催意義においても、考え続ける必要のあるトピックを提起したといえるだろう。


ランブルステージに向けて


5月14日の夜、釜山の広安里海水浴場のビーチでは「MSI」開催を記念したドローンショーが催され、訪れた人の目を楽しませた

メジャーリージョンとマイナーリージョンの差なく全地域がぶつかり合った今大会のグループステージは、いわゆるプール1・2のチームが順当に勝ち上がるという結果になった。

やはり期待がかかるのは、無敗で勝ち進んだ3地域の激突だろう。過去の対戦で言えば、G2は韓国チームには強いものの、中国チームは苦手としている。LPL(中国リーグ)とLCK(韓国リーグ)はシーズン毎に切磋しており、国際大会では常に覇権を競い合っているため、単純な比較は難しい。

圧倒的な強さで連勝記録を伸ばし続けているT1ではあるが、はたしてRNGやG2相手でも同じように勝ち続けられるのか?両チームの強さはT1に届くのか?春夏間の最強チームを決める戦いはまだまだこれからが熱い。


画像出典:LoL Esports Photos Flickr

Mid-Season Invitational 2022に関する最新情報
https://lolesports.com/article/mid-season-invitational-2022-update/bltd6b5a63691b4faf6
LoL Esports
https://lolesports.com/

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