【特集】 eスポーツ言いたい放題
【eスポーツ言いたい放題 2025-2026〈第1話〉】「今が世代混合の最後のタイミング」ウメハラの予言が現実に?——『スト6』、『Apex』から読み解く、2026年eスポーツの熱い展望
2026年度(令和8年度)4月からの新生活がスタートしてはや1カ月。新たな環境、人間関係の中で、学校や会社、地域コミュニティでも少しずつ馴染んできた頃だろう。eスポーツ業界にとっても、主に学生や社会人のチームメンバーの出会いと別れ、新たなeスポーツタイトルにふれるきっかけにもなりやすい季節だ。
そこで今回は、2026年度を展望する10個のキーワードを挙げて座談会を実施。2025年度も振り返りながら、どんな年になるのかを占ってみた。肩の力を抜いて、無礼講な空気で楽しんでいただければ幸いだ。
井ノ川:あらためて2025年から2026年にかけての日本のeスポーツ業界を振り返ると、やっぱり『ストリートファイター6』の年、でしたよね。
宮下:3月の「CAPCOM CUP 12」(CC12)と「ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2025」(SFL: WC 2025)に始まり、ウメハラ vs MenaRDの10先「獣道」や「EVO Japan 2026」も開催されて、間にはアレックスやイングリッドなどの新キャラも登場、ストリーマー大会も各地で大盛況……。止まるところを知らぬ人気で、eSports Worldの記事も盛り上がってますね。
井ノ川:選手に目を向けてみても、2025年は若手の成長が見られて“タレント”がそろっていました。さはら選手やあでりい選手は、リーグ初参戦でありながら「SFL 2025」で大活躍しましたし、中国大会で優勝したひなお選手もそう。さはら選手なんてそのまま「CC12」まで優勝しちゃいましたしね。
宮下:若手というと竹内ジョン選手、ナウマン選手、ひぐち選手、Shuto選手あたりのイメージだったのにね。なんか一足飛びにさらに若い選手たちが活躍する時代がきた感じがする。全日本高校eスポーツ選手権2025にも『スト6』が初採用されて、taketake-piano選手みたいにプロとして活動している高校生も出てきたし。
井ノ川:なんか、ウメハラ選手が配信で言ってた「今が世代が混合している最後のタイミングなのかも」っていう言葉は的を射ていた感じがします。『スト7』がもし出るとしたら、世代が入れ替わるタイミングなんじゃないかって言ってました。そうなったらもう年配の人はついていけなくなりそう。
宮下:特に、『スト6』になってかなりフィジカル重視というか、「ドライブインパクト」とか「ジャストパリィ」とか、予測も必要だけど反射神経寄りなテクニックを要求されるゲーム性にはなってきましたからね。FPSみたいに若い子の方が活躍しやすくなってきてるのかな。Blaz選手然り、EndingWalker選手然り。
井ノ川:でも、ウメハラ選手にしても「ワールドウォリアー日本大会」で2位になってますし、GO1選手なんて「ワールドウォリアー日本大会」での優勝、「Esports World Cup 2025」の『餓狼伝説 City of the Wolves』で優勝までしてます。「獣道」もMenaRDに敗れたものの、むしろやる気十分という感じだし、個人的にはまだまだがんばってもらいたいなぁ。
宮下:日本eスポーツアワード2026でGO1選手にインタビューした時も、「引退まで考えてた」って話してましたけど、特に昨年後半からは「ベテランがきついとかまだまだ言わせないぞ!」っていう気概を感じましたね。
関連記事:【インタビュー】 涙の受賞、その裏側で何があったのか ──日本eスポーツアワード 年間最優秀プレーヤーのGO1が語る引退寸前からの復活
井ノ川:ただ、ベテランの中でもウメハラ選手やsako選手は結構きつそうで、脳と手の動きがリンクしていないのかなと感じることはありましたね。ちゃんと返せる技が返せていなかったり——。そこがちょっと悲しくて。
宮下:我々も世代はふたりとほぼ一緒だから、自分たちの衰えも分かるし、余計に感じちゃいますね。
井ノ川:そう考えると、今の環境ってすごく貴重なんですよね、若い子たちがベテランから学べるという意味で。これから“おじ”たちがどんどんいなくなっちゃうのかな……っていう気もしました。
宮下:それくらい、若い子たちの伸びが見えてきたってことですよ。30代、40代でも若手と現役で対等に戦えるeスポーツなんて、『スト6』と『ぷよぷよ』くらいでしょう。サッカーのカズ(三浦知良選手)だって、還暦なのに現役ですよ。まだまだいけると思います。
井ノ川:カズは——なんていうかフィジカル以外の何かで現役を続けている気がしますけどね(笑)。
井ノ川:日本開催という意味では、『エーペックスレジェンズ』(Apex)の世界大会「ALGS」の盛り上がりもすごかったですね。札幌開催は2回目でしたが、世界中のファンや選手の反響もすごくて、2027年大会の開催も決定しているし。
実は、『Apex』って一瞬オワコンになっちゃったのかな……って思っていた時期もあったんですけど、まったくそんなことなくて。大会を開けばこれだけ実力者が集まるし、コミュニティもプレーヤーもちゃんと根付いていて、現地観戦したファンも大勢いた。まだまだ『Apex』ってすごいんだなってあらためて感じました。
宮下:もともと『Apex』はリリース直後から日本での人気が高かったですしね。
井ノ川:ただ、『Apex』については、始まった瞬間から不公平が始まる「バトロワの運要素」が、頭の片隅にずっと残っているんですよね。
宮下:その考えは自分も根強いです。『VALORANT』とか『リーグ・オブ・レジェンド』と比べると一番大きい差。でもその運要素がこのゲームの魅力でもあったりするからなぁ。
井ノ川:いきなりいい武器を“取れるかもしれないけど、取れないかもしれない”っていうところからのスタートが競技性としてどうしても……。ただ、そう感じている人が他にもいるから、同様のバトロワ系タイトルでもある『フォートナイト』にも、純粋に撃ち合うだけのモードが追加されたり、毛色を変えてきているのかなって思ってます。
宮下:自分の根底にあるのは、ゲームとしての面白さというよりも、努力した分だけ報われるべきっていう、自分が経験してきた「スポーツ」のイメージなのかなと思うんです。機会が平等に与えられて、ルールの中で体格差とかはあるにしても、お互いに練習してきたものをぶつけ合うのがスポーツの対決であるべし、みたいな。
eスポーツってダイバーシティとか体格差も性差もないって言われているけど、『スト6』でも言ったように年齢差は結構あるのが実態で。そこに運の要素、というかゲーム的な要素が含まれることに対する抵抗があるのかなぁ。古臭い考えなんでしょうけどね。
井ノ川:まあ、私はeスポーツに体格差や性差がないとは断言できない派です。逆を言うと、スポーツ同様、eスポーツにも性差による差はあると思っています。誰でもできる=誰でも強くなれる訳ではないですからね。極めればそこに肉体差や性差が絡んでくると考えています。
って脱線しちゃったけど、話を元に戻すと2025年〜2026年は『Apex』も『スト6』も人気を博したし、日本で人気を独占してきた『VALORANT』と『LoL』というメジャータイトル以外のゲームが流行ったのは、新しい空気が入ってきた感じもしました。
井ノ川:大会関係で言えば、新型コロナが終息してから一気にオフラインイベントが増えて、この1年間もかなり多くなりましたよね。「VALORANT Challengers Japan」とかは国内大会なのに観客が殺到したし、「CC12」の演出も進化していた。
ただ、個人的には大会配信はもうちょっと力を入れてほしいと常々思ってます。
宮下:どんなところが?
井ノ川:特に『スト6』とか『VALORANT』とか、会場に来ても大画面でゲーム画面だけを見ているだけという感じがして、ほんとにこれでいいのかな? って思っちゃうんです。せっかくプロが出演しているんだから、私はもっとプロの選手の表情とか手の動きとかを見たい。
じゃないと、うまい人の野良試合をオンラインで見ているのと同じ感覚にもなっちゃって。選手の顔とかも小さく画面に出てはいるんですけど、やっぱり臨場感がないし、画質もあまりきれいじゃないんですよ。
宮下:サッカーとかのスポーツは、当たり前だけど選手がずっと映されてますよね。で、シュートシーンになると選手がアップになったりリプレイされたりして、その選手がすごいということが直感的に伝わる。テクニックとかルールが分からない人でも、そのすごさがなんとなく伝わりますからね。
井ノ川:eスポーツで言えば、選手のこんな手捌きがすごいとか、「LeShar選手のヒット確認やばくない?」 みたいな神技を見たいんだけど、そういうのが一切ないんですよ。
宮下:逆に、eスポーツのコアなファン以外には選手を映しても伝わらないからじゃないですかね、レバーやボタンの操作のすごさって。最近は、韓国とかの選手を中心に、手元を映さないようにするためのガードをしている選手もいますし。NL選手とかXiaohai選手とかね。
井ノ川:あれは、単純に隣り合ったりした時に相手に操作が見えないようにするためで、むしろそれも含めて「えっ、何あれ!」って話が盛り上がると楽しいと思うんだけどなぁ。会場でしか味わえない表情とか手元がもっと見えるような見せ方の工夫は欲しいです。
宮下:自分は、『VALORANT』とかでラウンドを取ったらグータッチしたり、勝利したら立ち上がって抱き合ったりするところが好きですね。自分の好きな『LoL』ではあまり見られない。「LJL」なんかは各自の自宅から戦ってるから仕方ないんですが、チーム戦だからこそ勝利の喜びを分かち合えるのもeスポーツの文化だと思うんですけどね。みんなシャイなのかなぁ(笑)。
井ノ川:さらに言うと、オンラインの試合で個々の表情とかを配信するのであれば、もっと選手の表情が確認できるサイズ感でもいいと思うんですよね。今だと、雰囲気でワイプ感覚で置いてあるだけって感じだし、なんなら画面と選手の顔がリンクしていないこともあるし……。
宮下:自分も同感ですが、そのせいでオンラインで大会に参加できる気軽さがスポイルされるのももったいないですよね。例えば「ワールドウォリアー日本大会」なんかは、家から誰でも参加できる世界大会への道ですし。全日本高校eスポーツ選手権なんかは通信制高校部門もあって、決勝戦も自宅から参戦している選手が多いんですよ。自宅で日本一になることって、逆に他のスポーツではできないし、ある意味ではeスポーツの特徴とも言えるかもしれない。
井ノ川:まあ、今の話はあくまで「プロの試合に焦点を置いた話」なんで、気軽に参加できるオープン大会に関しては今のままでもいいと思いますよ。要するに、賞金や日本一がかかっていたり、「CC」とか「SFL」のように観戦が有料の大会だけでも、お金を払って観る人の期待値を裏切らない環境ってもっとあるんじゃないかなぁってところです。
宮下:もちろん、選手もオフラインで戦いたいだろうし、やっぱり特別な場で戦う緊張感も醍醐味だったりするからね。国際大会のオフラインでの緊張感とか、経験しないと実力発揮するのは難しいともよく言われるし。
井ノ川:ゲーム画面も顔も、もうちょっと解像度上げてもいいんじゃないかなって。いまや4Kとか当たり前になっていて、『VALORANT』も4Kでゲームもできるのに、なぜ配信はずっと4Kじゃないんだってずっと思っていたんです。
宮下:『VALORANT』って4Kでも遊べるんだっけ?
井ノ川:もちろんです! 元々ゲームも軽いから240fpsくらいなら全然出ますし、そもそも配信の時点でリフレッシュレートは60fpsに制限されるので、画質優先にしてマップを大きく見せる配信を作るとか、やってほしいことはいっぱいあります。費用とか環境を整えるのが難しいのかなとも思いますね。
宮下:もし今後、視聴者がお金を払って、特別な試合をみんなで一喜一憂して騒いで楽しむのが当たり前になっていくとしたら、観る人側の満足度を上げるのも大事ですね。
井ノ川:「SFL 2025」のプレーオフも初期は有料配信で、1カ月後に無料配信が解禁されていたけど、レギュラーシーズンと環境も演出も変わらず、ただ「プレーオフ」っていう特別な試合だから有料なだけ。視聴料を払っているのに試合の合間にはスポンサーのCMも入って長いインタターバルがあるし——。有料でこれはちょっとなぁと。
宮下:そう言われれば、CMは入ってましたね。
井ノ川:映画ですら、最初にまとめて予告編とか放映して、本編は一切CMとかはないじゃないですか。まあ「SFL」は進行上インターバルがどうしても必要ですけど、あそこにCMを入れるのかって思っちゃったんです。なにか有料配信ならではの特別なコンテンツをやってほしかったなぁって。
宮下:そうだね。
井ノ川:みんながワクワクして見に来てるのに、有料の特別なコンテンツがないことがまかり通っちゃってる現状に「えっ?」って思っちゃって。以前あった選手交代のシーンとか、作戦会議中の内容が聞けたりしたら、それだけでもお金を払ってよかったって思えるんですけどね。
宮下:今後の進化に期待、ですね。
——第2話に続く——
編集:いのかわゆう
そこで今回は、2026年度を展望する10個のキーワードを挙げて座談会を実施。2025年度も振り返りながら、どんな年になるのかを占ってみた。肩の力を抜いて、無礼講な空気で楽しんでいただければ幸いだ。
宮下英之
eSports Worldの企画・立ち上げから関わっている中堅編集者。『LoL』ではついにシルバーに到達したものの、また大きな壁にぶつかり、サポートからレーン変更を検討中。モルガナOTP。
eSports Worldの企画・立ち上げから関わっている中堅編集者。『LoL』ではついにシルバーに到達したものの、また大きな壁にぶつかり、サポートからレーン変更を検討中。モルガナOTP。
井ノ川結希(いのかわゆう)
eSports Worldの企画・立ち上げから関わっている編集者兼ライター。『スト2』全盛期から格闘ゲームにどハマりするも、ふとしたきっかけで『Counter-Strike: Global Offensive』をプレーしFPSに足を突っ込む。そんなこんなで今では、『ストリートファイター6』や『VALORANT』がメインの担当に。ゴルフにはまりすぎてeスポーツ界隈の人とラウンドするきっかけをうかがってしまうゴルフ女子。
eSports Worldの企画・立ち上げから関わっている編集者兼ライター。『スト2』全盛期から格闘ゲームにどハマりするも、ふとしたきっかけで『Counter-Strike: Global Offensive』をプレーしFPSに足を突っ込む。そんなこんなで今では、『ストリートファイター6』や『VALORANT』がメインの担当に。ゴルフにはまりすぎてeスポーツ界隈の人とラウンドするきっかけをうかがってしまうゴルフ女子。
衰えを知らない『ストリートファイター6』人気の理由
井ノ川:あらためて2025年から2026年にかけての日本のeスポーツ業界を振り返ると、やっぱり『ストリートファイター6』の年、でしたよね。
宮下:3月の「CAPCOM CUP 12」(CC12)と「ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2025」(SFL: WC 2025)に始まり、ウメハラ vs MenaRDの10先「獣道」や「EVO Japan 2026」も開催されて、間にはアレックスやイングリッドなどの新キャラも登場、ストリーマー大会も各地で大盛況……。止まるところを知らぬ人気で、eSports Worldの記事も盛り上がってますね。
井ノ川:選手に目を向けてみても、2025年は若手の成長が見られて“タレント”がそろっていました。さはら選手やあでりい選手は、リーグ初参戦でありながら「SFL 2025」で大活躍しましたし、中国大会で優勝したひなお選手もそう。さはら選手なんてそのまま「CC12」まで優勝しちゃいましたしね。
宮下:若手というと竹内ジョン選手、ナウマン選手、ひぐち選手、Shuto選手あたりのイメージだったのにね。なんか一足飛びにさらに若い選手たちが活躍する時代がきた感じがする。全日本高校eスポーツ選手権2025にも『スト6』が初採用されて、taketake-piano選手みたいにプロとして活動している高校生も出てきたし。
井ノ川:なんか、ウメハラ選手が配信で言ってた「今が世代が混合している最後のタイミングなのかも」っていう言葉は的を射ていた感じがします。『スト7』がもし出るとしたら、世代が入れ替わるタイミングなんじゃないかって言ってました。そうなったらもう年配の人はついていけなくなりそう。
宮下:特に、『スト6』になってかなりフィジカル重視というか、「ドライブインパクト」とか「ジャストパリィ」とか、予測も必要だけど反射神経寄りなテクニックを要求されるゲーム性にはなってきましたからね。FPSみたいに若い子の方が活躍しやすくなってきてるのかな。Blaz選手然り、EndingWalker選手然り。
井ノ川:でも、ウメハラ選手にしても「ワールドウォリアー日本大会」で2位になってますし、GO1選手なんて「ワールドウォリアー日本大会」での優勝、「Esports World Cup 2025」の『餓狼伝説 City of the Wolves』で優勝までしてます。「獣道」もMenaRDに敗れたものの、むしろやる気十分という感じだし、個人的にはまだまだがんばってもらいたいなぁ。
『餓狼伝説 City of the Wolves』部門のグランドファイナルはGO1 vs Xiaohai。ともにベテランの強さを見せつけてくれた
宮下:日本eスポーツアワード2026でGO1選手にインタビューした時も、「引退まで考えてた」って話してましたけど、特に昨年後半からは「ベテランがきついとかまだまだ言わせないぞ!」っていう気概を感じましたね。
関連記事:【インタビュー】 涙の受賞、その裏側で何があったのか ──日本eスポーツアワード 年間最優秀プレーヤーのGO1が語る引退寸前からの復活
井ノ川:ただ、ベテランの中でもウメハラ選手やsako選手は結構きつそうで、脳と手の動きがリンクしていないのかなと感じることはありましたね。ちゃんと返せる技が返せていなかったり——。そこがちょっと悲しくて。
宮下:我々も世代はふたりとほぼ一緒だから、自分たちの衰えも分かるし、余計に感じちゃいますね。
井ノ川:そう考えると、今の環境ってすごく貴重なんですよね、若い子たちがベテランから学べるという意味で。これから“おじ”たちがどんどんいなくなっちゃうのかな……っていう気もしました。
宮下:それくらい、若い子たちの伸びが見えてきたってことですよ。30代、40代でも若手と現役で対等に戦えるeスポーツなんて、『スト6』と『ぷよぷよ』くらいでしょう。サッカーのカズ(三浦知良選手)だって、還暦なのに現役ですよ。まだまだいけると思います。
井ノ川:カズは——なんていうかフィジカル以外の何かで現役を続けている気がしますけどね(笑)。
札幌連続開催中の『エーペックスレジェンズ』世界大会「ALGS 2025」の人気
井ノ川:日本開催という意味では、『エーペックスレジェンズ』(Apex)の世界大会「ALGS」の盛り上がりもすごかったですね。札幌開催は2回目でしたが、世界中のファンや選手の反響もすごくて、2027年大会の開催も決定しているし。
実は、『Apex』って一瞬オワコンになっちゃったのかな……って思っていた時期もあったんですけど、まったくそんなことなくて。大会を開けばこれだけ実力者が集まるし、コミュニティもプレーヤーもちゃんと根付いていて、現地観戦したファンも大勢いた。まだまだ『Apex』ってすごいんだなってあらためて感じました。
「ALGS Year 5」は北米の「OBLIVION」が初優勝を果たした
宮下:もともと『Apex』はリリース直後から日本での人気が高かったですしね。
井ノ川:ただ、『Apex』については、始まった瞬間から不公平が始まる「バトロワの運要素」が、頭の片隅にずっと残っているんですよね。
宮下:その考えは自分も根強いです。『VALORANT』とか『リーグ・オブ・レジェンド』と比べると一番大きい差。でもその運要素がこのゲームの魅力でもあったりするからなぁ。
井ノ川:いきなりいい武器を“取れるかもしれないけど、取れないかもしれない”っていうところからのスタートが競技性としてどうしても……。ただ、そう感じている人が他にもいるから、同様のバトロワ系タイトルでもある『フォートナイト』にも、純粋に撃ち合うだけのモードが追加されたり、毛色を変えてきているのかなって思ってます。
宮下:自分の根底にあるのは、ゲームとしての面白さというよりも、努力した分だけ報われるべきっていう、自分が経験してきた「スポーツ」のイメージなのかなと思うんです。機会が平等に与えられて、ルールの中で体格差とかはあるにしても、お互いに練習してきたものをぶつけ合うのがスポーツの対決であるべし、みたいな。
eスポーツってダイバーシティとか体格差も性差もないって言われているけど、『スト6』でも言ったように年齢差は結構あるのが実態で。そこに運の要素、というかゲーム的な要素が含まれることに対する抵抗があるのかなぁ。古臭い考えなんでしょうけどね。
井ノ川:まあ、私はeスポーツに体格差や性差がないとは断言できない派です。逆を言うと、スポーツ同様、eスポーツにも性差による差はあると思っています。誰でもできる=誰でも強くなれる訳ではないですからね。極めればそこに肉体差や性差が絡んでくると考えています。
って脱線しちゃったけど、話を元に戻すと2025年〜2026年は『Apex』も『スト6』も人気を博したし、日本で人気を独占してきた『VALORANT』と『LoL』というメジャータイトル以外のゲームが流行ったのは、新しい空気が入ってきた感じもしました。
大会配信について物申す! もっと選手にフォーカスを
井ノ川:大会関係で言えば、新型コロナが終息してから一気にオフラインイベントが増えて、この1年間もかなり多くなりましたよね。「VALORANT Challengers Japan」とかは国内大会なのに観客が殺到したし、「CC12」の演出も進化していた。
ただ、個人的には大会配信はもうちょっと力を入れてほしいと常々思ってます。
宮下:どんなところが?
井ノ川:特に『スト6』とか『VALORANT』とか、会場に来ても大画面でゲーム画面だけを見ているだけという感じがして、ほんとにこれでいいのかな? って思っちゃうんです。せっかくプロが出演しているんだから、私はもっとプロの選手の表情とか手の動きとかを見たい。
じゃないと、うまい人の野良試合をオンラインで見ているのと同じ感覚にもなっちゃって。選手の顔とかも小さく画面に出てはいるんですけど、やっぱり臨場感がないし、画質もあまりきれいじゃないんですよ。
宮下:サッカーとかのスポーツは、当たり前だけど選手がずっと映されてますよね。で、シュートシーンになると選手がアップになったりリプレイされたりして、その選手がすごいということが直感的に伝わる。テクニックとかルールが分からない人でも、そのすごさがなんとなく伝わりますからね。
井ノ川:eスポーツで言えば、選手のこんな手捌きがすごいとか、「LeShar選手のヒット確認やばくない?」 みたいな神技を見たいんだけど、そういうのが一切ないんですよ。
宮下:逆に、eスポーツのコアなファン以外には選手を映しても伝わらないからじゃないですかね、レバーやボタンの操作のすごさって。最近は、韓国とかの選手を中心に、手元を映さないようにするためのガードをしている選手もいますし。NL選手とかXiaohai選手とかね。
SWCは手元を隠す道具が禁止に。
— おえっぷ (@oep2002) February 10, 2026
向かい合ってモニター越しに対戦する事が明記された。 https://t.co/A73WTvz4Bn pic.twitter.com/AszG51kb03
格闘ゲームでは、ボタンやレバーの操作を見れば、ある程度相手の動きが読み取れてしまうことから、手元を隠すプレーヤーが現れた。これはこれで面白いのだが、一部の大会ではこの行為が禁止となり、波紋を呼んでいる
井ノ川:あれは、単純に隣り合ったりした時に相手に操作が見えないようにするためで、むしろそれも含めて「えっ、何あれ!」って話が盛り上がると楽しいと思うんだけどなぁ。会場でしか味わえない表情とか手元がもっと見えるような見せ方の工夫は欲しいです。
宮下:自分は、『VALORANT』とかでラウンドを取ったらグータッチしたり、勝利したら立ち上がって抱き合ったりするところが好きですね。自分の好きな『LoL』ではあまり見られない。「LJL」なんかは各自の自宅から戦ってるから仕方ないんですが、チーム戦だからこそ勝利の喜びを分かち合えるのもeスポーツの文化だと思うんですけどね。みんなシャイなのかなぁ(笑)。
井ノ川:さらに言うと、オンラインの試合で個々の表情とかを配信するのであれば、もっと選手の表情が確認できるサイズ感でもいいと思うんですよね。今だと、雰囲気でワイプ感覚で置いてあるだけって感じだし、なんなら画面と選手の顔がリンクしていないこともあるし……。
宮下:自分も同感ですが、そのせいでオンラインで大会に参加できる気軽さがスポイルされるのももったいないですよね。例えば「ワールドウォリアー日本大会」なんかは、家から誰でも参加できる世界大会への道ですし。全日本高校eスポーツ選手権なんかは通信制高校部門もあって、決勝戦も自宅から参戦している選手が多いんですよ。自宅で日本一になることって、逆に他のスポーツではできないし、ある意味ではeスポーツの特徴とも言えるかもしれない。
井ノ川:まあ、今の話はあくまで「プロの試合に焦点を置いた話」なんで、気軽に参加できるオープン大会に関しては今のままでもいいと思いますよ。要するに、賞金や日本一がかかっていたり、「CC」とか「SFL」のように観戦が有料の大会だけでも、お金を払って観る人の期待値を裏切らない環境ってもっとあるんじゃないかなぁってところです。
宮下:もちろん、選手もオフラインで戦いたいだろうし、やっぱり特別な場で戦う緊張感も醍醐味だったりするからね。国際大会のオフラインでの緊張感とか、経験しないと実力発揮するのは難しいともよく言われるし。
井ノ川:ゲーム画面も顔も、もうちょっと解像度上げてもいいんじゃないかなって。いまや4Kとか当たり前になっていて、『VALORANT』も4Kでゲームもできるのに、なぜ配信はずっと4Kじゃないんだってずっと思っていたんです。
宮下:『VALORANT』って4Kでも遊べるんだっけ?
井ノ川:もちろんです! 元々ゲームも軽いから240fpsくらいなら全然出ますし、そもそも配信の時点でリフレッシュレートは60fpsに制限されるので、画質優先にしてマップを大きく見せる配信を作るとか、やってほしいことはいっぱいあります。費用とか環境を整えるのが難しいのかなとも思いますね。
『PUBG』には、本配信とは別に俯瞰マップの視点を配信する「MAP配信」というものがある。このような視聴者が見たいを少しずつ増やしていける環境作りも必要そうだ
宮下:もし今後、視聴者がお金を払って、特別な試合をみんなで一喜一憂して騒いで楽しむのが当たり前になっていくとしたら、観る人側の満足度を上げるのも大事ですね。
井ノ川:「SFL 2025」のプレーオフも初期は有料配信で、1カ月後に無料配信が解禁されていたけど、レギュラーシーズンと環境も演出も変わらず、ただ「プレーオフ」っていう特別な試合だから有料なだけ。視聴料を払っているのに試合の合間にはスポンサーのCMも入って長いインタターバルがあるし——。有料でこれはちょっとなぁと。
宮下:そう言われれば、CMは入ってましたね。
井ノ川:映画ですら、最初にまとめて予告編とか放映して、本編は一切CMとかはないじゃないですか。まあ「SFL」は進行上インターバルがどうしても必要ですけど、あそこにCMを入れるのかって思っちゃったんです。なにか有料配信ならではの特別なコンテンツをやってほしかったなぁって。
宮下:そうだね。
井ノ川:みんながワクワクして見に来てるのに、有料の特別なコンテンツがないことがまかり通っちゃってる現状に「えっ?」って思っちゃって。以前あった選手交代のシーンとか、作戦会議中の内容が聞けたりしたら、それだけでもお金を払ってよかったって思えるんですけどね。
宮下:今後の進化に期待、ですね。
——第2話に続く——
編集:いのかわゆう
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