テレワークとeスポーツを両立! 業務がはかどるゲーミングデバイスの選び方【ゲーミングモニター編】

2020.6.12 宮下英之
会社に出勤せず、自宅で業務を行う「テレワーク」(在宅勤務。リモートワーク)の増加で、にわかに注目を集めているeスポーツ向けゲーミングデバイス。長時間、集中することが要求されるeスポーツでのニーズと、デスクワークのニーズは共通点が多い。

そこで、eスポーツタイトルを楽しむのにも最適で、テレワークにも役立つゲーミングデバイスをこの機会にそろえてしまおう、というのがこの企画の趣旨である。

今回はモニター編。eスポーツで要求される要素は、デスクワークで必要とされる要素とはだいぶ違う。

たとえばノートPCの内蔵モニターでも、最近は高解像度で見栄えが非常にいいパネルを使用している。そのままでも業務に支障はない。

ただ、長時間画面の文字やデータを扱っていると、目の疲れ、肩こりなどはどうしても発生する。ノートPCの内蔵モニターの場合は特に、視線が下に向くため首が傾き、肩こりの原因になる。

それもあって、外付けのモニターを使って、高さや画質を調整したり、デュアルモニター化して表示領域を広げるといったかたちで、 テレワークの効率をアップさせることができる。

もちろん、前提としてゲーミングモニター特有の応答速度やリフレッシュレートが高いものを選ぶことも忘れてはいけない。業務はもちろんだが、ゲーミングにも役立つモニター。それが今回の企画の大前提なのだ。

というわけで、「ゲーミングモニター編」ではデスクワークを前提に考えた場合に、どんなゲーミングモニターを選べばゲームとテレワークを両立しやすいのか、という観点で解説しよう。

第1回:ゲーミングチェア編はこちら
第2回:ゲーミングキーボード&マウス編はこちら
第3回:ゲーミングヘッドセット編はこちら

テレワークに最適なモニター環境とは?


「テレワークがはかどるゲーミングデバイス」を考えた場合に、ゲーミングモニターに求められる性能は主に3つだ。

  1. 応答速度、リフレッシュレートなどのスペック(ゲーム用途)
  2. 原寸大を表示できる画面サイズ・インチ数(業務用途)
  3. 色再現性の高いIPSパネル(ゲーム・業務両方)

ゲームをプレイする上で自分が最低限必要と考えている機能を満たしているゲーミングモニターを買って、それをテレワークでも使えばいい、という考え方の方がわかりやすいだろう。

(1)応答速度、リフレッシュレートなどのスペック


入力遅延、応答速度、リフレッシュレート……といった用語は、eスポーツ向けモニターの話題になると必ず登場するのでご存じの方も多いと思う。

簡単にいえば、PCやゲーム機から出力された映像をモニターに表示するまでの時間やスペックのことだ。

ゲームは人間が画面を見て、その状況を判断してプレイするもの。画面に表示される情報が遅かったり不具合があったりすると、人間の判断の手前の段階で遅れたり認識できなかったりして、ゲームの勝敗にも影響する。

これらの数値を細かくみていくとそれぞれ企画にできるほどなので詳細は省くが、できるだけ早く、できるだけ遅延なく、というのがベストなのは言うまでもない。知識がなくても、モニターのスペックに書かれている数値である程度は判断できる。

たとえば応答速度は1ms(ミリ秒)、リフレッシュレートは最低でも144Hz以上で、最近では240Hzや300Hzあった方が確実に有利……といった具合だ。

NVIDIAの公式チャンネルで公開されているフレームレートの違いによる画面表示の差。これを見るだけでも高いリフレッシュレートを持つモニターが欲しくなるだろう


PCなどの性能としてよく「高いフレームレートが出せる」ということが言われるが、PC側の性能が高くても、そのフレームレートを表示できるモニターがなければ意味がない。最近ではeスポーツのトップリーグでは240fpsくらい出せる環境はザラにある。そこに合わせるためのモニターも相応のスペックが必要になるのだ。

ちなみに、PlayStation 4しか遊んでいないユーザーであれば、本体の性能的に60fps以上の性能を引き出すことができないので高価なモニターは必要ない。ただ、PlayStation 5では120Hzまで出力可能になっており、今後は120Hzがリフレッシュレートの最低ラインとなる。モニターはあまり故障することがないため、長く使うことを考えれば、ある程度高性能なモデルを選んでおいた方があとあと損をしなくて済む。

(2)原寸大を表示できる画面サイズ・インチ数


最近では、ノートPCのように15インチ程度の小さな画面サイズの中に、A4サイズ見開きのWord書類を開いたり、Excelのセルを多数表示させることで表示領域自体は広くすることができている。

ただし、ひとつの画面の中に情報を入れ込むということは、当然ながら表示サイズは縮小されていく。小さい文字は視認しにくく、目も疲れやすくなる。いくらパネルの性能が上がって細かい文字が破綻なく表示できるようになったとしても、人間の目の方が小さすぎて見づらかったり疲れてしまっては元も子もない。

一番簡単な指標は、Microsoft Wordなどの書類をPC上で実寸(100%)表示にした場合に、紙などの印刷物と同等サイズ以上で表示できるスペックを選ぶことだ。

例えば、業務用書類で一般的に使われるA4サイズは横210mm×縦297mm。これをWordなどでツールボタンやウィンドウ枠を含まずに100%で閲覧するためには24インチでは足りず、最低でも27インチ以上は欲しい。

ちなみに、最近のゲーミングモニターはたいてい縦位置表示も可能になっており、A4サイズで言えば縦位置なら22インチ程度で100%表示が可能だ。

主なゲーミングモニターの実寸サイズ(概算)
22インチ 縦27.4cm×横48.6cm
24インチ 縦29.7cm×横53.4cm
27インチ 縦33.6cm×横59.7cm
32インチ 縦39.8cm×横70.7cm


そして、eスポーツ大会などで採用されているモニターの多くも24インチもしくは27インチ。つまり、このあたりのサイズを購入しておけばどちらのニーズも満たすことができるというわけだ。

なお、4Kなどの高解像度を持つモニターもあるが、PlayStation 5の発売によって潮目が変わった。PS5では、高画質な映像コンテンツを鑑賞したり、eスポーツ以外で高画質なグラフィックを堪能したいゲームをプレイしない限りは、ゲーム用途でも業務用途でも4Kはオーバースペックと言っていい。その分、別のスペックに予算を割いた方がいいだろう。

(3)色再現性の高いIPSパネル


色再現性は、言葉のとおりどれくらいまで忠実にデータの色みなどを再現できるかという指標。モニターが持つハードウェア的な調整、OSに備わっている調整機能も利用できるものの、パネル自体の限界以上にはならないのは当然のことだ。なので、ゲーミングモニターで業務を行う際には、ある程度そのあたりを犠牲にせざるをえなかった。

というのも、ゲーミングモニターの性能を決める重要なパーツ「パネル」には、TN(Twisted Nematic)、IPS(In Plane Switching)、VA(Vertical Alignment)という3タイプがあるのだが、このうちリフレッシュレートや応答速度の面で有利かつ安価なのはTNパネルだったため。


最近は画像や動画編集を行うプロゲーマーやストリーマーも増えており、より重視される傾向になってきている

……というのがこれまでのトレンドだったのだが、最近になって、ゲーミングモニターでも手ごろな価格でIPSパネルを採用するモデルが登場し始めている。もちろん、応答速度やリフレッシュレートも160Hzとか240Hzといった高レートを実現しつつ画質も向上している。

ゲームだけに限定するならばTNパネルでいい。ただし今回の趣旨である業務とゲームを兼ねたい人には、購入してから後悔しないように、IPSパネルを選ぶことを強くオススメしたい。

まとめ


いかがだっただろうか。

モニターは日進月歩で性能を向上し続けている。ただし、対応するPCやゲーム機側の性能も要求されるため、モニターだけを高性能にしても宝の持ち腐れということになりかねない。高いフレームレート出力を実現するのはPCであり、リフレッシュレートがいくら高くてもPC側の性能が足りなければ意味がないからだ。

このスペックを満たせるゲーミングモニターは、いわゆるeスポーツ大会などをスポンサードしているメーカーが多いため、きっとテレワークもゲームも満たせる製品に出会えるはず。価格は3万円台から販売されている。

eスポーツにとっての「目」にあたるゲーミングモニターを導入し、テレワークの効率アップとともに、勝率アップも実現しよう!


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