テレワーク常態化の「新しい生活様式」に必須! ゲーミングデバイスの選び方【ゲーミングヘッドセット編】

2020.6.7 宮下英之
会社に出勤せず、自宅で業務を行う「テレワーク」(リモートワーク)の増加で、にわかに注目を集めているeスポーツ向けゲーミングデバイス。長時間、集中することが要求されるeスポーツでのニーズと、デスクワークのニーズは共通点が多い。

そこで、eスポーツタイトルを楽しむのにも最適で、テレワークにも役立つゲーミングデバイスをこの機会にそろえてしまおう、というのがこの企画の趣旨である。

今回は、今回のテレワークで一気に需要が広まったマイク付きのヘッドホン、いわゆる「ゲーミングヘッドセット」を取り上げたい。実際に、一般のヘッドセットからゲーミングヘッドセットまで、このジャンルはテレワークの普及に合わせてかなり売り上げが伸びている。どのような製品を選べばいいのか、解説していこう。

第1回:ゲーミングチェア編はこちら
第2回:ゲーミングキーボード&マウス編はこちら
第4回:ゲーミングモニター編はこちら


PC内蔵のマイク&スピーカーはあくまで最低限


多くのテレワーカーが使用しているであろうノートPCの多くには、ウェブカメラとマイクが内蔵されているはずだ。モニター上部やヒンジ部などにカメラの小さなレンズがあり、マイクもその周辺に置かれていることが多い。

これらは、まさにビデオチャットなどで利用するために搭載されたもので、画質やマイクの品質など、必要最低限の機能は持ち合わせている。

マウスコンピューターのスタンダードモデル「mouse F5-i5」。モニター上部にウェブカメラとマイクが内蔵されている(出典:https://www.mouse-jp.co.jp/m-book/f5/#f5_i5_10

ただ、実際にテレワークをされた方ならお分かりだと思うが、特にマイクの品質についてはチェックが必要だ。

ひとつは、ノイズが非常に入ること。内蔵マイクは基本的に広範囲に周囲の音を拾うようにできているため、PCから離れたところでの声も幅広く拾ってくれる。しかし、PC内部のファンやキーボードの操作音、部屋の中の雑音なども拾ってしまうため、相手にクリアな音声で言葉を伝えたいときに邪魔してしまうことがある。自宅に小さなお子さんやペットなどがいる場合にも神経質にならざるをえない。

ビデオ会議では、同時に複数で会話することができる。ただ、オフラインの会議ならば誰が話そうとしているか、誰が口を挟もうとしているかが場の雰囲気や目で見てわかるが、ビデオ会議となるとそうもいかない。

スピーカーに関しても、周囲の雑音も一緒に聞こえてしまうため、ビデオ会議で集中するには不向きだ。会社で会議室などをわざわざ分けているのが、他の雑音をシャットアウトする目的も兼ねていることも考えれば、自宅でもしっかり会話だけが聞こえる環境が欲しい。

住宅事情によっては、自室がなくリビングなどで仕事をせざるをえない人もいるだろう。そういった人でもヘッドセットなどを用いれば、雑音を気にせずに会議に集中できる。

つまり、テレワークにはもはやマイク+スピーカーを組み合わせたヘッドセットは必須アイテムなのだ。


テレワークに最適なヘッドセットとは?


「テレワークがはかどるゲーミングデバイス」としてのヘッドセットに求められる機能は意外とシンプルだ。というのも、たいていのゲーミングヘッドセットには基本的な機能として備わっているため。

  1. ケーブルのわずらわしさから解放されるワイヤレス
  2. 手元で音声のオン/オフが可能なスイッチ
  3. FPSなどのゲームを楽しめる7.1chサラウンド

後半はもちろんゲーミング用途を見越した機能ではあるが、ついでに選べるといい分野でもある。

(1)ケーブルのわずらわしさから解放されるワイヤレス

eスポーツ大会などを見ると、どの大会でもほぼゲーミングヘッドセットをしているはず。これはチーム内でのコミュニケーション、いわゆるボイスチャット(VC)を行うためだ。会場内でヘッドセットなしで会話したとしたら、戦略もメンタル面も丸わかりになってしまう。

その多くは、ケーブルがつながったワイヤードヘッドセットになっている。しかしこれには理由がある。

eスポーツ大会で使用するハードウェアに最も求められるのは信頼性だ。試合中に万が一音声が途切れたりしたら、それだけで試合が中断されるほどのトラブルとなる。

そのため、確実に機能するハードウェアが求められることから、ワイヤレス環境が用いられることはまだまだ少ない。ワイヤレスの場合、PCとハードウェアを「ペアリング」しなければならず、それが確実に動作することを確認していても、やはり不安が残るからだ。

その点、ワイヤードであれば、まずケーブルが挿さっている、という事実で主催者側も選手側も安心できる。確実性が一番に求められる大会ならではの話だ。

しかし、テレワーク環境で考えれば断然ワイヤレスがオススメだ。

ひとつは、自分がきちんと設定さえしてしまえば、ワイヤレス環境を邪魔するものがないということ。トイレに行くにもつけたままでも問題ない。家の中ならば、ラジオや音楽を聴きながらの業務の際にもなんの煩わしさもなくなる。キーボード、マウスと同様に、ワイヤレス環境の大きなメリットと言える。

(2)手元で音声のオン/オフが可能なスイッチ


ビデオ会議をしたことのある人なら誰もが感じるだろうが、誰かがちょっと音を発すると、画面がその人にフォーカスしてしまう。そのため、自分から話をしない間は音声をミュートにしておきたい。

このミュート機能、キーボードの「スペース」キーなどがショートカットになっていることが一般的だが、もっと簡単にヘッドセット自体にミュート機能が備わっているものを選んだ方がベターだ。


ヘッドセット本体にボタンを搭載するタイプ、ケーブルにスイッチを搭載するタイプなどがある(出典:https://www2.razer.com/jp-jp/gaming-audio/razer-kraken-x


ゲーミングヘッドセットであれば、ワイヤードでもワイヤレスでも、ほぼすべてのモデルにこのミュート機能は備わっている。ゲーム中にはむしろあまり使うことがないかもしれないが、テレワークには必須の機能と言っていいだろう。


(3)FPSなどのゲームを楽しめる7.1chサラウンド


最後は完全にeスポーツ向けの機能となるが、ゲーミングヘッドセットならではの機能がゲーム中の周囲のサラウンドを再現してくれる機能だ。これは、ゲーミング以外の市販のヘッドセットにはほとんど備わっていない。そもそも通話に必要な機能ではないからだ。

しかし、どうせ買うならゲーミングデバイスを、と考える本企画の趣旨から言えば、まさにここがゲーミングヘッドセットを選ぶ最大のメリットとなる。

特にバトルロイヤル系のFPSや、索敵型のFPSの場合、小さな物音ひとつで敵の場所を察することができたりする。このサラウンド機能があるとないとでは、生き残れる確率が数%は変わるだろう。自分がうまくなったと錯覚するかもしれない。

そしてもうひとつ、個人的には映画などを見る際にも便利ということを強調したい。たとえばNetflixは5.1chサラウンドに対応しており、ゲーミングヘッドセットの高音質さと相まって、余暇での楽しみも増える。


ゲーミングヘッドセットの種類


ゲーミングヘッドセットというと、耳を覆うタイプの大型のものをイメージする人も多いだろう。ただ、実際には細かくいろいろなタイプが販売されている。

ビデオ会議の際にあまり目立ちたくないという人には、耳にだけ装着する小さなイヤーホンタイプがいい。見た目にはあまり「ゲーミング」していないので、ゲームが趣味ということを隠す意味でもオススメだ。ただし、5.1ch、7.1chサラウンドは装備していないものが多い。

RAZERのイヤホンタイプは「HAMMERHEAD」シリーズ。TRUE WIRELESS EARBUDSはワイヤレスだ(出典:https://www2.razer.com/jp-jp/gaming-audio/razer-hammerhead-true-wireless-earbuds


そういった見た目を気にしない、より高機能なものを求める人には、当然耳を完全に覆い隠すタイプのヘッドホンタイプが理想。周囲の音を遮ってくれるので、業務に集中できるということもある。

また、デザインやカラーでいかにもゲーミングというものもあれば、シックな普通のヘッドホンのようなものもある。この辺は自分の好みや会社での評判を考えて選べばいいだろう。

RazerのOPUSは、ノイズキャンセリング機能も備えたプレミアムモデル。シックで業務用途にもGood!(出典:https://www2.razer.com/jp-jp/gaming-audio/razer-opus

YouTuberなどでユーザーが多いヘッドセットタイプの「KRAKEN KITTY」。「KRAKEN」シリーズにもワイヤレスがある(出典:https://www2.razer.com/jp-jp/gaming-audio/razer-kraken-kitty-edition


まとめ


いかがだっただろうか。

もし業務用だからと、量販店の店頭にあるコールセンターで使われるような簡易型ヘッドセットを買えばいいと考えているなら、eスポーツをたしなむゲーマーの方ほど、強く言いたい。

「この機会にゲーミングヘッドセットにしておいた方がいい」

PCはもちろん、キーボード、マウス、モニターなどと比べて、ヘッドセットは「どうにかなる」部類のものだ。だからこそ、このタイミングでしっかりしたものを購入できるよう、eSports World編集部として強く背中を押したい。

正直なところ、テレワーク程度の用途であればゲーミングヘッドセットにできないことはない。その先にあるeスポーツを楽しむ環境の改善にこそ、ゲーミングヘッドセットを導入する意味があるのだ。

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