【連載】watanekoの『LoL』考察
【新連載・watanekoの『LoL』考察】「プレイインステージ」を突破したTeam BDS・Adam選手の「GODS」とは?
- リーグからトーナメントへ 激変した「Worlds」
- 「GODS」とは?
- 1つ目の世界の壁「プレイインステージ」
- Adam選手の活躍と「プレイインステージ」突破
- 2つ目の世界の壁「スイスステージ」
- 終わりに
- 記事に連動した動画も公開中!
皆様こんにちは、2023年から「LJL」の解説を担当しているwatanekoと申します。普段はSNSで『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)の情報を発信したり、コミュニティ大会で解説をしたりしています。
この連載では、先日終了したばかりの「Worlds 2023」を中心に、今年の『LoL』の競技シーンや話題になったメタに焦点を当て、その考察や分析の中でチームの強さの秘訣を明らかにしていきます。
今年の「Worlds」はプレイイン・スイスステージ・ノックアウトステージと3ステージに分かれた構成となりましたが、序章のプレイインステージから興味深い展開が繰り広げられましたね!
特に話題を呼んだのが、LEC地域(ヨーロッパ)から出場しているTeam BDSの「Adam選手」と、今大会のメインテーマ曲「GODS」のネットミームです。Adam選手はTOPにおいてガレンやダリウスといったベーシックなファイターを好んでプレイしており、そのピックが競技シーンではあまり見られないチャンピオンのため視聴者の注目を集めていました。
残念ながらTeam BDSはLECリージョナルファイナルでは4位とWorlds出場権を獲得できませんでしたが、直前に行われた最後のチャンス「Worlds Qualifying Series(WQS)」を見事に勝ち抜き最後のイスを獲得。その勢いのままにプレイインステージを勝ち上がり、スイスステージまで進出しました。
その勝利の立役者のひとりがAdam選手。我らが日本代表のDetonatioN FocusMeも勝つことができなかったため、記憶に残っている方も多いでしょう。そこで今回は、序章で話題になった”GODS”とそのミーム、Team BDSのトップレーナー、Adam選手Adam選手のチャンピオンプールについて情報をまとめ、解説していきます。
※本記事は「Worlds 2023」についてまとめた記事になりますので、パッチ13.19のものになります。
「GODS」は「Worlds 2023」のテーマ曲で、内容は2022年に優勝したDRXに当時所属していたDeftの物語を描いたMVになっています。
また、アーティストは若者に大人気の韓国のガールズグループ「NewJeans」が務めるなど、大きな話題を呼んでいました。「GODS」についての小ネタや詳しい解説は、SmashlogTVにてeyesさん、Revolさんがしてくれているので、興味がある方はぜひご覧ください!
さて、この”GODS”ですが、アルファベットの「G・O・D・S」がイニシャルになっている、Adam選手の得意チャンピオンであるファイター、
“G”=Garen(ガレン)
“O”=Olaf (オラフ)
“D”=Darius (ダリウス)
“S”=Sett (セト)
の4体を表しているというネットミームが出てきました。
ガレンやダリウスはファイターの基礎となるチャンピオンで、基本ステータスが高く設定されていますがその分利便性が低いチャンピオンたちです。よって、競技シーンなどの入り乱れた試合では運用することが難しく、プロの間で多く使われることはないのです。
しかし、Adam選手はソロQからダリウスを多く使いこんでおり、自分をダリウスOTPと表現するほど得意だったため、それをうまくゲームに取り込んだのがTeam BDSでした。欠点を理解した上でチームがそれを補うような体制を整えたガレン・ダリウスは、ファンにとってもAdam選手のパフォーマンスを引き出すチャンピオンとして人気があったのです。
Adam選手はこの4体のチャンピオンを用いて、結果的にプレイインステージを突破することに成功しました。それはもちろん、彼のパフォーマンスを引き出す”GODS”のピックも関係がありますが、私は当時の「Worlds」メタに対して、しっかりと対策ができていたからだと思います。
まずは当時(プレイインステージ)の世界のメタ環境、TOPのピックについて考えていきましょう。
「Worlds 2023」は国内戦が終了した後、パッチが5つ進行した状態で開催されていました。これは例年の「Worlds」開催時期から考えると比較的長い猶予期間となります(例年だと2〜3パッチ後)。
出場チームにとっては、多くの時間があるもののパッチによる変化が激しいため、情報も少ない中、「Worlds」の環境をとらえるのが難しい期間となりました。よって、従来のメタによる依存度が高くなったと推測されます。
そうなると、TOPで覇権を握っていたカ・サンテ、ジャックス、レネクトン、エイトロックスの使用率が高くなることは想像に難くありません。実際にプレイインステージだけでもこのようなBPの割合となりました。
つまり、カ・サンテ、ジャックス、レネクトン、エイトロックスは比較的「多くのチームが用意している武器であろう」という想像ができるわけです。
Team BDSとしても国内の戦いをしながら考えていたと思います。Adam選手のチャンピオンであれば対抗でき、上回れる手段になり得ると。そして、この四強メタチャンピオンに対して、Adam選手の”GODS”チャンピオンが、結果的にマッチアップで大きな有利を取ることになりました。
それでは、四強メタチャンピオンとそれぞれのマッチアップについて、簡単ではありますが、その特徴を踏まえて確認していきましょう。
ジャックスの特徴はなんと言っても、AA無効を持ち合わせたEスキル「カウンターストライク」。このスキルによってレーニングから集団戦で存在感を出しています。また、出力ダメージの3割程が魔法ダメージということもあり、「ゾーニャの砂時計」をビルドに組み合わせられるのも最近では魅力的な一面です。
しかし、スケールタイプのため序盤はパワーが低く、「ディバインサンダラー」が完成する約15分までの間は苦しい展開が多いです。
カサンテは物理防御と魔法防御をRによって攻撃力へ変換できるというスキルが特徴的です。デメリットとして、その時間の間HPの上限が65%になってしまい、物理防御と魔法防御が残り15%になるまで減少してしまいますが、自分のタイミングで操作できるということもあり、恩恵の方が多いです。
逆に言えば、このスキルを生かすためにもカ・サンテのビルドはHPを伸ばすのではなく、物理防御と魔法防御を増加させる方向と決まり切っています。
レネクトンは何度もナーフされており、昨年と比べるとかなり弱体化されています。しかし、序盤のパワーや対象指定CCが強力な点と、集団戦における存在感、特にバックラインからするととても驚異的な存在という点は変わらないことから、今年も多くピックされています。
弱い点として、レーン戦でのオールインファイトやRがない時の弱さ、終盤が弱いためヘラルドを獲得できなかった時にまずい展開になるということが挙げられます。
エイトロックスはQのダメージとパッシブの回復力が魅力的なチャンピオンです。序盤はQのCDが長いためそこまで強くはありませんが、Lv9以降でQのスキルがLv5になった時にQのCDが最短になるため、プレッシャーが増します。また、与えたダメージ量に応じて回復するという能力を持っているため、集団戦で前線を張る能力に長けています。QはAoEでもあるため、複数人にQを当てることが理想的です。
弱点としてインファイトが少し苦手な点が挙げられます、Qは遠・中・近の順番で切り替わるため、準備がうまくいかないと対応が難しいです。こういった特徴のある四強メタチャンピオンに対して、マッチアップにおける”GODS”チャンピオンが勝る各ポイントを簡単にまとめると以下のようになります。
“GODS”がメタチャンピオンに勝る要素一覧
ご覧の通り、集団戦での存在感、またレーニングで盤石な四強メタチャンピオンにGODSチャンピオンが勝る部分が複数存在しているのです。
もちろん、フィジカルやプレイヤー自身のレベルによって状況が変化する場合はありますが、スキルのマッチアップを論理的に分析すると、GODSチャンピオンの優秀な一面が見えてきます。
こういったマッチアップの有利さに加えてフィジカルも兼ね備えたAdam選手は、自分の土俵で戦うことができ、プレイインステージの試合で健闘することとなります。
今回は、実際に結果を出した2試合とマッチアップを確認していきましょう。
結果的には8/0/4で完勝。その後、Team Whalesはレネクトンをピックできなくなってしまいましたが、なんとか勝利を収めることに成功しました。本来先出し安定とされているレネクトンのピックを制限されることはあまりなかったということもあり、衝撃のある試合となりました。
Adam選手はAzhi選手のジャックスに対してガレンを出し圧勝しました。
1キル目はSUPのLabrov選手のロームから発生。JGのSheo選手の力を借りながら獲得しました。その後も、連続ソロキルと集団戦での存在感は歴然でした。BDSはこの勝利の後Game5でも勝利し、見事リバーススウィープを達成。スイスステージへの切符を手にすることとなりました。
いずれの試合でも、チームからの信頼が足がかりとなるアクション、ロームやガンク等に現れていることがわかります。そして試合終了までAdam選手がTOP間で有利を生かしながらチームに貢献していましたね。
スイスステージへと駒を進めたBDSではありましたが、くじ引きの結果、初戦はいきなり優勝候補であるLPL(中国リージョン)1位通過のJD Gamingとの1戦。彼らにとっては絶望的な対戦相手ながらも、PSG戦の教訓を生かして挑戦します。
Adam選手は先出ししなければいけないというBPで、自信のあるガレンをピックしたのに対して、タンクチャンピオンを得意とする369選手はオーンをピック。
理想通りにSheo選手(JG)のガンクから1キル獲得と理想的なスタートを切ることができましたが、リコールタイミングを失い、ダイブによるカウンターを受けてしまいます。リードを縮められてしまい、24分までの間、チームは勢いに乗っていましたが、TOP間でのスケール力の差、集団戦の強さの差が明らかになった後、BDSがJDGに勝ることが難しくなってしまいました。Adam選手は369選手相手に1v1では成すすべがなかったのです。
JDGの次の相手は韓国DK。対面はレンジチャンピオンが得意なCanna選手です。
Game1、Canna選手にランブルをピックされたAdam選手は、ダリウス・ガレンがBanされた状態でのピックを強いられます。
飛び出て来たのはなんとボリベア。「GODS」チャンピオンと似たような性質を持ったオールインに長けたチャンピオンです。順当に思えた勝負ピックでしたが、Canna選手がAdam選手の攻撃に待ったをかけます
間合いの管理でCanna選手がHPの有利を握った状態からのせめぎ合い。Adam選手の仕掛けに対して、Canna選手はイグナイトで反撃に成功。この1キルでAdam選手のレーン敗北が決まりました。この後はまったく間合いに飛び込めない状況をCanna選手に作られてしまいます。
「集団戦になればこちらのもの」と、Canna選手はランブルのアルティメットを有効的に使用しゲームを動かしていきました。
Game2でもダリウス・ガレンとBanを受けてしまったAdam選手、オラフのピックで状況を変えようとしますが、今度はCanna選手が機転の利いた「スウィフトネスブーツ」の選択で、オラフのQスキルからのスロウを軽減し、勝負の展開自体を作らせません。結果、Game1同様、ランブルの集団戦の強さが輝く結果となりました。
そう、メタチャンピオンに対して有利な面が多いと言われるGODSチャンピオンにも、もちろん弱点が存在します。どのチャンピオンも、オールインファイトで優勢なぶん、近づけないと勝負ができない。そして集団戦での活躍度はレーンでの有利の握り具合に依存しやすいのです。
きっとAdam選手もわかっていたでしょう。今まであまりピックされなかったチャンピオンには理由が存在するということに。
最後は苦しい展開から苦い思いをしたと思いますが、それを高いフィジカルを持った選手とランブル、オーン、ナー等のピックで痛感したことでしょう。
今回は、”GODS”でミームにもなっていたAdam選手について、「GODS」の優位性と実際の試合の振り返り解説をしていきました。スイスステージでの選手の強さ、チャンピオンへの理解度に差を感じる内容ではありましたが、特定のマッチアップの有利を得られる「GODS」ピックは、今後も彼を表す一つの特徴になるかもしれません。
しかし、マッチアップによる有利不利やあまり見られないピックが出てくることはとてもいい刺激になりますし、とても応援したくなりますね! ぜひ、来シーズンのAdam選手の活躍にも注目していきたいと思います。
ちなみに、本記事の内容と連動するYouTube動画も公開しています。記事を読みつつ、それらを補足するかたちでご紹介していますので、ぜひ動画でもお楽しみください!
wataneko(X)
https://twitter.com/LoLwataneko
wataneko(Twitch)
https://www.twitch.tv/lolwataneko
この連載では、先日終了したばかりの「Worlds 2023」を中心に、今年の『LoL』の競技シーンや話題になったメタに焦点を当て、その考察や分析の中でチームの強さの秘訣を明らかにしていきます。
リーグからトーナメントへ 激変した「Worlds」
今年の「Worlds」はプレイイン・スイスステージ・ノックアウトステージと3ステージに分かれた構成となりましたが、序章のプレイインステージから興味深い展開が繰り広げられましたね!
特に話題を呼んだのが、LEC地域(ヨーロッパ)から出場しているTeam BDSの「Adam選手」と、今大会のメインテーマ曲「GODS」のネットミームです。Adam選手はTOPにおいてガレンやダリウスといったベーシックなファイターを好んでプレイしており、そのピックが競技シーンではあまり見られないチャンピオンのため視聴者の注目を集めていました。
残念ながらTeam BDSはLECリージョナルファイナルでは4位とWorlds出場権を獲得できませんでしたが、直前に行われた最後のチャンス「Worlds Qualifying Series(WQS)」を見事に勝ち抜き最後のイスを獲得。その勢いのままにプレイインステージを勝ち上がり、スイスステージまで進出しました。
その勝利の立役者のひとりがAdam選手。我らが日本代表のDetonatioN FocusMeも勝つことができなかったため、記憶に残っている方も多いでしょう。そこで今回は、序章で話題になった”GODS”とそのミーム、Team BDSのトップレーナー、Adam選手Adam選手のチャンピオンプールについて情報をまとめ、解説していきます。
※本記事は「Worlds 2023」についてまとめた記事になりますので、パッチ13.19のものになります。
「GODS」とは?
「GODS」は「Worlds 2023」のテーマ曲で、内容は2022年に優勝したDRXに当時所属していたDeftの物語を描いたMVになっています。
また、アーティストは若者に大人気の韓国のガールズグループ「NewJeans」が務めるなど、大きな話題を呼んでいました。「GODS」についての小ネタや詳しい解説は、SmashlogTVにてeyesさん、Revolさんがしてくれているので、興味がある方はぜひご覧ください!
さて、この”GODS”ですが、アルファベットの「G・O・D・S」がイニシャルになっている、Adam選手の得意チャンピオンであるファイター、
“G”=Garen(ガレン)
“O”=Olaf (オラフ)
“D”=Darius (ダリウス)
“S”=Sett (セト)
の4体を表しているというネットミームが出てきました。
Adam's GODS checklist: COMPLETE
— LoL Esports (@lolesports) October 15, 2023
G aren ✅
O laf ✅
D arius ✅
S ett ✅ https://t.co/C3G6PpizjD pic.twitter.com/ZP6cvppgen
ガレンやダリウスはファイターの基礎となるチャンピオンで、基本ステータスが高く設定されていますがその分利便性が低いチャンピオンたちです。よって、競技シーンなどの入り乱れた試合では運用することが難しく、プロの間で多く使われることはないのです。
しかし、Adam選手はソロQからダリウスを多く使いこんでおり、自分をダリウスOTPと表現するほど得意だったため、それをうまくゲームに取り込んだのがTeam BDSでした。欠点を理解した上でチームがそれを補うような体制を整えたガレン・ダリウスは、ファンにとってもAdam選手のパフォーマンスを引き出すチャンピオンとして人気があったのです。
1つ目の世界の壁「プレイインステージ」
Adam選手はこの4体のチャンピオンを用いて、結果的にプレイインステージを突破することに成功しました。それはもちろん、彼のパフォーマンスを引き出す”GODS”のピックも関係がありますが、私は当時の「Worlds」メタに対して、しっかりと対策ができていたからだと思います。
まずは当時(プレイインステージ)の世界のメタ環境、TOPのピックについて考えていきましょう。
「Worlds 2023」は国内戦が終了した後、パッチが5つ進行した状態で開催されていました。これは例年の「Worlds」開催時期から考えると比較的長い猶予期間となります(例年だと2〜3パッチ後)。
出場チームにとっては、多くの時間があるもののパッチによる変化が激しいため、情報も少ない中、「Worlds」の環境をとらえるのが難しい期間となりました。よって、従来のメタによる依存度が高くなったと推測されます。
そうなると、TOPで覇権を握っていたカ・サンテ、ジャックス、レネクトン、エイトロックスの使用率が高くなることは想像に難くありません。実際にプレイインステージだけでもこのようなBPの割合となりました。
つまり、カ・サンテ、ジャックス、レネクトン、エイトロックスは比較的「多くのチームが用意している武器であろう」という想像ができるわけです。
Team BDSとしても国内の戦いをしながら考えていたと思います。Adam選手のチャンピオンであれば対抗でき、上回れる手段になり得ると。そして、この四強メタチャンピオンに対して、Adam選手の”GODS”チャンピオンが、結果的にマッチアップで大きな有利を取ることになりました。
それでは、四強メタチャンピオンとそれぞれのマッチアップについて、簡単ではありますが、その特徴を踏まえて確認していきましょう。
ジャックス
ジャックスの特徴はなんと言っても、AA無効を持ち合わせたEスキル「カウンターストライク」。このスキルによってレーニングから集団戦で存在感を出しています。また、出力ダメージの3割程が魔法ダメージということもあり、「ゾーニャの砂時計」をビルドに組み合わせられるのも最近では魅力的な一面です。
しかし、スケールタイプのため序盤はパワーが低く、「ディバインサンダラー」が完成する約15分までの間は苦しい展開が多いです。
カ・サンテ
カサンテは物理防御と魔法防御をRによって攻撃力へ変換できるというスキルが特徴的です。デメリットとして、その時間の間HPの上限が65%になってしまい、物理防御と魔法防御が残り15%になるまで減少してしまいますが、自分のタイミングで操作できるということもあり、恩恵の方が多いです。
逆に言えば、このスキルを生かすためにもカ・サンテのビルドはHPを伸ばすのではなく、物理防御と魔法防御を増加させる方向と決まり切っています。
レネクトン
レネクトンは何度もナーフされており、昨年と比べるとかなり弱体化されています。しかし、序盤のパワーや対象指定CCが強力な点と、集団戦における存在感、特にバックラインからするととても驚異的な存在という点は変わらないことから、今年も多くピックされています。
弱い点として、レーン戦でのオールインファイトやRがない時の弱さ、終盤が弱いためヘラルドを獲得できなかった時にまずい展開になるということが挙げられます。
エイトロックス
エイトロックスはQのダメージとパッシブの回復力が魅力的なチャンピオンです。序盤はQのCDが長いためそこまで強くはありませんが、Lv9以降でQのスキルがLv5になった時にQのCDが最短になるため、プレッシャーが増します。また、与えたダメージ量に応じて回復するという能力を持っているため、集団戦で前線を張る能力に長けています。QはAoEでもあるため、複数人にQを当てることが理想的です。
弱点としてインファイトが少し苦手な点が挙げられます、Qは遠・中・近の順番で切り替わるため、準備がうまくいかないと対応が難しいです。こういった特徴のある四強メタチャンピオンに対して、マッチアップにおける”GODS”チャンピオンが勝る各ポイントを簡単にまとめると以下のようになります。
“GODS”がメタチャンピオンに勝る要素一覧
ご覧の通り、集団戦での存在感、またレーニングで盤石な四強メタチャンピオンにGODSチャンピオンが勝る部分が複数存在しているのです。
もちろん、フィジカルやプレイヤー自身のレベルによって状況が変化する場合はありますが、スキルのマッチアップを論理的に分析すると、GODSチャンピオンの優秀な一面が見えてきます。
Adam選手の活躍と「プレイインステージ」突破
こういったマッチアップの有利さに加えてフィジカルも兼ね備えたAdam選手は、自分の土俵で戦うことができ、プレイインステージの試合で健闘することとなります。
今回は、実際に結果を出した2試合とマッチアップを確認していきましょう。
vs Sparda選手(Team Whales)Game1 ダリウスvsレネクトン
Sparda選手が得意とするレネクトンに対して、Adam選手はダリウスでLv1から仕掛けます。また、TOPで1v1の状況であれば勝てるため、JGの介入を警戒したガンクが見事に刺さり2キルを拾ったAdam選手は、その後止まることを知りませんでした。結果的には8/0/4で完勝。その後、Team Whalesはレネクトンをピックできなくなってしまいましたが、なんとか勝利を収めることに成功しました。本来先出し安定とされているレネクトンのピックを制限されることはあまりなかったということもあり、衝撃のある試合となりました。
vs Azhi選手(PSG Talon)Game4 ガレンvsジャックス
Adam選手はAzhi選手のジャックスに対してガレンを出し圧勝しました。
1キル目はSUPのLabrov選手のロームから発生。JGのSheo選手の力を借りながら獲得しました。その後も、連続ソロキルと集団戦での存在感は歴然でした。BDSはこの勝利の後Game5でも勝利し、見事リバーススウィープを達成。スイスステージへの切符を手にすることとなりました。
いずれの試合でも、チームからの信頼が足がかりとなるアクション、ロームやガンク等に現れていることがわかります。そして試合終了までAdam選手がTOP間で有利を生かしながらチームに貢献していましたね。
2つ目の世界の壁「スイスステージ」
スイスステージへと駒を進めたBDSではありましたが、くじ引きの結果、初戦はいきなり優勝候補であるLPL(中国リージョン)1位通過のJD Gamingとの1戦。彼らにとっては絶望的な対戦相手ながらも、PSG戦の教訓を生かして挑戦します。
vs 369選手(JDG)
Adam選手は先出ししなければいけないというBPで、自信のあるガレンをピックしたのに対して、タンクチャンピオンを得意とする369選手はオーンをピック。
理想通りにSheo選手(JG)のガンクから1キル獲得と理想的なスタートを切ることができましたが、リコールタイミングを失い、ダイブによるカウンターを受けてしまいます。リードを縮められてしまい、24分までの間、チームは勢いに乗っていましたが、TOP間でのスケール力の差、集団戦の強さの差が明らかになった後、BDSがJDGに勝ることが難しくなってしまいました。Adam選手は369選手相手に1v1では成すすべがなかったのです。
vs Canna選手(DK)
JDGの次の相手は韓国DK。対面はレンジチャンピオンが得意なCanna選手です。
Game1、Canna選手にランブルをピックされたAdam選手は、ダリウス・ガレンがBanされた状態でのピックを強いられます。
飛び出て来たのはなんとボリベア。「GODS」チャンピオンと似たような性質を持ったオールインに長けたチャンピオンです。順当に思えた勝負ピックでしたが、Canna選手がAdam選手の攻撃に待ったをかけます
間合いの管理でCanna選手がHPの有利を握った状態からのせめぎ合い。Adam選手の仕掛けに対して、Canna選手はイグナイトで反撃に成功。この1キルでAdam選手のレーン敗北が決まりました。この後はまったく間合いに飛び込めない状況をCanna選手に作られてしまいます。
「集団戦になればこちらのもの」と、Canna選手はランブルのアルティメットを有効的に使用しゲームを動かしていきました。
Game2でもダリウス・ガレンとBanを受けてしまったAdam選手、オラフのピックで状況を変えようとしますが、今度はCanna選手が機転の利いた「スウィフトネスブーツ」の選択で、オラフのQスキルからのスロウを軽減し、勝負の展開自体を作らせません。結果、Game1同様、ランブルの集団戦の強さが輝く結果となりました。
※ ※ ※
そう、メタチャンピオンに対して有利な面が多いと言われるGODSチャンピオンにも、もちろん弱点が存在します。どのチャンピオンも、オールインファイトで優勢なぶん、近づけないと勝負ができない。そして集団戦での活躍度はレーンでの有利の握り具合に依存しやすいのです。
きっとAdam選手もわかっていたでしょう。今まであまりピックされなかったチャンピオンには理由が存在するということに。
最後は苦しい展開から苦い思いをしたと思いますが、それを高いフィジカルを持った選手とランブル、オーン、ナー等のピックで痛感したことでしょう。
終わりに
今回は、”GODS”でミームにもなっていたAdam選手について、「GODS」の優位性と実際の試合の振り返り解説をしていきました。スイスステージでの選手の強さ、チャンピオンへの理解度に差を感じる内容ではありましたが、特定のマッチアップの有利を得られる「GODS」ピックは、今後も彼を表す一つの特徴になるかもしれません。
しかし、マッチアップによる有利不利やあまり見られないピックが出てくることはとてもいい刺激になりますし、とても応援したくなりますね! ぜひ、来シーズンのAdam選手の活躍にも注目していきたいと思います。
記事に連動した動画も公開中!
ちなみに、本記事の内容と連動するYouTube動画も公開しています。記事を読みつつ、それらを補足するかたちでご紹介していますので、ぜひ動画でもお楽しみください!
wataneko(X)
https://twitter.com/LoLwataneko
wataneko(Twitch)
https://www.twitch.tv/lolwataneko
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