【連載】watanekoの『LoL』考察
『LoL』で勝つための心得:「OPチャンピオン」の使い方【watanekoの『LoL』考察 連載第4回】
- 大前提:『LoL』というゲームで「勝つ」とはどういうことか
- 『LoL』がうまくなりたいなら「OPチャンピオン」を使おう
- 「OPチャンピオン」とは(パッチ14.5版)
- 「OPチャンピオン」の調べ方
- 「OPチャンピオン」の選び方(サポートの場合)
- まとめ
大前提:『LoL』というゲームで「勝つ」とはどういうことか
「『LoL』で勝ちたい」──私が強くそう思ったのは、もう8年も前のことです。
当時高校生だった私は、『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)を楽しみながらも、愚直に毎日戦っていました。シルバーからプロを目指していた当時の私に今伝えたいことがあるとしたら、「『LoL』のミクロ(実力)を伸ばす次に大切なことは、『メタの理解度』だ」ということです。
現在は立場が変わり、むしろ高校生に『LoL』を教えることが多くなりました。自分ひとりの力だけでそのことに気づくのはさぞ難しかっただろうという哀れみもありますが、当時もがいていた自分と同じような存在の力になれることを誇りに思っています。
あらためまして、皆様こんにちは、watanekoです。
今回は少し趣向を変えて、『LoL』の根本的な部分にふれながら、「どうやったら『LoL』がうまくなるのか」ということについてお話ししていこうと思います。
このゲームにおいて、プレイヤーの実力は絶対的な強みです。これについては述べるまでもありませんね。「反射神経」「動体視力」「判断力」などの人間の根本的な能力もさることながら、『LoL』においてはチャンピオンの「操作力」が非常に重要になります。
私はよく「手足のようにチャンピオンを動かす」なんて表現をするのですが、スポーツと同じように自身の体となるチャンピオンを自由自在に操作できれば、想像や予測がしっかりゲームに反映されるでしょう。だからこそ、『LoL』は“eスポーツ”なのだと思っています。
しかしながら、勝つことを追求するうえではこれ以上にもっと簡単で、努力の量も少なくて済み、今日この瞬間から始められることがあります。
それが、冒頭でお話しした「メタを理解する」ということ。その中でも特に勝率が上がりやすく、今以上に『LoL』が楽しくなるのが、「OPチャンピオンをプレイする」ということです。
『LoL』がうまくなりたいなら「OPチャンピオン」を使おう
私の周りには「『LoL』がうまくなりたい!」と言う友人がたくさんいるのですが、そんな中でこういったことを聞いてくる人がいます。
「なにかオススメのチャンピオンいない?」
私はキャスターという立場もあって、あまり下手なことが言えない(笑)ということもありますが、端的に、
「いま、○○がバフされていて強いよ」
と、現環境で強いチャンピオンをオススメします。すると返ってくる返事として、
「○○はOPだから面白くない」
とよく言われます。
「OP」とは「オーバーパワード」、つまり、特定のキャラクターが他と比べて強すぎる状態を言います。人の価値観はそれぞれのものですから、面白くないという意見も否定はしません。もちろんエンジョイ勢という枠組みもありますから「プレイしていて楽しいチャンピオン」を求めている可能性もあるでしょう。
「勝ちたいけれど、強いチャンピオンで勝っても面白くない」。正直言ってこの気持ちも理解できないわけではありません。いわゆる「ジャイアントキリング」であったり、強いとされているチャンピオンを弱いチャンピオンで倒した時の気持ちのよさは相当なものでしょう。実際に私も、カウンターマッチアップで勝利すればうれしくなります。
しかし、あえてはっきり申し上げます。
『LoL』は上位にいけば上位に行くほど、チャンピオンの性能である程度の優劣が決まるゲームです。
チャンピオンの性能をプレイヤーの実力(ミクロ面)で覆すのは果てしなく難しいですが、不可能ではありません。そのことは、OTP(ワントリックポニー。ひとつのチャンピオンだけを使い続けているスペシャリストのこと)の方たちが証明しています。
しかし、これは彼らが研究によって細かい部分でのOPに対するカウンター要素や対抗策を考え、用意しているためであり、それ故に勝率がある程度高いのです。そのことを理解し、自分自身の実力を考えてみると、多くの人は「私は平凡なプレイヤーだ」という結論にたどり着くでしょう。
決して低ランクプレイヤーを卑下しているわけではありませんし、私自身を否定しているわけでもありません。ただ、シルバーだった私が上手くなろうと考えた時に、この『LoL』というゲームと真剣に向き合おうと思えたのです。
OPチャンピオンを使わずに負けてしまって、それでも楽しいのなら構いません。ですが、「勝ちたい」となれば話は別です。自分の好きなチャンピオンで勝つためには、
- 今の環境についてどれくらい理解できているか?
- OPチャンピオンを私よりも理解していて説明できるか?
- そのOPチャンピオンの対抗策や対処法、相手にピックされた時に何を返すかまで考えられているか?
もしランクが低かったり、実力がなかったとしても、OPチャンピオンを使うだけで(最低限の操作ができることはもちろん大前提ですが)、ある程度勝ちやすい状況に持っていけるのです。
「OPチャンピオン」とは(パッチ14.5版)
前置きが長くなりましたが、今回はそんな私の考え方に沿って、OPチャンピオンの使い方を考えてみたいと思います。
OPチャンピオンだからなんでもいいというわけにもいきません。どのように見つけ、どう使いこなすか、あるいは対抗できるチャンピオンは誰か、というところまで考える必要があります。
今回はパッチ14.5において強力なOPチャンピオンを、ゴールドランクのサポート目線から考えていきますが、基本的な考え方はどのレーン、ロールでも同じように、今回は3体のチャンピオンを考えてみました。
- OPチャンピオン……最も勝率が高いOP(オーバーパワード)チャンピオン
- OPライバル……OPチャンピオンに対して有利が取れそうなチャンピオン
- OP対抗馬……上記以外で戦えそうなチャンピオン
なお、以下の例はあくまで最新パッチのものですが、今後パッチが変更されてもこの考え方を当てはめることで、読者のみなさんでも対策できるようになると思います。
「OPチャンピオン」の調べ方
まず、OPチャンピオンの調べ方ですが、私は基本的にはパッチノートの内容を見て予測し、競技シーンでの活躍や統計サイトのデータを見て判断を行っています。
ここで大事なのは、OPには「本質的な強さ」と「誰でも使える強さ」という2種類があるということです。
「本質的な強さ」は、そのチャンピオンの能力を引き出せないと強いという判断はできません。なので実際のプレイ(競技シーンやプロのソロQ)を見て判断することが多いです。
一方、「誰でも使える強さ」は、統計サイトによってわかる「勝率」から確認しています。
そして、読者のみなさんが想像するようなOPチャンピオンは後者を指すことが多いため、今回は私がよく見ている統計サイトをご紹介します。
U.gg https://u.gg/
特定の多く選ばれているアイテムやルーンの選択での勝率を出してくれます。トロールビルド(勝つ気のないビルド)や変わった選択をした試合はデータに含まれないので、比較的信頼性が高いです。
Lolalytics https://lolalytics.com/ja/
すべてのデータが含まれているため、データの中身を理解して見る必要がありますが、調べたいものが決まっている時はソートによって調べものが便利になるサイトです。特定のアイテムの組み合わせや、チャンピオンの時間帯ごとの勝率の推移など、詳しい内容が載っています。
koreanbuilds.net https://koreanbuilds.net/
韓国サーバーのOTPに近いプレイヤーのデータを見ることができます。まれに、特殊な考え方をしていながら高い勝率を出しているプレイヤーがいるため、見ていて参考になります。
私はこういったサイトを見てデータを確認した上で、実際に自分でプレイすることに納得がいくかどうか、違いを理解し確認できるかどうかを検証しています。
たまに聞かれるのですが、「OP」と「Tier」(ティアー)は別物です。
OPGG等で表示されているTierには、「勝率」と「使用頻度」が含まれているため、強くなかったとしても人気があって使用されていれば、Tierは高くなってしまいます。OPチャンピオンの水準としては、勝率が52%以上あるものという認識でよいと思います。
実際に自分で使ってみたり、プレイ動画を参考にしてチャンピオンへの理解度を深めていきましょう。
「OPチャンピオン」の選び方(サポートの場合)
では、具体的にサポートのOPチャンピオンをご紹介していきます。
(1)OPチャンピオン「ザイラ」
まず、パッチ14.5におけるゴールド帯でのOPチャンピオンは“ザイラ”です。
ザイラはレーンが非常に強力な火力特化のメイジサポートです。自身がダメージを出し、レーンで勝利を挙げて試合をコントロールするという、一般的な「WIN-LANE WIN-GAME」の考え方が当てはまるチャンピオンですね。
ザイラは、ほとんどのサポートチャンピオンを相手に戦うことができます。巷ではブリッツクランクがカウンターとされていますが、正直言ってしっかり対策できていればカウンターになり得ません。なぜなら、植物でフックをブロックしたり、レーンのミニオンコントロール、それ以前のダメージトレードで上回ることが可能だからです。これほどに強力なOPチャンピオンをいま勉強・理解しない手はありません。
(2)OPライバル「レオナ」
では、ここからはザイラに対する対抗策を考えてみます。
ザイラの強力な点はスキルと植物によるハラスとそのバースト性能です。前述のとおり、フック系チャンピオンであってもHP満タン状態からの開戦でなければ厳しいものがあります。
そこで対抗馬として考えたのがレオナです。
レオナはWの耐久力もさることながら、Qスキルで素早く植物を処理でき、Eスキルは植物の影響を受けません。またRからキャッチを狙うこともできるので、エンゲージを成功させられる可能性も秘めています。
加えて、初手アイテムに「ドランシールド」を選択すると、最序盤のザイラのハラスダメージを軽減でき、HPを高く保てます。
もちろんその後で、「ワールドアトラス」と「マーキュリーブーツ」を購入できれば、魔法防御と移動速度を同時に獲得できます。実は、最近のパッチでバフが入っていることもあって、レオナは非常に扱いやすくなっています。
……といった感じでカウンターを発見することができました。ザイラのチャンピオン性能をある程度理解できれば、理論的にも強みが伝わったかと思います。
(3)OP対抗馬「カミール」
OPのザイラ、その対抗馬であるレオナがわかったところでもうひとつ、パッチ14.5環境でとても強いチャンピオンも考えてみましょう。
それが、カミールです。
普通のサポートとは離れた考えではありますが、なぜ彼女がサポートとしてメタに浮上しているのかを押さえておきましょう。
カミールは性能上、ADCを捕縛しやすいという強みがあります。「R」によって”対象指定”で相手を捕まえられるため再現性が高く、「E」スキルでその距離にも届きやすいです。シーズン7〜8くらいの頃にジャングルカミールというものも存在していましたが、その時の考え方が、今回のサポートカミールに応用されています。
ビルド面では、サポートアイテムの強化先である「ブラッドソング」、ルーンに「ヘイルブレード」、アイテムに「赤月の刃」、サモナースペルに「イグナイト」を含めた4点セットが、相手のADCを倒すには十分すぎるダメージを備えているのです。
そのため、レーニングにおける序盤のダメージトレードを成功させれば、その後は強力なチャンピオンとして君臨できるという意味で、パッチ14.5のメタに存在しています。
まとめ
ということで、今回は「OPチャンピオンを使う」というテーマから、OPチャンピオンの探し方、使い方、カウンターなどの考え方までをご紹介しました。
今回のように、メタチャンピオンとそのカウンター、そしてこれらに変わる第3の選択肢まで詳しくなるだけでも、現在の環境がある程度理解できると思います。普段からプロや私たちキャスターも、こうした研究を積み重ねていますが、『LoL』で勝つためには、それだけ環境や強力なチャンピオンの性能を理解することが大切なのです。
ただし、OPチャンピオンはほぼ2週間に一度、パッチのアップデートとともに変更が入ります(今回この記事を書きながら、我ながらいままでよくやってきたなぁと改めて思ってしまいました)。ですが、この方法論は他のレーンでもパッチが変わっても同様の考え方が可能です。
『LoL』というゲームで勝つために、試合運びとかワードの置き場所とか、他にもたくさん覚えることはあります。ですが、まずは絶対的に自分自身がパワーを持てる「OPチャンピオン」を使うことから始めてみてください。
watanekoのひとり言:「負けている時どうすればいいの?」という質問への答え
よくプロのプレイヤーや高レートのプレイヤーのコーチングなどで、「レーンで負けないようにしろ」「敗北前提でプレイするな」というお話があります。皆さんも耳にしたことはあるでしょうか? 私自身もよく「レーン戦で負けたらどうすればいいですか?」という質問を受けることがあります。
低ランク帯の多くの人が困っているのは「勝ちたいのに勝てない」という状況だと思います。自分の力であれチームの力であれ、勝っている時には困ることはありません。だから勝てない時にどうしたらいいのか知りたいのに、多くのコーチングや攻略記事・攻略動画では、「負けている時にどうするか」は教えてくれません。
これはなぜなのかというと、「負ける=勝負の土俵に立てなくなる」からです。
このゲームの本質はチームゲームであり連携です。そんなゲームにおいて、1v1ないしは2v2の時点で不利があると、のちのちの試合展開に大きく影響します。そして、その1v1や2v2の場面に、他のプレイヤーが関与して戦況をひっくり返すのは非常に難しい。よって、大前提として個人間で大きな不利を作らないようにプレイすべきなのは、『LoL』というゲームにおいては至極当然なことなのです。
ただし、ここで勘違いしてはいけないのは、「勝て」ではないのです。「負けるな」なのです。
そして、「負けないようにプレイ」するためには、基本的に「勝ちに行くプレイ」をする必要があります。なぜなら、レーニングにおいて敗北してしまうと、中盤以降の『LoL』で勝つためのアドバイスがまったくできなくなってしまうからです。
特に、日本人プレイヤーからこの質問が多くあるように感じます。これは完全に私の考えですが、「周りに迷惑をかけないプレイってどうしたらできますか?」という質問を聞いた時、「ある意味悪い日本人的な感性が働いているなぁ」と思ったりします。
『LoL』は「周りに迷惑をかけないようにプレイするゲーム」ではありません、「いかにして自身のプレイングからチームを勝利へ導くかというゲーム」です。勝利を目指してプレイしているという前提があるのであれば、「大事な中盤での活躍を保証するための『レーニング』という勝負場面で勝ちにいかなくてどうする!?」と思ってしまうのです。
……とは言いながらも、負けてしまった時のこともある程度考える必要はありますし、「負けている時どうすればいいの?」という質問の答えにはなっていないかもしれません。
ですので、また別の機会があれば、「不利を背負った時のお話」もできればと思っています。
よくプロのプレイヤーや高レートのプレイヤーのコーチングなどで、「レーンで負けないようにしろ」「敗北前提でプレイするな」というお話があります。皆さんも耳にしたことはあるでしょうか? 私自身もよく「レーン戦で負けたらどうすればいいですか?」という質問を受けることがあります。
低ランク帯の多くの人が困っているのは「勝ちたいのに勝てない」という状況だと思います。自分の力であれチームの力であれ、勝っている時には困ることはありません。だから勝てない時にどうしたらいいのか知りたいのに、多くのコーチングや攻略記事・攻略動画では、「負けている時にどうするか」は教えてくれません。
これはなぜなのかというと、「負ける=勝負の土俵に立てなくなる」からです。
このゲームの本質はチームゲームであり連携です。そんなゲームにおいて、1v1ないしは2v2の時点で不利があると、のちのちの試合展開に大きく影響します。そして、その1v1や2v2の場面に、他のプレイヤーが関与して戦況をひっくり返すのは非常に難しい。よって、大前提として個人間で大きな不利を作らないようにプレイすべきなのは、『LoL』というゲームにおいては至極当然なことなのです。
ただし、ここで勘違いしてはいけないのは、「勝て」ではないのです。「負けるな」なのです。
そして、「負けないようにプレイ」するためには、基本的に「勝ちに行くプレイ」をする必要があります。なぜなら、レーニングにおいて敗北してしまうと、中盤以降の『LoL』で勝つためのアドバイスがまったくできなくなってしまうからです。
特に、日本人プレイヤーからこの質問が多くあるように感じます。これは完全に私の考えですが、「周りに迷惑をかけないプレイってどうしたらできますか?」という質問を聞いた時、「ある意味悪い日本人的な感性が働いているなぁ」と思ったりします。
『LoL』は「周りに迷惑をかけないようにプレイするゲーム」ではありません、「いかにして自身のプレイングからチームを勝利へ導くかというゲーム」です。勝利を目指してプレイしているという前提があるのであれば、「大事な中盤での活躍を保証するための『レーニング』という勝負場面で勝ちにいかなくてどうする!?」と思ってしまうのです。
……とは言いながらも、負けてしまった時のこともある程度考える必要はありますし、「負けている時どうすればいいの?」という質問の答えにはなっていないかもしれません。
ですので、また別の機会があれば、「不利を背負った時のお話」もできればと思っています。
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