【特集】eスポーツ世界大会の動画アーカイブ
【eスポーツ大会動画アーカイブ】世界最高賞金額を誇る『Dota 2』の世界大会「The International」
eスポーツの大会は日本のみならず、世界各国でさまざまな種目が開催されている。そのなかでも世界王者を決める大きな大会を「eスポーツ大会動画アーカイブ」シリーズとして、その歴史を紹介していこう。
「The International」は、『Dota 2』の世界のリージョン(地域)の勝者を集めて世界一のチームを決める戦いだ。2011年に第1回が開催されて、2020年は記念すべき10大会目がスウェーデン・ストックホルムで開催された……はずだったのだが、2020年の大会は中止に。この世界情勢の中ではやむをえない。
http://blog.dota2.com/2020/04/the-international-2/
しかし、2021年の大会はすでに動き始めている。スケジュールについては文末でご紹介しているが、その前に、日本ではあまりなじみがないにもかかわらず世界で絶大な人気を誇る、『Dota 2』というゲームについてご紹介しておこう。
『Dota 2』というゲームは、やや複雑ななりたちになっていた。
『Dota 2』は、PCゲームをユーザーなどが自由に改造する文化「MOD」のひとつとして登場した。MODは「modification」の略で、ゲームの改造データのことを指す。多くはメーカー非公認のファンやプログラマーが作っており、いわば『Dota 2』の原型はユーザーサイドから誕生したとも言える。
ベースとなったゲームはBlizzard EntertainmentのRTS『スタークラフト』用のマップ「Aeon of Strife」と言われている。
さらに、同様のコンセプトで作られた『Warcraft 3』というゲームのMOD「Defence of the Ancients」が初代の『DotA』となり、ここで3つのレーンと5vs5という仕組みが確立。のちに、ゲーム配信サービス「Steam」でおなじみのValve社に『DotA』の開発者が参加し、2011年にベータ版として登場したのが『Dota 2』だ。お気付きのとおり、『DotA』という表記は初代のMODの略語として誕生している。
そして、高い完成度と人気を誇った『Dota 2』を使ってValveが最初に行った世界大会が、2011年のドイツのゲーム見本市「Gamescom」内で行われた「The International」だ。賞金総額の160万ドルは、当時のeスポーツシーンにおける最高額。『Dota 2』は最初の大会から高額賞金ということで有名になっていったのだ。
さらに2013年には、ユーザーからの支援を賞金に上乗せするクラウドファンディングで賞金額がアップ。実は『Dota 2』にValve自体がかけている賞金は2020年現在でも160万ドルほどで、ゲーム内課金での売り上げなどが上乗せされて、総額で30億円以上にもおよぶ高額賞金大会になっている。
それではここから、各シーズンのファイナル(優勝決定戦)の動画アーカイブと、シーズンの概要を紹介していこう。他のタイトルで見聞きしたことのあるチームも多数登場するだろう。
なお、『Dota 2』の国際大会としては「Esports World Cup」や「Dota 2 Star」などもあるが、本記事では1年で最も盛り上がる世界最大の大会「The International」のみを取り上げる。
【ロースター】
EHOME
1 820
2 Dai
3 PLT
4/5 Crystal
4/5 357
Natus Vincere
1 ArtStyle
2 Dendi
3 XBOCT
4 Puppey
5 LighTofHeaveN
Game1
Game2
Game3
Game4
第2回大会も優勝賞金は100万ドルと変わらず。16チームのうち、ウエスト/イーストからそれぞれ1チームずつが招待された。トーナメント方式であることはこれまでと同様だが、ウイナーズはBo3、ルーザーズはBo1で戦い進め、ファイナルからBo3、グランドファイナルはBo5で行われた。
ウイナーズを勝ち上がったのは初代王者のNaViだったが、NaViが途中でルーザーズに落とした中国のInvictus Gaming(iG)に1ゲーム目から巻き返され、3勝1敗でiGが2代目王者となった。
【ロースター】
Natus Vincere
1 XBOCT
2 Dendi
3 LighTofHeaven
4 Puppey
5 ARS-ART
Invictus Gaming
1 Zhou
2 Ferrari_430
3 YYF
4 ChuaN
5 Faith
Game1
Game2
Game3
Game4
2013年の第3回大会から、ベースの賞金160万ドル+インセンティブとなり、総額287万ドルへと膨れ上がった。
前年王者のiGはプレイオフ早々に脱落。アッパーブラケットで勝ち上がってきた常連チームのNaViを、この年新設されたスウェーデンのAllianceがロワーブラケットに落とす。しかしNaViはその後、グランドファイナルまで這い上がってきた。Bo5フルセットに及ぶ激闘の末、優勝したのは新興チームのAllianceとなった。
【ロースター】
Natus Vincere
1 Crystallize
2 MagicaL
3 9pasha
4 CemaTheSlayer
5 illias
Alliance
1 Loda
2 s4
3 AdmiralBulldog
4 EGM
5 Akke
Game1
Game2
Game3
Game4
Game5
2014年は『Dota 2』の名前をさらに伝説へと引き上げた。賞金総額はベースの160万ドルに加えて、インセンティブ部分だけでなんと932万ドル! 優勝賞金だけで500万ドルを超えるという世界最大のeスポーツ大会の価値をさらに押し上げた。
世界を4つの地域に分割し、予選、3つのフェーズのプレイオフを経て、メインイベントは8チームによるダブルエリミネーションで実施された。
そんな激闘の中で、前年までの強豪チームが続々落ち込み、中国のNewbeeとVici Gamingによるグランドファイナルに。初戦こそViciが取るものの、Newbeeが3ゲームを連取し初戴冠となった。
【ロースター】
Newbee
1 Hao
2 Mu
3 xiao8
4 Banana
5 SanSheng
Vici Gaming
1 Sylar
2 Super
3 rOtk
4 fy
5 Fenrir
Game1
Game2
Game3
Game4
2015年の第5回大会は、5〜8月までの3カ月をかけてシアトルで争われた。賞金総額は約1840万ドルと2014年の約2倍に。バトルパスの売上からの賞金が膨れ上がり、わずか5年で巨大なeスポーツイベントへと成長した。
この年も過去の大会の例にもれず、前年までに活躍したチームはメインイベントで姿を消し、勝ち残ったのは『Dota 2』黎明期からある老舗チームの北米地域のEvil Geniusと、中国のCDEC Gaming。ファイナルでCDECがEvil Geniusを倒したものの、ロワーブラケットから復活したEvil Geniusが3勝1敗で北米初の王者に輝いた。
【ロースター】
CDEC Gaming
1 Agressif
2 Shiki
3 Xz
4 Garder
5 Q
Evil Genius
1 Fear
2 SumaiL
3 UNiVeRsE
4 Aui_2000
5 ppd
Game1
https://www.twitch.tv/videos/10198188
Game2
https://www.twitch.tv/videos/10214697
Game3
https://www.twitch.tv/videos/10214882
Game4
https://www.twitch.tv/videos/10218720
2016年の第6回大会もシアトルで5度目の開催。賞金プールはさらに拡大し、総額はついに2000万ドルを突破。
この年は、2014年に設立された中国のWings Gamingと、北米のDigital Chaosが決勝でぶつかった。予選ラウンド1でWings Gamingが勝利したカードでもあったが、1ゲーム目はDigital Chaosが勝利。しかしそこからWings Gamingが3タテで世界一の称号を手にした。
【ロースター】
Wings Gaming
1 shadow
2 bLink
3 Faith_bian
4/5 iceice
4/5 y`
Digital Chaos
1 Resolut1on
2 w33
3 Moo
4 Saksa
5 MiSeRy
Finals Game1-4
この年の決勝はTeam LiquidとNewbee。eスポーツの名門チームとして知られるTeam LiquidのDota 2部門は、オランダを本拠地とする欧州の多国籍チーム。アッパーブラケット第1試合で中国のInvictus Gamingに破れてルーザーズへ落ちてしまうが、そこからはTeam Secret、Team Empire、Virtus.pro、LGD Gaming、LGD.Forever Youngといった名だたるライバルを倒して決勝に勝ち進む。一方、アッパーブラケットを勝ち上がったのは2014年の王者である中国のNewbee。死にものぐるいで這い上がったTLの強さが勝り、3-0のストレートでTLがDota 2世界王者となった。
【ロースター】
Team Liquid
1 MATUMBAMAN
2 Miracle-
3 MinD_ContRoL
4 GH
5 KuroKy
Newbee
1 Moogy
2 Sccc
3 kpii
4 Kaka
5 Faith
Finals Game1-3
2018年の「The International」は、2011年の世界大会開催以来初めて、北米以外の地域での開催となった。会場はカナダ・バンクーバーのロジャーズアリーナ。また、ポイントシステムによる招待制システムが初めて導入された。賞金額はどんどん増加し、総額2550万ドル、優勝賞金は1100万ドル超えと、毎年100万ドルずつ増えていく途方もない規模だ。
日本でもこの2018年は「eスポーツ元年」として、多くのeスポーツチームが設立され、eスポーツで活躍する選手が多数登場した年でもあり、高額賞金のeスポーツ大会として『Dota 2』の知名度が一般人にも轟いたのもこの年と言っていいだろう。
そんな2018年は、アッパーブラケットを勝ち上がったOGと、そのアッパーブラケットファイナルでOGに破れたPSG.LGDによる戦い。フランスの名門サッカーチーム、パリ・サンジェルマンFCのスポンサードを受けて改名したPSG.LGDは、初戦を取られたあと2ゲーム連取でリードしたものの、フルカウント3勝2敗でOGが初優勝を果たした。
【ロースター】
OG
1 ana
2 Topson
3 Ceb
4 JerAx
5 N0tail
PSG.LGD
1 Ame
2 Somnus丶M
3 Chalice
4 fy
5 xNova
Finals Game1-5
「The International 2019」では初めて、開催地がアジアの中国へと移った。eスポーツ大国である中国は、『Dota 2』のトップチームを数多く擁する強豪国のひとつでもあり、現地の人気と実力を考えればむしろ遅すぎたほどだろう。会場は上海万博で建設されたメルセデス・ベンツアリーナで、賞金総額は一気に加速し約3400万ドル、優勝賞金は1500万ドルと、世界的なeスポーツ人気の後押しを受けてさらに拍車がかかった。
グループステージでは地元中国のチームが多く勝ち上がり、地元ファンの後押しと地の利を生かして2016年以来の中国チーム優勝を狙いたいところ。しかし、アッパーブラケットファイナルまで勝ち上がった期待のPSG.LGDは前年決勝で破れたOGに再び敗退し、さらにローワーズブラケットでもTeam Liquidに破れて3位に終わってしまった。
そして決勝カードは、ともに世界を制した経験を持つOGとTeam Liquidとなった。初戦こそ落としたものの、OGの勢いは止まらず、OGが3勝1敗で「The International」史上初の2連覇を成し遂げた。
【ロースター】
OG
1 ana
2 Topson
3 Ceb
4 JerAx
5 N0tail
Team Liquid
1 Miracle-
2 w33
3 MinD_ContRoL
4 GH
5 KuroKy
Finals Game1-4
前述のとおり、「The International 2020」は開催中止となってしまった。
しかし、2020年末にValveから公式リーグの正式発表が出された。それによれば、2021年1月18日より各リージョンでDota ProCircuitシーズンが開幕し、8月のストックホルムでの「The International」開催に向けて準備が進められている。シーズン1は1月〜4月、シーズン2は4月〜6月の予定で、それぞれで代表チームを選出して世界大会に臨むことになる。
2021年現在、世界の新型コロナウイルスの状況は好転しているとは言い難く、英国や米国をはじめ、日本国内でも変異種が発見された。それでも隣接する国々同士で戦われる各リージョンはまだいい方で、オフラインのかたちでストックホルムに世界の強豪チームが集まって戦えるかどうかは、まだわからない。
それでも、ファンとコミュニティの力で世界最高賞金額を更新し続けている『Dota 2』が、再びその熱狂を我々に見せてくれる日が早く訪れてほしい。そして、日本からもまだまだ世界に挑戦する気持ちを持った新たなプレイヤーの参戦、挑戦が増えることにも期待したい。
参考:
The International|Liquipedia:https://liquipedia.net/dota2/The_International
『Dota 2』の歴史|eスポーツ|レッドブル:https://www.redbull.com/jp-ja/the-history-of-dota
『Dota 2』の世界大会「The International」とは
「The International」は、『Dota 2』の世界のリージョン(地域)の勝者を集めて世界一のチームを決める戦いだ。2011年に第1回が開催されて、2020年は記念すべき10大会目がスウェーデン・ストックホルムで開催された……はずだったのだが、2020年の大会は中止に。この世界情勢の中ではやむをえない。
http://blog.dota2.com/2020/04/the-international-2/
しかし、2021年の大会はすでに動き始めている。スケジュールについては文末でご紹介しているが、その前に、日本ではあまりなじみがないにもかかわらず世界で絶大な人気を誇る、『Dota 2』というゲームについてご紹介しておこう。
『Dota 2』のルーツ
『Dota 2』というゲームは、やや複雑ななりたちになっていた。
『Dota 2』は、PCゲームをユーザーなどが自由に改造する文化「MOD」のひとつとして登場した。MODは「modification」の略で、ゲームの改造データのことを指す。多くはメーカー非公認のファンやプログラマーが作っており、いわば『Dota 2』の原型はユーザーサイドから誕生したとも言える。
ベースとなったゲームはBlizzard EntertainmentのRTS『スタークラフト』用のマップ「Aeon of Strife」と言われている。
さらに、同様のコンセプトで作られた『Warcraft 3』というゲームのMOD「Defence of the Ancients」が初代の『DotA』となり、ここで3つのレーンと5vs5という仕組みが確立。のちに、ゲーム配信サービス「Steam」でおなじみのValve社に『DotA』の開発者が参加し、2011年にベータ版として登場したのが『Dota 2』だ。お気付きのとおり、『DotA』という表記は初代のMODの略語として誕生している。
そして、高い完成度と人気を誇った『Dota 2』を使ってValveが最初に行った世界大会が、2011年のドイツのゲーム見本市「Gamescom」内で行われた「The International」だ。賞金総額の160万ドルは、当時のeスポーツシーンにおける最高額。『Dota 2』は最初の大会から高額賞金ということで有名になっていったのだ。
さらに2013年には、ユーザーからの支援を賞金に上乗せするクラウドファンディングで賞金額がアップ。実は『Dota 2』にValve自体がかけている賞金は2020年現在でも160万ドルほどで、ゲーム内課金での売り上げなどが上乗せされて、総額で30億円以上にもおよぶ高額賞金大会になっている。
それではここから、各シーズンのファイナル(優勝決定戦)の動画アーカイブと、シーズンの概要を紹介していこう。他のタイトルで見聞きしたことのあるチームも多数登場するだろう。
なお、『Dota 2』の国際大会としては「Esports World Cup」や「Dota 2 Star」などもあるが、本記事では1年で最も盛り上がる世界最大の大会「The International」のみを取り上げる。
2011年 EHOME vs Natus Vincere
第1回大会は、優勝賞金100万ドル。16チームによるトーナメントを勝ち上がってきた欧州のNatus Vincere(NaVi)と、ルーザーズトーナメントを勝ち上がってきた中国のEHOMEによるBo5(3戦先取)。ウイナーズ側のNaViが1勝を持った状態での戦いは、実質1ゲーム目をEHOMEが奪取したものの、NaViが残る2ゲームを連取し、初代王者に輝いた。【ロースター】
EHOME
1 820
2 Dai
3 PLT
4/5 Crystal
4/5 357
Natus Vincere
1 ArtStyle
2 Dendi
3 XBOCT
4 Puppey
5 LighTofHeaveN
Game1
Game2
Game3
Game4
2012年 Invictus Gaming vs Natus Vincere
第2回大会も優勝賞金は100万ドルと変わらず。16チームのうち、ウエスト/イーストからそれぞれ1チームずつが招待された。トーナメント方式であることはこれまでと同様だが、ウイナーズはBo3、ルーザーズはBo1で戦い進め、ファイナルからBo3、グランドファイナルはBo5で行われた。
ウイナーズを勝ち上がったのは初代王者のNaViだったが、NaViが途中でルーザーズに落とした中国のInvictus Gaming(iG)に1ゲーム目から巻き返され、3勝1敗でiGが2代目王者となった。
【ロースター】
Natus Vincere
1 XBOCT
2 Dendi
3 LighTofHeaven
4 Puppey
5 ARS-ART
Invictus Gaming
1 Zhou
2 Ferrari_430
3 YYF
4 ChuaN
5 Faith
Game1
Game2
Game3
Game4
2013年 Natus Vincere vs Alliance
2013年の第3回大会から、ベースの賞金160万ドル+インセンティブとなり、総額287万ドルへと膨れ上がった。
前年王者のiGはプレイオフ早々に脱落。アッパーブラケットで勝ち上がってきた常連チームのNaViを、この年新設されたスウェーデンのAllianceがロワーブラケットに落とす。しかしNaViはその後、グランドファイナルまで這い上がってきた。Bo5フルセットに及ぶ激闘の末、優勝したのは新興チームのAllianceとなった。
【ロースター】
Natus Vincere
1 Crystallize
2 MagicaL
3 9pasha
4 CemaTheSlayer
5 illias
Alliance
1 Loda
2 s4
3 AdmiralBulldog
4 EGM
5 Akke
Game1
Game2
Game3
Game4
Game5
2014年 Newbee vs Vici Gaming
2014年は『Dota 2』の名前をさらに伝説へと引き上げた。賞金総額はベースの160万ドルに加えて、インセンティブ部分だけでなんと932万ドル! 優勝賞金だけで500万ドルを超えるという世界最大のeスポーツ大会の価値をさらに押し上げた。
世界を4つの地域に分割し、予選、3つのフェーズのプレイオフを経て、メインイベントは8チームによるダブルエリミネーションで実施された。
そんな激闘の中で、前年までの強豪チームが続々落ち込み、中国のNewbeeとVici Gamingによるグランドファイナルに。初戦こそViciが取るものの、Newbeeが3ゲームを連取し初戴冠となった。
【ロースター】
Newbee
1 Hao
2 Mu
3 xiao8
4 Banana
5 SanSheng
Vici Gaming
1 Sylar
2 Super
3 rOtk
4 fy
5 Fenrir
Game1
Game2
Game3
Game4
2015年 CDEC Gaming vs Evil Geniuses
2015年の第5回大会は、5〜8月までの3カ月をかけてシアトルで争われた。賞金総額は約1840万ドルと2014年の約2倍に。バトルパスの売上からの賞金が膨れ上がり、わずか5年で巨大なeスポーツイベントへと成長した。
この年も過去の大会の例にもれず、前年までに活躍したチームはメインイベントで姿を消し、勝ち残ったのは『Dota 2』黎明期からある老舗チームの北米地域のEvil Geniusと、中国のCDEC Gaming。ファイナルでCDECがEvil Geniusを倒したものの、ロワーブラケットから復活したEvil Geniusが3勝1敗で北米初の王者に輝いた。
【ロースター】
CDEC Gaming
1 Agressif
2 Shiki
3 Xz
4 Garder
5 Q
Evil Genius
1 Fear
2 SumaiL
3 UNiVeRsE
4 Aui_2000
5 ppd
Game1
https://www.twitch.tv/videos/10198188
Game2
https://www.twitch.tv/videos/10214697
Game3
https://www.twitch.tv/videos/10214882
Game4
https://www.twitch.tv/videos/10218720
2016年 Wings Gaming vs Digital Chaos
2016年の第6回大会もシアトルで5度目の開催。賞金プールはさらに拡大し、総額はついに2000万ドルを突破。
この年は、2014年に設立された中国のWings Gamingと、北米のDigital Chaosが決勝でぶつかった。予選ラウンド1でWings Gamingが勝利したカードでもあったが、1ゲーム目はDigital Chaosが勝利。しかしそこからWings Gamingが3タテで世界一の称号を手にした。
【ロースター】
Wings Gaming
1 shadow
2 bLink
3 Faith_bian
4/5 iceice
4/5 y`
Digital Chaos
1 Resolut1on
2 w33
3 Moo
4 Saksa
5 MiSeRy
Finals Game1-4
2017年 Team Liquid vs Newbee
2017年の第7回大会の舞台も引き続き北米・シアトル。1万7000人もの観客を集めた巨大eスポーツイベントに成長した「The International 2017」の賞金は、ベースとなる160万ドルにバトルパス収益の25%にあたる2318万ドルを上乗せ。優勝賞金だけでも1000万ドルを突破し、オールスターマッチの優勝賞金さえ10万ドルにもなった。この年の決勝はTeam LiquidとNewbee。eスポーツの名門チームとして知られるTeam LiquidのDota 2部門は、オランダを本拠地とする欧州の多国籍チーム。アッパーブラケット第1試合で中国のInvictus Gamingに破れてルーザーズへ落ちてしまうが、そこからはTeam Secret、Team Empire、Virtus.pro、LGD Gaming、LGD.Forever Youngといった名だたるライバルを倒して決勝に勝ち進む。一方、アッパーブラケットを勝ち上がったのは2014年の王者である中国のNewbee。死にものぐるいで這い上がったTLの強さが勝り、3-0のストレートでTLがDota 2世界王者となった。
【ロースター】
Team Liquid
1 MATUMBAMAN
2 Miracle-
3 MinD_ContRoL
4 GH
5 KuroKy
Newbee
1 Moogy
2 Sccc
3 kpii
4 Kaka
5 Faith
Finals Game1-3
2018年 OG vs PSG.LGD
2018年の「The International」は、2011年の世界大会開催以来初めて、北米以外の地域での開催となった。会場はカナダ・バンクーバーのロジャーズアリーナ。また、ポイントシステムによる招待制システムが初めて導入された。賞金額はどんどん増加し、総額2550万ドル、優勝賞金は1100万ドル超えと、毎年100万ドルずつ増えていく途方もない規模だ。
日本でもこの2018年は「eスポーツ元年」として、多くのeスポーツチームが設立され、eスポーツで活躍する選手が多数登場した年でもあり、高額賞金のeスポーツ大会として『Dota 2』の知名度が一般人にも轟いたのもこの年と言っていいだろう。
そんな2018年は、アッパーブラケットを勝ち上がったOGと、そのアッパーブラケットファイナルでOGに破れたPSG.LGDによる戦い。フランスの名門サッカーチーム、パリ・サンジェルマンFCのスポンサードを受けて改名したPSG.LGDは、初戦を取られたあと2ゲーム連取でリードしたものの、フルカウント3勝2敗でOGが初優勝を果たした。
【ロースター】
OG
1 ana
2 Topson
3 Ceb
4 JerAx
5 N0tail
PSG.LGD
1 Ame
2 Somnus丶M
3 Chalice
4 fy
5 xNova
Finals Game1-5
2019年 OG vs Team Liquid
「The International 2019」では初めて、開催地がアジアの中国へと移った。eスポーツ大国である中国は、『Dota 2』のトップチームを数多く擁する強豪国のひとつでもあり、現地の人気と実力を考えればむしろ遅すぎたほどだろう。会場は上海万博で建設されたメルセデス・ベンツアリーナで、賞金総額は一気に加速し約3400万ドル、優勝賞金は1500万ドルと、世界的なeスポーツ人気の後押しを受けてさらに拍車がかかった。
グループステージでは地元中国のチームが多く勝ち上がり、地元ファンの後押しと地の利を生かして2016年以来の中国チーム優勝を狙いたいところ。しかし、アッパーブラケットファイナルまで勝ち上がった期待のPSG.LGDは前年決勝で破れたOGに再び敗退し、さらにローワーズブラケットでもTeam Liquidに破れて3位に終わってしまった。
そして決勝カードは、ともに世界を制した経験を持つOGとTeam Liquidとなった。初戦こそ落としたものの、OGの勢いは止まらず、OGが3勝1敗で「The International」史上初の2連覇を成し遂げた。
【ロースター】
OG
1 ana
2 Topson
3 Ceb
4 JerAx
5 N0tail
Team Liquid
1 Miracle-
2 w33
3 MinD_ContRoL
4 GH
5 KuroKy
Finals Game1-4
2021年以降の「The International」はどうなる?
前述のとおり、「The International 2020」は開催中止となってしまった。
しかし、2020年末にValveから公式リーグの正式発表が出された。それによれば、2021年1月18日より各リージョンでDota ProCircuitシーズンが開幕し、8月のストックホルムでの「The International」開催に向けて準備が進められている。シーズン1は1月〜4月、シーズン2は4月〜6月の予定で、それぞれで代表チームを選出して世界大会に臨むことになる。
2021年現在、世界の新型コロナウイルスの状況は好転しているとは言い難く、英国や米国をはじめ、日本国内でも変異種が発見された。それでも隣接する国々同士で戦われる各リージョンはまだいい方で、オフラインのかたちでストックホルムに世界の強豪チームが集まって戦えるかどうかは、まだわからない。
それでも、ファンとコミュニティの力で世界最高賞金額を更新し続けている『Dota 2』が、再びその熱狂を我々に見せてくれる日が早く訪れてほしい。そして、日本からもまだまだ世界に挑戦する気持ちを持った新たなプレイヤーの参戦、挑戦が増えることにも期待したい。
参考:
The International|Liquipedia:https://liquipedia.net/dota2/The_International
『Dota 2』の歴史|eスポーツ|レッドブル:https://www.redbull.com/jp-ja/the-history-of-dota
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