【特集】eスポーツ世界大会の動画アーカイブ

【eスポーツ大会動画アーカイブ】『リーグ・オブ・レジェンド』の世界大会「World Championship」

2020.1.31 eSports World編集部
eスポーツの大会は日本のみならず、世界各国でさまざまな種目が開催されている。そのなかでも世界王者を決める大きな大会を「eスポーツ大会動画アーカイブ」シリーズとして、その歴史を紹介していこう。

『リーグ・オブ・レジェンド』の世界大会「World Championship」


「World Championship」(以下、「Worlds」)は、『リーグ・オブ・レジェンド』(以下、『LoL』)の世界のリージョン(地域)の勝者を集めて世界一のチームを決める戦いだ。2011年の第1回開催から今年2020年で10回目を数える。正式名称は「League of Legend World Championship」だが、『LoL』ファンたちの中では「Worlds」で通っている(「WCS」という呼び方もあるが、この略語自体が世界選手権を示す「World Championship」の略であり、『オーバーウォッチ』やリアルスポーツでもしばしば使われている。過去には「LJL」も公式動画で「WCS」と呼んでいたこともあるが、事実上「Worlds」で統一されていると考えてよさそう)。

『LoL』では、その年の1月〜5月頃までの期間を「Spring Split」とし、6月頃に春の強者たちが集う世界大会「Mid-Season Invitational」(MSI)を開催。さらに7月〜10月頃を「Summer Split」とし、春夏を合わせた各地域最強のチームたちを集めた「Worlds」で世界一が決定する。

賞金は、基本となる総額から優勝、準優勝、3位……と割合に応じて分配していく仕組み。また、2016年のシーズン6より、「Worlds」のための特別なチャンピオンスキンやワードスキンの売上も賞金額に上乗せされるようになり、賞金総額が大幅にアップ。優勝賞金だけでも日本円にして約2億円以上だ。

さらに、2019年の「Worlds」のファイナルの試合は、ライアットによれば20以上のプラットフォームで配信され、1分間あたりの平均視聴者数が2180万人、最大同時視聴者数は4400万人という、とてつもない記録を立てている。優勝チームだけが持つことを許されるトロフィー「サモナーズカップ」の専用ケースは、ルイ・ヴィトンが手がけるなど、規模も格式も世界最高峰のeスポーツとなっている。

2019 World Championship、視聴者数記録を更新|LJL公式サイト
https://jp.lolesports.com/news/2019-world-championship-hits-record-viewership

それではここから、各シーズンのファイナル(優勝決定戦)の動画アーカイブと、シーズンの概要を紹介していこう。なお、「LJL」公式YouTubeチャンネルにて日本語解説付きのファイナルのアーカイブがあるシーズンは日本語配信も掲載している。

2011年 Fnatic vs against All authority


記念すべき「Worlds」第1回は、スウェーデンの「DreamHack Summer 2011」という大会の中で開催された。賞金総額約10万ドル、優勝賞金5万ドルで、欧州(EU)、北米(NA)と、シンガポール、フィリピンから計8チームが集結。

ファイナルは、Fnaticとagainst All authorityによる欧州対決となり、Fnaticが2対1で優勝を果たした。欧州チームによる優勝は、後にも先にもこの1回のみだ。

当時のチャンピオン数はまだ40体。グラフィックも原色に近く、現在の『LoL』とはだいぶ印象が異なる。

【ロースター】
Fnatic
トップ:xPeke
ジャングル:CyanideFI
ミッド:Shushei
ADC:LamiaZealot
サポートMellisan

against All authority
トップ:sOAZ
ジャングル:Linak
ミッド:MoMa
ADC:YellOwStaR
サポート:kujaa


2012年 Taipei Assassins vs Azubu Frost


第2回大会は、賞金総額が200万ドルに跳ね上がり、優勝賞金は100万ドルに。北米、欧州に加えて、韓国、中国、台湾・香港・マカオ、東南アジア(SEA)各地から12チームがカリフォルニアに集い、世界一を争った。

試合は、台湾のTaipei Assassinsが韓国のAzubu Frostを下し、アジア初のタイトルを獲得した。

【ロースター】
Taipei Assassins
トップ:Stanley
ジャングル:Lilballz
ミッド:Toyz
ボット:bebe
サポート:MiSTakE

Azubu Frost
トップ:Shy
ジャングル:CloudTemplar
ミッド:RapidStar
ボット:Woong
サポート:MadLife


2013年 SK Telecom T1 vs Royal Club


2013年の第3回大会は、賞金総額が205万ドル、優勝賞金は100万ドルと、前年に続いて大規模な大会に。会場は米国で、ロジテック(日本ではロジクール)、ALIENWARE、プラントロニクス、アメリカンエキスプレスといった大手企業がスポンサーについた。

この頃から韓国、台湾、中国といったアジア勢力の台頭が始まる。準々決勝で北米や欧州が潰しあったこともあるが、準決勝(トップ4)に残った欧米勢はFnaticのみ。決勝は韓国のSK Telecom T1と中国のRoyal Clubの対戦となり、3対0でSKTが初優勝を果たした。のちに続く「Faker」伝説はここからスタートする。

【ロースター】
SK Telecom T1
Top Laner Impact
Jungler Bengi
Mid Laner Faker
Bot Laner Piglet
Support PoohManDu

Royal Club
Top Laner GodLike
Jungler Lucky
Mid Laner Wh1t3zZ
Bot Laner Uzi
Support Tabe



2014年 Samsung White vs Star Horn Royal Club


『LoL』のシーズン4にあたる2014年は、前年の韓国の躍進を受けて会場を韓国・ソウルに移した。優勝賞金は変わらず100万ドルだが、賞金総額は213万ドルまでアップ。すでにeスポーツ人気の高かった韓国開催で、『LoL』のプレイヤー、ファンともに多かったこともあり、大きな人気を博した。予選も世界のリージョンから16チームが集まり、約1カ月に及ぶ戦いが繰り広げられた。

ただし、前年優勝のSKTは姿を見せず、準々決勝でSamsung系チームが欧米チームを下して、欧米チームがついにトップ4から脱落。決勝戦は韓国のSamsung Whiteと中国のStar Horn Royal Clubの戦いとなり、韓国チームが2年連続で優勝カップを持ち帰った。

【ロースター】
Samsung White
Top Laner Looper
Jungler Dandy
Mid Laner PawN
Bot Laner imp
Support Mata

Star Horn Royal Club
Top Laner Cola
Jungler inSec
Mid Laner corn
Bot Laner Uzi
Support Zero


2015年 SK Telecom T1 vs KOO Tigers


2015年の決戦の舞台は第1回以来の欧州へ。しかも、ベスト16から決勝戦まで、フランス、英国、ベルギー、ドイツと4カ国をまたいで開催された。賞金規模もほぼ変わらず、優勝賞金は100万ドルだ。

地元開催ということもあり、欧州リージョンのOrigenとFnaticが奮闘を見せてトップ4まで残るものの、SKTとKOO Tigersという韓国チームにともに敗退。決勝戦はSKTが制した。

【ロースター】
SK Telecom T1
Top Laner MaRin
Jungler Bengi
Mid Laner Faker
Bot Laner Bang
Support Wolf
Coach kkOma

KOO Tigers
Top Laner Smeb
Jungler Hojin
Mid Laner Kuro
Bot Laner PraY
Support GorillA
Coach NoFe

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Ga

2016年 SK Telecom T1 vs Samsung Galaxy


2016年、6シーズン目の「Worlds」は、会場を再び北米へ。しかし開催地は2015年と同様にステージによって場所を変更し、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスの4カ所での開催となった。

ただし、地元北米のCloud9はプレーオフで、Team SoloMidはグループステージでそれぞれ敗退。トップ4には欧州のH2k-Gamingが残ったものの、決勝は再び韓国同士となり、BO5(3戦先取)フルセットの末、SKTが2年連続で優勝を果たした。

ちなみに、日本のプロリーグ「LJL」が誕生したのも2016年。LJL誕生の年に優勝したSKT所属のBlank選手が、「LJL」のSengoku Gamingで戦っているというのも感慨深い。

【ロースター】
SK Telecom T1
トップ:Duke
ジャングル:Bengi/Blank
ミッド:Faker
ADC:Bang
サポート:Wolf
コーチ:kkOma

Samsung Galaxy
トップ:CuVee
ジャングル:Ambition
ミッド:Crown
ADC:Ruler
サポート:CoreJJ
コーチ:Edgar


日本語解説付きアーカイブ
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2017年 Samsung Galaxy vs SK Telecom T1


2017年、シーズン7の「Worlds」開催地は初の中国・北京へ。恒例の4地域を巡る戦いの最後は、北京五輪も行われた9万人収容の鳥の巣スタジアムとなった。世界のリージョンから過去最大の24チームが集い、1カ月半に渡って争われた。

賞金は当初は225万ドルとされていたが、特別なスキンやワードスキンの売上の25%が賞金に上乗せされ、最終的な額は約500万ドル! 優勝賞金は185万ドルにもなった。

そんな大規模な大会を制したのは、韓国のSamsung Galaxy。SKTを抑えて、Samsungとして初の戴冠となった。日本からはRampageが参戦している。

【ロースター】
Samsung Galaxy
トップ:CuVee
ジャングル:Ambition
ミッド:Crown
ADC:Ruler
サポート:CoreJJ
コーチ:Edgar

SK Telecom T1

トップ:Huni
ジャングル:Peanut/Blank
ミッド:Faker
ADC:Bang
サポート:Wolf
コーチ:kkOma

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日本語解説付きアーカイブ
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2018年 Invictus Gaming vs Fnatic


2018年は韓国での開催。賞金は2017年と同様にスキンなどの売上の一部が充当され、最終的に総額645万ドルにも及んだ。優勝賞金は実に240万ドル、日本円にして2億円を超える額となった。

地元ということもあり韓国チームの活躍が目立ったが、決勝にたどりついたのは中国のInvictus Gaming(iG)と第1回大会以来のファイナル進出を果たしたFnatic。試合はiGが圧倒的な強さを見せ、中国チームとして初優勝を果たした。日本からはDetonatioN FocusMeが悲願の「Worlds」出場を果たし、グループステージを突破している。

【ロースター】
Invictus Gaming
トップ:TheShy
ジャングル:Ning
ミッド:Rookie
ADC:JackeyLove
サポート:Baolan
コーチ:Kim

Fnatic
トップ:sOAZ/Bwipo
ジャングル:Broxah
ミッド:Caps
ADC:Rekkles
サポート:Hylissang
コーチ:Dylan Falco


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2019年 FunPlus Phoenix vs G2 Esports


2019年の「Worlds」は、再び欧州での開催。ベルギー、スペインを経て、フランス・パリでファイナルが開催された。賞金は2018年と同様で、最低賞金総額約222万ドル、優勝賞金約84万ドルに、スキンなどの売上が追加される模様だ。

欧州チームに大きな期待が集まるなか、それに見事に応えたのがG2 Esports。DAMWON GamingとSKTという韓国チームを下し、決勝に駒を進める。一方のFunPlus Phoenix(FPX)はFnaticと前年王者のiGを退けて決勝に上がってきた。

迎えたパリの決勝戦は、中国リーグ1位のFPXが圧倒的な力を見せつけ、世界最強の座をつかんだ。欧州チームによるサモナーズカップ奪還は、またもやお預けとなってしまった。

【ロースター】
FunPlus Phoenix
トップ:GimGoon
ジャングル:Tian
ミッド:Doinb
ADC:Lwx
サポート:Crisp
コーチ:WarHorse

G2 Esports
トップ:Wunder
ジャングル:Jankos
ミッド:Caps
ADC:Perkz
サポート:Mikyx
コーチ:GrabbZ


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2020年の「Worlds」はどうなる?


2020年のシーズン10も、LPLを皮切りにすでに各地域でスタートし始めている。

2019年のシーズン9からの大きな変更点としては、ドラゴンのバフの変更とトップ/ボットの地形変化など、ゲーム全体を大きく変える変更が加えられた。シーズン途中でのパッチ変更の可能性はまだまだあるが、基本的な戦略が大きく変わったことは間違いない。これらが記念すべき10周年の「Worlds」にどう影響を与えるか。

そして、「Worlds」の開催地は中国・上海に決定。なんといっても2年連続世界王者を輩出しており、今年も激戦が予想される。日本からは距離的にも近く、2020年は現地観戦するファンもさらに増えるだろう。さらに、2021年の開催地は北米になることも公表されている。

なお、2020年から3年契約で、中国で『LoL』チームも持っている動画配信サービス「bilibili」が「Worlds」の独占配信契約を結んだ。今後、日本を含めて「Worlds」の配信環境がどのように変わるのかも興味深い。

日本のプロリーグ「LJL」も、いよいよ2月8日からスタート。各チームのロースターが大きく変更され、勢力図もガラッと変わる可能性がありそうだ。日本代表チームの「Worlds」でのさらなる活躍にも期待したい。


参考サイト:
League of Legends Esports Wiki|GAMEPEDIA
https://lol.gamepedia.com/World_Championship
League of Legends World Championshipの歴史|eスポーツ|レッドブル
https://www.redbull.com/jp-ja/league-of-legends-history-of-worlds

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