『ストリートファイター6』モダンタイプをプロゲーマーはどう評価した? 賛否両論動画まとめ
ついに本日6月2日(金)、『ストリートファイター6』が発売された。2022年からクローズドベータ、オープンベータなどを経て、多くのファンは本作のシステムについてだいたい把握しているだろう。
カプコン、そして『ストリートファイター』シリーズ作品として『スト6』の最も大きな変更点といえば、1ボタンで必殺技が出せる「モダンタイプ」の追加だ。コマンド+ボタンという従来の入力方法を「クラシックタイプ」として、キャラクター選択時にどちらでもプレイできるようになっている。
古参の格ゲーファンであればあるほど、苦労して習得したコマンド入力の技術を1ボタンで出せてしまうことへの不安や危惧は強いようだ。その反面、コマンド入力がうまくできずに下手くそと“格付け”されてしまうことの多い筆者のような人間には、かなり魅力的にも思える。
そこで今回は、この「モダンタイプ」の是非について、日本の格ゲーマーたちの声をまとめてみた。思った以上に否定的な声が少ないことや、初心者とは全く違うポイントについて考察しているところは、やはりさすがプロ。
なお、これらの動画は発売前のベータ版をプレイした時点での評価であり、これから攻略や解析が進めば異なる印象を持つプレイヤーも出てくるかもしれない。発売前〜直後の情報として、タイプ選択の参考にしていただきたい。
プロの声を聞く前に、「モダンタイプ」についてかいつまんでご紹介しよう。
「モダンタイプ」とは、方向キーとボタンひとつでさまざまな技が出せる、『スト6』の新しい操作方法のことだ。
通常攻撃は弱・中・強の3つで、方向キーと組み合わせてさまざまな技に派生する。必殺技はニュートラル・左・下・右との組み合わせでそれぞれ技が変わる。また、ゲージを使用した「スーパーアーツ」は強ボタン+必殺技ボタンで、「アシスト」ボタンを押しながら弱・中・強の連打でコンボ技が出せる「アシストコンボ」もある。「ドライブ」システムもボタンひとつだ。
「モダンタイプ」は入力方法を簡易的にして、操作を習得できないプレイヤーでも駆け引きを楽しめるようにするのが大きな目的だが、「クラシックタイプ」よりも出せる技が少ない、ダメージが80%に減少してしまうといったデメリットもある。難しいことをやってのけている分だけ「クラシックタイプ」の方が有利にすることで、コマンド入力の楽しさも損なわないように配慮されている。
カワノ選手は視聴者の質問に答えるかたちで「モダンタイプ」に対する意見を述べている。発売から数カ月でどちらが有利かはわかるということや、クラシック→モダンへの移行は簡単だが、モダン→クラシックへの移行は難しいと指摘。キャラによってモダンとクラシックを使い分けるといった可能性にもふれていた。
また、技が出せなくてもいい「モダンタイプ」に対する不当な扱いが出てくることも予想。自身がHitBoxを使った際の評価にも重ね、そういった言い方は嫌だという声も上げている。
もともとアケコンのコマンドも苦手だったところから最強ランクに上り詰めたカワノ選手だけに、操作自体が簡単になる「モダンタイプ」に対してはそれほど抵抗はないようだ。
ウメハラは、初心者が入って来やすいという意味で「モダンタイプ」による敷居の低さを評価する一方で、「ドライブパリィ」などによる1ボタン無敵や、弱攻撃からダメージの大きい技につなげる「小技仕込み」のやりやすさを危惧している。これらは、初心者というよりも上級者のウメハラだからこそ、プロとしてシステムをうまく活用できる余地が大きいという意味で、発売後の動向を不安視しているようだ。
ハイタニは、「モダンタイプ」の長所と短所を冷静に分析しつつ、「クラシックタイプ」と比較。現状ではコマンドなどが扱えさえすれば、ダメージが高くできることも多い「クラシックタイプ」の方が強いとしながらも、初心者向けのモードというわけではなく、使い分けられる可能性も感じていると評価。
特に、相手の行動に対処したり、ヒット確認をしなければならないキャラと戦う際には「モダンタイプ」の強みを生かせるとも語っている。逆に、こちらから攻めなければならないガイルのようなキャラを使う際にはあまり相性は良くないかもしれないと予想している。
板橋ザンギエフは、プロとして勝ち負けを意識した場合を想定し、ダメージが8割になってしまう点を補うように、「モダンタイプ」の方が強い組み合わせであれば可能性はあると語っている。
特に、彼自身が近づかなければ強みを発揮できないザンギエフ使いということもあり、遠距離から近づけないような動きが簡単にできる「モダンタイプ」については、自分がやられるという点でも心配しているようだ。
ネモの話題の中心はやはり、1ボタンで出てしまうザンギエフの投げ(吸い込み)に対する不安。ズルいというイメージと、「モダンタイプ」が強くなってしまった際にどうしても批判されそうという心配もあるようだ。
また、動画投稿時点ではリュウとルークのみで評価している点も指摘し、キャラが増えてきた時に果たして「モダンタイプ」が脅威となるかについては、慎重な姿勢を見せている。
どぐらは、ほとんどのプロが「モダンタイプ」肯定派である、ということを前提に、格ゲープレイヤーを増やすためには歓迎だと語っており、「モダンタイプ」の悪用や、楽をしているといった意見に対してもまったく不安は感じていないようだ。
また、過去に『グランブルーファンタジー ヴァーサス』や『ブレイブルー』でも1ボタン必殺技は用意されていたが、それらと比較しても『スト6』の「モダンタイプ」の出来はいいという評価をしており、必殺技を出すために練習が必要というのも古いと断言。ほかにも、視聴者の素朴な質問に面白おかしく回答している。
ももちは「モダンタイプ」と「クラシックタイプ」のどちらが強いか、という問いに対して、現状では「クラシックタイプ」の方が強いと評価。「モダンタイプ」の強みとしては、「ドライブラッシュ」のようなヒット確認技が扱いやすいことや、対空技による弾抜けなどの操作の簡単さを挙げる一方、デメリットとしてはダメージが80%であることよりも、出せない技があることを気にしている。
ただし、キャラの組み合わせによっては技が簡単に出せる「モダンタイプ」であることが有利な場面もあるだろうと予想している。
マゴは、技の数やダメージが少ないと言った「モダンタイプ」と、ほとんどのプロが選ぶであろう「クラシックタイプ」では、向いているキャラも攻略も別物という意見。特に「モダンタイプ」には参考にできるプロがいないため、最初の攻略は難しいだろうと予想している。
たしかに、コマンド入力を得意としているプロが、ダメージが落ちる「モダンタイプ」を積極的に選ぶ理由は見当たらない。「モダンタイプ」で百戦錬磨のプロたちと渡り合えるプレイヤーが出てくるかどうかが、「モダンタイプ」で本気で戦えるようになるかどうかのカギとなりそうだ。
ときどは、高いレベルのプレイヤーにとっての「モダンタイプ」の強みとして、1ボタンで必殺技が出せることが最大の強みだろうと予想する。昇竜拳対空ひとつとっても、入力操作の速度と正確性で、圧倒的に「モダンタイプ」が有利でもあるためだ。
「モダンタイプ」で強いプレイヤーが出てくれば、状況も変わるだろうと考えているようだが、やはり初心者が新たに参入してくれることへの期待感の方が高いようだ。
以上、国内の主なトッププロの声をまとめてみたが、彼らはeスポーツシーンの中で頂点を目指して戦い続けているだけに、「モダンタイプ」に対する視点も「自分が使うとしたらどうか」「わざわざ従来の操作から変える意味はあるか」という視点で語られている。
その中でも共通しているのは、複雑で難しくなりすぎた格闘ゲームの世界に、新たなプレイヤーが入ってきてくれることを歓迎しているという点と、そのために「モダンタイプ」の存在自体を否定する人はひとりもいなかったということだ。
格闘ゲームにおいて、コマンド技を出せるようになるといううれしさは確かにあるが、実は技が出せることは戦う上での準備運動でしかなく、ゲームとしての面白さの本質はその先の駆け引きの部分にこそ込められている。いわば「モダンタイプ」は、コマンド技で挫折してしまっていたプレイヤーに、格闘ゲーム本来の楽しさの部分を味わってもらうためのシステムとも言える。
特に『スト6』のモダンタイプは、さまざまな制約こそあるものの、プロでも活用できるかもしれないと考えるほどにバランスや操作方法が練り込まれたシステムだ。SNSなどをみてもプレイヤーの多くは「モダンタイプ」を高評価している様子でもある。日本発祥のeスポーツジャンルである格闘ゲームに『スト6』から新たにふれ、これまで以上に盛り上がってくれることに期待したい。
ストリートファイター6
https://www.streetfighter.com/6/ja-jp
カプコン、そして『ストリートファイター』シリーズ作品として『スト6』の最も大きな変更点といえば、1ボタンで必殺技が出せる「モダンタイプ」の追加だ。コマンド+ボタンという従来の入力方法を「クラシックタイプ」として、キャラクター選択時にどちらでもプレイできるようになっている。
古参の格ゲーファンであればあるほど、苦労して習得したコマンド入力の技術を1ボタンで出せてしまうことへの不安や危惧は強いようだ。その反面、コマンド入力がうまくできずに下手くそと“格付け”されてしまうことの多い筆者のような人間には、かなり魅力的にも思える。
そこで今回は、この「モダンタイプ」の是非について、日本の格ゲーマーたちの声をまとめてみた。思った以上に否定的な声が少ないことや、初心者とは全く違うポイントについて考察しているところは、やはりさすがプロ。
なお、これらの動画は発売前のベータ版をプレイした時点での評価であり、これから攻略や解析が進めば異なる印象を持つプレイヤーも出てくるかもしれない。発売前〜直後の情報として、タイプ選択の参考にしていただきたい。
いまさら聞けない「モダンタイプ」とは
プロの声を聞く前に、「モダンタイプ」についてかいつまんでご紹介しよう。
「モダンタイプ」とは、方向キーとボタンひとつでさまざまな技が出せる、『スト6』の新しい操作方法のことだ。
通常攻撃は弱・中・強の3つで、方向キーと組み合わせてさまざまな技に派生する。必殺技はニュートラル・左・下・右との組み合わせでそれぞれ技が変わる。また、ゲージを使用した「スーパーアーツ」は強ボタン+必殺技ボタンで、「アシスト」ボタンを押しながら弱・中・強の連打でコンボ技が出せる「アシストコンボ」もある。「ドライブ」システムもボタンひとつだ。
「モダンタイプ」は入力方法を簡易的にして、操作を習得できないプレイヤーでも駆け引きを楽しめるようにするのが大きな目的だが、「クラシックタイプ」よりも出せる技が少ない、ダメージが80%に減少してしまうといったデメリットもある。難しいことをやってのけている分だけ「クラシックタイプ」の方が有利にすることで、コマンド入力の楽しさも損なわないように配慮されている。
カワノ
カワノ選手は視聴者の質問に答えるかたちで「モダンタイプ」に対する意見を述べている。発売から数カ月でどちらが有利かはわかるということや、クラシック→モダンへの移行は簡単だが、モダン→クラシックへの移行は難しいと指摘。キャラによってモダンとクラシックを使い分けるといった可能性にもふれていた。
また、技が出せなくてもいい「モダンタイプ」に対する不当な扱いが出てくることも予想。自身がHitBoxを使った際の評価にも重ね、そういった言い方は嫌だという声も上げている。
もともとアケコンのコマンドも苦手だったところから最強ランクに上り詰めたカワノ選手だけに、操作自体が簡単になる「モダンタイプ」に対してはそれほど抵抗はないようだ。
ウメハラ
ウメハラは、初心者が入って来やすいという意味で「モダンタイプ」による敷居の低さを評価する一方で、「ドライブパリィ」などによる1ボタン無敵や、弱攻撃からダメージの大きい技につなげる「小技仕込み」のやりやすさを危惧している。これらは、初心者というよりも上級者のウメハラだからこそ、プロとしてシステムをうまく活用できる余地が大きいという意味で、発売後の動向を不安視しているようだ。
ハイタニ
ハイタニは、「モダンタイプ」の長所と短所を冷静に分析しつつ、「クラシックタイプ」と比較。現状ではコマンドなどが扱えさえすれば、ダメージが高くできることも多い「クラシックタイプ」の方が強いとしながらも、初心者向けのモードというわけではなく、使い分けられる可能性も感じていると評価。
特に、相手の行動に対処したり、ヒット確認をしなければならないキャラと戦う際には「モダンタイプ」の強みを生かせるとも語っている。逆に、こちらから攻めなければならないガイルのようなキャラを使う際にはあまり相性は良くないかもしれないと予想している。
板橋ザンギエフ
板橋ザンギエフは、プロとして勝ち負けを意識した場合を想定し、ダメージが8割になってしまう点を補うように、「モダンタイプ」の方が強い組み合わせであれば可能性はあると語っている。
特に、彼自身が近づかなければ強みを発揮できないザンギエフ使いということもあり、遠距離から近づけないような動きが簡単にできる「モダンタイプ」については、自分がやられるという点でも心配しているようだ。
ネモ
ネモの話題の中心はやはり、1ボタンで出てしまうザンギエフの投げ(吸い込み)に対する不安。ズルいというイメージと、「モダンタイプ」が強くなってしまった際にどうしても批判されそうという心配もあるようだ。
また、動画投稿時点ではリュウとルークのみで評価している点も指摘し、キャラが増えてきた時に果たして「モダンタイプ」が脅威となるかについては、慎重な姿勢を見せている。
どぐら
どぐらは、ほとんどのプロが「モダンタイプ」肯定派である、ということを前提に、格ゲープレイヤーを増やすためには歓迎だと語っており、「モダンタイプ」の悪用や、楽をしているといった意見に対してもまったく不安は感じていないようだ。
また、過去に『グランブルーファンタジー ヴァーサス』や『ブレイブルー』でも1ボタン必殺技は用意されていたが、それらと比較しても『スト6』の「モダンタイプ」の出来はいいという評価をしており、必殺技を出すために練習が必要というのも古いと断言。ほかにも、視聴者の素朴な質問に面白おかしく回答している。
ももち
ももちは「モダンタイプ」と「クラシックタイプ」のどちらが強いか、という問いに対して、現状では「クラシックタイプ」の方が強いと評価。「モダンタイプ」の強みとしては、「ドライブラッシュ」のようなヒット確認技が扱いやすいことや、対空技による弾抜けなどの操作の簡単さを挙げる一方、デメリットとしてはダメージが80%であることよりも、出せない技があることを気にしている。
ただし、キャラの組み合わせによっては技が簡単に出せる「モダンタイプ」であることが有利な場面もあるだろうと予想している。
マゴ
マゴは、技の数やダメージが少ないと言った「モダンタイプ」と、ほとんどのプロが選ぶであろう「クラシックタイプ」では、向いているキャラも攻略も別物という意見。特に「モダンタイプ」には参考にできるプロがいないため、最初の攻略は難しいだろうと予想している。
たしかに、コマンド入力を得意としているプロが、ダメージが落ちる「モダンタイプ」を積極的に選ぶ理由は見当たらない。「モダンタイプ」で百戦錬磨のプロたちと渡り合えるプレイヤーが出てくるかどうかが、「モダンタイプ」で本気で戦えるようになるかどうかのカギとなりそうだ。
ときど
ときどは、高いレベルのプレイヤーにとっての「モダンタイプ」の強みとして、1ボタンで必殺技が出せることが最大の強みだろうと予想する。昇竜拳対空ひとつとっても、入力操作の速度と正確性で、圧倒的に「モダンタイプ」が有利でもあるためだ。
「モダンタイプ」で強いプレイヤーが出てくれば、状況も変わるだろうと考えているようだが、やはり初心者が新たに参入してくれることへの期待感の方が高いようだ。
一般プレイヤーとプロで明確に異なる「モダンタイプ」の活用法
以上、国内の主なトッププロの声をまとめてみたが、彼らはeスポーツシーンの中で頂点を目指して戦い続けているだけに、「モダンタイプ」に対する視点も「自分が使うとしたらどうか」「わざわざ従来の操作から変える意味はあるか」という視点で語られている。
その中でも共通しているのは、複雑で難しくなりすぎた格闘ゲームの世界に、新たなプレイヤーが入ってきてくれることを歓迎しているという点と、そのために「モダンタイプ」の存在自体を否定する人はひとりもいなかったということだ。
格闘ゲームにおいて、コマンド技を出せるようになるといううれしさは確かにあるが、実は技が出せることは戦う上での準備運動でしかなく、ゲームとしての面白さの本質はその先の駆け引きの部分にこそ込められている。いわば「モダンタイプ」は、コマンド技で挫折してしまっていたプレイヤーに、格闘ゲーム本来の楽しさの部分を味わってもらうためのシステムとも言える。
特に『スト6』のモダンタイプは、さまざまな制約こそあるものの、プロでも活用できるかもしれないと考えるほどにバランスや操作方法が練り込まれたシステムだ。SNSなどをみてもプレイヤーの多くは「モダンタイプ」を高評価している様子でもある。日本発祥のeスポーツジャンルである格闘ゲームに『スト6』から新たにふれ、これまで以上に盛り上がってくれることに期待したい。
ストリートファイター6
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