『ぷよぷよ』eスポーツ化の覚悟と展望とは?【『ぷよぷよeスポーツ』プロデューサー 細山田水紀氏インタビュー】 (2/2)

2019.4.10 岡安学

eスポーツイベントを始めるなら「今」しかない

――続いて、eスポーツのイベントについておうかがいします。現状では「ぷよぷよチャンピオンシップ」と「ぷよぷよカップ」を約2カ月ごとに開催していますが、賞金額や開催頻度を考えると、プロ選手が活動するのは難しいように思うのですが……。

細山田:そうですね。現状はそのほとんどがセガの持ち出しで行いながら、スポンサー様などのご協力を得ながらやっていまして、しかも、先ほど言った通り対象となる『ぷよぷよeスポーツ』は、ぷよぷよファンをより大きく広げることやぷよぷよコミュニティへの還元などが目的でもあり、現状の大会を開き続けることができるほど大きく儲けていないため、これ以上負担するのはおそらく難しく、継続も難しくなる可能性があると思います。

ただ、日本でのeスポーツ関連を盛り上げようという機運はより高まっていると思いますし、2019年シーズンは今季よりも興味を持ってもらえる方が増えたり、スポンサー様にご協力いただけるようになったりすると思うので、それらを選手や大会に還元できればと思っています。

また、グッズの販売など大会でのマネタイズのナレッジやノウハウが蓄積されていけば、今よりももっと運営がしやすくなり、大会の頻度を上げたり、IPのライセンスアウトによる第三者の方による大会実施なども考えられます。現在は会場や内容も変えたりしながらの運営となっていますが、ブラッシュアップし続けることで、そのあたりも最適化されていくことでコストは下げていけると思います。

大会に関しては稼ぐためにやっているわけではなく、盛り上げるためにやっているので収益という概念は度外視しています。もっとeスポーツが盛り上がってから始めた方がいいかもしれませんが、「じゃあ、それはいつ?」となると、その時期はだれにもわからないわけです。JeSU(日本eスポーツ連合)の会長はうちの岡村(株式会社セガホールディングス 代表取締役社長COOの岡村秀樹氏)ですし、今eスポーツイベントをやることで、ゲーム業界やエンターテイメント業界、さらに日本やアジア、全世界を盛り上げていきたいという気持ちが強いです。


実は『ぷよぷよ』にもっと多くの人にふれていただくために、アーケード版『ぷよぷよeスポーツ アーケード』のリリースも予定しています。セガはロケーションも展開しているので、ゲームセンターなどで大会も開けるようになると思います。

※『ぷよぷよeスポーツ アーケード』は2019年4月18日稼働予定。

まあ、ゲーセンでの大会に関しては、いわゆる“風営法”などが関わってくるので、賞金を出せないなどの問題もあります。ただ過去に『ぷよぷよ』の全国キャラバン的な形で大会を行ったこともあり、大会に参加してくれた人全員にプレゼントを渡すというようなことは行っていました。また『ぷよぷよ』ではないのですが、名誉的なもの、例えば「称号」などを授与するという形ですね。『バーチャファイター』の時はまさに「称号」を渡していましたよね。

それから、プロ選手に対しては地方でのイベント参加要請があった場合、そのイベント主催者が渡航費や滞在費などを出して呼ぶということが過去に比べると盛んになっていると思います。以前は自腹でイベント参加するプレイヤーも多かったと思うのですが、プロとして呼ばれるという点で、主催者側の配慮も過去に比べると向上していると思います。

大会開催の敷居をもっと下げていきたい

――eスポーツと言うと、グローバルな活躍の場が用意されていることも多いですが、『ぷよぷよ』のeスポーツの海外での展開はいかがでしょうか。

細山田:日本と同様に、海外でも『ぷよぷよ』の販売を一時期休んでしまった時があったんです。ゲームの場合、「1回休むと一生休んでしまう」となりがちなので、現状では『ぷよぷよ』が日本ほど広く知れ渡っているとは言い難いですね。

ただ、過去にフランスで行われた「スタンフェスト」というイベントで現地のファンが盛り上がってくれたり、アメリカのラスベガスで開催されている格闘ゲーム世界大会「Evolution」(通称「EVO」)の隣で行われているサイドトーナメント「AnimEVO」で『ぷよぷよテトリス』を使った大会が行われていることもあり、コミュニティレベルでは十分人気があるようですし、台湾でも台北ゲームショウなどのステージイベントも盛り上がったことをきっかけに、先日はセガ台湾主催の賞金付き大会が行われました。まだ選手のレベルは日本のトッププロ選手に比べると低めですが、台湾の大会も継続していくつもりです。

――コミュニティによる大会と言うと、国内でも現在も多く開かれており、その大会を開くための許諾は比較的簡単に取れるようになっていますよね。それどころか、「ぷよぷよチャンピオンシップ」のランキングのポイント対象の大会となることもでき、個人や自治体などでも大会が開きやすい仕組みになっているように感じます。

細山田:そうですね。許諾に関してはできるだけ敷居を下げていきたいんです。まあ、ぷよぷよIPを使ってビジネスをしたり、公序良俗に反していたりするようなものはさすがに認められないですが、eスポーツ関連に関連して大会を開くということであれば、全然使ってもらって構わないと思っています。むしろガンガンやっていただきたいです。

弊社としても、コミュニティでの大会でランキングポイント対象大会が増えていけば、それだけ負担が軽くなっていくわけですから、許諾に関してはもっともっとハードルを下げてもいいと思っているくらいです。管理はしないといけないので、下げすぎてしまうとそれはそれで問題が出てきてしまい、そのあたりはバランスも大事ですが。

先ほど、「ゲームのリリースを休んでしまうと一生リリースできないような状態になる」という話をしましたが、一度眠らせてしまった旧作IPというのはなかなか復活させるのは難しいと、長く続くIPの担当になればなるほど強く思います。許諾関係でNGとはしたくないのですが、NGとせざるを得ないものも出てきたりすることはあります。

実はインターネットの発達とともに『ぷよぷよ』がセガとは関係ないところで勝手に流行った時期があったんです。それはファンが勝手にプレイ動画をアップしていたからなんですよね。ゲームの中のストーリーに触れるものは動画規約でNGとしていますし、こちらからコメントしにくい多少問題のある動画もありましたが、勝手に盛り上がってくれたので、そこは当時も「どうぞどうぞ」という感じで、特に問題にしていませんでした。


――『ぷよぷよeスポーツ』は「いきいき茨城ゆめ国体」の文化プログラム「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI」の競技タイトルにも選ばれましたね。

細山田:『ぷよぷよ』ではいろいろな形の大会をやりたいんですよね、子どもや女性、還暦を迎えた方だけの限定大会とか。そういう意味では、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI」では小学生の部と一般の部があり、小学生限定で開催するのはある意味試金石ですね。

以前、全国の販売店で対戦会を開催したりしていたことがあり、各地方に飛んで行って視察していたのですが、当時小学生の女の子ですごくうまい子が広島にいました。今もそういう子はいると思うんです。ただ、国体ということで、予選開催地に行くのは小学生にとってもその親にとっても大変なことなので、そこはかなり障壁になるとは思っていますが、ぜひ参加してほしいと思っています(※小学生の部は、全国8ブロックに分かれて予選を実施)。

個別の大会の話になると、以前『ぷよぷよ』の大会で敬老の日にシルバー大会を3回くらい開催していたんですよね。その当時参加していた方にもう一度参加してほしいんですけど、さすがに今どうしているかわからない。当時60歳とか70歳の方々が優勝していましたが、そこから20年経っているだけなので、まだまだご健在の方も多いとは思うんです。たとえ大きな大会にはならないとしても、そういう方たちに向けてもいろいろなことをやっていきたいですね。

――最後に、『ぷよぷよeスポーツ』の今後の展開について教えてください。

細山田:「ぷよぷよチャンピオンシップ」は先日のセガフェスで発表しましたが、2019年度も継続してやっていきます。台湾の大会も続ける予定です。

そして、これは僕の希望的な話なのですけど、アジアのほかの地域や欧米でも大会をできるだけやっていきたいと思っています。ぜひ多くの方々に『ぷよぷよeスポーツ』を楽しんでいただいて、大会などにもご参加いただきたいです。

――ありがとうございました。

「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI」
『ぷよぷよeスポーツ』開催概要

第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」の文化プログラムにて行われる「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI」の競技タイトル、対戦アクションパズルゲーム『ぷよぷよeスポーツ』について、「小学生の部」「一般の部」(12歳以上)の出場登録エントリーを受け付けている(地域によって、すでに受付終了のところもあり)。

エントリー受付はこちら
https://esportsport.jp/event/ibarakipuyo2019

また、各ブロック代表決定戦(8大会)・都道府県代表決定戦(47大会)は全国でショッピングモールを展開する「イオンモール」の施設、全国44か所にて開催される。

競技は、PlayStation®4用ソフト『ぷよぷよeスポーツ』で行い、「小学生の部」と「一般の部」(12歳以上)の2部門で実施。各部門で出場登録のあった選手による代表決定戦を行い、「小学生の部」では各ブロック代表、「一般の部」では各都道府県代表が選出され、各代表は2019年10月に茨城県内で実施される本大会に出場できる。

大会情報
■日程・開催場所
▼ブロック代表決定戦・都道府県代表決定戦
2019年4月6日~8月17日にかけて全国各地域の「イオンモール」にて実施いたします。
▼本大会
2019年10月5日(土)、6日(日)/茨城県内会場
■主催
いきいき茨城ゆめ国体/いきいき茨城ゆめ大会実行委員会
一般社団法人日本eスポーツ連合
■協力
株式会社セガゲームス
■会場協力
イオンモール株式会社

©SEGA

■関連リンク
ぷよぷよeスポーツ
http://puyo.sega.jp/PuyoPuyo_eSports/
ぷよぷよeスポーツ 全国都道府県対抗 eスポーツ選手権2019 IBARAKI特設サイト
https://esportsport.jp/event/ibarakipuyo2019

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