なぜ『リアルタイムバトル将棋』がeスポーツタイトルになり得たのか【シルバースタージャパン営業広報部 岩田 大樹氏インタビュー】

2021.10.12 井ノ川結希(いのかわゆう)
2018年eスポーツ元年を皮切りに、国内でもさまざまなゲームタイトルがeスポーツの競技シーンで見られるようになった。そんな中、将棋とeスポーツを融合させた『リアルタイムバトル将棋』という新ジャンルのタイトルがJeSU公認のeスポーツタイトルに認定されているのをご存じだろうか。

なぜ将棋がeスポーツに?
将棋はeスポーツなの?

そんな率直な疑問を持ったeSports World編集部が、『リアルタイムバトル将棋』を開発したシルバースタージャパンに直撃。営業広報部 岩田 大樹氏にお話をうかがってみた!

『リアルタイムバトル将棋』はこうして生まれた!


——まず『リアルタイムバトル将棋』というのはどのようなきっかけで開発されたのでしょうか?

▲シルバースタージャパンは本格的な将棋ソフトのほかに『テト字ス』など、斬新なシステムのゲームも開発している

岩田:弊社は囲碁や将棋といったタイトルを主軸にタイトルを開発しているのですが、そういったノウハウを生かして、将棋を使った新しいゲームを作ろうと思ったのがきっかけです。

2015年の東京ゲームショウで、リアルタイムに駒を動かすチェス「電撃戦 -SPEED CHESS-」から着想を得て開発を進めました。



——細かいルールはどのように決めたのでしょうか?

岩田:一度動かした駒が再び動かせるようになるためのクールタイムは開発当初から設定されていたのですが、そのクールタイムは試行錯誤しましたね。駒によって長さを変えるのはもちろん、どれくらいの長さが適切なのかというのは、実際にプレイを重ねてバランスを考えました。

▲例えば歩は3秒、飛車は6秒という風に駒ごとにクールタイムが決まっている

——実際にプレイしてみて思ったのが、『スタークラフト』とか『エイジオブエンパイア』とか、リアルタイムストラテジーの要素が強いと感じていたのですが、そうではなかったんですね。

岩田:おっしゃるとおり、実際リリースしてみると、リアルタイムストラテジーに近いものを感じるというご意見もうかがっておりますが、開発の時は意識していなかったんですよね。

実は『リアルタイムバトル将棋』はCPU戦がメインで、対戦はおまけ程度と考えていたんです。ところが蓋を開けてみれば、「対戦がおもしろい」という声をいただくことが多くなり、「これはeスポーツだ」という声も多くてビックリしました。

——ええっ、まさかのCPU戦がメインとは。まったくの逆だったんですね!

岩田:そうなんですよ。リリースして程なくして、有志の方が大会を開いてくださり、オンラインでも対戦したいという声が大きくなり、『リアルタイムバトル将棋®オンライン』という、オンライン機能を追加したタイトルをリリースしました。

弊社の方でも、まさか対人戦やオンラインの方がメインになるとは、まったく想定していませんでした。まさにユーザーさんと協力して作り上げた作品といっても過言ではありません。

——ということはまさかeスポーツタイトルになるとも思っていなかったという感じですね。となると、なぜ『リアルタイムバトル将棋』JeSU公認のタイトルになったのでしょうか?

岩田:『リアルタイムバトル将棋』をリリースしたときに、岐阜県のeスポーツの活動をされている団体の方にお話しする機会があったのですが、その時に「このゲームはeスポーツになるんじゃないか」と言われたのがきっかけでした。

その後、岐阜県eスポーツ連盟が正式に、岐阜県のJeSU支部になりまして、イベント活動を行っていく中、正式にJeSU公認タイトルに認定されました。

——なるほど。高校eスポーツとか、都道府県対抗eスポーツ大会なんかには向いているタイトルですもんね。ちなみに、eスポーツという競技タイトルになると、1秒1秒を争うシビアな戦いが予想されますが、例えばオンラインにおけるラグ対策のこだわりはありますか?

岩田:本将棋とは異なり、1秒ごとに盤面が変わっていくということで、盤面の同期には大変苦労しました。具体的には、プレイヤーが違和感ないくらいに同期を取るタイミングを細分化して対応しています。

内部的にも同時に同じマスに駒が配置されないように処理をしています。


——同時を省けるほど同期の細分化するといのはものすごい技術ですね!

岩田:そうですね。オンラインサービスが開始された当初は玉が2枚出てしまったとか、謎のところから香車が現れたりと、とんでもないバグに見舞われましたけどね(笑)。

——あはは。それはそれでおもしろそう(笑)。やっぱり、そういう部分は目立たないけれども、めちゃめちゃすごいことしているんだなとは感じていました。

岩田:そうですね。実は見えない部分ではありますが、めちゃめちゃすごいことしてます(笑)。

——逆に、今抱えている問題とか、課題とかはありますか?

岩田:先日Steam版をリリースしたのですが、もともとはNintendo Switch版に作られたタイトルということもあり、コンシューマー機のいい部分が必ずしもPC版でいいとは限らないというのを感じました。

現在、Steam版はアーリーアクセス中ですので、ユーザーさんの声をもとにブラッシュアップしてければと考えています。

——確かに、PCはユーザーによって環境がさまざまですもんね。環境が一律になるコンシューマー機とは違う不具合があるのは大変だと思います。

岩田:はい。PCは自由度が高い分、悩みも多いですね。細かい話でいうと、大会で使えるデバイスに関して、どういうレギュレーションを定めるのかというのも課題のひとつです。

——JeSU公認のタイトルとなると、デバイスに関するレギュレーションも明確化しないといけませんもんね。

岩田:そうですね。例えばマウス専用大会とか、コントローラー専用大会とか、大会ごとにデバイスを決めてあげるのもひとつの案なのではと考えています。

——確か優勝したレオ選手も、自主練ではHit Box社のSmash Boxを使っていました。やっぱり、レバーよりもデジタル的に操作できるボタンの方が強いのかなあと感じました。

岩田:あれは、実はどの入力でデバイスが一番いいかという話題になっていたときに上がったデバイスのひとつでした。それをたまたまHit Box社さんの方が見てくださったみたいで、「AICHI IMPACT!2021」という大会に協賛いただき、優勝賞品という形で提供されたものなんです。

▲「AICHI IMPACT!2021」で優勝したレオ選手

Smash Boxとは


Smash Boxとは、Hit Box社から販売されている。レバーレスコントローラーのひとつ。もともとは、「スマッシュブラザーズ」シリーズ向けに開発された設計になっているが、『リアルタイムバトル将棋』でも入力しやすいデバイスとして注目されている。

ボタンで方向を入力できるので、正確なマス移動が可能となる上、斜め移動もしやすいのが魅力とのこと。

——おおっ、そうだったんですね! やはり方向ボタンが独立しているのはいいですね。例えば、シルバースタージャパンさんから『リアルタイムバトル将棋』専用コントローラーが開発されたらアツそうですね。

岩田:そうですね。弊社にはパーツを作るノウハウがないので、例えば、HORIさんや、三和さん、セイミツさんといったメーカーさんにご協力いただけるのであれば、開発を視野に入れていきたいと思っています。

——ちなみに、Steam版をリリースして、海外の反応はいかがでしたか?

岩田:やはり将棋が日本のゲームということもあるのでなかなか認知はされていないのですが、実際にプレイされた海外のプレイヤーの方からは、新しい形のリアルタイムストラテジーという感覚で好評だったので、『リアルタイムバトル将棋』をきっかけに、本将棋に興味を持っていただけるとうれしいです。

——最後に、今後の展望をお聞かせください。

岩田:『リアルタイムバトル将棋』をもっと多くの皆さんに楽しんでいただきたいというのがあります。そのためにも、数多くの大会を開催し、もっともっとプロe棋士の方々を支えていける存在になりたいです。

また、いち早くコロナが収まり、オフラインの大会でみなさんに楽しんでいただきたいという思いが強くあります。

——ありがとうございました!

———

将棋という日本人になじみ深いボードゲームが、新たなルールへと進化。格闘ゲーム、シューティングゲームがeスポーツタイトルに名を連ねる中、将棋という新たなジャンルがeスポーツの競技シーンに新風を巻き起こす。

なにより小学生がトップ環境で戦えるという年齢の幅広さも、『リアルタイムバトル将棋』の魅力ではないだろうか。プロe棋士という新しい形のeスポーツプレイヤーも誕生する『リアルタイムバトル将棋』界隈に、今後も目が離せない!

リアルタイムバトル将棋®オンライン:
Nintendo Switch版:
https://www.silverstar.co.jp/02products/rtbs_online/

Steam版:
https://www.silverstar.co.jp/02products/rtbs_steam/

シルバースタージャパン公式:
https://www.silverstar.co.jp/

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