【VALORANT Season Finals 出場チームインタビュー FENNEL編】GON「調子がいい秘訣は”朝ごはんチャンネル”」——新生FLの新たな試みと宿敵RIDDLEに向けた対策とは

『VALORANT』の公式国内リーグ「VALORANT Challengers Japan 2025」。Split 1~3での戦績をもとに、「サーキットポイント」という得点が各チームに与えられているが、今月開幕した最終幕である「Season Finals」には、このサーキットポイントが高い上位4チームが出場している。

そして今回、8月6日(水)と7日(木)の2日間をもって、オンラインで行われるすべての試合が終了した。6日(水)の試合で勝利したRIDDLE ORDER(RID)とFENNEL(FL)、そして7日の試合で勝利を収めたNOEZ FOXX(NFX)の計3チームが、残り2日間のオフライン大会へと出場する。


7日のRID戦では、残念ながら敗北してしまったFL。ローワーブラケットからのスタートとなり、優勝までは2度の勝利が必要だ。
さらに今大会で優勝したチームには、今年10月にタイ・バンコクで開催予定の「VCT Ascension Pacific 2025」への切符が与えられる。こちらの大会はアジア太平洋地域から選りすぐり10チームが一同に介しガチンコ対決を繰り広げる舞台であり、ここで優勝することができれば、さらに「VCT Pacific 2026」という国際リーグへの昇格を果たすことができる。世界を目指すFLにとって、ここでの勝利は必須だ。

今回はそんな試合を繰り広げた翌日、オンライン通話にて開催されたメディア合同インタビューの様子をお届けする。FLからは、GON(ごん)選手とEuler(おいらー)コーチが応じてくれた。
GON:ひとつ言わないといけないことがありまして……。ユニホームを忘れてしまいました。
——こちらで行きましょう(笑)
GON:ありがとうございます!

——それではインタビューの方を始めていきます。オフライン大会への進出、おめでとうございます。
GON:(無言で礼)
——さっそくですが、ここまでの大会の振り返りと、オフラインに向けた意気込みをお願いします。
GON:Split 1からSplit3まで、結構長いようであっという間だったと思いますね。「これでまだ1年経ってないんだ」という濃密さといいますか。
新しいチームを1から組み立てるという難しさもすごくあったし、でも「そういう考え方もあるのか」みたいな新しい発見もあったし、凄い濃密な期間だった風に感じます。まあ、まだ終わったわけじゃないんですけどね。
オフラインはローワーからのスタートとなってしまったんですが——。まあこっちの方が、2日間もFENNELを見れるというお得要素もあるので、ファンの方にとってドラマチックにRIDDLEに勝つところを見せていきたいと思うので、ぜひ応援よろしくお願いします。

Euler:GONが話したとおり、1から(チームを)作る難しさはめっちゃありました。僕とGONはその点において、めちゃくちゃ頑張ったと思います。今、自分たちが目指しているオフラインへの目標ってすごく高いと思うんですけど、ここまで来られていのるがすごいなと振り返ってみて思います。
もし昨日勝っていたら、85%は「VALORANT Challengers Japan 2025」優勝。もし負けたら僕らのマップ練度からすると2~3割くらいだと、みんなにも言ってきたんですけど。
まあ……明日からの練習では、この2~3割をどこまで高めていけるかという、みんなにとって限界への挑戦だと思います。何をしなければいけないか、というのはいろいろと分かっているので、それらを本当に頑張っていきたいと思います。
——では続いてGON選手に質問です。今日の朝ごはんは何を食べましたか?
GON:今日の朝ごはんは、実はまだ食べてなくて。マネジャーの方から「インタビューがある」とLINEで頂いて、もう急ピッチで用意したので、朝ごはんまでは調達できませんでした。
僕のプランニングでは、この後タコスを食べに行くということになっているので、今日の朝ごはんはタコスになると思います。
——このSplit 3では、フィジカルの強さがかなり際立っていたかと思いますが、ご自身で思うパフォーマンスを出す秘訣について教えてください。
GON:このSplit 3になって、実はふたつの変えた部分があります。まあひとつは試合に影響する可能性があるので、まだ言えないんですけど。
——もうひとつはなんでしょうか?
GON:僕自身、最近なんか調子いいな、なんかいつもと違うなと思っていたんですけど、やっぱりSplit 3で変わったことといえば、YouTubeで「朝ごはんチャンネル」を始めたということですね。

——Eulerコーチ目線、チーム内で何か変わった点などはありますか?
Euler:元サッカー日本代表監督の岡田武史さんの「神は細部に宿る」という言葉があります。特に『VALORANT』でも、ピークの仕方やアビリティーの使い方でラウンドの勝敗がひっくり返ったりするし、またゲーム内でなくとも、いいプレーをした時にひと言褒めるだとか、日常生活の中でちょっとした声掛けだったり、それだけで次に起こる撃ち合いが変わってきたり。
そういった細かい部分をみんなで意識しようというところが、チームで大きく変わった点だと思います。

Euler:あと、さっきのGONの話でもあった「朝ごはんチャンネル」なんですけど、僕もかなりいいと真面目に思っているんですよね。GONに対しては「配信したら毎日が面白くなるんじゃね」的なことを思っていたので。このYouTubeをやることで、GONが練習にもより前向きになったし、生活が変わったのも本当にいいと思いました。
——今後は、アセンションやVCT Pacificといった国際大会進出を目指していく形にもなると思いますが、世界に対してFENNELが通用する部分、そして足りていない部分があれば教えてください。
Euler:FENNELとRIDDLEは、明確にPacificレベルの力があると思うんですけど、でもやっぱりPacificリーグのチームはどこも強くてですね。スクリムでも、僕らが勝とうが負けようがやっぱり強いなと。
そんな中でも僕らのいい点は、勝率の高いマップにおける「阿吽の呼吸」感と言いますか、この状況において何をするべきかというのが、僕やGONが言わなくとも割とスムーズに動けるというところが、他と差を付けている部分かなと思いますね。
足りていない部分は、それを7マップすべてに広げられていないというところでしょうか。昨日の試合でも、特にRIDDLEのyatsukaが本当にうまかったんですけど、こういった少人数戦のところでうまいことをやるもう少しの何か——。いろんな要素があると思うけど、パッションかほんの少しのスキルに対するこだわりか、何かしらがまだ足りていないという感じはします。
——GON選手は、オフラインでなにかやりたいパフォーマンスはありますか?
GON:いや、マジでSplit 3は……ないかな、もしかしたら。
——(笑)。では、オフラインで注目してほしい選手はいますか?
GON:僕ですね。

——このSplit 3からFENNELは、Hals選手をフレックス寄りのロールにして、一方でAace選手を完全なデュエリストに据えて戦ってきました。こういったロール変更について、どういった意図があったのか、どういった効果があったのかお聞かせください。
GON:Halsがデュエリストをやめた理由——。これはEulerからの方から話してもらおうかな。
Euler:そうですね、これは僕からの方がいいと思います。
GON:ロールを変えて良かった部分というのは、思った以上にAaceがいいプレーヤーだったと、さらに気付かされたというところですね。デュエリストは一番先頭であるからこそ、ちゃんとした理解が必要と言いますか、ちゃんとしたコールを出したり、ゲーム理解が必要だったり、かなり色んなことをしなきゃいけない立ち位置にいるんですよね。
僕は最初、急にロールを変更したら、そういった部分が間に合わないんじゃないのと疑っていたんですが、Aaceはそのあたりをそつなくこなしていて、足りない部分もめちゃくちゃ努力して改善していて——。
単純にすごく強いというところもあるんですけど、そういった部分がガッチリとハマっちゃってて、僕の中ではいい驚きでしたね。
GON:さらにHalsは、実はめちゃくちゃ少人数戦がうまくて——。
Euler:うん。
GON:以前Halsから「俺が最初に死んだら、俺のイメージしている少人数戦ができねえよ」っていうクレームが入って、それからサポート系のロールに変えたんですけど、このお陰で少人数戦の勝率もちょっと上がったんじゃないかなと思います。

Euler:Split 2でRIDDLEに負けた時、Halsから「自分とAaceのロールを変えたい」と言われたんですよ。GONと同様に、僕もだいぶ懐疑的だったんですけど、いろいろ考えた結果、まずやらないことにはということになりました。
このままHalsをデュエリストに置き続けたときに、Halsの中でもどかしさというか、モヤモヤが残ったまま練習を続けることになり、それ自体がいい結果を招かないので、1回は試しました。ただそこで試した結果、GONが言う通りのいい結果が起こったのかなと。
あと、Aaceの方もデュエリストに対して最高のモチベーションを持っていて、学ばなければいけないところをすべてやってくれますし。今のヨルが強いというメタも相まって、Aaceのドライでの進行は多分日本——いや、Pacificでも一番うまいと思います。どんどんとエリアを取ってくれるし、それに対抗して相手もアビリティーをたくさん使ってくれるし、そういったところが、今めちゃくちゃ噛み合っています。

Euler:今まではCLZ(現ZETA DIVISION所属)が少人数戦で最強だと思っていたんですけど、今ではCLZよりもHalsの方が強いんじゃないかと思うくらいですね。
例えばサンセットで、Halsが誰かを蘇生して勝つシーンとか——ズルいな、と思うくらい強いですね。
「うわ、これHalsだから勝ったな」みたいな。こういうロールってみんな嫌がる部分だとは思うんですけど、Halsはむしろ「俺が残ってクラッチするから」みたいなマインドがあって、すごく前向きにやってくれています。
そもそもふたりとも能力が高い選手なので、何をやっても結局トップクラスになれると思います。その上で、自分が前向きにプレーできるかというのが非常に大事なので、その点において今はいい状態になっていると思います。
——オフラインでも「テクいプレー」は見られますか?
GON:…………見れます!
——ロスター変更など、チームにとって大きな変化があったかと思いますが、その中で何か成長した点はありますか?
Euler:新チームを1からビルディングするということ自体が、まず大きなところだったと思います。今まで僕自身は、CLZ、hiroron、SyouTa、みぞ(Xdll)と同じチームで出会って、Johntaの下でやってきただけだったんですが、今は(僕がJohntaに変わって)一番上になったというところで、成長したと思います。
GON:なんだろうな……チーム単位では、「こういう時はこうした方がいいよ」みたいな、どんどん細かく積み上げていって成長しているとは思います。
ただ個人単位だと、今年は良くなっている部分はあると思うんですけど、自分自身の成長が見えにくくて——。例えば、IGLとしてこういう時はこうした方がいいよね、みたいな。そういったところは増えたし、パフォーマンスも最近はいい感じなんですけど、僕の中では「まあ……なんかいい感じだな」くらいで止まっていますね。
個人的には、もっとハッキリとした成長がみたいなと思いつつ、ただチーム単位では良くなっているので、それを踏まえて、まぁいい感じだなという風には思っています。
——それはある種の到達点ということでしょうか?
GON:うーん、まあ到達点にいるって言っちゃうと、まだ伸びしろがないみたいなことになっちゃうので……まだまだ僕は成長途中ですね。
——伸びしろはありますか?
GON:伸びしろしかないです。
——これからRIDDLE ORDER、そしてNOEZ FOXXと戦っていくわけですが、特に警戒している選手は誰ですか?
Euler:僕はyatsukaですね。yatsukaがヤバいです。毎日、何回戦っても、yatsukaだけヤバい、なんか強すぎます。なので、みんなでどうにかしてyatsukaを倒します。本当にそれだけです。
GON:いやもう僕もyatsuka選手ですね。Main Stageから「あれ、なんかコイツ意外と強いな」と思う相手だったので、気をつけようと思います。

——FENNELにとって、特にRIDDLEは因縁の相手です。今後戦っていく形にはなりますが、現時点ではどのように感じていますか?
Euler:まだうまく言語化できないんですけど——。このマップに対する練度だったら勝てる、このマップだったら接戦、このマップだと足りない、みたいなものは、だいぶハッキリと見えるようになってきたと思います。
その上で、5人全員がいいパフォーマンスを出すというのも大事で、そのどちらもが両立できた時に、先に勝利できると思っています。この1~2年で培えている僕の中の感覚みたいなものを、うまく選手たちに落とし込んで、あと2週間ちょっとで最高のパフォーマンスをオフラインに持っていきたいと思います。
GON:練習の段階からRIDDLEを意識することは多いです。RIDDLEだったらここはもっとこだわってやるなとか、ここを頑張ったらRIDDLEより上に行けるぞ、みたいな。
特に同じIGLのJoxJoは、こういう風に味方を鼓舞している——みたいな。僕らの中でちょっと流行ったんですけど、JoxJoがMintyにブチギレる「Mintyそのままじゃう◯こだよ」っていうキラーフレーズがあるんですけど、
Euler:うん。
GON:まあこういうのもあるんだよな、みたいなのをチーム内で共有して、俺らもこういうマインドを持つのが大事なんだなと思ったり。練習段階からRIDDLEを仮想敵というか、意識しつつやっていましたね。
——勝てそうですか?
GON:これからの練習次第だと思いますね、正直。昨日負けたのは、日々の練習がそのまま結果に出ただけだと思うんで。
僕は結構、チームの中でも「当日上振れて勝とう」みたいな意識が一番低いと思っているんですよ。この考えはあまり良くないかもしれないんですけど、相手がこうやってきたら俺らもこうするみたいな、普段の練習通りにやって勝とうという意識です。
昔から僕が言っているのは「運命論」みたいな。もう最初から結果は決まっていて、練習の段階すらも結果の一部だっていう。もうこれから勝つか負けるかは、本当にこの練習次第だなっていう風に思っています。
——オフライン大会に対する緊張はありますか?
GON:緊張はしてないですね。
——オフラインには慣れましたか?
GON:だいぶ、慣れました。

——ありがとうござました!
「VALORANT Challengers Japan」において、二度の日本一に輝いた経験を持つFENNEL。ロスターは多少異なるものの、第一線を走り続ける強豪チームであることに異論はないだろう。
しかしFENNELは過去2回、日本一を目前にして決勝戦で敗れ、準優勝に甘んじることとなった経験を持つ。その因縁の相手こそ、昨年彗星のごとく現れた「RIDDLE ORDER」なのだ。GON選手がインタビュー内で「仮想敵」と語ったが、彼らに強い意識があることは明らかだろう。特に昨年の7月、アセンションという世界への切符を目前のところで手放すこととなった、まさに因縁の相手だ。
来たるオフライン大会の初日は準決勝のFL対NFX戦が行われる。そしてここを制すれば決勝戦でRIDが待ち構えている。

この大一番が開催されるのは、東京都調布市の屋内スポーツ施設である「京王アリーナTOKYO」。2020年には東京五輪の会場としても利用されたことがあり、今年2月に「武蔵野の森総合スポーツプラザ」から名前が変わったばかりだ。
開幕まで2週間という非常に短い期間の中、FLはどの程度修正をしてくるのだろうか。彼らが奮闘するドラマの行く末を、ぜひ東京の地で見届けよう。そして現地に行けないという人も、配信を通じて彼らにエールを送っていただきたい。
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編集:いのかわゆう

▲各Splitのサーキットポイント表。大波乱のSplit 3を受けて、REJECTが4位に躍り出ることとなった
そして今回、8月6日(水)と7日(木)の2日間をもって、オンラインで行われるすべての試合が終了した。6日(水)の試合で勝利したRIDDLE ORDER(RID)とFENNEL(FL)、そして7日の試合で勝利を収めたNOEZ FOXX(NFX)の計3チームが、残り2日間のオフライン大会へと出場する。

▲Season Finals Day 2の試合結果。これによりRIDは決勝戦に直通、準決勝はFL vs. NFXとなる

▲現時点のトーナメント表。「Season Finals」はオンラインとオフラインで実施され、23日(土)の準決勝、24日(日)の決勝がオフライン(京王アリーナTOKYO)で実施される。各チームはなんとしてでも勝ち上がりたい大会となっているのだ
7日のRID戦では、残念ながら敗北してしまったFL。ローワーブラケットからのスタートとなり、優勝までは2度の勝利が必要だ。
さらに今大会で優勝したチームには、今年10月にタイ・バンコクで開催予定の「VCT Ascension Pacific 2025」への切符が与えられる。こちらの大会はアジア太平洋地域から選りすぐり10チームが一同に介しガチンコ対決を繰り広げる舞台であり、ここで優勝することができれば、さらに「VCT Pacific 2026」という国際リーグへの昇格を果たすことができる。世界を目指すFLにとって、ここでの勝利は必須だ。

▲ラストを飾ったのはCaedyeのヴァイパーズピット。どちらも互いに肉薄する、非常に惜しい試合だった(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=eyGCkQB58GiVoA4-&t=13820)
今回はそんな試合を繰り広げた翌日、オンライン通話にて開催されたメディア合同インタビューの様子をお届けする。FLからは、GON(ごん)選手とEuler(おいらー)コーチが応じてくれた。
前日の試合を振り返って——「勝っていたら85%は今大会を優勝できる思っていた」
GON:ひとつ言わないといけないことがありまして……。ユニホームを忘れてしまいました。
——こちらで行きましょう(笑)
GON:ありがとうございます!

▲冒頭謝罪から始まったこのインタビューは、終始真っ黒なTシャツでお送りすることとなった
——それではインタビューの方を始めていきます。オフライン大会への進出、おめでとうございます。
GON:(無言で礼)
——さっそくですが、ここまでの大会の振り返りと、オフラインに向けた意気込みをお願いします。
GON:Split 1からSplit3まで、結構長いようであっという間だったと思いますね。「これでまだ1年経ってないんだ」という濃密さといいますか。
新しいチームを1から組み立てるという難しさもすごくあったし、でも「そういう考え方もあるのか」みたいな新しい発見もあったし、凄い濃密な期間だった風に感じます。まあ、まだ終わったわけじゃないんですけどね。
オフラインはローワーからのスタートとなってしまったんですが——。まあこっちの方が、2日間もFENNELを見れるというお得要素もあるので、ファンの方にとってドラマチックにRIDDLEに勝つところを見せていきたいと思うので、ぜひ応援よろしくお願いします。

Euler:GONが話したとおり、1から(チームを)作る難しさはめっちゃありました。僕とGONはその点において、めちゃくちゃ頑張ったと思います。今、自分たちが目指しているオフラインへの目標ってすごく高いと思うんですけど、ここまで来られていのるがすごいなと振り返ってみて思います。
もし昨日勝っていたら、85%は「VALORANT Challengers Japan 2025」優勝。もし負けたら僕らのマップ練度からすると2~3割くらいだと、みんなにも言ってきたんですけど。
まあ……明日からの練習では、この2~3割をどこまで高めていけるかという、みんなにとって限界への挑戦だと思います。何をしなければいけないか、というのはいろいろと分かっているので、それらを本当に頑張っていきたいと思います。
GONの朝ごはんチャンネル
——では続いてGON選手に質問です。今日の朝ごはんは何を食べましたか?
GON:今日の朝ごはんは、実はまだ食べてなくて。マネジャーの方から「インタビューがある」とLINEで頂いて、もう急ピッチで用意したので、朝ごはんまでは調達できませんでした。
僕のプランニングでは、この後タコスを食べに行くということになっているので、今日の朝ごはんはタコスになると思います。
——このSplit 3では、フィジカルの強さがかなり際立っていたかと思いますが、ご自身で思うパフォーマンスを出す秘訣について教えてください。
GON:このSplit 3になって、実はふたつの変えた部分があります。まあひとつは試合に影響する可能性があるので、まだ言えないんですけど。
——もうひとつはなんでしょうか?
GON:僕自身、最近なんか調子いいな、なんかいつもと違うなと思っていたんですけど、やっぱりSplit 3で変わったことといえば、YouTubeで「朝ごはんチャンネル」を始めたということですね。

▲ちなみに「GONの朝ごはんチャンネル」は、2025年5月に開設されたGON選手のサブチャンネル。朝ごはんを食べながら雑談をする、ゆるめの動画が見られる
——Eulerコーチ目線、チーム内で何か変わった点などはありますか?
Euler:元サッカー日本代表監督の岡田武史さんの「神は細部に宿る」という言葉があります。特に『VALORANT』でも、ピークの仕方やアビリティーの使い方でラウンドの勝敗がひっくり返ったりするし、またゲーム内でなくとも、いいプレーをした時にひと言褒めるだとか、日常生活の中でちょっとした声掛けだったり、それだけで次に起こる撃ち合いが変わってきたり。
そういった細かい部分をみんなで意識しようというところが、チームで大きく変わった点だと思います。

Euler:あと、さっきのGONの話でもあった「朝ごはんチャンネル」なんですけど、僕もかなりいいと真面目に思っているんですよね。GONに対しては「配信したら毎日が面白くなるんじゃね」的なことを思っていたので。このYouTubeをやることで、GONが練習にもより前向きになったし、生活が変わったのも本当にいいと思いました。
——今後は、アセンションやVCT Pacificといった国際大会進出を目指していく形にもなると思いますが、世界に対してFENNELが通用する部分、そして足りていない部分があれば教えてください。
Euler:FENNELとRIDDLEは、明確にPacificレベルの力があると思うんですけど、でもやっぱりPacificリーグのチームはどこも強くてですね。スクリムでも、僕らが勝とうが負けようがやっぱり強いなと。
そんな中でも僕らのいい点は、勝率の高いマップにおける「阿吽の呼吸」感と言いますか、この状況において何をするべきかというのが、僕やGONが言わなくとも割とスムーズに動けるというところが、他と差を付けている部分かなと思いますね。
足りていない部分は、それを7マップすべてに広げられていないというところでしょうか。昨日の試合でも、特にRIDDLEのyatsukaが本当にうまかったんですけど、こういった少人数戦のところでうまいことをやるもう少しの何か——。いろんな要素があると思うけど、パッションかほんの少しのスキルに対するこだわりか、何かしらがまだ足りていないという感じはします。
——GON選手は、オフラインでなにかやりたいパフォーマンスはありますか?
GON:いや、マジでSplit 3は……ないかな、もしかしたら。
——(笑)。では、オフラインで注目してほしい選手はいますか?
GON:僕ですね。

▲オンライン通話で多少ラグがあるにも関わらず、GON選手は質問に食い気味に答えていた
Split 3からの新体制——ロール変更の理由とは
——このSplit 3からFENNELは、Hals選手をフレックス寄りのロールにして、一方でAace選手を完全なデュエリストに据えて戦ってきました。こういったロール変更について、どういった意図があったのか、どういった効果があったのかお聞かせください。
GON:Halsがデュエリストをやめた理由——。これはEulerからの方から話してもらおうかな。
Euler:そうですね、これは僕からの方がいいと思います。
GON:ロールを変えて良かった部分というのは、思った以上にAaceがいいプレーヤーだったと、さらに気付かされたというところですね。デュエリストは一番先頭であるからこそ、ちゃんとした理解が必要と言いますか、ちゃんとしたコールを出したり、ゲーム理解が必要だったり、かなり色んなことをしなきゃいけない立ち位置にいるんですよね。
僕は最初、急にロールを変更したら、そういった部分が間に合わないんじゃないのと疑っていたんですが、Aaceはそのあたりをそつなくこなしていて、足りない部分もめちゃくちゃ努力して改善していて——。
単純にすごく強いというところもあるんですけど、そういった部分がガッチリとハマっちゃってて、僕の中ではいい驚きでしたね。
GON:さらにHalsは、実はめちゃくちゃ少人数戦がうまくて——。
Euler:うん。
GON:以前Halsから「俺が最初に死んだら、俺のイメージしている少人数戦ができねえよ」っていうクレームが入って、それからサポート系のロールに変えたんですけど、このお陰で少人数戦の勝率もちょっと上がったんじゃないかなと思います。

▲1対3の人数有利状況。相手の動きを読んだHalsが猛ダッシュでCに向かい、挟み撃ちができる盤石な状況を作り出した(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=HkGjDn8SOnREh0Ht&t=8370)
Euler:Split 2でRIDDLEに負けた時、Halsから「自分とAaceのロールを変えたい」と言われたんですよ。GONと同様に、僕もだいぶ懐疑的だったんですけど、いろいろ考えた結果、まずやらないことにはということになりました。
このままHalsをデュエリストに置き続けたときに、Halsの中でもどかしさというか、モヤモヤが残ったまま練習を続けることになり、それ自体がいい結果を招かないので、1回は試しました。ただそこで試した結果、GONが言う通りのいい結果が起こったのかなと。
あと、Aaceの方もデュエリストに対して最高のモチベーションを持っていて、学ばなければいけないところをすべてやってくれますし。今のヨルが強いというメタも相まって、Aaceのドライでの進行は多分日本——いや、Pacificでも一番うまいと思います。どんどんとエリアを取ってくれるし、それに対抗して相手もアビリティーをたくさん使ってくれるし、そういったところが、今めちゃくちゃ噛み合っています。

▲エコラウンドの思い切ったプレーで、ウィンドウをひとりで制圧するAace。場所はバレていたが、あえて帰らないことで逆に意表をつくことができた(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=2Xrz84n1Het2Om4W&t=7627)
Euler:今まではCLZ(現ZETA DIVISION所属)が少人数戦で最強だと思っていたんですけど、今ではCLZよりもHalsの方が強いんじゃないかと思うくらいですね。
例えばサンセットで、Halsが誰かを蘇生して勝つシーンとか——ズルいな、と思うくらい強いですね。
「うわ、これHalsだから勝ったな」みたいな。こういうロールってみんな嫌がる部分だとは思うんですけど、Halsはむしろ「俺が残ってクラッチするから」みたいなマインドがあって、すごく前向きにやってくれています。
そもそもふたりとも能力が高い選手なので、何をやっても結局トップクラスになれると思います。その上で、自分が前向きにプレーできるかというのが非常に大事なので、その点において今はいい状態になっていると思います。
——オフラインでも「テクいプレー」は見られますか?
GON:…………見れます!
——ロスター変更など、チームにとって大きな変化があったかと思いますが、その中で何か成長した点はありますか?
Euler:新チームを1からビルディングするということ自体が、まず大きなところだったと思います。今まで僕自身は、CLZ、hiroron、SyouTa、みぞ(Xdll)と同じチームで出会って、Johntaの下でやってきただけだったんですが、今は(僕がJohntaに変わって)一番上になったというところで、成長したと思います。
GON:なんだろうな……チーム単位では、「こういう時はこうした方がいいよ」みたいな、どんどん細かく積み上げていって成長しているとは思います。
ただ個人単位だと、今年は良くなっている部分はあると思うんですけど、自分自身の成長が見えにくくて——。例えば、IGLとしてこういう時はこうした方がいいよね、みたいな。そういったところは増えたし、パフォーマンスも最近はいい感じなんですけど、僕の中では「まあ……なんかいい感じだな」くらいで止まっていますね。
個人的には、もっとハッキリとした成長がみたいなと思いつつ、ただチーム単位では良くなっているので、それを踏まえて、まぁいい感じだなという風には思っています。
——それはある種の到達点ということでしょうか?
GON:うーん、まあ到達点にいるって言っちゃうと、まだ伸びしろがないみたいなことになっちゃうので……まだまだ僕は成長途中ですね。
——伸びしろはありますか?
GON:伸びしろしかないです。
GON選手の思う「運命論」とは
——これからRIDDLE ORDER、そしてNOEZ FOXXと戦っていくわけですが、特に警戒している選手は誰ですか?
Euler:僕はyatsukaですね。yatsukaがヤバいです。毎日、何回戦っても、yatsukaだけヤバい、なんか強すぎます。なので、みんなでどうにかしてyatsukaを倒します。本当にそれだけです。
GON:いやもう僕もyatsuka選手ですね。Main Stageから「あれ、なんかコイツ意外と強いな」と思う相手だったので、気をつけようと思います。

▲カロードでのワンシーン。中央を抑えるFLを、ガーディアンを持ったyatsukaが殲滅(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=TO1Ee2g6K-SSUS2v&t=4061)
——FENNELにとって、特にRIDDLEは因縁の相手です。今後戦っていく形にはなりますが、現時点ではどのように感じていますか?
Euler:まだうまく言語化できないんですけど——。このマップに対する練度だったら勝てる、このマップだったら接戦、このマップだと足りない、みたいなものは、だいぶハッキリと見えるようになってきたと思います。
その上で、5人全員がいいパフォーマンスを出すというのも大事で、そのどちらもが両立できた時に、先に勝利できると思っています。この1~2年で培えている僕の中の感覚みたいなものを、うまく選手たちに落とし込んで、あと2週間ちょっとで最高のパフォーマンスをオフラインに持っていきたいと思います。
GON:練習の段階からRIDDLEを意識することは多いです。RIDDLEだったらここはもっとこだわってやるなとか、ここを頑張ったらRIDDLEより上に行けるぞ、みたいな。
特に同じIGLのJoxJoは、こういう風に味方を鼓舞している——みたいな。僕らの中でちょっと流行ったんですけど、JoxJoがMintyにブチギレる「Mintyそのままじゃう◯こだよ」っていうキラーフレーズがあるんですけど、
Euler:うん。
「Mintyもコールしてお前、頑張らないとこれ。ずっとお前う◯こだよ!」とは


▲Split1の決勝戦、焦りからラウンドを落とすチームメイト全員を鼓舞するJoxJo。配信に声は乗ってないが、後にRIDDLEが公開した動画で明らかとなった(https://youtu.be/AHa2CrIytcQ?si=wxvpR617zs3z9-HW&t=307)
GON:まあこういうのもあるんだよな、みたいなのをチーム内で共有して、俺らもこういうマインドを持つのが大事なんだなと思ったり。練習段階からRIDDLEを仮想敵というか、意識しつつやっていましたね。
——勝てそうですか?
GON:これからの練習次第だと思いますね、正直。昨日負けたのは、日々の練習がそのまま結果に出ただけだと思うんで。
僕は結構、チームの中でも「当日上振れて勝とう」みたいな意識が一番低いと思っているんですよ。この考えはあまり良くないかもしれないんですけど、相手がこうやってきたら俺らもこうするみたいな、普段の練習通りにやって勝とうという意識です。
昔から僕が言っているのは「運命論」みたいな。もう最初から結果は決まっていて、練習の段階すらも結果の一部だっていう。もうこれから勝つか負けるかは、本当にこの練習次第だなっていう風に思っています。
——オフライン大会に対する緊張はありますか?
GON:緊張はしてないですね。
——オフラインには慣れましたか?
GON:だいぶ、慣れました。

▲昨年のインタビューでは「腕プルプル、足ガタガタ」と語るほど緊張を見せていたGON選手。だがその後も2回オフライン大会へと出場し、さすがにもう慣れてしまったようだ
——ありがとうござました!
———
「VALORANT Challengers Japan」において、二度の日本一に輝いた経験を持つFENNEL。ロスターは多少異なるものの、第一線を走り続ける強豪チームであることに異論はないだろう。
しかしFENNELは過去2回、日本一を目前にして決勝戦で敗れ、準優勝に甘んじることとなった経験を持つ。その因縁の相手こそ、昨年彗星のごとく現れた「RIDDLE ORDER」なのだ。GON選手がインタビュー内で「仮想敵」と語ったが、彼らに強い意識があることは明らかだろう。特に昨年の7月、アセンションという世界への切符を目前のところで手放すこととなった、まさに因縁の相手だ。
来たるオフライン大会の初日は準決勝のFL対NFX戦が行われる。そしてここを制すれば決勝戦でRIDが待ち構えている。

▲タイムテーブル(https://valesports.jp/2025_Season_Finals/ )
この大一番が開催されるのは、東京都調布市の屋内スポーツ施設である「京王アリーナTOKYO」。2020年には東京五輪の会場としても利用されたことがあり、今年2月に「武蔵野の森総合スポーツプラザ」から名前が変わったばかりだ。
開幕まで2週間という非常に短い期間の中、FLはどの程度修正をしてくるのだろうか。彼らが奮闘するドラマの行く末を、ぜひ東京の地で見届けよう。そして現地に行けないという人も、配信を通じて彼らにエールを送っていただきたい。
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編集:いのかわゆう
【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレーヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。
X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)

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