【VALORANT Season Finals 出場チームインタビュー RIDDLE ORDER編】Minty「負けが続き、大丈夫かなと不安があった」——昨年王者RIDが抱える課題とは

2025.8.11 まいる
VALORANT』の公式国内リーグ「VALORANT Challengers Japan 2025」。Split 1~3での戦績をもとに、「サーキットポイント」という得点が各チームに与えられているが、今月開幕した最終幕である「Season Finals」には、このサーキットポイントが高い上位4チームが出場している。

▲各Splitのサーキットポイント表。Split 1・2で優勝したRIDDLEは、ほぼSeason Fianlsへの通過が確定していた

そして今回、8月6日(水)と7日(木)の2日間をもって、オンラインで行われるすべての試合が終了した。6日(水)の試合で勝利したRIDDLE ORDER(RID)とFENNEL(FL)、そして7日の試合で勝利を収めたNOEZ FOXX(NFX)の計3チームが、残り2日間のオフライン大会へと出場する。

▲Season Finals Day 2の試合結果。これによりRIDは決勝戦に直通、準決勝はFL vs. NFXとなる

▲現時点のトーナメント表。「Season Finals」はオンラインとオフラインで実施され、23日(土)の準決勝、24日(日)の決勝がオフライン(京王アリーナTOKYO)で実施される。初日の勝者を2日目にRIDが待ち構える形となった

6日(水)のREJECT(RC)戦、そして7日(木)のFL戦で見事勝利を収めたRID。その結果、決勝へと一気に駒を進める形となった。

さらに今大会で優勝したチームには、今年10月にタイ・バンコクで開催予定の「VCT Ascension Pacific 2025」への切符が与えられる。こちらの大会はアジア太平洋地域から選りすぐり10チームが一同に介しガチンコ対決を繰り広げる舞台であり、ここで優勝することができれば、さらに「VCT Pacific 2026」という国際リーグへの昇格を果たすことができる。

昨年RIDはアセンションへの出場を果たしたものの、🇮🇩BOOM Esportsに敗れ、4位敗退という結果に終わっている。雪辱を果たし、世界進出を目指すRIDにとって、この大一番は勝ち抜かなければならない。

▲オンライン最後の試合でFLに勝利を収め、肩を組み合う選手たち(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=HwDmv169_wMuGxG1&t=13815

今回はそんな試合を繰り広げた翌日、オンライン通話にて開催されたメディア合同インタビューの様子をお届けする。このRIDからは、Minty(みんてぃー)選手とVorz(ぼるず)コーチが応じてくれた。

大会を振り返って——「どちらかと言えばうまくいっていなかった」


——オフライン進出、おめでとうございます。

Minty:ありがとうございます。


——まずはここまでの大会の振り返りと、オフラインイベントに向けた意気込みをお願いします。

Minty:Split 1・2と比べて、今回はだいぶ負けが続く試合があったりして、結構自分は「大丈夫かな」と不安がありました。そんな中で、徐々に自分たちの課題を普段の練習で直していき、最後にはRCとFLに勝ちきって、Grand Finalへ進めることができたので、すごく良かったなと思います。

前回のSplit 2が始めてのオフラインで、今回は2回目ということで、その前回の時の自分の状態を思い出しつつ、いいパフォーマンスを出せるように頑張りたいなと思っております。

Vorz:ちょっと同じ内容にはなってしまうんですけど、今シーズンは勝ったり負けたりで、結果的に見てやってきたことが正しかったのかどうか分からなかったというのもあって——。どちらかと言えば、うまくいっていなかったかなって感じです。

オフラインに向けては、ここまでずっと勝ってきて、最後に負けたら結構ダサいので、やっぱりちゃんと勝ちきれるようにしたいですね(笑)。

ふたりの考えるチームのMVPは


——シーズンを通して、チーム内のMVPは誰だと思いますか?

Minty:それはプレーオフですか? メインステージ全体ですか?

——メインステージ全体ではいかがでしょうか?

Minty:メインステージは、うーん……JoxJoかなと思っています。


——何か理由はありますか?

Minty:勝って負けてを繰り返す中で、今チームに足りないことを話し合って教えてくれたりもしたし、試合中で前半ダメダメだったところが、どんどん後半になるにつれて直っていくところもあって。

やっぱり、JoxJoが色んな足りない部分を個人に教えてくれるところが、僕はすごく助かったなと思いました。

——チームの柱という感じだったんですね。

Minty:はい。

▲負けが込んでいたSplit 3の頃とは比べ物にならないほど、熱い雰囲気のVCだ。JoxJoの的確なコールとアドバイスが、チームを勝利に導いたことは間違いない(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=bQMTBEePTiqk1FMJ&t=15150

——Vorzコーチは、チーム内のMVPは誰だと考えていますか?

Vorz:僕はSeoldamにしようかなと思います。

正直、僕たちはメインステージが意味のない——というと少し語弊はありますが、ほぼ1位通過が決まっているじゃないですか。その中で例えばマップだったり、エージェント構成だったり、隠しているわけではないんですけど、自分たちの中で色んなことを試しはしたんですよ。


Vorz:色んなトライをした中で、もちろん負けた試合もあったんですけど、でも勝った試合もあって。でもそういう勝った試合も、試合内容だけ見れば、もしかすると本当は負けていた可能性もかなりあったと思うんです。

その負けそうな試合を、ギリギリ勝ってポイントにすることができたのは、Seoldamのキャリーというか、試合の中での働きがすごく大きかったのかなと思います。なのでMVPはSeoldamにしようと思います。

▲FL戦でも飛び出したSeoldamのネオン。相手を破壊していくようなプレーをしながらも、しっかり味方と連携している点が魅力的(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=8kSAXnClGADZvT8p&t=5417

——Split 3でいろいろ試したことの中で、うまくいったことはなんでしょうか。

Vorz:うまくいったポイントとしては、2デュエリストの時のYTK(yatsuka)のヨルですかね。YTKのヨルが、思いの外うまくいってるのかなって、自分の中で思っています。

あとは、メインステージをほぼ「ロータス」だけでやり切れたのが、良かった点のひとつですね。多分プレーオフを含めて、8~9割くらいの試合でロータスがあると思います。何度やっても勝てるし、余計な情報も出ないし、みたいな同じことを繰り返しやっているという点で、そこは良かったと思います。

——逆に、うまくいかなかったことはありますか?

Vorz:結局、途中からポロポロ負けちゃったところですかね。なんというか「もう自分たちは確定しているから大丈夫」っていうマインドでいるのも、簡単なことではないというか。ちょっとこれ難しくて、なんか言い過ぎると足元すくわれそうな感じもあるので、ちょっとアレなんですけど(笑)。

ともかく、ちょっと負けが込んでチーム的にうまくいかない——実際にうまくいってなかったかと言われれば微妙なラインなんですけど、ただ大会を見てる方たちにとっては、ちょっと悪い空気が流れていたかなということが実際あって——。その雰囲気で、ファンの人たちをちょっと不安にさせてたところぐらいですかね。

——先程お話にあったyatsuka選手について、どのようなところが強みだと思うのか教えてください。

Vorz:彼のすごいところは、攻め側でヨルを使ってひとりで(別動隊として)アクションをさせるときに、もうビビらずにどんどん先のエリアまで進んでいくことですね。

あとこれはYTKに限らず、CaedyeやAaceもそうだったんですが、新しいキャラを練習することに対しての偏見がないことろです。「俺スパイク持ちたくない」とか「俺このキャラ絶対やりたくない」とか、もちろんちょっとは(文句を)言ったりするんですけど、なんだかんだ偏見なく受け入れてるというのが、すごいところだと思います。

「なんだかんだオーメン使えるな」——Minty選手のスモーク転向の理由とは


——Minty選手にとって、RIDの強さというのは、どの部分にあると思いますか?

Minty:苦しいところで勝ちきれる強さもあるし、最初からノリノリだと、結構ボコボコにして勝ちきれるときもあるし。そのふたつの力が強みだと思います。

▲7日のRC戦は、2マップとも13-3という圧勝で試合を終えた。なお2025年のRIDは、RC相手に5勝0敗の完封(https://www.youtube.com/live/DQlm5tGxwGM?si=01qqFjC_PItpzqo2&t=7532

——Minty選手自身は、どのようにチームに貢献できていると感じますか?

Minty:配信のインタビューでも言ったんですが、自分のパフォーマンスが落ちている時に全然声がでなくなったりして、チームに対していい影響をもたらせられていないということを、結構Vorzからも言われていたんですよ。

なので、今はとりあえず貢献できるように——。それこそ、昨日のFL戦では、超声を出しまくろうということを意識していました。

——Minty選手は、かつて🇯🇵FAV gaming(FAV)に所属していたときは、主にデュエリストなどを担当されていました。しかし現在はほとんどスモーク役のエージェントを担当しています。このロール変更について、今どのように感じていますか?

Minty:FAVでは、コーチから「器用だから」と何でもやらされていたんですけど、その中でオーメンをやることになって——。

▲タワーへとテレポートすることで、相手を高所から一方的に攻撃。人数不利を一気に覆す思い切ったプレーだ(https://www.youtube.com/live/RbNHA98jgYM?si=rt-DR7tz4MiuBiBS&t=3950

Minty:それで「なんだかんだオーメン使えるな」という感触ができたんですよ。その後、RIDに入るとなったときに、丁度空いているロールが、スモーク役と今のyatsukaのポジションだったんです。

正直、今のyatsukaのポジションをうまくできる自信はなかったし、それ以上にスモーク役をやってみたいなっていう気持ちも強かったので、ずっとスモーク役を使うようになりました。

ずっとスモーク役をやってきて、まあRIDが目指している場所がすごく高いというのもあるんですけど、それも含めて難しさを実感しています。(スモーク役は)自分からできることもいっぱいあって、すごく難しいので、今はまだまだ絶賛練習中です。

オフライン、そしてその先のアセンションへ向けて


——昨年、VCT Pacificに昇格した「🇰🇷Sin Prisa Gaming(現Nongshim RedForce、NS)」や「🇮🇩BOOM Esports(BME)」が現在国際リーグから降格の危機に瀕しています。今の日本や他のChallengersリーグは、国際リーグでも通用するのでしょうか。

Vorz:去年のアセンションだけでいうと、普通にレベルが高かったなと改めて思います。「(予定通り)日本開催であればワンチャン優勝できてたのかな」という気もするんですけど(笑)。

でも本当に去年はレベルが高いと感じていて、実際🇮🇩BMEと🇰🇷NSは、12チームの中でちょうど半分圏内くらいにはいるじゃないですか。

▲昨年の「VCT Ascension Pacific 2024」で、4位敗退となったRID。当初日本で開催される予定だったが、急遽ジャカルタでの開催に変更。完全アウェーの雰囲気の中、無念の帰国を余儀なくされた(https://www.youtube.com/live/D5P3RvUDk_8?si=uIFAAO2HIRXmXuyh&t=17891

Vorz:今年のアセンションは、去年に比べればまだ大丈夫なんじゃないかと、自分の中で勝手に思っていますね。特に日本はレベルが高いと思います。

——特に日本の競技シーンは、他の地域と比べてもレベルが高いということですかね?

Vorz:そうです、そうです。そう思います。

——今後のオフラインやアセンションに向けて、今なにか課題はありますか?

Vorz:『VALORANT』にはゆっくり敵の反応を見つつ自分たちでも情報を取って、最後は空いているところに行くといった「デフォルト展開」という戦い方があります。

この戦術は自分たちよりもFLさんがうまいんです。もちろん別の構成を使うというのもひとつの手なんですけど、将来的にはそういうところもできなきゃいけないと思っています。これができるようになったら、結構自信があるかなという感じですね。

自分の中では9割くらいの完成度なので、それを残りの期間で仕上げていきたいなとは思っています。

——これからオフラインで戦うFLとNFXで、特に注目している選手はいますか?

Minty:そうですね……。まあ、いったんGONさんで。

Vorz:おっ。

Minty:GONは昔からスモーク役をやってて、とっさに出るオーメンのスキルの使い方がすごくうまいなって——。スモーク役を始めてから、そのうまさが分かるようになって、僕はまだ自分でとっさに判断する力っていうのが足りていないと思うので、その点においてGONには注目しています。

——Minty選手もカロードでは、「シュラウドステップ」で積極的なプレーを見せるシーンがあったかと思いますが、GON選手のようなプレーも参考にされているんでしょうか。

Minty:参考というか、色んなシチュエーションがあるゲームの中で、その最適解を出せていることがあるので、やっぱりそのあたりを見ちゃいます。

——Vorzコーチの、特に注目している選手は何でしょうか?

Vorz:Aaceと行きたいところなんですけど、nethさんで!

FLは2デュエリストや2センチネルといった、ちょっとクセのある構成を好んで使うチームなんですけど、そういう構成ってサイファーを使う人が割りを食うんですよ。デュエリストが何かができる分、その他の何かが足りていない構成なので。

例えば、サイファーのいる方は一生リテイクさせられたり、敵が詰めてくるのを見ているだけとか、結構つまらないゲームをさせられるんです。

そんな中で、nethさんはそういうのがあまり嫌そうじゃないというか。しっかり自分の仕事をこなしているし、その中でキルも取っていて、スタッツも悪いイメージはあまりなくて——。そういうチームでも割りを食っている役割を、期待以上のパフォーマンスを出しているところがすごいと思います。


——ありがとうござました!

———

昨年の「VALORANT Challengers Japan」では、Split 1の王者FLを破り、見事アセンションへの切符を手にしたRID。しかしそんな彼らの前に立ちはだかったのは、韓国代表とインドネシア代表の2チーム——。後にVCT Pacificへ昇格する、🇰🇷NSと🇮🇩BMEであった。

この2025年の東京、シーズン通して圧倒的な戦績を見せつけた彼らは、再びアセンションへの切符をつかめるのだろうか。そして、2026年の国際リーグ昇格はできるのだろうか。

▲タイムテーブル(https://valesports.jp/2025_Season_Finals/

そんな彼らが戦う地は、東京にある「京王アリーナTOKYO」だ。今年2月に「武蔵野の森総合スポーツプラザ」から名前が変わったばかりの、大型の屋内スポーツ施設だ。

昨年覇者RIDは、どこまで世界に羽ばたけるのか。現地に行ける方も、配信で視聴する方も、ぜひ彼らの勇姿を最後まで見届けていただきたい。


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編集:いのかわゆう


【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレーヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。

X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)
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