【「LJL 2025」情報第4弾】 「LJL 2025」シーズン全貌が判明! 新フォーマット「ミニスイス」や「バウンティポイント」、年間賞金額などを解説

2024.11.30 宮下英之
合同会社ライアットゲームズは、2025年の『リーグ・オブ・レジェンド』の日本国内の競技シーン「League of Legends Japan League presented by PLAYBRAIN」(LJL)シーズンの詳細を発表した。

2024年までと比較するとかなり大きな変更が加えられており、理解するのも難しくなっている。細かな大会の詳細は「大会情報」として整理させていただく予定だが、ここでは主な変更ポイントを見てみよう。

なお、「LJL FORGE」については以前の記事でご紹介しているので、そちらも参照してみてほしい。


LJL STORM & LJL IGNITEの序盤概要


既報のとおり、「LJL 2025」は3つのオープン予選を経て「LJL FINAL TOURNAMENT」を行い、優勝した1チームがアジア太平洋リーグである「LCP」の入れ替え戦に挑めるというシステムだ。


グループステージ

オープン予選の最初の試合となる「グループステージ」は、「LJL STORM」も「LJL IGNITE」も「LJL FORGE」と同様に、最大64チームによる総当たり戦(シングルラウンドロビン)を実施し、8チームだけが勝ち上がる。以下の図の上部に各オープン予選の名称が書かれているが、これは同じフォーマットを採用していることを意味する。



ブラケットステージ


「ブラケットステージ」からは、「LJL STORM」と「LJL IGNITE」では、勝ち上がってきた16チームを8チームずつに分けて、Bo3(2ゲーム先取)でシングルエリミネーショントーナメントを実施する。

メインステージに上がれるのが8チーム未満の場合は、Round2で敗退した4チーム(1勝1敗で敗れたチーム)の中から「LOWER BRACKET」を実施し、さらに2チームがふるいにかけられる。このフォーマットは「LJL STORM」「LJL IGNITE」で共通だ。


仮に、16チームのうち「メインステージ」に勝ち上がれるチーム数が8チームであれば、トーナメントで1勝でもできれば勝ち上がりが確定する

ちなに、このチーム数の変動については、後述する「LJL 2024」から招待される2チームの有無によると考えられる。これは想像でしかないが、現時点で最大2チームとしているということは、「LCP」に参戦するSHGとDFMを除く4チームすべては参戦できない、ともとらえられる。このあたりは、今後のチームからの発表に注目だ。

そして、「LJL FORGE」では10〜16チームが「メインステージ」に進出できるため、「LJL STORM」「LJL IGNITE」の方が勝ち上がれるチーム数が減り、しかも一度でも負ければ敗退となるため、よりシビアな戦いになることが予想される。


スイスステージを3回ループ? 大荒れ必至の「LJL STORM」


ここからは、「LJL STORM」と「LJL IGNITE」の新たなフォーマットについてご紹介しよう。

「LJL STORM メインステージ」(ストームスイス)


「LJL STORM」の「メインステージ」は独自のフォーマットを入れた「ストームスイス形式」になる。3ラウンド制(3勝したチームが勝ち抜け)の「ミニスイス」を3度繰り返す。この3回の「ミニスイス」それぞれの戦績に応じて「STORMポイント」がチームに付与され、ポイント上位6チームが「ノックアウトステージ」に進出する。


出場チームは、「ブラケットステージ」を勝ち抜いた6〜8チームに加え、「LJL FORGE」の上位4チーム、そして「LJL 2024」から最大2チームが招待される。出場チーム数は12チームと決まっているため、「LJL」のチーム次第で「ブラケットステージ」からの勝ち上がりチーム数が変動することになるようだ。

この「ミニスイス」では、いかに3勝を挙げて先に勝ち抜けるかではなく、最終的な「STORMポイント」が重要となる。ポイントは勝利数に応じて、3勝0敗は5P、2勝1敗は3P、1勝2敗は2P、0勝3敗は0Pとなる。あくまで3度の「ミニスイス」によるポイント数が重要ではあるが、とにかく勝利しなければポイントは得られない。

ただし、この「ミニスイス」の対戦相手は、それまでの戦績に関わらずランダムに選ばれる。強いチームが有利な相手と戦えるわけではないため、強いチーム同士で潰しあったり、弱いチーム同士で可能性をつかめるチャンスも残されている。

「LJL STORM ノックアウトステージ」(シングルエリミネーショントーナメント)


いよいよ「ノックアウトステージ」だ。「メインステージ」の上位2チームは「ノックアウトステージ」でのシード権を獲得でき、Round2からの対戦となる。つまり、「メインステージ」の3〜6位が最初に戦い、1〜2位のチームはその勝者と戦い、最終的に6位までの順位が確定する。

「ノックアウトステージ」に進出したチームはいずれもポイントが付与されることになるが、特に上位4チームは次の「LJL IGNITE」で「メインステージ」からの参戦となるため、かなり有利な位置になる。その意味では、3〜6位のチームは是が非でも1勝を挙げたいところだ。



相手の勝ち星の分だけポイントが増える「バウンティマッチ方式」の「LJL IGNITE」


いよいよオープン予選も最後の「LJL IGNITE」。「グループステージは」これまでと同様に64チーム→16チームに絞られるが、「メインステージ」からはまたまた異なるフォーマットになる。ここはかなり複雑なので、しっかり理解しておきたい。

「LJL IGNITE メインステージ」(バウンティマッチ)


「メインステージ」は、「グループステージ」の上位6〜8チーム、「LJL STORM」の上位4チーム、さらに「LJL 2024」から最大2チームの招待チームを含む12チームによる戦いだ。ここで「バウンティマッチ方式」が採用され、2つの新たなポイント制度「IGNITEポイント」が導入される。

ひとつは「勝敗ポイント」で、勝利すると10P、敗北すると4Pが、もうひとつは「バウンティポイント」で、対戦相手の勝利数×3Pが付与される。これらは勝敗に関わらず、必ず付与される。


たとえば、3勝0敗のチームAと0勝3敗のチームBが対戦してチームBが勝利した場合、以下のようになる。

チーム名 チームA チームB
勝敗数 3勝1敗 1勝3敗
勝敗ポイント 34P(10P×3勝+4P×1敗) 22P(10P×1勝+4P×3敗)
バウンティポイント 0P 9P(3P×3勝)
合計 34P 31P

実際に実力のあるチームを逆転することは『LoL』というゲームの性質上かなり難しいが、「バウンティポイント」により一気に差を縮められる可能性が出てくる。

しかも、対戦相手を指名できるのは、その時点で勝利数が少ないチーム側。下克上を狙うしかないシステムとなっているのだ。

勝利数が強いチームを指名することで大量の「バウンティポイント」を狙うのもいいが、当然勝利数が多いチームは強豪でもある。ひとつのチームが無双してしまった場合にはこのフォーマットはほとんど関係ないが、面白いのは互いに勝敗を重ねて混乱してきた時。単に強い弱いだけではなく、どんな試合でも逆転の可能性に賭けた手に汗握る戦いが展開されることになるだろう。

「LJL IGNITE ノックアウトステージ」(シングルエリミネーショントーナメント)


激アツな「メインステージ」を抜けた「ノックアウトステージ」は、再び上位2チームがシードとなり、3〜6位の戦いからスタート。ここからはBo3(2ゲーム先取)となり、決勝のみBo5(3ゲーム先取)で行われる。

また、「メインステージ」1位通過のチームは、Round2での対戦チームを指名する権利も与えられる。


これで3度にわたるオープン予選がすべて終了。最終的にこの時点での「チャンピオンシップポイント」ランキング上位の6チームが、「LJL FINALS」で激突する。

日本一&「LCP」挑戦者を決める「LJL FINALS」


「LCP」の入れ替え戦に挑戦する権利をかけた「LJL FINALS」は、「ハイブリッドエリミネーション」という変則的なトーナメントを採用している。

まず、チャンピオンシップポイント1位と4位、2位と3位が初戦で戦う。ここで負けた2チームが、5位と6位のチームと戦うことになる。これまでの主なリーグでは、1位と2位がシード扱いとなることが多かったが、初戦から1〜4位までが戦うというところが少し異なる。これは、1〜4位のチームは一度だけ負けることが許されるが、5〜6位のチームは一度でも負ければ敗退となるという意味ではやはり有利不利はある。

そしてここからは、ウイナー側、ルーザーズ側からそれぞれ勝ち上がったチーム同士が最終的に戦い、「LJLチャンピオン」として入れ替え戦に挑む権利を獲得できる。

新規チームの受け入れ体制を作った「LJL2025」


以上、かなりややこしいためかえってわかりにくくなってしまったかもしれないが、ここまでのフォーマットをまとめてみよう。

まず、3つのオープン予選はすべてシード権によりつながっており、ひとつ前の予選での戦績によって、次の予選の有利度が大きく変わるというところが、これまでの「LJL」とはかなり変わった点だ。

しかも、オープン予選それぞれのフォーマットが異なる上に、単に勝てばいいというものでもなくなった。たとえば、「LJL FORGE」では好成績だったが、「LJL STORM」ではうまくいかなかった場合、「LJL IGNITE」でワンチャンスを狙う、ということもできる。逆にスタートダッシュに失敗したものの「LJL STORM」の「ミニスイス」で無双するというルートもあるかもしれない。

これまでの「LJL」は、いわばそれぞれのチームがいま持っている矛と盾を正面からぶつけ合うものだった。結果として強いチームは強く、勝てないチームはなかなか勝てないという状況が続き、ロスターが変わったりチーム自体を変えてもなかなか覆すことは厳しかった。

しかし、2025年のフォーマットは、そもそも強豪チームがいることを前提としていない。オープン予選の中でそれぞれのチーム・選手が揉まれ、新たな強みを見出すこともできるし、見た目の勝敗数にかかわらず逆転する芽も常に残されている。

序盤からレーン戦に勝つのが『LoL』の定石ではあるが、ファンは劇的な逆転劇も見てみたいもの。そんな要素が盛り込まれているのが2025年の「LJL」のように思う。

最後に、リーグの主な内容を一覧にまとめてみたので参考にしてほしい。

  LJL FORGE LJL STORM LJL IGNITE LJL FINALS
開催時期 1月〜3月 3月〜5月 5月〜6月 6月〜8月
参加チーム数 最大64 最大64 最大64 6
グループ
ステージ
Gr総当たり戦
64→16
Gr総当たり戦
64→16
Gr総当たり戦
64→16
ハイブリッド
トーナメント
ブラケット
ステージ
シングル
トーナメント
16→10〜16
シングル
トーナメント
16→6〜8
シングル
トーナメント
16→6〜8
メイン
ステージ
スイス
16→8
※LJL2024招待
最大6チーム
ストームスイス
12→6
※FORGEシード
4チーム
※LJL2024招待
最大2チーム
バウンティマッチ
12→6
※STORMシード
4チーム
※LJL2024招待
最大2チーム
ノックアウト
ステージ
シングル
トーナメント
シングル
トーナメント
シングル
トーナメント
次ステージ
進出条件
上位4チーム
LJL STORM
メインステージ
上位4チーム
LJL IGNITE
メインステージ
ポイント上位6チーム
LJL FINALS
優勝チーム
LCP
入れ替え戦


年間賞金は約500万円へと大幅減に


そのほか、今回の発表で補足された情報もお伝えしていこう。

●年間賞金総額は約500万円に大幅減額

まずは賞金だが、「LJL 2025」はあくまで「オープン予選」であり、ひとつの予選で64チーム、最大192チームが参戦できる可能性があるものの、参戦するだけで得られる報酬はないものと考えられる。また、公式発表では、「LJL2025 シーズンの年間賞金総額は約500万円」と明言されている。

2024年までの「LJL」では、スプリットごとに優勝もしくは上位チームに対して1000万円の賞金があり、1月〜5月のSpring Splitと、6月〜9月のSummer Splitの2スプリット合計で、年間賞金総額は2000万円だった。

それ以外に、「LJL」に参戦することで各チームに対して一定の分配金も存在した。つまり、順位による金額の差こそあれ、6チームすべてに何らかのファイトマネーはあり、それがチームを維持する一助にはなっていた。2025年の「LJL」では、それがオープン予選3戦+FINALS+LCP入れ替え戦まで通して500万円と大幅に減額されたことは確かだ。

ただし、このシステムが2025年以降も続くかどうかはわからない。2025年は、アマチュアチームやまだ見ぬプロチームに対しても門戸を開くことにはなったが、その中で有力チームや「LJL」に可能性を見出した新たなチームが注力することも考えられる。

3つのオープン戦とFINALSだけでも1月〜8月までの長期間にわたって試合が続くことになる「LJL」で、チーム運営を行えるのは、やはり既存のプロチーム、もしくは多くのスポンサーを集められるチームくらいだろう。

個人的には、既存の「LJL」チームにとっては厳しい予算削減ではあるものの、これまで「LJL」に参戦したくてもできなかった多くのチームにとっては、大きなチャンスにもなりうると思っている。完全に固定された「LJL」のエコシステムは、閉鎖的と言われても仕方がない状態だった。それが一気に開放的になったことは、歓迎すべきことでもある。

●オープン戦の配信はなし。初回は1月30日の「LJL FORGE」メインステージ

配信に関しては、チーム数も試合数も大幅に増加すると予想されることもあり、初期の試合は行わないようだが、「LJL FORGE」メインステージ Day1の配信は2025年1月30日(木)となると発表されており、「LJL STORM」「LJL IGNITE」でも少なくともメインステージ以降はしっかりフォローしてくれるだろう。


『LoL』プレーヤーの民度の問題、ゲームとしての難しさなどの課題はあるものの、「Worlds」でのSHGを応援するファンや配信を楽しむ人たちはまだまだたくさんいる。さらに、「STAGE:0」や「全国高校eスポーツ選手権」などにより、『LoL』をプレーしている若手もどんどん増えてもいる。

「LJL 2025」の応募フォームは、おそらく12月には公開される。ぜひ令和生まれの新たなプレーヤーたちの活躍を、いち『LoL』ファンとしても楽しみにしたい。

なお、まだ発表されていない開催スケジュール(日程・試合開始時間)、対戦マッチアップの日程などは、各レギュラートーナメントごとの発表となるとのこと。LJL公式XやeSports Worldの大会情報も参考にしてほしい。


参考:LJL 2025シーズンの開催フォーマット詳細を発表!
https://lolesports.com/ja-JP/news/ljl2025-format

LJL 公式 X:https://twitter.com/Official_LJL
LoL Esports Japan 公式 X:https://twitter.com/lolesports_jp
LoL Esportsのサイト:https://lolesports.com/news


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