【特集】eスポーツ昔ばなし
【特集:eスポーツ昔ばなし】第2回 誰も知らない初めてのオフライン観戦
みなさんこんにちは。eスポーツファンボ19年になるやすお(OFF)です。
前回は「誰も知らないeスポーツ元年」と題しまして、eスポーツの歴史についてお話いたしました。今回語るのは、オフライン大会の歴史の概要。
舞台は2004年の夏。2004年の夏といえば、そう「Cyberathlete Professional League」(以下、CPL)の日本予選ですね!
CPLはPlay Hard. Go Pro.をキャッチフレーズとして、eスポーツをプロフェッショナルなレベルまで高めていく事を目的とした国際大会です。この日本予選での勝者がアメリカのダラスで開催される本戦への切符を手にするのです。
そんなCPL初観戦で感じたオフライン観戦の魅力を歴史とともに紐解いていきましょう!
『Counter-Strike』のイロハも知らぬまま
2003年冬のCPLオンライン観戦で感銘を受けた私は、ついに翌年CPLの予選を観戦しに行くことにしました。予選が開催されるタイトルは当時eスポーツと呼ばれていたゲームの中で最も人気だった『Counter-Strike』。私はそのゲームをほとんどプレイしたことがありませんでしたが、そんなことは関係ありません。eスポーツと呼ばれるものがどんなものなのか、この目で確かめるために東京に行くことを決意したのです。
ちなみにCPL 2004 Summer日本予選は、蒲田にあったLEDZONE(レッドゾーン)と呼ばれる施設で開催されました。LEDZONEとは、ナムコが手がけていた『Counter-Strike』の実験店舗です。簡単にいうならば、ネットカフェとゲームセンターの間みたいな感じです。
ずらっとゲーミングPCが並んでいて、遊べるゲームは『Counter-Strike』だけ。時間課金制(20分300円/プリペイド方式)というかなり前衛的な営業形態でした。
当時、私は愛知県に住んでおり、大学生4年をやっておりまして——。大学院への進学も決まっており、時間は腐るほどありました。FPSにかける情熱も燃え盛っており、行動力もありました。私が知らない文化を持つ『Counter-Strike』。その一端に生でふれることで、自分がプレイしていたFPS界隈を盛り上げることができれば——。そんな思いで『Counter-Strike』の熱い戦いが行われているCPL 2004 Summer日本予選の観戦に向かったのです。
時間も熱意も行動力も体力もあったけど、お金だけはなかったので移動は夜行バス。そして夜行バスあるあるなのが、会場オープン時刻を完全に無視した早朝到着。試合開始は10時なのに6時に現地着……。このあたりは、今のeスポーツ観戦若者にも通じるところだと思います。
スマホがない時代でしたので、並んでいる間はかなり暇でした。暇を持て余しすぎて、私の後ろに並んでいた『Counter-Strike』プレイヤーに勇気を出して話しかけて仲良くなったのを今でも覚えています。
ちなみに、その時話しかけた『Counter-Strike』プレイヤーとは、20年近くたった今でも仲良く『VALORANT』で遊んでいるというミラクルも発生しています。人と人との縁というものは本当に不思議なものです(本日2回目)
さてここからは実際のオフライン観戦についてふれていきましょう。まずはこちらの映像をご覧ください。私が見に行った予選の映像です。ちなみに画質とフレームレートは当時のストリーミング配信の画質のままです。
現在のオンライン観戦では、卓越したカメラワークに加え、選手の表情を映した2カメ。誰のシーンなのか、どういった状況なのかといった観戦者が見たいシーンがしっかりと映っています。洗練されたUIでラウンド状況や戦況は一目瞭然で、ラウンド取得後は選手の喜ぶ姿まで見ることができます。
一方で、当時の映像はカクカクで、ミニマップに表示されるプレイヤー配置を見ることすら厳しい画質です。しかし、ゲームを持っていない人がオンラインで大会観戦するには、この方法以外ありませんでした。今では当たり前のことですが、当時の回線や機材の性能ではこれが限界だったのです。むしろ、この大会映像が現存していたこと自体が驚きでしたし、感動でした。
今と違って非常に狭い会場ですので、ゲーム音や実況解説だけでなく、選手の声までもが全部聞こえます。むしろ選手の声がメインといってもいいくらい。今の大会では当たり前に存在する観戦用の巨大なスクリーンなんてものはありませんでした。
観戦用に用意されたのはせいぜい40インチ以下の液晶くらいじゃなかったかと思います。しかし真剣にプレイする選手から間近の距離で観戦できたので、そんなものは必要なかったともいえます。
早くて正確な情報伝達と連携に感動し、チームメイトを鼓舞するセリフに感動し、すべてのことに感動しっぱなしでした。
一番印象に残っているセリフは当時日本最強チームであった4dimensioNのXrayNさんがENZAさんに対して「トシコ!やっぱりお前が日本一や!」と試合中に叫んだことです。本当にカッコよかった。
今でこそ横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナといった超大規模に開催されているeスポーツの大会。その大会と規模を比較すると、比較するのも申し訳ないレベルの差です。
しかし大会の規模ではなく、熱量の密度でいえば、この時のeスポーツ大会の方が勝っていたんじゃないかと思っています。プロゲーマーという職業もなく、プロゲーミングチームなんていうものも存在せず、ゲームで飯を食うなんて夢物語だった時代。
そんな将来性や安定性の欠片もなかったeスポーツという存在に、全身全霊をかけて臨む選手たちの真剣勝負。本当に熱い戦いでした。
このeスポーツ生観戦をきっかけに私は完全にeスポーツの虜になり、以降開催されるeスポーツ大会をほぼ皆勤賞で観戦に赴くのですが、それはまた次回にでも——。
前回は「誰も知らないeスポーツ元年」と題しまして、eスポーツの歴史についてお話いたしました。今回語るのは、オフライン大会の歴史の概要。
舞台は2004年の夏。2004年の夏といえば、そう「Cyberathlete Professional League」(以下、CPL)の日本予選ですね!
CPLはPlay Hard. Go Pro.をキャッチフレーズとして、eスポーツをプロフェッショナルなレベルまで高めていく事を目的とした国際大会です。この日本予選での勝者がアメリカのダラスで開催される本戦への切符を手にするのです。
そんなCPL初観戦で感じたオフライン観戦の魅力を歴史とともに紐解いていきましょう!
『Counter-Strike』のイロハも知らぬまま
CPL 2004 Summer日本予選の観戦に
2003年冬のCPLオンライン観戦で感銘を受けた私は、ついに翌年CPLの予選を観戦しに行くことにしました。予選が開催されるタイトルは当時eスポーツと呼ばれていたゲームの中で最も人気だった『Counter-Strike』。私はそのゲームをほとんどプレイしたことがありませんでしたが、そんなことは関係ありません。eスポーツと呼ばれるものがどんなものなのか、この目で確かめるために東京に行くことを決意したのです。
ちなみにCPL 2004 Summer日本予選は、蒲田にあったLEDZONE(レッドゾーン)と呼ばれる施設で開催されました。LEDZONEとは、ナムコが手がけていた『Counter-Strike』の実験店舗です。簡単にいうならば、ネットカフェとゲームセンターの間みたいな感じです。
ずらっとゲーミングPCが並んでいて、遊べるゲームは『Counter-Strike』だけ。時間課金制(20分300円/プリペイド方式)というかなり前衛的な営業形態でした。
LEDZONE出身者には伝説のプレイヤーが!
そんなネットカフェの前衛ともいえるLEDZONEですが、とんでもないプレイでお馴染みnoppoさん、「とんでもないプレイが出てますよ」という言葉を生み出したQoofooRiNさん(ft.OooDaさん)、Team SpeederのxENqLityさんがいらっしゃいます。
「とんでもないプレーが出てますよ」については下記の動画をご覧ください。
なお、このLEDZONE生みの親であるプロデューサーの土屋さんとは20年近くたった今でも仲良く、今でも『VALORANT』で遊んでいるというミラクルも発生しています。人と人との縁というものは本当に不思議なものです。
そんなネットカフェの前衛ともいえるLEDZONEですが、とんでもないプレイでお馴染みnoppoさん、「とんでもないプレイが出てますよ」という言葉を生み出したQoofooRiNさん(ft.OooDaさん)、Team SpeederのxENqLityさんがいらっしゃいます。
「とんでもないプレーが出てますよ」については下記の動画をご覧ください。
なお、このLEDZONE生みの親であるプロデューサーの土屋さんとは20年近くたった今でも仲良く、今でも『VALORANT』で遊んでいるというミラクルも発生しています。人と人との縁というものは本当に不思議なものです。
当時、私は愛知県に住んでおり、大学生4年をやっておりまして——。大学院への進学も決まっており、時間は腐るほどありました。FPSにかける情熱も燃え盛っており、行動力もありました。私が知らない文化を持つ『Counter-Strike』。その一端に生でふれることで、自分がプレイしていたFPS界隈を盛り上げることができれば——。そんな思いで『Counter-Strike』の熱い戦いが行われているCPL 2004 Summer日本予選の観戦に向かったのです。
時間も熱意も行動力も体力もあったけど、お金だけはなかったので移動は夜行バス。そして夜行バスあるあるなのが、会場オープン時刻を完全に無視した早朝到着。試合開始は10時なのに6時に現地着……。このあたりは、今のeスポーツ観戦若者にも通じるところだと思います。
スマホがない時代でしたので、並んでいる間はかなり暇でした。暇を持て余しすぎて、私の後ろに並んでいた『Counter-Strike』プレイヤーに勇気を出して話しかけて仲良くなったのを今でも覚えています。
ちなみに、その時話しかけた『Counter-Strike』プレイヤーとは、20年近くたった今でも仲良く『VALORANT』で遊んでいるというミラクルも発生しています。人と人との縁というものは本当に不思議なものです(本日2回目)
選手たちが発する凄まじい熱気を体感したオフライン観戦
さてここからは実際のオフライン観戦についてふれていきましょう。まずはこちらの映像をご覧ください。私が見に行った予選の映像です。ちなみに画質とフレームレートは当時のストリーミング配信の画質のままです。
soyokazeさんご提供
現在のオンライン観戦では、卓越したカメラワークに加え、選手の表情を映した2カメ。誰のシーンなのか、どういった状況なのかといった観戦者が見たいシーンがしっかりと映っています。洗練されたUIでラウンド状況や戦況は一目瞭然で、ラウンド取得後は選手の喜ぶ姿まで見ることができます。
一方で、当時の映像はカクカクで、ミニマップに表示されるプレイヤー配置を見ることすら厳しい画質です。しかし、ゲームを持っていない人がオンラインで大会観戦するには、この方法以外ありませんでした。今では当たり前のことですが、当時の回線や機材の性能ではこれが限界だったのです。むしろ、この大会映像が現存していたこと自体が驚きでしたし、感動でした。
今と違って非常に狭い会場ですので、ゲーム音や実況解説だけでなく、選手の声までもが全部聞こえます。むしろ選手の声がメインといってもいいくらい。今の大会では当たり前に存在する観戦用の巨大なスクリーンなんてものはありませんでした。
観戦用に用意されたのはせいぜい40インチ以下の液晶くらいじゃなかったかと思います。しかし真剣にプレイする選手から間近の距離で観戦できたので、そんなものは必要なかったともいえます。
早くて正確な情報伝達と連携に感動し、チームメイトを鼓舞するセリフに感動し、すべてのことに感動しっぱなしでした。
一番印象に残っているセリフは当時日本最強チームであった4dimensioNのXrayNさんがENZAさんに対して「トシコ!やっぱりお前が日本一や!」と試合中に叫んだことです。本当にカッコよかった。
今でこそ横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナといった超大規模に開催されているeスポーツの大会。その大会と規模を比較すると、比較するのも申し訳ないレベルの差です。
しかし大会の規模ではなく、熱量の密度でいえば、この時のeスポーツ大会の方が勝っていたんじゃないかと思っています。プロゲーマーという職業もなく、プロゲーミングチームなんていうものも存在せず、ゲームで飯を食うなんて夢物語だった時代。
そんな将来性や安定性の欠片もなかったeスポーツという存在に、全身全霊をかけて臨む選手たちの真剣勝負。本当に熱い戦いでした。
このeスポーツ生観戦をきっかけに私は完全にeスポーツの虜になり、以降開催されるeスポーツ大会をほぼ皆勤賞で観戦に赴くのですが、それはまた次回にでも——。
やすお(OFF)
1996年からPCゲーム沼に漬かってきたオールドゲーマー。青春時代をeスポーツに捧げ、黎明期のeスポーツシーンを記録する活動をしてきた。趣味はeスポーツサイン集め。2004年当時、国内最強チームであった4dimensioNのメンバーが初めて書いたサインが家宝。直近の目標はZETA DIVISIONメンバーのサインを獲得する事。
Twitter:@offeryasu
1996年からPCゲーム沼に漬かってきたオールドゲーマー。青春時代をeスポーツに捧げ、黎明期のeスポーツシーンを記録する活動をしてきた。趣味はeスポーツサイン集め。2004年当時、国内最強チームであった4dimensioNのメンバーが初めて書いたサインが家宝。直近の目標はZETA DIVISIONメンバーのサインを獲得する事。
Twitter:@offeryasu
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