【特集】AKRacing ゲーミングチェア情報
【AKRacing×日本プロ麻雀連盟】 「プロ雀士なら“カッコいい麻雀”を見せないといけない」 森山茂和会長が語るMリーグと麻雀の未来、AKRacingとの取り組み
- 「麻雀用のイスを作ったら面白い」から始まったAKRacingとのコラボ
- 長時間戦う麻雀だからこそ、「落ち着いて座れる」ことが大切
- Mリーグで麻雀が身近になったからこそ「プロはいいものを見せないといけない」
- eスポーツにも通じる、麻雀における“駆け引き”と“運”の考え方
- 「せめてサイコロを振ってほしい」——Mリーグへの“懸念発言”の真意
- これから麻雀を始める人へ「先入観なしにとにかく打ってみてほしい」
eスポーツの世界でおなじみのゲーミングチェアブランド「AKRacing」が、2026年6月に麻雀に最適化したローバックタイプのチェア「MJ Grey」を発売した。併せて、日本プロ麻雀連盟のロゴをあしらった「MJ Grey JPML」もラインアップし、日本プロ麻雀連盟の巣鴨本部道場には、全16卓に「MJ Grey」が導入されている。
いまや麻雀といえば、Mリーグなどによるメディア露出も相まって、若者から年配の方まで幅広く楽しめるレジャーとして人気だ。ゲームとしても、本格的なオンライン対戦麻雀ゲームから、『ファイナルファンタジーXIV』内の「ドマ麻雀」などもあり、eスポーツとしての展開が期待されるゲームのひとつとも言える。
今回は、競技麻雀のプロ団体、日本プロ麻雀連盟のトップである森山茂和会長にインタビュー。AKRacingとの取り組みや麻雀におけるチェアの重要性はもちろん、Mリーグによって大きく変わった麻雀界、「プロ」とは何なのか、eスポーツとの共通点、そして自身の発言でも注目を集めたMリーグへの提案まで、率直な思いを聞いた。
──AKRacingと日本プロ麻雀連盟が今回の取り組みを行うことになったきっかけから教えてください。
森山:もともとAKRacingさんには(日本プロ麻雀連盟を)スポンサードしていただいていて、どこかで「麻雀用のイスがあったら面白いね」みたいな話をしたことがあるんですよね。それが実現して、実際に開発していただきました。
麻雀用のイスには高さの制限がありまして、いつものAKRacingさんの背が高いゲーミングチェアではなく、背もたれを少し低くしてもらっています。
ちょうどうちも今年(2026年)、新しいロゴができたので、「これも入れてもらえないだろうか」とお願いして。日本プロ麻雀連盟バージョンも作っていただいて、大変ありがたいと思っています。
──開発にあたって、森山会長や連盟からも要望を出されたのでしょうか?
森山:若干ですね。「こんな感じがいいんじゃないか」とか。麻雀の器具を扱っているところからも意見をいただいたりして。
例えば、脚の部分が少し広めになっているので、座った時に安定感があります。麻雀って割と座りながら動いたりするので、安定している方がいいんじゃないかと。当然、高さのこともありましたし、麻雀をやっている時に使いやすいイスという話もしましたね。
──実際に完成した「MJ Grey」に座ってみて、いかがでしたか?
森山:一番大事なのは、麻雀をやりながら落ち着いて座れて、座りやすいイスかどうか、ですよね。実際に座ってみるとゆったり感があって、なんだか落ち着くんですよ。
今も道場で皆さんに利用していただいていますけど、すごく好評をいただいています。
──道場の利用者からの反応はいかがですか?
森山:座り心地そのものより、まず「すごくきれい」「見た目がいい」と言われることが多いですね。
この道場には16卓あるんですけど、全部にAKRacingさんのイスが入っています。こんな豪華なイスを全卓で使っている雀荘は、なかなかないんじゃないですかね。最高級品の品質ですから、それはちょっと自慢できますよね。

──AKRacingはもともとeスポーツ分野に特化したゲーミングチェアブランドで、長時間座りながら集中力を維持できるチェアとして使われています。麻雀においても、やはりチェアは重要なのでしょうか?
森山:そうですね。結局、大事なのは集中力なんですよ。集中力が途切れないように、座り心地がいいとか、落ち着くとか、そういうところは特に大事です。
このイスは座面が少し後ろに下がっていて、最初は「ちょっと後ろに傾きすぎじゃないかな……」と不安だったんです。でも実際に座ってみると全然そんなことはなくて、すごく落ち着ける。
背中にはランバーサポートもあるので、人によって位置を動かして、自分に合ったバランスに調整できます。知らずに座ると違和感がある人もいるかもしれないけど、調節すれば最適なポジションになります。
──それ以外に、MJ Greyならではの利点はありますか?
森山:麻雀をやっていると、姿勢が悪くなる人が多いんですよね。前のめりになったり、猫背になったり。でも、特にテレビ対局などでは、姿勢ってすごく大事だと思っていて。見た目としても、姿勢がいい方がきれいじゃないですか。
このイスは後ろから背中を支えてくれるので、前かがみになりすぎず、姿勢も保ちやすいような気がします。僕自身も、なるべく姿勢を良くするようには心がけています。

──ここからは、麻雀業界についてもお聞かせください。eスポーツもただのゲームから徐々に「スポーツ」を名乗れるくらいに人気と認知度が高まっていきましたが、麻雀業界も「Mリーグ」や『麻雀格闘倶楽部』のようなオンライン麻雀が人気で、若い麻雀ファンもかなり増えている印象があります。
森山:かなり増えているんじゃないですかね。
やっぱり一番大きいのは、Mリーグの人気だと思います。みんなが携帯を持っていて、ABEMAで簡単に見られますし。昔は「THEわれめDEポン」や「MONDO TV」のように、麻雀番組を見るにしても有料チャンネルを契約しなければ見られませんでした。今はほとんどタダで見られるような感覚でしょう? それなら皆さん見ますよね。
──そのように麻雀が“見るエンタメ”として広がっていったことを、どう感じていますか?
森山:麻雀が映像としてどんどん出るようになるのは、ありがたいことです。ただ、僕はやっぱり「レベルの高い対局を見せてほしい」と思います。
プロだからこそ打てる、という麻雀を見せないと。誰でも打てるような麻雀をやって、「これがプロです」と言ってもしょうがない。見応えのある内容で、「こんな打ち方はできないな……」と思わせるような麻雀を見せられるかどうか。
野球で言えば、大谷翔平選手みたいにホームランをガンガン打つとか、華麗な守備を見せるとか、そういう意味での“プロ的なもの”をいかに見せられるかどうか、だと思うんです。
麻雀のプロ自体には、割と簡単になれるんですよ。だけど、本物を見せられる人がどれだけいるか。プロとしてずっと生きていくのは大変です。なったとしても消えていく人はたくさんいるし、生活できない人もいます。
──そんななかで、森山会長のように長く第一線で活躍できる方は、どんなところが違うのでしょうか?
森山:麻雀って、ある意味では「絵合わせ」なんですよ。牌を合わせていけば上がれる。でも、それだけで勝てることもあれば、勝てないこともある。
「レベルの高い対局」には“深み”があります。なかなか気が付かないものですけど、そういうものを私たちは伝えていかなきゃいけないと思っています。
麻雀自体はある程度ルールや役を覚えれば勝てるんです。それで勘違いしてプロになる人も多い。でも、仲間内では最強だったのに、プロになってみたら「自分は大したことなかった」とだんだん分かってくる。
最初は分からないんですよ。なぜかというと、「ツキ」だけで勝っていることもあるから。
長くやっていれば、ツイている時だけじゃありません。ツキがなくなった時に、本当の実力が出てくるんです。ダメな時でもなんとかしなきゃいけない。苦しいことの方が多くなったとしても、その中でやっていかなきゃいけない。
でも、技術は裏切らないんですよ。運は裏切りますけどね。
勝てなくても「この人うまいな」「この局面でこの牌を打たないんだ」「こんなのを上がるんだ」といった麻雀を見せることはできるはずです。長く安定してやっていけるかどうかが、その人の「雀力」なんだと思います。
──以前のプロと、『Mリーグ』などの登場によって、より華やかな仕事になった今のプロとで、違いを感じる部分はありますか?
森山:昔のプロの方が個性は強かったですね。今はちょっと薄くなっていると思います。
僕は「味のある打ち手」になってほしいんですよね。要するに、個性のある打ち手。みんな同じことをするんじゃなくて、「自分はこう打ちたい」という、その人の色を出してほしい。麻雀はいろんな打ち方があるんだから、みんな同じだとつまらないじゃないですか。
どれが最善手かということだけじゃなくて、「この人はこういう打ち方がいいよね」というのが面白い。
ただ、そこにはルールの問題もあります。
例えば、Mリーグでは「順位」が重視されています。ひとつでも順位を上げて、1点でも上ならいい。でも、昔は割と打点が重視されるルールもあって、「勝つ時にはたくさん勝つ」という麻雀もあったんです。
もちろんルールによって打ち方は変わります。だから、いろんなルールで行われている大会を見ると、また違った面白さがある。
プロ雀士は、自分がプロとしてどう認められるか、どう記憶に残っていくのか。そこまで考えてほしいんです。麻雀って、こんなことまでできるんだよ、ということをその人が示せるかどうか。
みんながただ正確に打っているだけじゃ、つまらなくないですか?
──eスポーツにもカードゲームのように運と実力が絡む競技があります。引いたカード自体は運要素が大きいですが、デッキの構築や試合中のプレーは実力次第で、麻雀と近い部分もあるように感じます。
森山:カードゲームについては詳しくは知りませんが、麻雀でも、「この手がいい、悪い」だけじゃなくて、ダメなところをどうやって良くするか、ちょっとツイていない時に、「ツキをどう育てるか」みたいなことをしているので、似ている部分はあると思います。
たとえば麻雀では、絶対に相手に勝たせてはいけない場面では“降りる”(相手を和了(あが)らせないために安全な牌を捨てること)とか、相手に勢いを与えるとやられちゃうなら、どうやって相手の勢いを落とすか、逆に自分に勢いをつけるにはどうするのかとか、そういう運の流れまで考えています。
──具体的にどうしているんでしょうか?
森山:牌の切り方や切る順番から、相手の手を読みます。それから、いま誰が調子がいいのかを考えながら打つ。
例えば、自分の調子が悪い時に立て直す技術もあります。相手がツイている時に、好きにさせないようにするんです。
麻雀は、自分ひとりでは勝てないんですよ。周りは敵だけど、3人をうまく使わないといけません。ツキがある人がいたら、その人をどう止めるのか、止めるために何をすればいいのかを考えます。
ツイていない人がいたら、その人にはずっとツイていない状態でいてもらうんです。反対にツキがない人を簡単に上がらせると元気になってしまう。そういうところまで含めて「場をどうコントロールするか」を考える。それが麻雀なんです。
ただ自分のことだけ考えて「勝つためなら何でもやる」というタイプが強いこともあります。もちろん僕自身は、潔くないことはしたくないという美学もありますけどね(笑)。
──「場をコントロールする」というのは、いわゆる運に任せる“オカルト麻雀”みたいなものとは違うのでしょうか?
森山:違います。
例えば「サイコロを振って4が出た時はツイている」というのはオカルトです。何にも根拠がないですから。
でも、自分の打ち方を変えることで麻雀が変わってくるというのはオカルトではありません。
今は相手がツイているから戦わない方がいいとか、ここは逆に勝負しなきゃいけないとか。長い目で見た時に、そういうところでツキをある程度コントロールして勝つことはあると思っています。
ツイている人とケンカしたら負けちゃうんですよ、麻雀は。だから基本的には戦わない。ただ、そこで全部降りていたら相手がどんどん上に行っちゃう時には、死を覚悟してでも行かなきゃいけないこともある。それが勝負どころですね。
麻雀はいくらやっても、いくら強くても、ダメな時はダメです。どんなに強い人でも、初めてやった人に負けることもある。だって、配牌でテンパイされていたら勝てないじゃないですか(笑)。そこは麻雀のきついところですよね。
ただ、長い目で見ると、勝つ上で「経験値」はものすごく大きいです。
僕が長い間プロとして生き残れていることにも、理由はあるわけですよ。なかったら生き残れていない。
では、何がよかったのかと言われれば「総合力」だと思うし、いろいろな引き出しを持っているという「経験値」もある。どれだけ麻雀を知っているか、その点では負けないぞ、と。
それでも、ツイている人には勝てません(笑)。
──先日、森山会長がSNS上で、Mリーグに対して、対局時間をめぐる「麻雀クロック」の導入や、試合開始前のサイコロ使用などの要望書を出されました。どんな意図があったのでしょうか?
森山:これは僕が以前から言っていることなんですが、Mリーグで自動配牌を使うのは、映像的にはいいんです。すぐ始められるし、見た目も分かりやすいですから。
ただ、あの仕組みだと次に使う山が積まれている上に、ドラもツモも決まっています。そうすると、次に与えられる牌の並びが一通りに決まっているんです。変わる可能性があるのは、親が変わる場合くらいです。
でも、サイコロを振れば、どこから取り始めるかが変わる。つまり、ツモもドラも変わる。いろんな可能性が出てくる。
僕が言いたいのは、「せめてサイコロを振ってよ」ということなんです。
──森山会長がずっと話されてきた「運が動く」という考えにつながるわけですね。
森山:そう。運はそうやって“動く”んですよ。
以前は4人で山を積んで、サイコロを振って、取るところを決めてきました。自動配牌でも、サイコロを振ればドラもツモも変わる。その方が僕は面白いと思っています。こだわりというより「それが麻雀」ということなんです。
トランプゲームでも、最初から全部決まった順番ではなく、シャッフルしてから配るでしょう? 調子が悪かったら「もう一回シャッフルしてくれ」と言いたくなることもある(笑)。
麻雀も同じように、次に何が生まれるのかまで考える余地がある方がいい。僕は、しっかり打ったら、それが次につながると思っているんです。
麻雀は自分だけが牌をコントロールしていると思ったら大間違いです。逆に、4人が牌にコントロールされているような時もある。
自分がいい時は、牌が勝たせてくれるから素直に打てばいい。そういうことまでいろいろ考えながらやるのが、僕にとっての麻雀なんです。
──もう一つの「考慮時間に制限を設けた方がいい」という要望については、将棋や囲碁のように競技性を高めたいという考えなのでしょうか?
森山:そうではなくて、単純にプロの試合なのに遅すぎるんです。それによっていろいろなところに迷惑をかける。考える必要のないタイミングでずっと考えたりするでしょう? あれは迷惑なんですよ。
──「早く打つこと」を求めているわけではないと?
森山:「早く打て」じゃないんです。「普通に切ろう」というだけで。
普段の麻雀では割と早く打つ人でも、Mリーグでは負けられないというプレッシャーがかかります。慎重になって、損をしたくない、間違えたくないという気持ちがあるから、普段より遅くなるんでしょう。
でも、遅すぎると、まず番組がつまらなくなると僕は思います。
かといって、早すぎてもダメなんですよ。視聴者が一番心地よく見られるくらいのテンポで打つ。そのくらいの余裕がプロには欲しい。
それから、時間がかかると選手も疲れます。
例えば、誰かが明らかにいらない「白」を持ってきて長考していたら、「どうしたんだろう」「テンパイしているのかな」「高い手なのかな」と、他の3人も余分なことを考えるでしょう。そういうことがずっと続けば精神的にも疲れます。
ある程度のスピードで打ってくれれば、そんな余分な負担はかからないんですよ。
──時間制限は、むしろ選手を守る意味もあるということなんですね。
森山:そうです。時間をかけすぎれば試合が夜中になったりして、体調を崩す選手が出るかもしれない。だから「選手を守るためにも入れてくれ」と言っているんです。無駄な時間はやめよう、という意味です。
時間制限を設けたとしても、普通に打っていればほとんどオーバーしないと思いますよ。別に早く打たなきゃいけないわけじゃない。十分余裕のある時間ですから。それで内容が変わるわけでもないし、むしろ良くなるかもしれないと僕は思っています。
──最後に、eスポーツのファンなど、これから初めて麻雀をやってみようという人にその魅力をあらためて教えてください。
森山:麻雀は、とりあえず先入観なしにやってみると楽しいですよ。簡単に言うと、下手でも勝てますから(笑)。
──先ほど話していた、初心者でもプロに勝てる可能性があるという点ですね。
森山:最初はそこが面白いんですよ。まだ初心者なのに勝てることがある。それで、だんだんうまくなってくると、今度は「うまく打てたから勝てた」という形で、面白さが変わってくるんです。
囲碁とか将棋だったら、初心者が強い人とやったら100%負けるでしょう? でも麻雀なら勝てることがある。だから、とにかくやってみてほしいですね。「なぜ勝ったのか」「なぜ負けたのか」を考えるようになると、どんどん違う面白さが見えてきます。
──では逆に、そこから「プロになりたい」と考える若い人には、どんな言葉をかけますか?
森山:麻雀は、自分の実力を自分できちんと評価することが本当に難しいんですよ。弱い人たちとやって、たまたまツイて勝っていると、それで「自分は強い」と思ってしまうこともあります。
だからプロを目指すなら、本当に「よく考えてから」としか言えない。僕は基本的には「やめろ」と言います。「なれ」と言ったことはほとんどないです。
──そこまで厳しく言うのはなぜでしょう?
森山:経験が足りないまま来る人が多いからです。
麻雀を始めて半年とか、ネット麻雀しか経験がなく、実際の牌をほとんどさわったことがない人がプロテストを受けに来たりもするんです。そういう若い人と一緒に麻雀を打った後に、「まだ早いんじゃないですか」「やめた方がいいですよ」と言うこともありました。
だって、プロになったとしても、そこから食べていけないんですよ。なること自体は、僕に言わせればそんなに難しくないんです。難しいのは、その先で生きていくことです。
就職が決まっているのに「プロになりたいからやめようと思っています」と言われて、その人にまだ力がなかったら、「いや、それは大変だよ」と言うしかないじゃないですか。
──夢を持つことを否定しているわけではないんですね。
森山:もちろんです。経験をたくさん積んで、その中で「麻雀プロになろう」というなら別に問題ありません。
ただ、本音を言ってあげないと、その人のためにならないと思うんです。プロになった後は誰も保証してくれない。結局、自分で努力して、実力をつけて、何かを見せていかなきゃいけませんから。

AKRacing MJ Grey /MJ Grey 日本プロ麻雀連盟モデル:https://www.akracing.jp/products/detail/56
Amazon AKRacingストア:https://www.amazon.co.jp/akracing
AKRacing公式ブランドサイト:https://www.akracing.jp/
日本プロ麻雀連盟:https://www.ma-jan.or.jp/
いまや麻雀といえば、Mリーグなどによるメディア露出も相まって、若者から年配の方まで幅広く楽しめるレジャーとして人気だ。ゲームとしても、本格的なオンライン対戦麻雀ゲームから、『ファイナルファンタジーXIV』内の「ドマ麻雀」などもあり、eスポーツとしての展開が期待されるゲームのひとつとも言える。
今回は、競技麻雀のプロ団体、日本プロ麻雀連盟のトップである森山茂和会長にインタビュー。AKRacingとの取り組みや麻雀におけるチェアの重要性はもちろん、Mリーグによって大きく変わった麻雀界、「プロ」とは何なのか、eスポーツとの共通点、そして自身の発言でも注目を集めたMリーグへの提案まで、率直な思いを聞いた。
森山茂和(もりやま しげかず)

山口県出身。日本プロ麻雀連盟1期生、九段。第12期最強位、第9期王位などのタイトルを獲得。長年にわたり副会長として日本プロ麻雀連盟を支え、2013年4月に第3代会長へ就任した。競技者として活動を続けながら、競技麻雀の普及、プロ雀士の育成などに精力的に取り組んでいる。
日本プロ麻雀連盟・連盟員名簿
日本プロ麻雀連盟・新会長就任のご挨拶

山口県出身。日本プロ麻雀連盟1期生、九段。第12期最強位、第9期王位などのタイトルを獲得。長年にわたり副会長として日本プロ麻雀連盟を支え、2013年4月に第3代会長へ就任した。競技者として活動を続けながら、競技麻雀の普及、プロ雀士の育成などに精力的に取り組んでいる。
日本プロ麻雀連盟・連盟員名簿
日本プロ麻雀連盟・新会長就任のご挨拶
「麻雀用のイスを作ったら面白い」から始まったAKRacingとのコラボ
──AKRacingと日本プロ麻雀連盟が今回の取り組みを行うことになったきっかけから教えてください。
森山:もともとAKRacingさんには(日本プロ麻雀連盟を)スポンサードしていただいていて、どこかで「麻雀用のイスがあったら面白いね」みたいな話をしたことがあるんですよね。それが実現して、実際に開発していただきました。
麻雀用のイスには高さの制限がありまして、いつものAKRacingさんの背が高いゲーミングチェアではなく、背もたれを少し低くしてもらっています。
ちょうどうちも今年(2026年)、新しいロゴができたので、「これも入れてもらえないだろうか」とお願いして。日本プロ麻雀連盟バージョンも作っていただいて、大変ありがたいと思っています。
AKRacingが冠スポンサーの大会「AKRacing杯」も開催されている
──開発にあたって、森山会長や連盟からも要望を出されたのでしょうか?
森山:若干ですね。「こんな感じがいいんじゃないか」とか。麻雀の器具を扱っているところからも意見をいただいたりして。
例えば、脚の部分が少し広めになっているので、座った時に安定感があります。麻雀って割と座りながら動いたりするので、安定している方がいいんじゃないかと。当然、高さのこともありましたし、麻雀をやっている時に使いやすいイスという話もしましたね。
──実際に完成した「MJ Grey」に座ってみて、いかがでしたか?
森山:一番大事なのは、麻雀をやりながら落ち着いて座れて、座りやすいイスかどうか、ですよね。実際に座ってみるとゆったり感があって、なんだか落ち着くんですよ。
今も道場で皆さんに利用していただいていますけど、すごく好評をいただいています。
──道場の利用者からの反応はいかがですか?
森山:座り心地そのものより、まず「すごくきれい」「見た目がいい」と言われることが多いですね。
この道場には16卓あるんですけど、全部にAKRacingさんのイスが入っています。こんな豪華なイスを全卓で使っている雀荘は、なかなかないんじゃないですかね。最高級品の品質ですから、それはちょっと自慢できますよね。

巣鴨の本部道場の様子。ホワイトとブラックの「MJ Grey」ならではの高級感と清潔感を感じさせる
長時間戦う麻雀だからこそ、「落ち着いて座れる」ことが大切
──AKRacingはもともとeスポーツ分野に特化したゲーミングチェアブランドで、長時間座りながら集中力を維持できるチェアとして使われています。麻雀においても、やはりチェアは重要なのでしょうか?
森山:そうですね。結局、大事なのは集中力なんですよ。集中力が途切れないように、座り心地がいいとか、落ち着くとか、そういうところは特に大事です。
このイスは座面が少し後ろに下がっていて、最初は「ちょっと後ろに傾きすぎじゃないかな……」と不安だったんです。でも実際に座ってみると全然そんなことはなくて、すごく落ち着ける。
背中にはランバーサポートもあるので、人によって位置を動かして、自分に合ったバランスに調整できます。知らずに座ると違和感がある人もいるかもしれないけど、調節すれば最適なポジションになります。
──それ以外に、MJ Greyならではの利点はありますか?
森山:麻雀をやっていると、姿勢が悪くなる人が多いんですよね。前のめりになったり、猫背になったり。でも、特にテレビ対局などでは、姿勢ってすごく大事だと思っていて。見た目としても、姿勢がいい方がきれいじゃないですか。
このイスは後ろから背中を支えてくれるので、前かがみになりすぎず、姿勢も保ちやすいような気がします。僕自身も、なるべく姿勢を良くするようには心がけています。

ランバーサポートとリクライニングの調整で、疲れにくくいい姿勢を保てるのも、これまでの麻雀用チェアにはない特徴だ
Mリーグで麻雀が身近になったからこそ「プロはいいものを見せないといけない」
──ここからは、麻雀業界についてもお聞かせください。eスポーツもただのゲームから徐々に「スポーツ」を名乗れるくらいに人気と認知度が高まっていきましたが、麻雀業界も「Mリーグ」や『麻雀格闘倶楽部』のようなオンライン麻雀が人気で、若い麻雀ファンもかなり増えている印象があります。
森山:かなり増えているんじゃないですかね。
やっぱり一番大きいのは、Mリーグの人気だと思います。みんなが携帯を持っていて、ABEMAで簡単に見られますし。昔は「THEわれめDEポン」や「MONDO TV」のように、麻雀番組を見るにしても有料チャンネルを契約しなければ見られませんでした。今はほとんどタダで見られるような感覚でしょう? それなら皆さん見ますよね。
──そのように麻雀が“見るエンタメ”として広がっていったことを、どう感じていますか?
森山:麻雀が映像としてどんどん出るようになるのは、ありがたいことです。ただ、僕はやっぱり「レベルの高い対局を見せてほしい」と思います。
プロだからこそ打てる、という麻雀を見せないと。誰でも打てるような麻雀をやって、「これがプロです」と言ってもしょうがない。見応えのある内容で、「こんな打ち方はできないな……」と思わせるような麻雀を見せられるかどうか。
野球で言えば、大谷翔平選手みたいにホームランをガンガン打つとか、華麗な守備を見せるとか、そういう意味での“プロ的なもの”をいかに見せられるかどうか、だと思うんです。
麻雀のプロ自体には、割と簡単になれるんですよ。だけど、本物を見せられる人がどれだけいるか。プロとしてずっと生きていくのは大変です。なったとしても消えていく人はたくさんいるし、生活できない人もいます。
──そんななかで、森山会長のように長く第一線で活躍できる方は、どんなところが違うのでしょうか?
森山:麻雀って、ある意味では「絵合わせ」なんですよ。牌を合わせていけば上がれる。でも、それだけで勝てることもあれば、勝てないこともある。
「レベルの高い対局」には“深み”があります。なかなか気が付かないものですけど、そういうものを私たちは伝えていかなきゃいけないと思っています。
麻雀自体はある程度ルールや役を覚えれば勝てるんです。それで勘違いしてプロになる人も多い。でも、仲間内では最強だったのに、プロになってみたら「自分は大したことなかった」とだんだん分かってくる。
最初は分からないんですよ。なぜかというと、「ツキ」だけで勝っていることもあるから。
長くやっていれば、ツイている時だけじゃありません。ツキがなくなった時に、本当の実力が出てくるんです。ダメな時でもなんとかしなきゃいけない。苦しいことの方が多くなったとしても、その中でやっていかなきゃいけない。
でも、技術は裏切らないんですよ。運は裏切りますけどね。
勝てなくても「この人うまいな」「この局面でこの牌を打たないんだ」「こんなのを上がるんだ」といった麻雀を見せることはできるはずです。長く安定してやっていけるかどうかが、その人の「雀力」なんだと思います。
──以前のプロと、『Mリーグ』などの登場によって、より華やかな仕事になった今のプロとで、違いを感じる部分はありますか?
森山:昔のプロの方が個性は強かったですね。今はちょっと薄くなっていると思います。
僕は「味のある打ち手」になってほしいんですよね。要するに、個性のある打ち手。みんな同じことをするんじゃなくて、「自分はこう打ちたい」という、その人の色を出してほしい。麻雀はいろんな打ち方があるんだから、みんな同じだとつまらないじゃないですか。
どれが最善手かということだけじゃなくて、「この人はこういう打ち方がいいよね」というのが面白い。
ただ、そこにはルールの問題もあります。
例えば、Mリーグでは「順位」が重視されています。ひとつでも順位を上げて、1点でも上ならいい。でも、昔は割と打点が重視されるルールもあって、「勝つ時にはたくさん勝つ」という麻雀もあったんです。
もちろんルールによって打ち方は変わります。だから、いろんなルールで行われている大会を見ると、また違った面白さがある。
プロ雀士は、自分がプロとしてどう認められるか、どう記憶に残っていくのか。そこまで考えてほしいんです。麻雀って、こんなことまでできるんだよ、ということをその人が示せるかどうか。
みんながただ正確に打っているだけじゃ、つまらなくないですか?
【解説】Mリーグとプロ公式戦、ルールが変わると麻雀はどう変わる?
ひとくちに「プロ麻雀」といっても、すべての大会が同じルールで行われているわけではない。
日本プロ麻雀連盟では、連盟の最高峰リーグ戦「鳳凰戦」などで使われる「連盟公式ルール」のほか、リーチ麻雀の国際ルールである「WRC(World Riichi Championship)ルール」「WRC-Rルール」などがあり、Mリーグにも独自のルールが定められている。
代表的な大会ごとのルールの違い
特に大きいのが「順位点」の違いだ。
Mリーグでは、1着と2着だけでも順位点に40ポイントの差がつく。そのため、単純に持ち点を増やすだけでなく、「トップを取る」「一つでも順位を上げる」といった着順を意識した判断の重要性が高い。
一方、連盟公式ルールでは順位点の差が比較的小さく、30,000点を基準とした素点も成績に大きく影響する。また、一発・裏ドラ・カンドラ・赤牌がないため、偶発的に打点が大きく跳ね上がる要素もMリーグより少ない。
WRCルールは、一発・裏ドラ・カンドラを採用しているが赤牌はなく、順位点もMリーグより小さい。さらに、赤牌を採用した「WRC-Rルール」も存在する。
つまり、同じ牌姿でも「どれだけ点を稼ぐべきか」「トップを狙うのか、現在の順位を守るのか」といった最善の選択は大会ごとのルールによって異なるというわけだ。
参考:
M.LEAGUE「Mリーグとは/競技ルール」
日本プロ麻雀連盟「公式ルールで対局してみましょう!」
日本プロ麻雀連盟「公式・WRC・WRC-Rルール」
日本プロ麻雀連盟「戦術の系譜25 三浦智博」
ひとくちに「プロ麻雀」といっても、すべての大会が同じルールで行われているわけではない。
日本プロ麻雀連盟では、連盟の最高峰リーグ戦「鳳凰戦」などで使われる「連盟公式ルール」のほか、リーチ麻雀の国際ルールである「WRC(World Riichi Championship)ルール」「WRC-Rルール」などがあり、Mリーグにも独自のルールが定められている。
代表的な大会ごとのルールの違い
| 主な違い | Mリーグ | 日本プロ麻雀連盟 公式ルール | WRCルール |
|---|---|---|---|
| 持ち点 | 25,000点 | 30,000点 | 30,000点 |
| 順位点 | 1着+50/2着+10 3着▲10/4着▲30 | 30,000点を上回った 人数によって変動 | 1着+15/2着+5 3着▲5/4着▲15 |
| 一発 | あり | なし | あり |
| 裏ドラ | あり | なし | あり |
| カンドラ | あり | なし | あり |
| 赤牌 | 5萬・5筒・5索に各1枚 | なし | なし |
| 配牌・開門 | 自動配牌・自動開門 | サイコロを使用 | サイコロを使用 |
※大会によって対局時間などの細則が設定される場合がある。上記は各ルールの代表的な違いを比較したもの。
特に大きいのが「順位点」の違いだ。
Mリーグでは、1着と2着だけでも順位点に40ポイントの差がつく。そのため、単純に持ち点を増やすだけでなく、「トップを取る」「一つでも順位を上げる」といった着順を意識した判断の重要性が高い。
一方、連盟公式ルールでは順位点の差が比較的小さく、30,000点を基準とした素点も成績に大きく影響する。また、一発・裏ドラ・カンドラ・赤牌がないため、偶発的に打点が大きく跳ね上がる要素もMリーグより少ない。
WRCルールは、一発・裏ドラ・カンドラを採用しているが赤牌はなく、順位点もMリーグより小さい。さらに、赤牌を採用した「WRC-Rルール」も存在する。
つまり、同じ牌姿でも「どれだけ点を稼ぐべきか」「トップを狙うのか、現在の順位を守るのか」といった最善の選択は大会ごとのルールによって異なるというわけだ。
参考:
M.LEAGUE「Mリーグとは/競技ルール」
日本プロ麻雀連盟「公式ルールで対局してみましょう!」
日本プロ麻雀連盟「公式・WRC・WRC-Rルール」
日本プロ麻雀連盟「戦術の系譜25 三浦智博」
eスポーツにも通じる、麻雀における“駆け引き”と“運”の考え方
──eスポーツにもカードゲームのように運と実力が絡む競技があります。引いたカード自体は運要素が大きいですが、デッキの構築や試合中のプレーは実力次第で、麻雀と近い部分もあるように感じます。
森山:カードゲームについては詳しくは知りませんが、麻雀でも、「この手がいい、悪い」だけじゃなくて、ダメなところをどうやって良くするか、ちょっとツイていない時に、「ツキをどう育てるか」みたいなことをしているので、似ている部分はあると思います。
たとえば麻雀では、絶対に相手に勝たせてはいけない場面では“降りる”(相手を和了(あが)らせないために安全な牌を捨てること)とか、相手に勢いを与えるとやられちゃうなら、どうやって相手の勢いを落とすか、逆に自分に勢いをつけるにはどうするのかとか、そういう運の流れまで考えています。
──具体的にどうしているんでしょうか?
森山:牌の切り方や切る順番から、相手の手を読みます。それから、いま誰が調子がいいのかを考えながら打つ。
例えば、自分の調子が悪い時に立て直す技術もあります。相手がツイている時に、好きにさせないようにするんです。
麻雀は、自分ひとりでは勝てないんですよ。周りは敵だけど、3人をうまく使わないといけません。ツキがある人がいたら、その人をどう止めるのか、止めるために何をすればいいのかを考えます。
ツイていない人がいたら、その人にはずっとツイていない状態でいてもらうんです。反対にツキがない人を簡単に上がらせると元気になってしまう。そういうところまで含めて「場をどうコントロールするか」を考える。それが麻雀なんです。
ただ自分のことだけ考えて「勝つためなら何でもやる」というタイプが強いこともあります。もちろん僕自身は、潔くないことはしたくないという美学もありますけどね(笑)。
──「場をコントロールする」というのは、いわゆる運に任せる“オカルト麻雀”みたいなものとは違うのでしょうか?
森山:違います。
例えば「サイコロを振って4が出た時はツイている」というのはオカルトです。何にも根拠がないですから。
でも、自分の打ち方を変えることで麻雀が変わってくるというのはオカルトではありません。
今は相手がツイているから戦わない方がいいとか、ここは逆に勝負しなきゃいけないとか。長い目で見た時に、そういうところでツキをある程度コントロールして勝つことはあると思っています。
ツイている人とケンカしたら負けちゃうんですよ、麻雀は。だから基本的には戦わない。ただ、そこで全部降りていたら相手がどんどん上に行っちゃう時には、死を覚悟してでも行かなきゃいけないこともある。それが勝負どころですね。
麻雀はいくらやっても、いくら強くても、ダメな時はダメです。どんなに強い人でも、初めてやった人に負けることもある。だって、配牌でテンパイされていたら勝てないじゃないですか(笑)。そこは麻雀のきついところですよね。
ただ、長い目で見ると、勝つ上で「経験値」はものすごく大きいです。
僕が長い間プロとして生き残れていることにも、理由はあるわけですよ。なかったら生き残れていない。
では、何がよかったのかと言われれば「総合力」だと思うし、いろいろな引き出しを持っているという「経験値」もある。どれだけ麻雀を知っているか、その点では負けないぞ、と。
それでも、ツイている人には勝てません(笑)。
「せめてサイコロを振ってほしい」——Mリーグへの“懸念発言”の真意
──先日、森山会長がSNS上で、Mリーグに対して、対局時間をめぐる「麻雀クロック」の導入や、試合開始前のサイコロ使用などの要望書を出されました。どんな意図があったのでしょうか?
森山氏がMリーグに提出した「要望書」とは?
森山氏は2026年7月22日、日本プロ麻雀連盟公式noteで「『Mリーグ機構』への要望書」を公開している。要望は、(1)Mリーグの日程、(2)麻雀クロックの導入、(3)公式戦前日の選手負担軽減、(4)サイコロの使用という4項目。
麻雀クロックについては、長考やスロープレーによる選手の心身への負担や放送時間への影響を理由に導入を提案。サイコロについては、連盟公式競技やWRCで採用されていることを挙げ、自動配牌でもサイコロによってドラやツモに変化が生まれるとしている。
日本プロ麻雀連盟公式note「『Mリーグ機構』への要望書/文・森山茂和」
森山氏は2026年7月22日、日本プロ麻雀連盟公式noteで「『Mリーグ機構』への要望書」を公開している。要望は、(1)Mリーグの日程、(2)麻雀クロックの導入、(3)公式戦前日の選手負担軽減、(4)サイコロの使用という4項目。
麻雀クロックについては、長考やスロープレーによる選手の心身への負担や放送時間への影響を理由に導入を提案。サイコロについては、連盟公式競技やWRCで採用されていることを挙げ、自動配牌でもサイコロによってドラやツモに変化が生まれるとしている。
日本プロ麻雀連盟公式note「『Mリーグ機構』への要望書/文・森山茂和」
森山:これは僕が以前から言っていることなんですが、Mリーグで自動配牌を使うのは、映像的にはいいんです。すぐ始められるし、見た目も分かりやすいですから。
ただ、あの仕組みだと次に使う山が積まれている上に、ドラもツモも決まっています。そうすると、次に与えられる牌の並びが一通りに決まっているんです。変わる可能性があるのは、親が変わる場合くらいです。
でも、サイコロを振れば、どこから取り始めるかが変わる。つまり、ツモもドラも変わる。いろんな可能性が出てくる。
僕が言いたいのは、「せめてサイコロを振ってよ」ということなんです。
日本プロ麻雀連盟のタイトル戦である「鳳凰戦」でも全自動麻雀卓は使用しているが、サイコロとドラめくりは手動で行うため、4つの山のどこから始まるかは分からない
──森山会長がずっと話されてきた「運が動く」という考えにつながるわけですね。
森山:そう。運はそうやって“動く”んですよ。
以前は4人で山を積んで、サイコロを振って、取るところを決めてきました。自動配牌でも、サイコロを振ればドラもツモも変わる。その方が僕は面白いと思っています。こだわりというより「それが麻雀」ということなんです。
トランプゲームでも、最初から全部決まった順番ではなく、シャッフルしてから配るでしょう? 調子が悪かったら「もう一回シャッフルしてくれ」と言いたくなることもある(笑)。
麻雀も同じように、次に何が生まれるのかまで考える余地がある方がいい。僕は、しっかり打ったら、それが次につながると思っているんです。
麻雀は自分だけが牌をコントロールしていると思ったら大間違いです。逆に、4人が牌にコントロールされているような時もある。
自分がいい時は、牌が勝たせてくれるから素直に打てばいい。そういうことまでいろいろ考えながらやるのが、僕にとっての麻雀なんです。
──もう一つの「考慮時間に制限を設けた方がいい」という要望については、将棋や囲碁のように競技性を高めたいという考えなのでしょうか?
森山:そうではなくて、単純にプロの試合なのに遅すぎるんです。それによっていろいろなところに迷惑をかける。考える必要のないタイミングでずっと考えたりするでしょう? あれは迷惑なんですよ。
──「早く打つこと」を求めているわけではないと?
森山:「早く打て」じゃないんです。「普通に切ろう」というだけで。
普段の麻雀では割と早く打つ人でも、Mリーグでは負けられないというプレッシャーがかかります。慎重になって、損をしたくない、間違えたくないという気持ちがあるから、普段より遅くなるんでしょう。
でも、遅すぎると、まず番組がつまらなくなると僕は思います。
かといって、早すぎてもダメなんですよ。視聴者が一番心地よく見られるくらいのテンポで打つ。そのくらいの余裕がプロには欲しい。
それから、時間がかかると選手も疲れます。
例えば、誰かが明らかにいらない「白」を持ってきて長考していたら、「どうしたんだろう」「テンパイしているのかな」「高い手なのかな」と、他の3人も余分なことを考えるでしょう。そういうことがずっと続けば精神的にも疲れます。
ある程度のスピードで打ってくれれば、そんな余分な負担はかからないんですよ。
──時間制限は、むしろ選手を守る意味もあるということなんですね。
森山:そうです。時間をかけすぎれば試合が夜中になったりして、体調を崩す選手が出るかもしれない。だから「選手を守るためにも入れてくれ」と言っているんです。無駄な時間はやめよう、という意味です。
時間制限を設けたとしても、普通に打っていればほとんどオーバーしないと思いますよ。別に早く打たなきゃいけないわけじゃない。十分余裕のある時間ですから。それで内容が変わるわけでもないし、むしろ良くなるかもしれないと僕は思っています。
2分以上の長考でトップを守った例もあったが、過度な長考に対しては懸念があると森山氏。過去には、試合のペースが遅い卓の4人全員に対する警告が出されたこともあった
これから麻雀を始める人へ「先入観なしにとにかく打ってみてほしい」
──最後に、eスポーツのファンなど、これから初めて麻雀をやってみようという人にその魅力をあらためて教えてください。
森山:麻雀は、とりあえず先入観なしにやってみると楽しいですよ。簡単に言うと、下手でも勝てますから(笑)。
──先ほど話していた、初心者でもプロに勝てる可能性があるという点ですね。
森山:最初はそこが面白いんですよ。まだ初心者なのに勝てることがある。それで、だんだんうまくなってくると、今度は「うまく打てたから勝てた」という形で、面白さが変わってくるんです。
囲碁とか将棋だったら、初心者が強い人とやったら100%負けるでしょう? でも麻雀なら勝てることがある。だから、とにかくやってみてほしいですね。「なぜ勝ったのか」「なぜ負けたのか」を考えるようになると、どんどん違う面白さが見えてきます。
──では逆に、そこから「プロになりたい」と考える若い人には、どんな言葉をかけますか?
森山:麻雀は、自分の実力を自分できちんと評価することが本当に難しいんですよ。弱い人たちとやって、たまたまツイて勝っていると、それで「自分は強い」と思ってしまうこともあります。
だからプロを目指すなら、本当に「よく考えてから」としか言えない。僕は基本的には「やめろ」と言います。「なれ」と言ったことはほとんどないです。
──そこまで厳しく言うのはなぜでしょう?
森山:経験が足りないまま来る人が多いからです。
麻雀を始めて半年とか、ネット麻雀しか経験がなく、実際の牌をほとんどさわったことがない人がプロテストを受けに来たりもするんです。そういう若い人と一緒に麻雀を打った後に、「まだ早いんじゃないですか」「やめた方がいいですよ」と言うこともありました。
だって、プロになったとしても、そこから食べていけないんですよ。なること自体は、僕に言わせればそんなに難しくないんです。難しいのは、その先で生きていくことです。
就職が決まっているのに「プロになりたいからやめようと思っています」と言われて、その人にまだ力がなかったら、「いや、それは大変だよ」と言うしかないじゃないですか。
──夢を持つことを否定しているわけではないんですね。
森山:もちろんです。経験をたくさん積んで、その中で「麻雀プロになろう」というなら別に問題ありません。
ただ、本音を言ってあげないと、その人のためにならないと思うんです。プロになった後は誰も保証してくれない。結局、自分で努力して、実力をつけて、何かを見せていかなきゃいけませんから。

取材協力:日本プロ麻雀連盟本部道場

営業時間:月曜日~金曜日 17:00~23:00 ※祝日でも月曜日~金曜日であれば営業
住所:〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3丁目28-9 桃花源ビル7F 日本プロ麻雀連盟本部道場
アクセス:JR山手線・都営三田線 巣鴨駅より徒歩1分
料金:1ゲーム500円 オープンからラストまで上限2,200円
※女性:400円 学生:300円
麻雀教室料金:10:00〜12:00 1回2200円〜(回数券あり)
健康麻雀料金:10:00〜16:30 1時間600円、2時間1100円〜(長時間割引、回数券あり)
URL:https://www.ma-jan.or.jp/news_doujou.html

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