【「LJL」新人解説者・watanekoインタビュー】社会人から解説者を志した理由、盟友との出会い、「Summer Split」への野望を聞く (2/2)
「Summer Split」の注目ポイント、メタの変化
──「Summer Split」に向けて、注目している選手やチームについてお聞かせください。
wataneko:一番気になっているのは、やはりDFMですね。あれだけ「MSI」で惨敗してしまって、メンタルの部分とか、直後の「LJL」でどう切り替えてくるのかなと。SGも新しいロスターが発表されて、最初からスタートダッシュを決められるような状況でもなさそうですし、SHGのこれからの動向と、DFMの1戦目の状況、メンタルの状況が気になりますね。
個人的には、SHGのDasher選手に注目しています。「Spring Split」の途中でも言っていたんですが、スケールメイジのビクターなどでは、どうしても対面のJett選手やAria選手を上回れないとインタビューで回答されていて。アカリやヨネのように序盤から動けるチャンピオンや、「MSI」を見た感じではジェイスなども使えなきゃいけないと自負されていると思うので、そこがしっかりクリアできて、初戦からピックできるかが気になりますね。
──Dasher選手はもともとすごく強い選手でもあるし、本来なら負ける選手ではないという意味で注目している感じですか?
wataneko:それもありますが、単純に自信を持ってピックできる状況下にあるのか、というところですね。うまいのは間違いないと思うんですけど、結局バンピックのところで、コーチとの話し合いとか、Dasher選手自身が自信を持ってピックできるかどうか。春は自分たちよりも下位のチーム以外にはそういうピックは出せなかったような印象があったんですが、Dasher選手次第でかなりSHGのチームの色が変わってくると思います。
──「Summer Split」での変化で言うと、試合フォーマットも変わりますよね。全チームがBo3の2周だったレギュラーシーズンがBo3の1周だけになり、プレイオフも全チームでのトーナメントになりました。試合形式の変化についてはどうですか?
wataneko:実質的にプレイオフまでの期間が短くなったということは、パッチの変化も少なくなります。そこが追い風になるチームもあれば、そうでないチームもあるかなと思います。
各個人でロールごとの動きがしっかりできているチームは、そのまま自分のロールの変更点だけを調整すればいいのですが、まだ勉強段階であったり、コーチからフィードバックしてもらっている選手だと、この短期間でプレイオフのトーナメント戦を勝ち上がるのはなかなか難しいかなと思いますね。
──要は、どちらかというと新人がいるチームには不利かなと。
wataneko:そうですね、あとはメタに左右されやすい選手ですかね。
──そのメタについては、「MSI」まではトップがタンクメタだったりもしましたが、何か変わりそうでしょうか?
wataneko:トップに関しては間違いなく、アイテムの変更具合からタンクメタからは抜けると思っています。ファイターが出てくるんじゃないですかね。例えば、リヴェンとかが出てくるとかなり面白そうです。
ミッドに関しては、やっぱり「MSI」でノーチラスが出たり、いまLPLでもニーコが出ているので、レーン主導権が取れるようなチャンピオンが出ると、回り回ってスケールメイジの出番になる。だいたいこのローテーションなので、またアジールが出るんじゃないでしょうか(笑)。
ボットは、ユーミとミリオがグローバルバンが終わってビックできるようになります。今まではユーミだけ警戒していればゼリ&ユーミを警戒できたんですが、ミリオもルシアンとのシナジーがあるし、2つバンしなければいけないチームは辛いでしょうね。なので、ボットの主導権が明らかに取れないようなチームは本当に苦しめられると思います。
──「MSI」を見ていても、いま中国が世界最強地域なわけですが、とにかくフィジカルが強いですよね。パッチの変更もその流れに沿っている感じなんでしょうか?
wataneko:個人的には正しい方向性だと思っています。eスポーツのあり方として、フィジカルが正義というのはある意味正しい。
『VALORANT』もそうなんですけど、マクロだったりマインドゲームで逆転できる部分はあるけども、やはり元はスポーツだと思うんです。サッカーで言えば足技がうまい選手がドリブルで何人も抜けるでしょうし、バスケであればひとりでシュートまでこぎつけられる選手がいる方が強いと思うので。そういった意味で、やっぱりフィジカルの強さが基盤にあるのが、eスポーツの新しいあり方かなと思います。
常にコミュニティに寄り添う解説者でありたい
──最後に、watanekoさん自身の「Summer Split」に向けての意気込みや目標をお聞かせください。
wataneko:ひとつだけ目標がありまして、とにかく「Summer Split」では「マッチアップ」について話していこうと思っています。
トップのマッチアップは絶対こっちが有利で、ミッドはこっちが有利なので、そこにジャングラーがこう考えて動けばこっちに行くはず、といった感じで。間違ってもいいので、明確な予想を打ち出す解説ですね。
──今までそれをしてこなかった理由は?
wataneko:要は「解説が言ってること間違ってるじゃん」とコメントで言われるのが怖かったんです。でも、賛否があるのは当たり前のことで、コメントが盛り上がればそれはそれでいいのかなと。
野球選手が高い打率を狙っていくような気持ちで、僕自身が思ったことを伝えて、結果的にどれくらいの打率だったのかを後で振り返ってみたいんです。それを毎年やりながら、精度が上がっていくようにもっと勉強すればいいかなと考えています。今まで恐れていた部分も話していければいいかなと。
そして、そういう話を自分から出していくためにも、今までkatsudionさんにおんぶに抱っこだったので、ちゃんと自分から話し始めるコミュニケーションにも注目してほしいです。
実況解説が始まるとどうしてもkatsudionさんから振っていただく方が多くなります。katsudionさんもいろいろな解説者と組んでいますからね。なので、僕は今回そこをあえて、自分から話し始められるように頑張りたいです。
──この先のキャリアについて、目標はありますか?
wataneko:コミュニティに寄り添う人間でありたいと思っています。ただ、それがストリーマーなどの活動なのか、キャスターとしていろいろな番組に出演していく形なのかは、まだわからないですね。
個人的にいま企画しているものもあるので、いろいろなことにトライしていった結果が自分のなりたいものなんじゃないかなと思っています。
──一貫してプレイヤーとしての視点を忘れず、という感じですね。あまり有名になったり偉くなったりして、一目置かれる存在になるというよりは。
wataneko:そうですね。僕自身、解説者を目指していなかったら、ひとりで配信してお酒を飲みながらあーだこーだつぶやくおじさんになっていたと思いますし(笑)。
──ちなみに、「LJL」の解説者は専業ですか?
wataneko:ほぼ他の仕事はしていないです。というのも、唯一やっているアルバイトが高校生向けに『LoL』について教える高校の講師なので。といってもフリーランスの講師という感じですね。
──まさに『LoL』漬けの日々ですね。夏には全国高校eスポーツ選手権とか「STAGE:0」もありますしね。
wataneko:そうですね。みんな熱心に『LoL』をやってくれているので、僕も一生懸命教えています。真面目で活気のあるいい子たちばっかりです。
──高校生くらいから「LJL」の解説者に『LoL』を教えてもらえるなんてうらやましいですね。ぜひ世界で活躍するプレイヤーが輩出できるように頑張ってください!
wataneko:はい、彼らのように『LoL』に熱中して楽しんでくれる子たちのためにも、これからの活動も頑張ります!
watanekoのTwitter:https://twitter.com/LoLwataneko
watanekoのYouTube:https://www.youtube.com/@LoLwataneko
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