「LJL」キャスター・katsudionが語る『リーグ・オブ・レジェンド』への想い、「シュレリア」への感謝 (3/3)
絵描きとして見た『LoL』の魅力
──katsudionさんのTwitterを見ていると、それこそファンアートから海外の情報まで本当に幅広いですよね。実況のためのチェック以外であれだけの情報って、どうやって集めているんですか?
katsudion:Twitterで海外の人とかをフォローしているってこともあるし、見ていて気になったら調べたりはしますね。
あと、僕自身がイラストを書くこともあって結構絵描きの人をフォローしているんですけど、絵描きの人って愛が深いんですよ、みんな。とにかくカルマが好きとか、とにかくヨードルが好きとか。しかも絵って言語関係なく世界中に広がっていくんですよね。
そういう人たちって、チャンピオンの新しい情報とかが出た時に、僕よりもはるかに早くアップするんですよ。そういう情報をリツイートしたりもしますし、SejuPoroさんとかは情報網が広いので、彼女の情報を使わせてもらったり。あとは、ライアッターをフォローしておけば自ら発信してくれるので。
──それだけ『LoL』が好きとなると、『チームファイト タクティクス』、『レジェンドオブルーンテラ』、さらにスマホの『ワイルドリフト』とたくさんタイトルがリリースされていて大変ですよね。そちらもプレイされているんですか?
katsudion:『TFT』はたまにやります。最近はハイパーロールがあって気軽に遊べるので。『LoR』はカードだけ見ていますね。フレーバーテキストが必ずついてくるんですけど、そこに「へぇー」っていう情報が出たりするんですよ。『ワイリフ』も、モデルだけは見ていますね。
──モデル?
katsudion:3Dモデルがめちゃくちゃいいんですよ。『LoL』って最近はグラフィックのテクスチャーも上がっていてクオリティが高いんですけど、『ワイリフ』はエンジンから違っていて、立ち絵の代わりに3Dモデルがチャンピオン選択画面で出てくるんです。そのクオリティがめちゃくちゃ高くて、ディテールが見やすいんですよね。
絵描きさんならわかっていただけると思うんですけど、『LoL』ってゲーム内のグラフィックとスプラッシュアートが全然違うんですよね。どっちをベースに書けばいいの? って長年悩んでいたんです。『LoL』だとチャンピオンをぐるぐる回して見られないし、ゲーム内の3Dモデルを回しても結構デザインが違うんです。ヨードルとか頭のバランスがおかしかったりもしますから(笑)。
でも、『ワイリフ』はそれをすべて解決するレベルでグラフィックがよくて、かわいいんですよね。スマホということでちょっと露出が少なめになっていたりもするんですけど。
──ゲームをやるよりもグラフィックを見ていると。
katsudion:眺めてますねー。「LJL」でも試合の合間に出す応援ボードでカイ=サを描いたんですけど、『ワイリフ』ベースで描きました。
カイ=サ
— katsudion (@katsudion) January 24, 2021
ぬりえ pic.twitter.com/ozJV0ebH0D
──どこまでも深い『LoL』愛が感じられますが、eスポーツキャスターとしてほかのゲームの実況をしてみたいということはないんですか?
katsudion:あんまりないですね……キャスターとしての範囲を広げたいのであればその方がいいんでしょうけど、僕は『LoL』だからキャスターをやっているので。
実際、ライアットゲームズからいろいろなタイトルがリリースされたので、結構考えたんですけど、やっぱりFPSならFPSでもともとそのジャンルに精通した方がいるし、そういう方がやるのがいいと思いますし。
──他に趣味とかはあるんですか?
katsudion:最近はツーリングが今一番楽しいですね。中の仕事が増えるほど外に行きたくなってきて、去年大型免許を取ってホンダのRebel 1100に乗ってます。
「ゆるキャン」ってアニメが好きで、最初は125ccのモンキーが好きだったんですけど、免許を取っているうちに「遠出したいな」と思い始めて。そうなると排気量が大きくないときついので大型にしました。まだソロキャンプはしていないんですけど。
究極の質問・『LoL』をオススメするいい方法とは?
──これだけ『LoL』というゲームが大好きなkatsudionさんなら、『LoL』の魅力を伝えるのも上手だと思うんですが、『LoL』にふれたことのない方に『LoL』の楽しさをどうやって伝えればいいでしょうか?
katsudion:それが難しいんですよねぇ(笑)。『LoL』にどう誘うかって、おそらく全プレイヤーが悩んでいると思うんです。
やり始めたら楽しいんです。でもひとりで始めると心もとないから5人で始めるのがいいと思うんですけど、5人集めるのがとても大変なんですよね。
──katsudionさん自身は、最初は『LoL』のどこが楽しかったんですか?
katsudion:単純に初めてふれるゲームだったから、ということですかね。上から見下ろす視点のゲームをやったことがなかったので。マウスクリックでキャラクターを動かすということにまず慣れなかったですし。「わー、気持ち悪い」と思いましたし。
結局、友達とやるのが楽しかったのかなぁ。一緒にうまくなってものすごく達成感が得られるゲームだから。
『LoL』を始めるのって、ゲームを始めるんじゃなくて、新しい趣味を始めるのに匹敵すると思うんですよね。時間のかけ方が(笑)。
ただ、始めるとむちゃくちゃいろんなことが広がるんですよ。eスポーツが楽しめるようになる。『LoL』の世界観とかも楽しめる。音楽もあるし、公式・ファンメイドも含めてたくさんのイラストやコミックなどの見て楽しめるものもあるし、小説もあれば映画もある。なんでもあるんですよ。
──私もサイラスのコミックを見て『LoL』への印象がガラッと変わりました。ラックスとガレンが兄妹で、ラックスがサイラスを逃してしまってとか……。
katsudion:『LoL』のストーリーの面白いところは、ゲームとは別のところでストーリーがいまだに進んでいることなんですよね。普通のゲームって「こういうキャラクターです」というストーリーは変わることはないじゃないですか。
でも『LoL』って、何年か経った後のゲーム内イベントで「死んでしまったと思っていた人が生きていた!」とか、変わっていくんです。その新しい物語によって、既存の別のキャラの物語にも動きが巻き起こったりする。それが「精霊の花祭り」だったり、サイラスのコミックスとして公開されたりというのが『LoL』のユニバースストーリーの進め方で。
だから、ずっと楽しめるんですよね。なので、早く(噂になっている)MMO RPGを出してくれ! と思っているんですけどね(笑)。
「Worlds」で再び男泣きを!
──katsudionさんの感情のこもった実況はすごく胸アツなんですが、そんなkatsudionさんが実況をしていて一番うれしかったことってなんですか?
katsudion:なんだろうなぁ……日本チームが世界大会で活躍すること、ですかね。
──また男泣きしたいですよね(笑)。
katsudion:いやー、涙もろいんですよ、僕(笑)。あそこまで「うわーーー、やったーーー!」って思えたことって今まで生きてきた中でなくて。
だって、うれしくて泣くことってあります? だからTwitterのトップにもずっと残してあるんです。あれ見ると今でも泣きます。
プレイインステージのROUND1を抜けて、ROUND2まで進んだのはあの時だけです。もしかしたら次に突破してもあれ以上の感情は湧きあがらないかもしれません。
DFMのタイブレーク観戦の様子です。ただただ、うれしい。 #Worlds2018 pic.twitter.com/9D3I1sQIzd
— katsudion (@katsudion) October 3, 2018
──そんな「Worlds」に出場するチームを決めるSummer Splitも佳境を迎えていますが(編集部注・インタビューは8月上旬に実施)、日本チームが世界で活躍するために何が必要だと思いますか?
katsudion:DFMが世界で通用するということを教えてくれたので、そこに勝てるチームが出てくるのが一番いいんですよね。それが「LJL」のレベルが上がっているということを表すわけですから。
シンプルに言えばリーグのレベルが上がらなければいけない。そこ引っ張っていくのは世界で結果を出しているDFMであることは間違いないんです。だから、ライバルと呼べるチームや選手がたくさん出てくるのが望ましいです。
同時に、これから始まるアカデミーリーグやスカウティンググラウンズを含めて、次世代の新人選手たちが活躍してリーグ全体が活気づくことが大事なのかなと思います。
──たしかに、世界では2部リーグなどもありますが、今の「LJL」にもっと若手が活躍できる場所ができるのはいいことですよね。
katsudion:そうですね。今期の「LJL」では新人選手を抱えるRJやAXIZが素晴らしい成果も挙げましたから、そういった活躍がどんどん増えていけばいいなと思います。
そうやって、国際戦で成果を出しているDFMに張り合えるチームが出てくれば、もっともっと「LJL」も国際大会も面白くなると思います。
そして勝ち上がったチームに対しては、「LJL」全体で応援できたらと思いますね。
『LoL』が僕を救ってくれた
──いまこうして振り返ってきて、岡山での安定した仕事を蹴って、まだ未知数だった『LoL』を仕事にするのは賭けだったと思うんです。『LoL』に対してどんな思いがありますか?
katsudion:なにより、『LoL』というゲームに救われたという思いがすごく強かったんですよね。
高校生の時、FPSをプレイしていてまるで認められず、全力でやっているのに「ゲームばっかやってんじゃねぇ」と言われていました。僕は勉強もしていたんですけど、親から見たらゲームばかりやりすぎと思われていました。
でも、友達と大会で勝ったりするとすごくうれしくて。僕にとってゲームは大事な存在だったんですけど、周囲には受け入れられない時代でした。
そんな中でライアットは「Worlds」という世界大会を作って、eスポーツが職業として成立するという環境を作ってくれた。自分が10代の頃にはまるで考えられなかったですが、ひとつの選択肢として、eスポーツでプロを目指すことが認められる世の中になったら、自分みたいな苦しい思いをしなくていい。
もうひとつは、シュレリアが本当に『LoL』を楽しませてくれたことです。シュレリアへの恩返しみたいなところも僕が勝手に思っているだけですが、今では『LoL』というゲームを盛り上げたいという気持ちの方が強くなっています。
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インタビューの中でkatsudion氏は、ことあるごとに「僕にできることをするしかない」という謙虚な言い方をしていた。
実況に対する評価は、それを見聞きしたファンが判断することだ。目の肥えた『LoL』コミュニティの声は、時に温かく、時に厳しい。そんなファンに対するkatsudion氏からの「僕にできること」は、ひとえにファンが「LJL」と『LoL』をいかに楽しんでくれるか、ということに尽きる。
「LJL 2021」の優勝はDetonatioN FocusMeが勝ち取り、いよいよ次は「Worlds」だ。世界中の猛者たちが集うヨーロッパの地で、選手自身が過去最強の布陣と口をそろえるDFMが活躍し、再び男泣きするkatsudion氏の実況を聞ける日が、今から楽しみだ。
katsudionのTwitter:https://twitter.com/katsudion
katsudionのTwitch:https://www.twitch.tv/katsudion
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