「LJL」キャスター・Revolが教える「Worlds 2022」を120%楽しむためのポイント
- 例年と異なる「Worlds 2022」の特徴
- 日本代表、DetonatioN FocusMeはどんなチーム?
- DFMがプレイインステージを戦うライバルたちは?
- 長期間の試合となる「Worlds」ならではの特徴とは?
- 実況・解説者も試される「Worlds」のメタ考察
- プレイインステージとメインステージの間にある大きな「壁」
- Revol的「Worlds 2022」注目チーム
- ズバリ「Worlds 2022」でDFMはどこまで活躍できる?
- 「Worlds」に向けたキャスターの準備とは?
- 『LoL』を知らない人は、11月6日の決勝戦だけでも見てほしい!
2022年の『リーグ・オブレジェンド』(LoL)の世界大会「Worlds 2022」が、いよいよ日本時間の2022年9月30日(金)からスタートする。北アメリカを舞台、として、メキシコシティを皮切りに、ニューヨーク、アトランタ、そしてサンフランシスコと、11月6日までの1カ月弱を渡り歩きながら開催される。
日本代表は、2022年の日本の最高峰プロリーグ「LJL」のレギュラーシーズンで、春と夏の2回ともに優勝を果たしたDetonatioN FocusMe(デトネーション フォーカスミー。DFM)。2021年には日本代表として最高順位となるグループステージを突破してベスト16まで上り詰め、「LJL」の評価を引き上げた。メンバー2名が入れ替わった今年も盤石の強さを誇っており、昨年に続いて活躍が期待されている。
この「Worlds」という大会名は、eスポーツに興味がある方ならば名前くらいは聞いたことがあるだろう。しかし、難解な知識を必要とする『LoL』というゲームは、コアなファンやプレイヤー以外はどうしても観戦しにくいイメージがある。
そこで今回は、「LJL」のキャスターを務めるRevol氏に、『LoL』初心者からマニアまで幅広い層に向けて「Worlds 2022 観戦のポイント」をレクチャーしていただいた。観戦する前に、あるいは観戦のお供に、見どころをチェックしていただければ幸いだ。
今年の「Worlds」の特徴ですが、まずは4大都市を各ステージごとに移動して戦っていくということで、選手にとって肉体的にもタフな大会だな、というのが第一印象でした。
プレイインステージと呼ばれるBo1(1戦先取)での総当たり戦はメキシコシティ(メキシコ)で行われるのですが、DFMのEvi選手もツイートしていたように、かなり標高が高い地域のため、高山病の危険性もありながらの戦いになります。
このプレイインステージを突破すると、その3日後にはもうニューヨークでのグループステージです。その後勝ち上がるごとにアメリカ各地を転々としながら、最後はサンフランシスコとなります。特に序盤の移動スケジュールのハードさは過去にないものですね。そういう意味で、例年以上に身体的なコンディション調整の難しさはあるかなと思います。
それから、ビザの関係で現地入りが遅れてしまって、フルメンバーがそろうのが日程ギリギリというチームもあります。ビザの問題は毎年起きていて、これはもうチーム単位ではどうしようもできない、政府と政府の関係ですから対応にも限度はありますよね。
高山病に関しても現地に入るまではどうなるかわかりませんし、コロナに関しても徹底的に気を付けていたとしても不意にかかってしまう部分もあります。そういうところで、ゲームの内容とか準備以外のところで左右されてしまう部分があるのが、世界一を決める大会「Worlds」なのです。
そんな中で、日本の皆さんが一番気になるのはもちろん、DetonatioN FocusMeだと思います。
日本のプロリーグ「LJL 2022」では、本当に一強と言えるような内容だったと思います。春・夏を通してレギュラースプリットの時から頭ひとつ抜きん出ていて、実際プレイオフでもレベルが高く、他チームの追随を寄せつけない強さを誇っていました。間違いなく日本最強のチームです。
そのチームが、大活躍した2021年よりも、完成度は高くなっているだろうという点でも楽しみにしています。ここで各選手を簡単にご紹介しましょう。ぜひ名前の読み方や各選手の特徴などを覚えておいてください。
トップレーンのEvi(エビ)選手は日本を代表するトップレーナーです。キャリーしてチームを勝利に導くことができますし、レーン戦でもガツガツ勝ちに行けるタイプの選手ですね。トップレーンから自分たちの勝ちのリズムを作っていくトップレーナーというのは、世界的に見ても珍しいタイプかなと思います。
ジャングラーのSteal(スティール)選手は、韓国人選手なんですが長年日本でプレイしているために、『LoL』の大会ルールにより日本人選手枠というかたちでプレイしています。日本語も達者ですし、コミュニケーション能力が非常に高く、賢いプレーヤーでもあります。
ジャングラーというポジションは、ただただ個人技がうまいだけではなく、ゲームの流れを読む、相手の動きを読む、各レーンの状況を見て動き方を変えるといった視野の広さ、頭の賢さが求められます。それをほぼ完璧にこなしているプレーヤーと言えると思います。特に序盤のゲームを作っていくところで大きな役割を担っていますね。
Yaharong(ヤハロン)選手は経歴としては、LCKでデビューして期待されていたのですが、なかなか結果が出ずに苦しんでいる中でDFMに移籍してきました。
2022年は「MSI」で初めて国際大会に出場できましたが、やっぱりLCKで戦っていたこともあってゲーム理解度が非常に高く、レーン戦の安定感も負けていません。チームに求められる役割をしっかりこなすことのできる選手だと思います。どちらかといえば、自分がダメージを出すことが得意な選手だと思うので、攻撃的なピックが『Worlds』では楽しみなポイントになりますね。
Yutapon(ユタポン)選手はシーズン1からずっと『LoL』をプレイしている選手で、プロキャリアとしては日本の競技シーンでずっと戦っているベテラン選手です。以前はトップレーンも担当していたことがあったり、経歴の長さも含めたゲーム理解度の高さもあります。
その上で、『LoL』には「定石」と呼ばれるようなチャンピオンのビルド(アイテムの買い方)やルールの組み方があるのですが、独特な発想を持っている選手でもあります。LJL最強のADCと言えると思いますし、世界に通用するプレイヤーのうちの1人と言えるのは間違いないです。
サポートのHarp(ハープ)選手は昨年LCKでプロデビューしたばかりの若手です。
元々LCK時代はノーチラスやアリスターといったエンゲージを仕掛けるタイプのチャンピオンが得意でした。今年DFMに移籍してからはルルとかナミとかカルマといった味方を強化したり、敵に対してダメージを与えることが得意なメイジ系、エンチャンター系サポートのパフォーマンスが非常に高いですね。
そして、今大会もそういったピックをする可能性が高い。ボットレーンでYutapon選手を育てるようなピックを彼がしたら、注目していただきたいです。
DFMがプレイインステージで最初に戦うライバルについても見てみましょう。
『LoL』の世界的な勢力図を見ると、強い地域、弱い地域というものがあります。グループAでいうとEU(ヨーロッパ)とNA(北アメリカ)が強い地域で、そこを勝ち上がってきたEU代表のFnatic(フナティック)、NA代表のEvil Geniuses(イビル ジーニアス)が最も警戒すべきチームと言えます。
Fnaticは非常にアグレッシブで、どんどんスノーボールして有利を加速させていくことが得意なチームです。ミッドレーナーのHumanoid選手と、ADCのUpset選手、この2人がEU地域を代表する優れた選手なので、彼らは非常に警戒すべきポイントです。
ただ、Upset選手がコロナにかかってしまって、出場がまだ不透明なんですよね。このままの流れだと、プレイインステージはサブの選手で戦わなければならないかもしれません。Fnaticのボットレーンの強さは間違いなくあったので、プレイインステージはちょっと苦しい状況になっています。
一方、Evil GeniusesもNA代表として優勝したチームなので、強いチームであることは間違いありません。ジャングラーのInspired選手は夏のシーズンでMVPを取るなど大活躍された選手。僕個人としてはそのInspired選手が最も警戒すべきプレーヤーとなっています。
その上でjojopyunとDannyというミッド・ADCがNAの若手のホープ……なんですが、こちらもDanny選手の代わりにサブのKaori選手が参加するというところで、EGとしてはちょっと苦しいポイントとして警戒すべきところです。
この強豪2チームがフルパフォーマンスを発揮しづらい状況に陥ってしまっているというところで、DFMが戦うグループAは非常に混沌としていると思います。
大会全体に目を向けると、『LoL』というゲームはレギュラーシーズン中は2週間ごとにパッチ(アップデート)が適用されています。ただ、「Worlds」だけはひとつのパッチで1カ月以上戦うんですよね。なので、大会が進むにつれて1日ごとに戦略がどんどん洗練されていくというのが、「Worlds」の特徴になっています。
時間がある方は、初めから毎試合通して見ていくと、だんだん使われるチャンピオンが固定化されていき、そのチャンピオンの取り合いになっていくというところも、「Worlds」の面白さのひとつです。
僕個人としては、この1年間を通してADCの役割がかなり重要だったと思っています。春のレギュラーシーズンもその後の国際大会である「MSI」も、夏のレギュラーシーズンも、ずっとADCが試合の中でメインを張っていた部分なので、「Worlds」もその流れになるんじゃないかと楽しみにしています。
パッチの話で言いますと、「LJL」が開催されていた時点(パッチ12.15)では、ボットのピックとしてゼリかシヴィアのどちらを取るのかがかなり重要だったんですが、2体とも弱体化されてしまったことによって、ピックされる可能性がグッと下がりました。なので、 夏にボットレーンの2人が練習していたチャンピオンが「Worlds」では使えなくなっている可能性が高くなっています。ここから「Worlds」のパッチの中で強力な定石のチャンピオンをどう探し出すのかというところが、この1カ月の各チームの練習の成果を見せる重要なポイントになります。
特に、プレイインステージはBo1(1戦先取)なので、トレンドをつかめているかどうかが、例年とても重要になってきます。同じチームとは1回しか戦えないため、チーム力が同じだとしてもトレンドをつかめていなかったら、すぐに負けてしまう可能性が非常に高くなります。
さらに、ジャングラーのピックも、夏はゴールドがなくても活躍できるチャンピオンのピック率が高かったのですが、ゴールドを持って活躍できるジャングラーがバフ(強化)されています。グレイブスであったり、ヘカリムであったり。そこの変化をどうとらえるのかも、非常に重要なポイントになっています。
つまり、プレイインステージというのは、世界各地のいろいろな考えが1戦目でぶつかっていく場となるわけです。そして、そこで結果が出る出ないで修正を重ねていくわけです。
それは実は僕たちキャスター陣もファンと同じように、ある程度予想しながら「Worlds」に臨んで、試合ごとに修正しながら伝えていくという形になると思います。
例えば、多分1戦目だとこのチャンピオンがビックされると思っていたけど、結果が出なかった時に、じゃあ、なぜ出なかったのかを反省しつつ、次の試合での説明を変えていく、みたいなアップデートをしています。
「Worlds」のような国際大会の場というのは、僕にとっても成長の場でもあるので、毎回頭を悩ませながら、なんで外れたんだろう、なんで当たったんだろうという「なぜ」の部分を常に考えながら望んでいます。
特に、自分にはわからない動きをした時って、やっぱり重要なポイントだと思うんです。なぜここにワードを置いたんだろうといったこと1つ1つに理由があるはずなんです。「Worlds」に出るクラスのチームが、何かひとつのプレイを理由もなくするわけがない。その裏の意図がわからなかったら伝えられません。
そういう時には僕も「わかりません」って素直に伝えるようにしているんですけど、観戦している皆さんも一緒に考えて、先に答えを出していただけると、僕としてもありがたいです(笑)。
プロ選手とかが「ここ、こうだったよね」といったことをTwitterで言っているのも見ますし、キャスターやスタッフとしゃべながら「そうだったんだ!」って気づいたりすることもよくあります。
特に2021年を振り返ると、DFMの本人たちも語っていましたが、プレイインステージの時のメタとメインステージでのメタが大きく乖離していて戸惑った部分がありました。急にユーミサポートが出てきたり。そこをつかんでいけるのか、というのは、重要なポイントになっていると思います。
さらに今年に関しては、メインステージのチームはすでに東海岸のニューヨーク入りしているんですが、プレイインステージは西海岸のメキシコシティでの開催なので、これまでの大会以上にプレイインステージとメインステージの間の物理的な距離が開いているというところ、プレイインとメインステージのメタもまた、大きく違ってくるという予想は立ちます。
もちろん、現地に入る前までの各地域ごとの練習で、どこまでかたちを作れるか、その地域内で作った定石を「Worlds」に現地入りした後のスクリム(練習試合)でチェックしていると思うんです。その1カ月間の練習の密度も、やっぱり中国や韓国のチームと比べると弱い地域はどうしても少し劣ってしまいます。
そういった意味では、DFMにとって目の前のグループAで超えなければいけない壁と、その先のメインステージへの対策は同時にはできないところが、『LoL』というゲームの、そして「Worlds」という大会の難しいところでもあります。
なおかつ、今回はプレイインを突破した3日後にはニューヨークで試合が始まります。メキシコシティからニューヨークまで丸1日移動で使うので、実質2日しかなく、さらにその間に必ず主催者からの写真撮影なども入ります。
そう考えると、プレイインからメインステージに勝ち上がっていくのは、本当にタフだということがわかると思います。それはDFMに限らず、プレイインのグループBからの勝ち上がりが期待されている中国のRoyal Never Give Up(RNG)などにとってもかなりタフだと思いますね。
そんな中で、個人的に僕が今大会で見てみたいのは、本当に久々にフルロースターで出場することになるベトナムのGIGABYTE Adonis Marines Esports(GAM Esports)です。「Worlds」に出場するのは実に3年ぶりです。
春リーグの後の国際大会「MSI 2022」で、DFMはベトナム代表のSAIGON BUFFALO ESPORTS(SGB)と対戦しているのですが、実はあの時1位だったGAMは別の大会に出るために「MSI 2022」はキャンセルしていて、SGBは2位のチームだったんです。ですから、ベトナム1位のチームが実際どこまで強いのか、国際大会の中での今の位置付けを見る意味でもかなり楽しみですね。
優勝候補という意味では、2021年王者であるEDward Gaming(EDG)がかなり有力だと思っていますが、LPL(中国)のチームが2年連続で優勝することは過去にはなかったので、LPL初の連覇ができるかどうか。優勝したチームは翌年のパフォーマンスが下がるといったジンクスがあるんですよね。
LCK(韓国リーグ)で言うと、Gen.GとT1はかなりバチバチで戦っていますが、Bo5でのGen.G vs T1が見られたらという思いはあります。本当に1年通してずっと戦っていましたし、春はT1が勝ちましたが夏はGen.Gが勝っていて、年間を通して2チームがやり合っていることはなかなかなかったですから。「Worlds」ではどうなるんだろう? というところを見てみたいですね。やはり注目はChovyy vs Fakerのミッド対決です。
あとは、やっぱり各リージョンを優勝したチームはかなり楽しみです。特にLPLで優勝したJD Gaming(JDG)は、個人の強さと集団戦の強さが抜きん出ているので注目していただきたいです。
ただ、JDGは2年前の「Worlds 2020」でもかなり活躍するだろうと期待されていたんですが、戦うごとに洗練されていくはずが、妙にパワーダウンしてしまって。自分たちのパフォーマンスを高められるのかどうか、個人的にはかなり気になっています。
DFMの「Worlds 2022」の中での評価をする上で、「メジャーリージョン」と呼ばれる地域は韓国、中国、ヨーロッパ、北アメリカにPCS(台湾)を加える方が多いでしょう。それ以外の地域が「マイナーリージョン」という形で、日本やブラジルなどはそちらに含まれています。
このマイナーリージョンの中でも、DFMは上位チームと言っていいと思います。そういう意味では世界的評価が「プール2」と呼ばれる上位の位置付けに含まれたことは、個人的には妥当な評価だと考えています。
ただ、メジャーリージョンである韓国、中国、ヨーロッパの力の伸び方が尋常ではありません。全体的なボトムアップのペースもそうですし、各地域内での競争の激しさが反映されていると思うのですが、彼らにどこまでDFMが食らいついていけるのか。
その意味で、「LJL」で一強だったDFMが「Worlds」の場でその差を埋めたりひっくり返すことは非常に難しいと言えます。それまでの積み重ねがとても重要になってきます。
過去にも、地域内で一強で数年間世界大会に挑戦し続けた、台湾のFlash Wolvesというチームがありました。ただ、国際大会ではいつも期待され、いいところまで行くのですが、結果は残せなかったんです。そして、年々国際大会での存在感が薄れていってしまいました。
国内一強の状況が続くことは、おそらくDFMのファンにとってはうれしいでしょう。ただ、国際大会で日本代表として結果を出すことを目指そうとすると、強力なライバルチームがせめてあと1チームは欲しい。
「LJL」で最後まで争ったSengoku Gamingに対して、DFMのメンバーも「強かった」「負けることも覚悟した」と語っていましたが、結果として見るとチームの完成度に大きな差があるように僕には見えましたし、内容的にもDFMが頭ひとつ抜きん出ていました。この状況が改善されない限りは、国際大会でよりよい結果を出すのは非常に難しいでしょう。選手ひとりで準備できることにも限界がありますからね。
そう考えると、「LJL」が終わってから「Worlds」が始まるまでのこの1カ月間でどこまでレベルを上げられたかが重要だと思います。
幸い、ここ数年のDFMは「LJL」で培ってきたものを発揮した上で、「Worlds」でも自分たちの強さを出して戦えています。そこについてはあまり心配していません。昨年はNAのCroud 9にもしっかり勝っていますし、メジャーリージョンに勝てるポテンシャルを持っていることは間違いないと思います。
最後に、「Worlds」に向けて僕たちキャスター陣がどんな準備を行っているのかもご紹介します。
毎年行っているのは、「Worlds」に出場する各チームのプレイオフでの戦いをまずしっかりとチェックすることです。ライアットゲームズからも各チームに関する簡単な資料はいただけるのですが、それに頼らずに自分の目で1カ月間準備をしてきました。
この「Worlds」の準備はキャスターそれぞれが各自で行っています。特に相談もせずに。そして、実際の「Worlds」の実況のために集まった時に、お互いの考察をすり合わせるようなかたちで配信しているんです。
やっぱりメタが一番の注目ポイントなので、現地入りしている出場選手のソロQ配信などもチェックしていますが、今年はNAでの開催ということで「チャンピオンズキュー」という地域ごとのトッププレーヤーや許可された選手しか参加できないソロQが行われています。それを見て、「このチャンピオンはたくさんピックされているから、本番でも出るんじゃないか」といった感じで分析していますね。
あとは、他のキャスターがやっている試合での解説や実況を聞きながら、そんなふうに考えているのかということを知ったりもします。いわば、キャスター同士の考察の発表会みたいなものなんですよね。
ちなみに今年は、放送時間の関係上(最初の試合は日本時間の5:00頃から)かなり早めにスタジオ入りしなければならないため、前半の4試合と後半の4試合を別のコンビで行うようなかたちで担当することになります。
「Worlds」は『LoL』のその年の最強チームを決める大会でもありますし、歴史的に見ても非常に大きな大会に成長してきました。eスポーツというジャンル全体で見ても、注目すべきチームが生まれる大会でもあると思うので、そういう意味で見逃せないと僕個人としては思っています。
ぜひ『LoL』を知らない方や、「LJL」や「Worlds」などの大会を普段見ない方にも、11月6日に行われる決勝戦だけは見ていただきたいです。
今年はアメリカの若者に大人気のラッパー、リル・ナズ・エックス(Lil Nas X)が大会公式のアンセム曲「STAR WALKIN'」を制作していますし、そのパフォーマンスが決勝大会で行われる可能性も非常に高いので、 音楽ファンにとっても見逃せないポイントになると思います。
『LoL』ファンにとっては今年最強のチームを決める大会として、『LoL』をあまり知らない方にとってはとにかく決勝戦のオープニングセレモニーを、絶対に見逃さずに見ていただければと思います!
大会配信Twitch:https://www.twitch.tv/riotgamesjp
公式サイト:https://jp.lolesports.com/
公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/c/LoLeSportsJP
公式ツイッター:https://twitter.com/Official_LJL
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/lolesports.jp/
日本代表は、2022年の日本の最高峰プロリーグ「LJL」のレギュラーシーズンで、春と夏の2回ともに優勝を果たしたDetonatioN FocusMe(デトネーション フォーカスミー。DFM)。2021年には日本代表として最高順位となるグループステージを突破してベスト16まで上り詰め、「LJL」の評価を引き上げた。メンバー2名が入れ替わった今年も盤石の強さを誇っており、昨年に続いて活躍が期待されている。
この「Worlds」という大会名は、eスポーツに興味がある方ならば名前くらいは聞いたことがあるだろう。しかし、難解な知識を必要とする『LoL』というゲームは、コアなファンやプレイヤー以外はどうしても観戦しにくいイメージがある。
そこで今回は、「LJL」のキャスターを務めるRevol氏に、『LoL』初心者からマニアまで幅広い層に向けて「Worlds 2022 観戦のポイント」をレクチャーしていただいた。観戦する前に、あるいは観戦のお供に、見どころをチェックしていただければ幸いだ。
例年と異なる「Worlds 2022」の特徴
今年の「Worlds」の特徴ですが、まずは4大都市を各ステージごとに移動して戦っていくということで、選手にとって肉体的にもタフな大会だな、というのが第一印象でした。
開催期間と会場
・プレイインステージ
日程:9月30日〜10月5日
会場:Artz PedregalのArena Esports Stadium(メキシコ、メキシコシティ)
・グループステージ
日程:10月8日〜11日&10月14日~16日
会場:マディソン・スクエア・ガーデンのHuluシアター(ニューヨーク市)
・準々決勝
日程:10月21日〜24日
会場:マディソン・スクエア・ガーデンのHuluシアター(ニューヨーク市)
・準決勝
日程:10月30日~31日
会場:ステート・ファーム・アリーナ(ジョージア州アトランタ)
・決勝
日程:11月6日
会場:チェイス・センター(カリフォルニア州サンフランシスコ)
・プレイインステージ
日程:9月30日〜10月5日
会場:Artz PedregalのArena Esports Stadium(メキシコ、メキシコシティ)
・グループステージ
日程:10月8日〜11日&10月14日~16日
会場:マディソン・スクエア・ガーデンのHuluシアター(ニューヨーク市)
・準々決勝
日程:10月21日〜24日
会場:マディソン・スクエア・ガーデンのHuluシアター(ニューヨーク市)
・準決勝
日程:10月30日~31日
会場:ステート・ファーム・アリーナ(ジョージア州アトランタ)
・決勝
日程:11月6日
会場:チェイス・センター(カリフォルニア州サンフランシスコ)
プレイインステージと呼ばれるBo1(1戦先取)での総当たり戦はメキシコシティ(メキシコ)で行われるのですが、DFMのEvi選手もツイートしていたように、かなり標高が高い地域のため、高山病の危険性もありながらの戦いになります。
メキシコシティ 標高2240メートルのとこにあるから渡航者は大体軽度の高山病になるらしい
— えびンモ/DFM Evi (@ebihuryahurya) September 26, 2022
体調悪いなーと思ってたら完全に症状当てはまってて納得した
このプレイインステージを突破すると、その3日後にはもうニューヨークでのグループステージです。その後勝ち上がるごとにアメリカ各地を転々としながら、最後はサンフランシスコとなります。特に序盤の移動スケジュールのハードさは過去にないものですね。そういう意味で、例年以上に身体的なコンディション調整の難しさはあるかなと思います。
それから、ビザの関係で現地入りが遅れてしまって、フルメンバーがそろうのが日程ギリギリというチームもあります。ビザの問題は毎年起きていて、これはもうチーム単位ではどうしようもできない、政府と政府の関係ですから対応にも限度はありますよね。
高山病に関しても現地に入るまではどうなるかわかりませんし、コロナに関しても徹底的に気を付けていたとしても不意にかかってしまう部分もあります。そういうところで、ゲームの内容とか準備以外のところで左右されてしまう部分があるのが、世界一を決める大会「Worlds」なのです。
日本代表、DetonatioN FocusMeはどんなチーム?
そんな中で、日本の皆さんが一番気になるのはもちろん、DetonatioN FocusMeだと思います。
日本のプロリーグ「LJL 2022」では、本当に一強と言えるような内容だったと思います。春・夏を通してレギュラースプリットの時から頭ひとつ抜きん出ていて、実際プレイオフでもレベルが高く、他チームの追随を寄せつけない強さを誇っていました。間違いなく日本最強のチームです。
そのチームが、大活躍した2021年よりも、完成度は高くなっているだろうという点でも楽しみにしています。ここで各選手を簡単にご紹介しましょう。ぜひ名前の読み方や各選手の特徴などを覚えておいてください。
Evi選手(トップ)
トップレーンのEvi(エビ)選手は日本を代表するトップレーナーです。キャリーしてチームを勝利に導くことができますし、レーン戦でもガツガツ勝ちに行けるタイプの選手ですね。トップレーンから自分たちの勝ちのリズムを作っていくトップレーナーというのは、世界的に見ても珍しいタイプかなと思います。
Steal選手(ジャングル)
ジャングラーのSteal(スティール)選手は、韓国人選手なんですが長年日本でプレイしているために、『LoL』の大会ルールにより日本人選手枠というかたちでプレイしています。日本語も達者ですし、コミュニケーション能力が非常に高く、賢いプレーヤーでもあります。
ジャングラーというポジションは、ただただ個人技がうまいだけではなく、ゲームの流れを読む、相手の動きを読む、各レーンの状況を見て動き方を変えるといった視野の広さ、頭の賢さが求められます。それをほぼ完璧にこなしているプレーヤーと言えると思います。特に序盤のゲームを作っていくところで大きな役割を担っていますね。
Yaharong選手(ミッド)
Yaharong(ヤハロン)選手は経歴としては、LCKでデビューして期待されていたのですが、なかなか結果が出ずに苦しんでいる中でDFMに移籍してきました。
2022年は「MSI」で初めて国際大会に出場できましたが、やっぱりLCKで戦っていたこともあってゲーム理解度が非常に高く、レーン戦の安定感も負けていません。チームに求められる役割をしっかりこなすことのできる選手だと思います。どちらかといえば、自分がダメージを出すことが得意な選手だと思うので、攻撃的なピックが『Worlds』では楽しみなポイントになりますね。
Yutapon選手(ADC)
Yutapon(ユタポン)選手はシーズン1からずっと『LoL』をプレイしている選手で、プロキャリアとしては日本の競技シーンでずっと戦っているベテラン選手です。以前はトップレーンも担当していたことがあったり、経歴の長さも含めたゲーム理解度の高さもあります。
その上で、『LoL』には「定石」と呼ばれるようなチャンピオンのビルド(アイテムの買い方)やルールの組み方があるのですが、独特な発想を持っている選手でもあります。LJL最強のADCと言えると思いますし、世界に通用するプレイヤーのうちの1人と言えるのは間違いないです。
Harp選手(サポート)
サポートのHarp(ハープ)選手は昨年LCKでプロデビューしたばかりの若手です。
元々LCK時代はノーチラスやアリスターといったエンゲージを仕掛けるタイプのチャンピオンが得意でした。今年DFMに移籍してからはルルとかナミとかカルマといった味方を強化したり、敵に対してダメージを与えることが得意なメイジ系、エンチャンター系サポートのパフォーマンスが非常に高いですね。
そして、今大会もそういったピックをする可能性が高い。ボットレーンでYutapon選手を育てるようなピックを彼がしたら、注目していただきたいです。
DFMがプレイインステージを戦うライバルたちは?
DFMがプレイインステージで最初に戦うライバルについても見てみましょう。
グループA
- Fnatic(FNC)/ヨーロッパ
- Mega Bank Beyond Gaming(BYG)/台湾
- DetonatioN FocusMe(DFM)/日本
- Evil Geniuses(EG)/北アメリカ
- LOUD(LLL)/ブラジル
- Chiefs Esports Club(CHF)/オセアニア
『LoL』の世界的な勢力図を見ると、強い地域、弱い地域というものがあります。グループAでいうとEU(ヨーロッパ)とNA(北アメリカ)が強い地域で、そこを勝ち上がってきたEU代表のFnatic(フナティック)、NA代表のEvil Geniuses(イビル ジーニアス)が最も警戒すべきチームと言えます。
Fnaticは非常にアグレッシブで、どんどんスノーボールして有利を加速させていくことが得意なチームです。ミッドレーナーのHumanoid選手と、ADCのUpset選手、この2人がEU地域を代表する優れた選手なので、彼らは非常に警戒すべきポイントです。
ただ、Upset選手がコロナにかかってしまって、出場がまだ不透明なんですよね。このままの流れだと、プレイインステージはサブの選手で戦わなければならないかもしれません。Fnaticのボットレーンの強さは間違いなくあったので、プレイインステージはちょっと苦しい状況になっています。
一方、Evil GeniusesもNA代表として優勝したチームなので、強いチームであることは間違いありません。ジャングラーのInspired選手は夏のシーズンでMVPを取るなど大活躍された選手。僕個人としてはそのInspired選手が最も警戒すべきプレーヤーとなっています。
その上でjojopyunとDannyというミッド・ADCがNAの若手のホープ……なんですが、こちらもDanny選手の代わりにサブのKaori選手が参加するというところで、EGとしてはちょっと苦しいポイントとして警戒すべきところです。
この強豪2チームがフルパフォーマンスを発揮しづらい状況に陥ってしまっているというところで、DFMが戦うグループAは非常に混沌としていると思います。
長期間の試合となる「Worlds」ならではの特徴とは?
大会全体に目を向けると、『LoL』というゲームはレギュラーシーズン中は2週間ごとにパッチ(アップデート)が適用されています。ただ、「Worlds」だけはひとつのパッチで1カ月以上戦うんですよね。なので、大会が進むにつれて1日ごとに戦略がどんどん洗練されていくというのが、「Worlds」の特徴になっています。
時間がある方は、初めから毎試合通して見ていくと、だんだん使われるチャンピオンが固定化されていき、そのチャンピオンの取り合いになっていくというところも、「Worlds」の面白さのひとつです。
僕個人としては、この1年間を通してADCの役割がかなり重要だったと思っています。春のレギュラーシーズンもその後の国際大会である「MSI」も、夏のレギュラーシーズンも、ずっとADCが試合の中でメインを張っていた部分なので、「Worlds」もその流れになるんじゃないかと楽しみにしています。
パッチの話で言いますと、「LJL」が開催されていた時点(パッチ12.15)では、ボットのピックとしてゼリかシヴィアのどちらを取るのかがかなり重要だったんですが、2体とも弱体化されてしまったことによって、ピックされる可能性がグッと下がりました。なので、 夏にボットレーンの2人が練習していたチャンピオンが「Worlds」では使えなくなっている可能性が高くなっています。ここから「Worlds」のパッチの中で強力な定石のチャンピオンをどう探し出すのかというところが、この1カ月の各チームの練習の成果を見せる重要なポイントになります。
特に、プレイインステージはBo1(1戦先取)なので、トレンドをつかめているかどうかが、例年とても重要になってきます。同じチームとは1回しか戦えないため、チーム力が同じだとしてもトレンドをつかめていなかったら、すぐに負けてしまう可能性が非常に高くなります。
さらに、ジャングラーのピックも、夏はゴールドがなくても活躍できるチャンピオンのピック率が高かったのですが、ゴールドを持って活躍できるジャングラーがバフ(強化)されています。グレイブスであったり、ヘカリムであったり。そこの変化をどうとらえるのかも、非常に重要なポイントになっています。
つまり、プレイインステージというのは、世界各地のいろいろな考えが1戦目でぶつかっていく場となるわけです。そして、そこで結果が出る出ないで修正を重ねていくわけです。
実況・解説者も試される「Worlds」のメタ考察
それは実は僕たちキャスター陣もファンと同じように、ある程度予想しながら「Worlds」に臨んで、試合ごとに修正しながら伝えていくという形になると思います。
例えば、多分1戦目だとこのチャンピオンがビックされると思っていたけど、結果が出なかった時に、じゃあ、なぜ出なかったのかを反省しつつ、次の試合での説明を変えていく、みたいなアップデートをしています。
「Worlds」のような国際大会の場というのは、僕にとっても成長の場でもあるので、毎回頭を悩ませながら、なんで外れたんだろう、なんで当たったんだろうという「なぜ」の部分を常に考えながら望んでいます。
特に、自分にはわからない動きをした時って、やっぱり重要なポイントだと思うんです。なぜここにワードを置いたんだろうといったこと1つ1つに理由があるはずなんです。「Worlds」に出るクラスのチームが、何かひとつのプレイを理由もなくするわけがない。その裏の意図がわからなかったら伝えられません。
そういう時には僕も「わかりません」って素直に伝えるようにしているんですけど、観戦している皆さんも一緒に考えて、先に答えを出していただけると、僕としてもありがたいです(笑)。
プロ選手とかが「ここ、こうだったよね」といったことをTwitterで言っているのも見ますし、キャスターやスタッフとしゃべながら「そうだったんだ!」って気づいたりすることもよくあります。
特に2021年を振り返ると、DFMの本人たちも語っていましたが、プレイインステージの時のメタとメインステージでのメタが大きく乖離していて戸惑った部分がありました。急にユーミサポートが出てきたり。そこをつかんでいけるのか、というのは、重要なポイントになっていると思います。
プレイインステージとメインステージの間にある大きな「壁」
さらに今年に関しては、メインステージのチームはすでに東海岸のニューヨーク入りしているんですが、プレイインステージは西海岸のメキシコシティでの開催なので、これまでの大会以上にプレイインステージとメインステージの間の物理的な距離が開いているというところ、プレイインとメインステージのメタもまた、大きく違ってくるという予想は立ちます。
もちろん、現地に入る前までの各地域ごとの練習で、どこまでかたちを作れるか、その地域内で作った定石を「Worlds」に現地入りした後のスクリム(練習試合)でチェックしていると思うんです。その1カ月間の練習の密度も、やっぱり中国や韓国のチームと比べると弱い地域はどうしても少し劣ってしまいます。
そういった意味では、DFMにとって目の前のグループAで超えなければいけない壁と、その先のメインステージへの対策は同時にはできないところが、『LoL』というゲームの、そして「Worlds」という大会の難しいところでもあります。
なおかつ、今回はプレイインを突破した3日後にはニューヨークで試合が始まります。メキシコシティからニューヨークまで丸1日移動で使うので、実質2日しかなく、さらにその間に必ず主催者からの写真撮影なども入ります。
そう考えると、プレイインからメインステージに勝ち上がっていくのは、本当にタフだということがわかると思います。それはDFMに限らず、プレイインのグループBからの勝ち上がりが期待されている中国のRoyal Never Give Up(RNG)などにとってもかなりタフだと思いますね。
Revol的「Worlds 2022」注目チーム
そんな中で、個人的に僕が今大会で見てみたいのは、本当に久々にフルロースターで出場することになるベトナムのGIGABYTE Adonis Marines Esports(GAM Esports)です。「Worlds」に出場するのは実に3年ぶりです。
春リーグの後の国際大会「MSI 2022」で、DFMはベトナム代表のSAIGON BUFFALO ESPORTS(SGB)と対戦しているのですが、実はあの時1位だったGAMは別の大会に出るために「MSI 2022」はキャンセルしていて、SGBは2位のチームだったんです。ですから、ベトナム1位のチームが実際どこまで強いのか、国際大会の中での今の位置付けを見る意味でもかなり楽しみですね。
優勝候補という意味では、2021年王者であるEDward Gaming(EDG)がかなり有力だと思っていますが、LPL(中国)のチームが2年連続で優勝することは過去にはなかったので、LPL初の連覇ができるかどうか。優勝したチームは翌年のパフォーマンスが下がるといったジンクスがあるんですよね。
LCK(韓国リーグ)で言うと、Gen.GとT1はかなりバチバチで戦っていますが、Bo5でのGen.G vs T1が見られたらという思いはあります。本当に1年通してずっと戦っていましたし、春はT1が勝ちましたが夏はGen.Gが勝っていて、年間を通して2チームがやり合っていることはなかなかなかったですから。「Worlds」ではどうなるんだろう? というところを見てみたいですね。やはり注目はChovyy vs Fakerのミッド対決です。
あとは、やっぱり各リージョンを優勝したチームはかなり楽しみです。特にLPLで優勝したJD Gaming(JDG)は、個人の強さと集団戦の強さが抜きん出ているので注目していただきたいです。
ただ、JDGは2年前の「Worlds 2020」でもかなり活躍するだろうと期待されていたんですが、戦うごとに洗練されていくはずが、妙にパワーダウンしてしまって。自分たちのパフォーマンスを高められるのかどうか、個人的にはかなり気になっています。
ズバリ「Worlds 2022」でDFMはどこまで活躍できる?
DFMの「Worlds 2022」の中での評価をする上で、「メジャーリージョン」と呼ばれる地域は韓国、中国、ヨーロッパ、北アメリカにPCS(台湾)を加える方が多いでしょう。それ以外の地域が「マイナーリージョン」という形で、日本やブラジルなどはそちらに含まれています。
このマイナーリージョンの中でも、DFMは上位チームと言っていいと思います。そういう意味では世界的評価が「プール2」と呼ばれる上位の位置付けに含まれたことは、個人的には妥当な評価だと考えています。
ただ、メジャーリージョンである韓国、中国、ヨーロッパの力の伸び方が尋常ではありません。全体的なボトムアップのペースもそうですし、各地域内での競争の激しさが反映されていると思うのですが、彼らにどこまでDFMが食らいついていけるのか。
その意味で、「LJL」で一強だったDFMが「Worlds」の場でその差を埋めたりひっくり返すことは非常に難しいと言えます。それまでの積み重ねがとても重要になってきます。
過去にも、地域内で一強で数年間世界大会に挑戦し続けた、台湾のFlash Wolvesというチームがありました。ただ、国際大会ではいつも期待され、いいところまで行くのですが、結果は残せなかったんです。そして、年々国際大会での存在感が薄れていってしまいました。
国内一強の状況が続くことは、おそらくDFMのファンにとってはうれしいでしょう。ただ、国際大会で日本代表として結果を出すことを目指そうとすると、強力なライバルチームがせめてあと1チームは欲しい。
「LJL」で最後まで争ったSengoku Gamingに対して、DFMのメンバーも「強かった」「負けることも覚悟した」と語っていましたが、結果として見るとチームの完成度に大きな差があるように僕には見えましたし、内容的にもDFMが頭ひとつ抜きん出ていました。この状況が改善されない限りは、国際大会でよりよい結果を出すのは非常に難しいでしょう。選手ひとりで準備できることにも限界がありますからね。
そう考えると、「LJL」が終わってから「Worlds」が始まるまでのこの1カ月間でどこまでレベルを上げられたかが重要だと思います。
幸い、ここ数年のDFMは「LJL」で培ってきたものを発揮した上で、「Worlds」でも自分たちの強さを出して戦えています。そこについてはあまり心配していません。昨年はNAのCroud 9にもしっかり勝っていますし、メジャーリージョンに勝てるポテンシャルを持っていることは間違いないと思います。
「Worlds」に向けたキャスターの準備とは?
最後に、「Worlds」に向けて僕たちキャスター陣がどんな準備を行っているのかもご紹介します。
毎年行っているのは、「Worlds」に出場する各チームのプレイオフでの戦いをまずしっかりとチェックすることです。ライアットゲームズからも各チームに関する簡単な資料はいただけるのですが、それに頼らずに自分の目で1カ月間準備をしてきました。
この「Worlds」の準備はキャスターそれぞれが各自で行っています。特に相談もせずに。そして、実際の「Worlds」の実況のために集まった時に、お互いの考察をすり合わせるようなかたちで配信しているんです。
やっぱりメタが一番の注目ポイントなので、現地入りしている出場選手のソロQ配信などもチェックしていますが、今年はNAでの開催ということで「チャンピオンズキュー」という地域ごとのトッププレーヤーや許可された選手しか参加できないソロQが行われています。それを見て、「このチャンピオンはたくさんピックされているから、本番でも出るんじゃないか」といった感じで分析していますね。
あとは、他のキャスターがやっている試合での解説や実況を聞きながら、そんなふうに考えているのかということを知ったりもします。いわば、キャスター同士の考察の発表会みたいなものなんですよね。
ちなみに今年は、放送時間の関係上(最初の試合は日本時間の5:00頃から)かなり早めにスタジオ入りしなければならないため、前半の4試合と後半の4試合を別のコンビで行うようなかたちで担当することになります。
『LoL』を知らない人は、11月6日の決勝戦だけでも見てほしい!
「Worlds」は『LoL』のその年の最強チームを決める大会でもありますし、歴史的に見ても非常に大きな大会に成長してきました。eスポーツというジャンル全体で見ても、注目すべきチームが生まれる大会でもあると思うので、そういう意味で見逃せないと僕個人としては思っています。
ぜひ『LoL』を知らない方や、「LJL」や「Worlds」などの大会を普段見ない方にも、11月6日に行われる決勝戦だけは見ていただきたいです。
今年はアメリカの若者に大人気のラッパー、リル・ナズ・エックス(Lil Nas X)が大会公式のアンセム曲「STAR WALKIN'」を制作していますし、そのパフォーマンスが決勝大会で行われる可能性も非常に高いので、 音楽ファンにとっても見逃せないポイントになると思います。
『LoL』ファンにとっては今年最強のチームを決める大会として、『LoL』をあまり知らない方にとってはとにかく決勝戦のオープニングセレモニーを、絶対に見逃さずに見ていただければと思います!
大会配信Twitch:https://www.twitch.tv/riotgamesjp
公式サイト:https://jp.lolesports.com/
公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/c/LoLeSportsJP
公式ツイッター:https://twitter.com/Official_LJL
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/lolesports.jp/
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