【DFM Guwon選手 「LCP」現地インタビュー】 「俺がキャリーできる!」の言葉どおりDFM勝利の立役者に

2025.4.21 スイニャン
2025年4月19日(土)に開幕した『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)のアジア太平洋大会「LCP 2025 Mid Season」。翌20日(日)には日本のDetonatioN FocusMe(DFM)がオセアニアのChiefs Esports Club(CHF)と対戦した。

「LCP」は今シーズンから「LCP Arena」という常設の競技場をオープン。無観客だった昨シーズンまでと違い、満員の観客の前で試合が行われた。

DFMはゲーム1からアグレッシブなプレーで果敢に攻めたものの、徐々に差を広げられて倒されてしまう。しかしゲーム2ではその果敢なプレーが構成と相まって、1本取り返すことに成功。1-1で迎えたゲーム3では、リリアをピックしたGuwon選手が序盤に2キルを獲得。そのまま勢いに乗ったDFMが1万ゴールドの差をつけて勝ちをもぎ取り、最終的に2-1で見事DFMが初戦を制した。


現地取材中の筆者は試合終了後、DFMのGuwon選手にお話を聞くことができた。日本のメディアにはまだ登場機会が少ない彼の声をさっそくお伝えしよう。


1戦目だけ有観客に慣れなくてすごく緊張してしまった



──まずは「Mid Season」での初勝利、おめでとうございます! 今日の試合を振り返っていかがでしたか。

Guwon:準備の時から思いのほかうまくいっていたので、試合でもうまくやれそうな気はしていました。ところが、前のシーズンでは観客がいなかったから試合というよりもスクリムに近い感覚だったんですけど、今日は歓声も聞こえたし試合会場ならではの雰囲気が感じられてすごく緊張してしまったんです。そのせいで1戦目はあまりうまくいきませんでした。

──おっしゃる通り今シーズンから有観客になりましたが、Guwon選手は無観客のほうがやりやすいですか。

Guwon:いえ、1戦目だけお客さんの前で戦うことに慣れなくてすごく緊張してしまったんですけど、それ以降は大丈夫だったので、お客さんの前でプレーする方がはるかにいいです。今後も続けていけば、どんどん慣れていくと思います。

──今日は2-1での勝利となりましたが、ゲーム1を落としたにもかかわらず最終的に勝利に持って行けた理由は何だと思いますか。

Guwon:1戦目はよくないプレーで負けてしまってチームの雰囲気まで落ち込みそうになりましたが、コーチ陣をはじめ、チームみんなで「俺たちは勝てる! 勝とう!」という感じで、うまくメンタルを立て直すことができたので勝てたと思います。

──Guwon選手のプレーはとてもアグレッシブだったと思います。特に最後のリリアでは11/0/3の大活躍でしたが、自分がキャリーしようと意識していたんでしょうか。

Guwon:ボットでダブルキルをした時は「俺がキャリーできる!」って日本語で言ったと思います(笑)。

──すごい! もしかして、もう日本語も結構話せるんですか?

Guwon:完璧ではないですが、インゲームのコールはある程度できるようになりました。

▲ゲーム3の最序盤、husha選手のガンクでkakkun選手が倒されるも、Harp選手がViolet選手にCC+タワーダメージを浴びせたところにGuwon選手が合流。ポータルワープで逃げたLuon選手も捕まえて、ADC、サポートと2キルを獲得した


昨シーズンSHG戦での敗北が心残り。次は絶対に勝ちたい



──CHFは今シーズンからメンバー変更がありましたが、実際に戦ってみていかがでしたか。

Guwon:僕はジャングラーなので、ほかのレーンよりもやっぱりジャングラーが変わった点にかなり注目して見ていました。スクリムでもやっぱりHusha(フーシャ)選手がかなり強いなと思って僕も負けないように準備してきたので、今日はちゃんと実力を発揮できてうれしいです。

──「LCK」のHanwha Life EsportsやT1アカデミーを経験してきたGuwon選手から見て、「LCP」はどんなリーグだと思いますか。

Guwon:「LCK」は“ターンを合わせる”リーグだと思うんです。だからファイトが起こらないことも多いんですけど、「LCP」は隙あらばファイトが起こります。いろいろなリージョンが一緒になったリーグなので、「LCP」特有のカラーがあるような気がしますね。言葉で説明するのはちょっと難しいんですけど、「ごちゃ混ぜ」みたいな感じですかね。

あと、「LCP」のジャングラーたちは、キャリー力が高いという特徴があると思います。そのおかげでジャングルをやるのが楽しいんですよね。僕のプレースタイルとも合っていると思うので。

──「LCP」で1シーズン戦ってみて、印象に残ったチームがあれば教えてください。

Guwon:特定のチームと言うより、印象的だったのは大会の結果がスクリムの結果通りになったことですね。スクリムでやられた相手には試合でも敵わなかったし、スクリムでいい感じにやれた相手には試合でも勝てました。

だけど僕としては、「Kickoff」最後の試合でFukuoka SoftBank HAWKS gaming(SHG)に負けたのが心に残っていて。プレーオフ進出もかかっていたし、「LJL」同士の対戦ということもあるので、次の対決では絶対に勝ちたいです。


チームメイトに頼りにされる選手になりたい



──今日の試合を見ていてもチームの状態は良さそうに見えましたが、実際のところチームの現状はいかがですか。

Guwon:うちのチームって韓国人が3名で日本人が2名じゃないですか。だけど僕の考えとしては、韓国人選手の比重をどんどん大きくしていくんじゃなくて、日本人選手の意見をちゃんと取り入れたいなって。

RayFarky選手もKakkun選手も自分のコールを強く言ってくるタイプなんですよ。そういった意味で、現状はいい方向に変わってきていると思います。

しかも、誰かが「これをやろう」って言うんじゃなくて、お互いに「これいける?」みたいなコミュニケーションを取り合っているので、今後さらにどんどん強くなっていけるんじゃないかなと思います。

──いいですね。では、DFMの長所や今後伸ばしていきたい点と、逆に短所や直していきたい点について聞かせていただけますか。

Guwon:序盤がうまくいったときは、Aria選手やHarp選手がすごく好戦的な選手なのでゲームを引っ張っていってくれるのが長所だと思いますが、逆に不利な状況の時は焦ってしまう傾向にあると思うんです。「ファームして後半になれば勝てる」という感じではなく、「これ以上不利になる前に早くどうにかしないとマズい」みたいな雰囲気になりやすいんですよね。でもそういった点は試合をしながら直していけると思うので、気をつけるようにはしています。

──Guwon選手個人としての課題や目標はありますか。

Guwon:日本のチームでプレーし始めて1年目ではありますが、日本語のレベルがまだ完全ではないので、インゲームで言いたいことを細かく伝えられないことが多々あります。そのたびにもどかしい気持ちでいるので、できる限り日本語を頑張って勉強して、細かいこともひとつひとつ伝えられるようになることと、チームメイトたちとしっかりコミュニケーションを取りたいです。

もうひとつ、個人的な夢なんですけど、インゲームでチームが良くない状況になったとしても「この選手を信じて後半にいけば勝てる」みたいに、チームメイトに頼りにされるような選手になりたいです。

──では、今シーズンの意気込みを聞かせてください。

Guwon:昨シーズンはプレーオフに行けなくて、自分としても恥ずかしいと感じています。今シーズンは頑張って準備して、少なくともプレーオフには進出したいですね。そして、できることなら「MSI」まで狙えるように頑張りたいです。

──最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

Guwon:せっかく日本のチームに所属しているのに、「LCP」というリーグに属しているがために、台湾で活動している感覚が強いんですよね。実際に、今まで日本のDFMファンの皆さんにお会いしたこともないですし。だから毎回試合が終わった後に日本の皆さんに「応援ありがとう」と伝えたい気持ちはあるんですけど、それができなくて申し訳ないです。

こういうことを言っても信じてもらえないかもしれませんが、皆さんの応援は海を越えて伝わってきています。それが力になっているので、ここであらためて感謝の気持ちを伝えたいです。

もしできるなら、日本のファンの皆さんにもぜひ会場に来てもらいたいですね。ファンの皆さんと直接お会いしてみたいです。

※ ※ ※

実は筆者もGuwon選手に直接お会いするのは初めてだったのだが、非常にハキハキと明るくて前向きな印象を受けたと同時に、とても一生懸命で応援したくなるような人柄も感じた。そういった彼の良さがまだほとんど伝わっていない気がするので、誌面を通じて少しでもそういった点を感じてもらえたら幸いである。

ちなみに、「LCP Mid Season」の観戦チケットは日本からも購入可能。ぜひGuwon選手や日本チームを現地で応援してみてはいかがだろうか。

DFMの次戦は4月27日(日)18:30より、Team Secret Whalesとの対戦が予定されている。

DetonatioN FocusMe:https://team-detonation.net/


【スイニャン プロフィール】


韓国在住時にeスポーツと出会い、StarCraft: Brood Warプロゲーマーの追っかけとなる。帰国後、2009年ごろからさまざまなWEBメディアで取材・執筆活動を開始。また、語学力を生かして韓国人選手のインタビュー通訳や翻訳などの活動も行っている。自らはゲームをほとんどプレーせず、おもにプロゲーマーの試合を楽しむ観戦勢。 Twitter:@shuiniao
eSports World の
Discord をフォローしよう
SALE 大会 チーム 他にも...? 他にも

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

コラム VIEW ALL