ストリーマーとしての成功の秘訣は「運」と「継続」【SHAKAインタビュー】

2023.1.11 宮下英之
ライアットゲームズによる今年最後の集大成ともいえる一大イベント「Riot Games ONE」のオフラインイベントが2022年12月23日(金)〜24日(土)、横浜アリーナにて開催された。

今回のイベントは『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)と『VALORANT』の2タイトルを採用して行われたが、その両方に参戦していたのがストリーマーのSHAKAさんだ。

SHAKAさんは『AVA』との出会いからプロゲーマーとなり、DeToNator時代には『オーバーウォッチ』でも活躍。プロ活動と並行して行っていたストリーマーとしての活動に加えて、『PUBG: BATTLEGROUNDS』の日本リーグ「PJS」で解説を務めてきた。SHAKAさんの応援配信がeスポーツの公式配信の同時視聴者数を超えるなど、まさにゲーム配信において名実ともに日本の第一人者と言える。

そんなSHAKAさんに、「Riot Games ONE」のこと、『LoL』や『VALORANT』のこと、そして配信者としての2022年の活動などを振り返っていただいた。

▲「The k4sen」のライバルとして登場した「The Team SHAKA」


実は『LoL』だけで年間600時間! 


──「Riot Games ONE」お疲れさまでした! イベントを終えた率直な感想をお聞かせください。

SHAKA:今年僕がハマった2つのタイトル(VALORANTとLoL)という、この年末に一番遊んだゲーム2つをやれて楽しかったです。競技シーンに出ていた時もオフライン大会がめっちゃ好きだったので、横浜アリーナのたくさんのお客さんの前でプレイできたのもよかったですね。

──今年はTwitchでも『LoL』を長時間配信されていたのが少し意外でした。『LoL』を本格的にプレイしたのは今年からですか?

SHAKA:実は日本サーバーが来る前(2016年以前)から『LoL』自体は少しさわっていた時期があって。といっても本当に2、3カ月間だけ、当時やっていたFPSのオフシーズンに集中してやってやめたんです。それから「ARAM」というカジュアルなモードだけをやっていった結果、それ以外やりたくなくなっちゃって。

本当は今日やっていた「サモナーズリフト」も死んでもやらないって言っていたんですよ(笑)。定期的に視聴者からやってほしいという声もあったんですけど、印象があまり良くなくて。

──そこまで嫌だった「サモリフ」にふれ始めたきっかけは何だったんですか?

SHAKA:「The K4sen」のメンバーってもともと知り合いだったわけじゃないんですけど、たまたま配信者4人が『LoL』を唐突にプレイすることになって、「あと1人空いてるよ」って聞いたので、何かの気まぐれで「行く」って言っちゃって。

初心者だったので、同じレベル帯なら正直何をやってもいいかなって思って遊んでいった結果、どんどん輪が広がってカスタムマッチができる10人が集まれるようになって。結果的に本格的にやり始めたのは2022年の3月でしたね。配信時間を見たら、600時間くらいやっていました。

──600時間も! それは「ランクマッチ」や「ノーマル」ですか?

SHAKA:ほぼ全部「カスタム」です。みんなとやり始めて2、3カ月経った後も「俺、ランクは絶対やらない」って言っていたんです。

でも実は、2カ月くらい前にランクマを15〜20戦くらいやりました。ブロンズ2スタートだったんですけど、内部レートが高かったらしくて、負けても8ポイントしか下がらないし、勝ったらプラス25ポイントもらえる、みたいな感じでシルバーまで行っちゃって。

k4senさんて確か『LoL』は7〜8年くらいやってるはずなんですけど、つい最近までシルバー1〜2だったんですよ。今はゴールドなんですけど。俺が「シルバー行ったよ」って言ったら「ふざけるな!」って。「でもどうせこのあと負けが込んで内部が腐っていって、絶対シルバー2くらいでスタックします!」ってめっちゃ言われました(笑)。

▲「The k4sen」のトロフィーを前にステージに立つk4senさん(左)とSHAKAさん(右)(撮影:Yoshida*HARRY*Takanori

──k4senさんのお気持ち、なんかわかります(笑)。アイアン・ブロンズの沼はなかなか抜け出せないと言いますよね。

SHAKA:Mother3も『LoL』をやってて「1日1回はランクをやる」!って配信外でも言ってて、アイアン4まで落ちて内部レートも腐りに腐って勝って7、負けて18みたいな感じだったんですけど、最近確かブロンズに上がるかどうかくらいまで盛り返したみたいです。

よく僕、「Mother3は神経がちぎれてる」って表現するんですけど、痛覚を感じないんです、彼。トップレーンなんですけど、オラフとか使うとHPこんな少ないのにめっちゃ前出てくるんです。実際対面しても強いです。

2カ月間のオン&オフミックスイベント「Riot Games ONE」の魅力


──「Riot Games ONE」にお話を戻すと、今回のイベントは告知されてから1カ月くらい配信をやってきて、最終決戦として「THE DEFIERS」と「The k4sen」がオフライン決勝という長丁場な形式でしたよね。この1カ月間はいかがでしたか?

SHAKA:すごく楽しかったですけど、最後がBo1(1ゲーム先取)で終わっちゃったことには、やっぱり後悔みたいなものはあります。特に僕自身『VALORANT』に関しては特にパフォーマンスが出せなかったと強く感じているので。プロの方々もお忙しいと思うんですけど、可能だったらオンラインでリベンジさせてほしいというくらいです。

けど、形式としてオンライン配信で練習した上で格上の人たちに挑む、という形は楽しかったですね。

▲「The DEFIERES」ではプロ選手の即席チームにストリーマーチームが挑むという構図に。現役プロの強さが伝わる試合だった(撮影:Yoshida*HARRY*Takanori)

──「The k4sen」の方は、序盤は明らかに「The Team Shaka」がドラゴンもリフトヘラルドもとってリードしていたように見えました。チーム内ではどんな会話がされていたんですか?

SHAKA:例えば、ドラゴンを早めにさわってしまうと頭の中が「ドラゴン、ドラゴン……」ばかりになって意地でも4ドラ(ドラゴンを4体倒すと恒久的なバフが得られる)と考えてしまって試合のテンポが早まってしまうので、「取らない方がいいんじゃないか」とチームのうまい人たちが言っていたんです。

だからその方向で行くのかなと思っていたら、相手がカ・サンテを出してきたとたんに「やりやがったな!」って言い出して。k4senさんも、後半16レベルで強くなるカサディンをピックしてきたので、「(ドラゴンバフの獲得を)やるしかねぇ」ってことになりました。

▲前哨戦の結果を受けて、バンピックでも激しい読み合いが繰り広げられた

ヘラルドも取れてゲームの流れとしてはすごく順調で、でもちょっとした小競り合いで負けたり勝ったりしていて、その時は「試合になるわ、これ。一方的じゃないしいい感じできてる」って感じだったんですけどね……。

試合後にコーチも言っていたのが、ドラゴンピット前でノーチラスにサイラスが入っていった結果集団戦で負けちゃったところと、k4senさんがサイドレーンに出てレベルを上げていた時に、ゴールドは勝っているけどレベルは向こうが勝っているという状況になって、動きがよかった部分が敗因だったんじゃないかなと言うガチのフィードバックをいただきましたね。

──たしかに、集団戦で当たるところまではThe Team SHAKAが有利に見えていたのに、おやおや……? という感じがしました。

SHAKA:集団戦で負けていくたびに、最初は「大丈夫、大丈夫」って感じだったんですけど、みんな内心やべぇんじゃないかなという流れになってたかな……。最後の集団戦もそんなに悪くなかったんですけど、ウーコンが入ってきた時に「うわぁ」みたいにはなっていましたね。

最初の方は象先輩のヴァルスが立ち位置的にうまくダメージを出せてないという流れがあって、次の集団戦では改善して。象先輩の立ち位置がいいと勝てるって感じだったんですけど、最後の集団戦はヴァルスと僕が使っていたコーキにエンゲージが来てしまった。「キャリー陣に張り付かれたのがきつかったね」とらいじんさんが言っていたので、相手の集団戦のうまさもあったのかなと思います。僕は目の前のことにいっぱいいっぱいでしたけどね。勝ちたかったですねー。

▲「The k4sen」の後半、バロンにさわってテレポートを使わせたまではよかったが、相手の猛攻にキャリー陣が捕まりゲームエンドに。ほんのわずかなズレで決着がついてしまう『LoL』の怖さと面白さが垣間見えた瞬間だった

日本チーム躍進の理由は競技人口の増加


──少し1年を振り返ってみたいんですが、2022年はeスポーツで日本チームがすごく活躍した年だったと思います。ちょっとうかがいたいのは、SHAKAさん自身がプロだった頃を振り返って、いま日本チームが世界に通用する、活躍できている理由についてどう思われますか?

SHAKA:まず、純粋に競技人口が増えたというところですね。

強い人にありがちなのが、物心ついた時から、それこそ小四くらいからFPSやってました、みたいな人ってやっぱ強いんですよ。僕たちがゲームを始めた頃も、そういう人もいるにはいたと思うんですけど1人とか2人とかで。さわっても中学生とか高校生からというパターンが多かったんです。

ちょっと前までは、ゲームを昔からやっていた人でもPCゲームにふれないままなこともあったと思うんです。でも、競技人口の増加とともに若い世代のプレイヤーも増えていますよね。

あと、僕が競技をやっていた頃って、僕たちしか理解していなかった、やれていなかったことがあったんですよね。試合中の人数のかけかたとかは他のチームは正直あまりやっていなかった。でも今は、ランクの上位に行くだけでそういう考え方が浸透しているということもあると思います。

ストリーマーになりたい人は何かひとつ特技を


──いまSHAKAさんのようにゲーム配信などのストリーマーになりたい方もすごく増えています。配信者になりたい人にひと言秘訣を教えるとしたらなんですか?

SHAKA:僕、配信者に関してはポジティブなことを言わないようにしているんです(笑)。基本あまり目指してなれるようなものではないというか、自分自身も本当に運がよかっただけだと思っているので、運も大事です。

配信で成功している人って、もともと何かをやってきた人が多いんですよね。30代くらいの僕の年代だとeスポーツ競技をやってきて配信を2、3年前から始めたとか、もともとユーチューバーとして有名だった人がライブ配信するようになったとか。あとはMother3みたいにもともと演劇をやっててしゃべりがうまくて、『CS:GO』を昔からやっていたので『VALORANT』もうまくてしゃべれたから突然配信しても人気が出たとか。なにかしら元々持っているものがある人。

たとえば学生さんがいま配信を始めたとして、めちゃくちゃ見てもらえるかというと相当難しいと思うので、あまり無責任なことは言えないな、というのが正直なところですね。


いきなり配信を始めても半年経って人が増えないってなるとモチベーションも下がってしまうと思うし。最初はながら配信でもいいから少しずつやっていって、しゃべりやゲームがうまくなっていくとか、いろいろなことに挑戦できるように長くやってみるのがいいのかなと思います。なので、いきなり配信者1本で行くとかではなくて、何かをやりながら配信するのが長くも続くと思います。

僕自身も配信を12〜13年くらいやっていますけど、配信でお金が入るようになってきたのって5年前くらいで、それまでの6〜7年は趣味でやっていただけなんですよ。普通に学生しながら、競技シーンで戦いながら、働きながら配信したりして、「あれ? これもしかしたら配信1本でもいけるかもな」って思ったから配信だけにしたので、いきなり配信者に、というのは難しい気はしますね。

──身に沁みるお話でした。ありがとうございました!

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DeToNatorでの活躍や「PJS」での解説の印象が強い筆者からすると、最近のSHAKAさんの活躍の場やプレイタイトルの広がりには驚かされる。SHAKAさんが取り組む界隈が盛り上がるという、いい形での影響力を持ちながらも、あくまで謙虚な姿勢も人気の理由だ。一線級の実力を持ちながら、配信では決して驕らずイキるわけでもないところも、安心して見られる配信につながっている。

eスポーツ人気とストリーマー人気も広告費の減少などで落ち着きを見せそうな雰囲気だが、今後もストリーマーを目指す若者は増えていくだろう。そんな人たちのいい兄貴分として、2023年のさらなる活躍にも期待したい。


SHAKA Twitch:
https://www.twitch.tv/fps_shaka
SHAKA a.k.a. 釈迦Twitter:
https://twitter.com/avashaka
SHAKA YouTube:
https://www.youtube.com/channel/UCjg5-lUiUzdmzzBRY9Xqrhw

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