ゲーミングチェアが勝利に貢献!? 楽天イーグルスがダグアウトにAKRacingを採用した理由
日本で最も歴史が長く、人気があるプロスポーツ、プロ野球。年間140試合以上が行われるそのスタジアムでは、試合のたびにさまざまなドラマが生まれる。
そんなスタジアムにおいて選手が待機しつつ、緊張とリラックスとを繰り返す姿が見られるのが「ダグアウト」、いわば選手の待機場所だ。テレビのプロ野球中継などでは、時には歓喜の笑顔が、時には不調の際の苦悩の表情が映し出され、幾度となく目にしたファンも多いはずだ。
今回、東北楽天ゴールデンイーグルス(以下、楽天イーグルス)の本拠地である楽天生命パーク宮城のダグアウトおよび実況解説席に、2022シーズンからAKRacingのシートが導入されることが発表された。
楽天イーグルスはなぜゲーミングチェアブランドのAKRacingをチョイスしたのか、実際のシートはどのようなものなのかを、AKRacingブランドを手がけるテックウインド株式会社の営業本部 部長の木村 昇さんと、株式会社楽天野球団の営業第一部の長谷川 卓也さんにうかがった。
そもそもの発端は、以前のシートが10年以上を経過し、交換のタイミングが来ていたことだった。
「もともと私自身がゲームをやっていることもあってAKRacingのことは知っていたのですが、ダグアウトのシートの劣化が進んでいたこともあって、丸ごと交換するという話が社内でも出ていました。『ゲーミングチェアってもしかして……?』という話をしたところから始まりました」と長谷川さん。
話を聞いた当時のことをテックウインドの木村さんは、「弊社の方でも、味の素スタジアムで開催されるJリーグFC東京主催試合のベンチシートでの採用や明治神宮野球場のダクアウトに30脚ほど導入などするなど、スポーツ施設に導入するケースが増えていました。AKRacingゲーミングチェアの知名度は、関東〜関西では上がってきてはいるのですが、東北地方では実績、知名度はまだ低く、楽天イーグルスさんのスタジアムに導入することで認知を上げたいとの期待はありました」と振り返る。
当然のことながら楽天イーグルスの最初の要望は、選手たちが長時間の試合の待ち時間を、体力を損なうことなく過ごせること。なによりも試合に全力を出せるコンディションを維持し、場合によっては回復できることが至上命題だからだ。
しかし同時に、10代〜20代の若者に人気のeスポーツに注力しているAKRacingブランドを、球団のプロモーションに生かす部分にも期待があったという。
「ゲームを遊ぶ方って30代〜40代くらいが中心だと思うのですが、プロ野球をスタジアムで観戦する年齢層もかなり重なります。そういう意味では、コアなゲームファンの方々はプロ野球ファンともリンクしていると思います。球団にはゲーム好きな選手もかなり多く、スタジアムでは野球ゲームで対戦する様子を大型ビジョンに映してのゲームイベントなども行われたこともあります」と長谷川さん。ゲームと野球の親和性が高いということも、ゲーミングチェアを実際のスタジアムに導入するにあたって、チーム内の不安の声を払拭する一因にもなったという。
ただし、今回のダグアウト全席の導入は、AKRacingにとっても大きなチャレンジだった。というのも、AKRacingのゲーミングチェアはあくまで室内での使用を想定したもの。雨や風、紫外線にさらされ続けたり、ユニフォームを着た選手たちが動くといった環境を想定したものではなかったからだ。
「通常のAKRacingでも、PUレザーという高い耐久性を誇る素材を用いており、購入から3年間の製品保証をうたっています。ただし、今回のダグアウトのシートはゲーマーが室内で使うよりもかなり過酷な環境で、素材や耐久性などは比べ物にならないほどの性能が要求されました。」
スタジアムでの使用をシミュレーションした結果、表皮素材を高い耐候性・防水性・防塵性を誇る屋外用素材に変更。座面のクッションなども検討を重ね、長期間ノーメンテナンスで使えるレベルの品質に仕上げた。寒い時期のためにシートヒーターも内蔵されているという。
さらに、スタジアム側の条件としてもともとのシートの台座を流用することや、シートの横幅に対して必要な席数を収めなければならないという難題もあったが、研究開発チームとの連携でそこもなんとか乗り切った。
そしてもうひとつの課題は、最後列のヘッドレスト部分がない、低いシートしか設置できないこと。AKRacingを知る人であれば、このような形状のシートがないことは一目瞭然だろう。
「実はこのシートは、商品として販売はしていませんが、AKRacingとしてすでに持っていたデザインなんです。それを改良することで、壁のスポンサーバナーを邪魔することなく、座れるスペースを確保できました」
1950年〜60年代のクラシックカーのようなヘッドレストのないシートによって、形状問題はすべて解決。しっかり楽天イーグルスのイメージカラーも再現し、球団ロゴの刺繍についてもAKRacingとしてはお手のもの。肩の部分と太もものところに「楽天イーグルス」と「AKRacing」のロゴが輝いている。
ちなみに、ひとあし先にAKRacingが導入された神宮球場を本拠地とする東京ヤクルトは、2020年の最下位(6位)から、導入した2021年はなんとセ・リーグ優勝と日本一に。業界内ではゲン担ぎという意味で話題になったこともあり、長谷川さんも「AKRacingが勝利の女神になってくれたら」と期待を寄せている。
もちろん、テックウインドとしてはそこは性能でカバーしたいと考えている。
「野球は1試合あたり3~4時間程度かかりますし、イスで体を休める時間もかなりあります。また、今年からは延長戦のルールも変わってさらに長丁場になることが予想されます。もともとのスタジアムのイスはどちらかというと硬めですが、AKRacingは長時間リラックスしてゲームに集中するための機能を盛り込んでいます。長い攻撃の間にリラックスして体を休めてもらえる場になるように、全力でカスタマイズさせていただきました。きっとご満足いただけると思います」と自信をのぞかせた。
いまやeスポーツやゲームの分野では知らない人はいないAKRacingと、東北の人々を勇気づけ、支えられながら戦い続ける楽天イーグルス。今回のコラボによって、プロ野球に興味がなかった若年層も、ゲームに縁がなかった高年齢層も、一緒になって野球を応援するきっかけになるかもしれない。
ちなみに、実況解説席にもAKRacingが導入されており、こちらは通常のゲーミングチェアを楽天イーグルスカラーに染め上げたもの。選手以上に座っている時間が長いため、実況解説者の方がよりAKRacingの魅力を感じられるかもしれない。
最後に、長谷川さんに新たなダグアウトをひっさげての2022年シーズンの抱負をうかがうと、「去年は3位という結果でしたが、石井一久監督も2年目ということで、AKRacingの力を借りて、今年こそ優勝を獲りたいと思っています!」と力強い言葉をくれた。新社長の米田氏も取材当日に完成したダグアウトを見た瞬間に「いいねぇ!」と気に入ってくれたという。
2022年の開幕戦は3月25日。AKRacingを導入した楽天イーグルスのホームで、千葉ロッテとの対戦から幕を開ける。スタジアム内のすべてのショップは楽天ペイをはじめとする完全キャッシュレス化により非接触で決済できるなど、感染症対策にも万全を期して、ファンを迎え入れる準備は整っている。
AKRacingのサポートで楽天イーグルスの選手たちが活躍する姿が、今から楽しみだ。
AKRacing
https://www.akracing.jp/
東北楽天ゴールデンイーグルス
https://www.rakuteneagles.jp/
楽天生命パーク宮城
https://www.rakuteneagles.jp/stadium/
そんなスタジアムにおいて選手が待機しつつ、緊張とリラックスとを繰り返す姿が見られるのが「ダグアウト」、いわば選手の待機場所だ。テレビのプロ野球中継などでは、時には歓喜の笑顔が、時には不調の際の苦悩の表情が映し出され、幾度となく目にしたファンも多いはずだ。
今回、東北楽天ゴールデンイーグルス(以下、楽天イーグルス)の本拠地である楽天生命パーク宮城のダグアウトおよび実況解説席に、2022シーズンからAKRacingのシートが導入されることが発表された。
楽天イーグルスはなぜゲーミングチェアブランドのAKRacingをチョイスしたのか、実際のシートはどのようなものなのかを、AKRacingブランドを手がけるテックウインド株式会社の営業本部 部長の木村 昇さんと、株式会社楽天野球団の営業第一部の長谷川 卓也さんにうかがった。
「ゲーミングチェアがいいのでは!」
そもそもの発端は、以前のシートが10年以上を経過し、交換のタイミングが来ていたことだった。
「もともと私自身がゲームをやっていることもあってAKRacingのことは知っていたのですが、ダグアウトのシートの劣化が進んでいたこともあって、丸ごと交換するという話が社内でも出ていました。『ゲーミングチェアってもしかして……?』という話をしたところから始まりました」と長谷川さん。
話を聞いた当時のことをテックウインドの木村さんは、「弊社の方でも、味の素スタジアムで開催されるJリーグFC東京主催試合のベンチシートでの採用や明治神宮野球場のダクアウトに30脚ほど導入などするなど、スポーツ施設に導入するケースが増えていました。AKRacingゲーミングチェアの知名度は、関東〜関西では上がってきてはいるのですが、東北地方では実績、知名度はまだ低く、楽天イーグルスさんのスタジアムに導入することで認知を上げたいとの期待はありました」と振り返る。
当然のことながら楽天イーグルスの最初の要望は、選手たちが長時間の試合の待ち時間を、体力を損なうことなく過ごせること。なによりも試合に全力を出せるコンディションを維持し、場合によっては回復できることが至上命題だからだ。
しかし同時に、10代〜20代の若者に人気のeスポーツに注力しているAKRacingブランドを、球団のプロモーションに生かす部分にも期待があったという。
「ゲームを遊ぶ方って30代〜40代くらいが中心だと思うのですが、プロ野球をスタジアムで観戦する年齢層もかなり重なります。そういう意味では、コアなゲームファンの方々はプロ野球ファンともリンクしていると思います。球団にはゲーム好きな選手もかなり多く、スタジアムでは野球ゲームで対戦する様子を大型ビジョンに映してのゲームイベントなども行われたこともあります」と長谷川さん。ゲームと野球の親和性が高いということも、ゲーミングチェアを実際のスタジアムに導入するにあたって、チーム内の不安の声を払拭する一因にもなったという。
AKRacingによる長時間の快適な座り心地が勝利に貢献
ただし、今回のダグアウト全席の導入は、AKRacingにとっても大きなチャレンジだった。というのも、AKRacingのゲーミングチェアはあくまで室内での使用を想定したもの。雨や風、紫外線にさらされ続けたり、ユニフォームを着た選手たちが動くといった環境を想定したものではなかったからだ。
「通常のAKRacingでも、PUレザーという高い耐久性を誇る素材を用いており、購入から3年間の製品保証をうたっています。ただし、今回のダグアウトのシートはゲーマーが室内で使うよりもかなり過酷な環境で、素材や耐久性などは比べ物にならないほどの性能が要求されました。」
スタジアムでの使用をシミュレーションした結果、表皮素材を高い耐候性・防水性・防塵性を誇る屋外用素材に変更。座面のクッションなども検討を重ね、長期間ノーメンテナンスで使えるレベルの品質に仕上げた。寒い時期のためにシートヒーターも内蔵されているという。
さらに、スタジアム側の条件としてもともとのシートの台座を流用することや、シートの横幅に対して必要な席数を収めなければならないという難題もあったが、研究開発チームとの連携でそこもなんとか乗り切った。
そしてもうひとつの課題は、最後列のヘッドレスト部分がない、低いシートしか設置できないこと。AKRacingを知る人であれば、このような形状のシートがないことは一目瞭然だろう。
「実はこのシートは、商品として販売はしていませんが、AKRacingとしてすでに持っていたデザインなんです。それを改良することで、壁のスポンサーバナーを邪魔することなく、座れるスペースを確保できました」
1950年〜60年代のクラシックカーのようなヘッドレストのないシートによって、形状問題はすべて解決。しっかり楽天イーグルスのイメージカラーも再現し、球団ロゴの刺繍についてもAKRacingとしてはお手のもの。肩の部分と太もものところに「楽天イーグルス」と「AKRacing」のロゴが輝いている。
勝利を呼ぶための特注品
ちなみに、ひとあし先にAKRacingが導入された神宮球場を本拠地とする東京ヤクルトは、2020年の最下位(6位)から、導入した2021年はなんとセ・リーグ優勝と日本一に。業界内ではゲン担ぎという意味で話題になったこともあり、長谷川さんも「AKRacingが勝利の女神になってくれたら」と期待を寄せている。
もちろん、テックウインドとしてはそこは性能でカバーしたいと考えている。
「野球は1試合あたり3~4時間程度かかりますし、イスで体を休める時間もかなりあります。また、今年からは延長戦のルールも変わってさらに長丁場になることが予想されます。もともとのスタジアムのイスはどちらかというと硬めですが、AKRacingは長時間リラックスしてゲームに集中するための機能を盛り込んでいます。長い攻撃の間にリラックスして体を休めてもらえる場になるように、全力でカスタマイズさせていただきました。きっとご満足いただけると思います」と自信をのぞかせた。
いまやeスポーツやゲームの分野では知らない人はいないAKRacingと、東北の人々を勇気づけ、支えられながら戦い続ける楽天イーグルス。今回のコラボによって、プロ野球に興味がなかった若年層も、ゲームに縁がなかった高年齢層も、一緒になって野球を応援するきっかけになるかもしれない。
ちなみに、実況解説席にもAKRacingが導入されており、こちらは通常のゲーミングチェアを楽天イーグルスカラーに染め上げたもの。選手以上に座っている時間が長いため、実況解説者の方がよりAKRacingの魅力を感じられるかもしれない。
最後に、長谷川さんに新たなダグアウトをひっさげての2022年シーズンの抱負をうかがうと、「去年は3位という結果でしたが、石井一久監督も2年目ということで、AKRacingの力を借りて、今年こそ優勝を獲りたいと思っています!」と力強い言葉をくれた。新社長の米田氏も取材当日に完成したダグアウトを見た瞬間に「いいねぇ!」と気に入ってくれたという。
2022年の開幕戦は3月25日。AKRacingを導入した楽天イーグルスのホームで、千葉ロッテとの対戦から幕を開ける。スタジアム内のすべてのショップは楽天ペイをはじめとする完全キャッシュレス化により非接触で決済できるなど、感染症対策にも万全を期して、ファンを迎え入れる準備は整っている。
AKRacingのサポートで楽天イーグルスの選手たちが活躍する姿が、今から楽しみだ。
AKRacing
https://www.akracing.jp/
東北楽天ゴールデンイーグルス
https://www.rakuteneagles.jp/
楽天生命パーク宮城
https://www.rakuteneagles.jp/stadium/
eSports World の
Discord をフォローしよう
Discord をフォローしよう
SALE
大会
チーム
他にも...?
他にも