Sengoku Gamingが『ワイリフ』世界ベスト8入り! 「Wild Rift Horizon Cup」で見えた強さと希望【Sengoku Gaming Kai × WAN選手インタビュー】

2021.11.20 宮下英之
スマートフォン向けMOBAリーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』(ワイリフ)初の国際大会「Wild Rift Horizon Cup」の準々決勝が11月19日(金)に行われ、日本代表のSengoku Gamingは韓国代表のRolster Yに3-0で敗れた。

スコアだけを見ればストレート負けだが、Sengoku Gamingは幾度も光るプレイを見せ、苦境に立たされたときにも前向きな気持ちを失うことなく、最後まで笑顔を見せながら挑戦者として戦い抜いた。チームとしての団結力の高さと持ち前の明るい雰囲気も含めて、随所で日本の『ワイリフ』が世界に通用することを証明してくれたと言える。

今回は、世界大会は初挑戦ながらしっかり自分の役割を発揮したソロのKai選手と、チームの牽引役でありムードメーカーでもあるキャリーのWAN選手に、試合直後にインタビュー。MOBA大国である韓国代表のRolster Yとの戦いは、彼らがさらに強くなるための大きな成果をもたらしてくれたようだ。

左から、Dejiwo選手(サポート)、WAN選手(キャリー)、Kai選手(ソロ)、HAK選手(ミッド)、Rush選手(ジャングル)


Kai選手「今は差が大きいけど、頑張れば追いつけない差ではない」


──Rolster Yとの準々決勝、お疲れさまでした。悔しい試合になってしまいましたね……。今日の試合、率直にいかがでしたか?

Kai選手:今日はもう楽しむことを前提にしていて、その意味でうまくできたんじゃないかと思います。

──チーム内の試合中の雰囲気とか動きはどうでしたか?

Kai選手:主に集団戦がうまくできていなかったのですが、レーン戦では韓国相手にも全然負けていない立ち回りができていて、これからの課題も見つかって、悪い雰囲気ではなく、楽しんで精一杯やれました。

──Kai選手はこのRY戦、3戦ともレネクトンをファーストピックで押さえていましたが、レネクトンを最優先した理由は?

Kai選手:敵のトップが強くて有名な選手なので、トップにバンを集中していて、それで空くのがフィオラかレネクトンだけだったんです。コーチにどっちがいいかと聞かれたときに、いま勝率も1位でピック率の高さも物語っているように強いキャラなので、レネクトンで戦うという戦略でしたね。


──大会前のSengoku Gamingのインタビューで、Kai選手だけが世界戦を経験していないという話をされていましたが、ひとりだけ経験がない中での戦いはどうでしたか?

Kai選手:初日はすごく緊張したんですけど、2日目からは慣れてきて、毎回いい緊張感を持って試合に望めたので、自分は本番に強いタイプなのかなと思っちゃいました。


──今日もソロレーナーとしてしっかり動けていましたし、不安はほとんどなかったわけですね。

Kai選手:不安はなかったですね。自分たちの今の100%は出せたんじゃないかと思います。

──大会全体を通して、一番印象に残った試合は?

Kai選手:やっぱり惨敗したTeam Secret戦ですね。

自分のパフォーマンスもそうなんですけど、あの時はチーム全体が1ゲーム目からみんなの口数が少なくて。『ワイリフ』はコミュニケーションをとるゲームなので、口数が少なければもちろん情報量も少ないわけですし、それで取れる行動も少なくなります。若干雰囲気も悪くなった時もあったので、自分の中では世界大会で一番印象に残りましたね。

──負けた試合を一番に挙げたということは、悔しさが残った、ということですか?

Kai選手:そうですね、本来の自分たちだったらもっと食らいつけたのかなと思います。

──とはいえ、今日のマッチ1でのTeam Secretの勝ちっぷりを見ても、彼らが相当強いということは間違いないですよね。(※SG vs RY戦の直前に行われた試合で、TSは圧勝していた)

Kai選手:そうですね、この大会を通して急成長を遂げたのかもしれません。

──今日の試合は、特に集団戦で誰にフォーカスするのかが定まっていなかった印象を受けましたが、集団戦の何が問題だったんでしょうか?

Kai選手:やっぱりフェイクの動きとか、押し引きとかですね。集団戦などでミスしたときには、こちらはスキルを吐いてしまっているので、次の集団戦を受けてしまってはダメなんです。そこは素直に下がってもいい。今日は下がる判断と攻める判断がバラバラになってしまったじゃないかなと思っています。

ゲーム1でのドラゴンをめぐる集団戦の場面。SGは体力リードした状態にもかかわらず、RYにうまく分断されてしまい、勝ち切ることができなかった

──これでSengoku Gamingとしての世界大会は終わってしまいますが、ご自身の中で今大会で成長できた部分はありましたか?

Kai選手:やっぱり、スクリムを通して世界の強豪と戦わせていただいたんですけど、その中で声かけもできるようになってきたので、次の世界大会はチームとしてみんなの力を発揮できたらなと思っています。

──国内よりも高いレベルの中で戦えたことに価値があったわけですね。

Kai選手:そうですね、世界のレベルを肌を通して感じたので。

──先ほど「自分たちならもっといけるはず」とおっしゃったのは、世界のチームは強いけど、通用するということに気づけたということでもありますか?

Kai選手:そうですね。

──それほど大きな差はない?

Kai選手:今の時点では結構差があるとは思うんですけど、来年を見越して自分たちが頑張れば、全然追いつけない差ではないと思います。

──最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。

Kai選手:今回の大会は残念な結果に終わってしまったんですが、これからも全員が頑張ってやっていきますので、来年ももし世界大会に出られたらまた応援をお願いします!

WAN選手「来シーズンを見据えて修正点を探る機会に」


──RY戦、お疲れさまでした。今日の3戦を終えてみていかがでしたか?

WAN選手:思い切ってやれたので、自分たちに悔いはありません。今まではグループステージ突破に向けてみんなヒリヒリして「絶対に突破したい!」って感じだったんですけど、今日は気持ちをリセットして「思いっきりやってやろう!」って感じでよかったと自分的には思います。

ただ、やっぱり足りているところは足りているし、足りないところは足りない、ということがわかったので、来シーズンに向けてそこは全員で修正していくつもりです。

──今日の試合について振り返ると、ボットデュオは1ゲーム目がルシアン&ガリオに対してザヤ&ラカン、2ゲーム目以降はコーキ&スレッシュに対してルシアン&ブラウムという形でした。この辺りのピックはどうでしたか?

WAN選手:デュオレーンのピックに関してはそこまで悪いマッチアップではなかったです。ルシアンは味方が前に前に戦う陣形になったときについて行きやすいんですけど、ザヤは自分たちの方に引き込んで引き込んで、という構成を作らなければならないんです。

ふと思ったのが、うちのチームってジャングラーがガツガツいくタイプなので、ヴァルスとかザヤとかの受け気味に戦うキャラは合っていないんじゃないかなと。それで、2〜3ゲーム目は自分からルシアンをやりたいと言いました。

──ルシアンはかなりハマっていましたよね。ただ、序盤のオブジェクトをとるところまではイーブンもしくはリードしていたところから、結果的には集団戦でうまく噛み合わないところが、3試合とも見えてしまった気がしました。今日の試合での集団戦の課題は具体的にはどこだったんでしょうか?

WAN選手:各自のスキルの使いどころですね。要は、確実に倒せる敵に対して全員がスキルを使い切ってしまうと、後から入ってきた敵に使えるスキルがなくなってしまうわけです。それは個人個人で判断しなければいけません。

あと、敵が「ゾーニャの砂時計」などで時間を稼いだときに、どう陣形を整えるか、誰をフォーカスするかといったことを、集団戦中に各自が叫びながらでも声かけしなければと、自分は思いました。


──集団戦のときに、フォーカスする対象をコールする人は今はあまりいないんですか?

WAN選手:最初にエンゲージするジャングルのRushが主にコールするんですけど、その後の集団戦中のコールは、自分が殴れている相手……トップのフィオラやカミールが飛び込んできたときに、フォーカスコールをして合わせてもらったりはしています。

──あらかじめキャリーを落とそうとか、決めてからエンゲージするわけではない?

WAN選手:そうですね。ただ、3ゲーム目は決めてから入るようにしました。ちょっと浮いている敵に対して、Rushがカミールのウルトから入ってそれに合わせて倒すという感じでした。

──Kai選手から、今日は試合に入る前から「全員で楽しもう、全力を尽くそう」という話をしていたとうかがいました。終わった後もみなさん笑顔を見せてくれたんですが、「負けた」というショックはそれほど大きくなかったのですか?

WAN選手:今日の試合は、負けてもそこまで落ち込まないようにと話をしていました。逆に、負けてもいいから来シーズンを見据えて、何がいけなかったか、何が悪かったかを試合を通して復習しよう、試合が終わった後に、ここがいけなかったから来シーズンはここを修正して練習しよう、みたいな話し合いはしていました。

──つまり、勝利はもちろん狙いながらも、もっと先を見据えた試合をしていたわけですね。

WAN選手:そうですね。バンピックに関しても、こんなに忠実にするつもりではなくて、結構気さくに今まで見せなかったピックでもしようかなと思っていたんですが、こんな感じに落ち着きました(笑)。本当はセナとか使おうと思ったんですけど、敵にタンクが多いときは使いづらいので、バンピックはコーチのもとに考えました。


──ちなみに3ゲーム目は、RYのピックがまったく同じになりました。相手はピックを変える必要がないと考えたということですが、2ゲーム目と3ゲーム目で変化はありましたか?

WAN選手:実はピックが変わったかどうかはあまり気にしていなくて、3ゲームを通して、バンピックの組み立ては自分たちが勝っていると思いました。自分は今日の試合が、今大会通して一番やりやすかったですね。

──実際、ものすごい活躍だったと思います! これでSengoku Gamingの世界大会は終了となりますが、この大会はWAN選手にとってどんな大会でしたか?

WAN選手:やっぱり世界はレベルが高いですね。大会中、普段スクリムできない相手とも練習試合をさせていただいたんですけど、国によって何が得意か得意じゃないかが浮き彫りになってきますし、中国代表チームとスクリムしてまだまだ全然レベルが足りないということを痛感させられたりとか、いろいろ気づかされたのですごくよかった大会だったと個人的に思います。

──日本に戻ってから強くなるためにできることはなんでしょう? いまSGは日本最強のチームですが、次の大会に向けて。

WAN選手:とにかくスクリムを通してチームみんなで修正点を理解し合って、何を目的としてどうするのかを、全員の中で一致させなければいけないかなと思います。あと、躊躇してその一瞬を逃すと、中国チーム相手とかだとチャンスを逃してしまうので、いけると思ったら行く判断をパキパキメキパキと(本人談)できればと思います。

──最後にファンにメッセージをお願いします。

WAN選手:グループステージを突破できたことは、本当に自分たちもすごくうれしいですし、ここまで応援してくださったファンのみなさんには本当に感謝しかないので、「ありがとうございます」という言葉に尽きます。

これからもSengoku Gamingは引き続き活動していきますので、応援よろしくお願いします。

───

正直なところ、ふたりとももっと悔しさをにじませた表情を見せると思っていた。このインタビューを読んでいない状態では、「もっと悔しがれよ!」「笑ってる場合じゃないだろう!」と思っていた読者もいるかもしれない。

しかし、世界大会という大舞台で強豪たちの強さを体感した彼らだからこそ、素直に自分たちに足りないところを認め、次につなげる学びの機会にすることができた。それは、日本最強の名を欲しいままにし、誰よりも強くありたいと願うSengoku Gamingにとって、屈辱であると同時にとても勇気がいることでもある。

そんな戦いを、遠い異国の地で終始笑顔で戦い抜いた。それこそが彼らの「強さ」の証しだ。

そしてなによりも、MOBAの世界では弱小地域に数えられる日本から、『ワイリフ』で世界ベスト8にまで上り詰めたことは、日本のeスポーツ業界全体にとっても明るい出来事だろう。しかもインタビューでKai選手、WAN選手が示してくれたとおり、まだまだ伸びしろは残されている。

「Horizon Cup」は今後も続くが、Sengoku Gamingのメンバーたちの今回の経験が、日本の『ワイリフ』シーンを大きく飛躍させてくれるはずだ。

いまはただ、おつかれさま、感動をありがとうと伝えたい


リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト
https://wildrift.leagueoflegends.com/ja-jp/

ワイルドリフト ホライゾンカップ スケジュール:
https://wildrift.leagueoflegends.com/ja-jp/news/esports/wild-rift-horizon-cup-match-schedule/

Kai:
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WAN:
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