【LJL後半戦目前!】パッチ変化とV3快進撃が印象的だった 「夏シーズン」前半を振り返る

2020.7.24 和藤新
新型コロナウイルスの影響により、「LJL」はSpring Splitからその開催方法が大幅に変わってしまった。ヨシモト∞ホールでのオフライン対戦から、リラックスできるものの普段の練習と変化を持たせにくいゲーミングハウスでのオンライン対戦になり、緊張感やリーグを戦い抜くという気持ちはやや削がれてしまっているかもしれない。

観戦するファンにとっても、ファンミーティングなどで選手と触れ合えるオンラインから、配信を見るかたちのみとなった。勝敗予想やベストプレイ投票や、事前番組などで盛り上げる施策は取られているものの、やはりあの会場に集まったファンとプロ選手たちが織りなす熱狂がないのは残念でならない。

今回は、そんなコロナの影響を開幕から受けてきた「LJL 2020 Summer Split」の前半戦(全チーム総当たり1回完了)までの状況を、不肖ながら和藤新が紹介していきたい。

新型コロナによる開催スケジュールの変化


「LJL」春のシーズンは、期間中にコロナウイルスの流行が発生したためにスケジュールに乱れが生じていた。

Round 2が行われたのは3月末だったが、Round 3と決勝戦が行われたのは5月始めであり、上位3チーム(DFM、SG、V3)と下位5チームの間では試合のなかった期間に1カ月の差があった。

春夏でのチームロースターの変化


長引く新型コロナにより、一時帰国していた外国籍の選手たちが日本に戻ってくることができなくなってしまった。それにより、外国人枠のポジションに別の選手を当てなければならなくなった。

そもそも外国人枠は助っ人としての起用であり、各チームとも戦力の低下はやむを得ない。こういうときこそ、チームの連携力や底力が試されるとも言える。

AXIZ


Top uinyan選手(ロール変更) ⇒ Natsume選手(新規加入)

Bot Hide選手( ⇒ uinyan選手 ⇒ Day1選手(復帰)

Hide選手はLJLのない期間中に韓国に一時帰国していたが、コロナ禍による国際的な渡航制限により日本への再入国ができなくなってしまっている。そのため、春はTopレーナーだったuinyan選手がBotに移動、Topには新たにNatsume選手が入った。

また、Week 5の3日前になってDay1選手が復帰してチームに戻ることが発表された。Day1選手は「LJL」で選手として活躍した後、LJLのキャスターに就任。その後ふたたびAXZのBotレーナーとして所属したのち、今年の初めにプロプレイヤーとしての引退を宣言し、AXIZ所属のストリーマーとして活動していた。




Burning Core

Mid Roki選手(引退) ⇒ Eugeo選手(新規加入)

ベテランのRoki選手が春をもって「LJL」を引退したことを受けて、Midのトライアウトが募集されていたが、最終的に2019年のスカウティンググラウンドでも注目されたEugeo選手がロースター入り。

Eugeo選手は今年の春にBCに加入。試合に出るのは今季が初めてになる。



Crest Gaming Act

Jg Yoshi選手(継続) ⇒ Yunika選手(新規加入)

Yunika選手は夏の開幕間近に加入が発表されたばかりの選手。2019年の夏にはAXZに所属していた。どちらの選手も出場する可能性があるようだ。

Yoshi選手もYunika選手も、スカウティンググラウンドで頭角を表した選手たち。若手の起用が少しずつ増えている。


Rascal Jester


Mid Ninja選手(out) ⇒ Pink選手(新規加入)
Sup viviD選手(out) ⇒ Nagi選手(新規加入)

Ninja選手、viviD選手ともにAXZ Hide選手と同様にコロナ禍により韓国から日本への再入国ができない状態になってしまっている。

MidにはPink選手、SupにはNagi選手が入った。



SoftBank HAWKS gaming


Top Dasher選手(ロール変更) ⇒ Arumik選手(in)

Mid Ramune選手(out) ⇒ Dasher選手

Arumik選手は昨年末のチーム結成時から所属していたものの、SHG最初のシーズンである春は控えのメンバーであり試合に出場する機会がなかった選手。2019年にはUnsold Stuff Gaming(2019年末にLoLチーム解散)に所属していた。

また、Week 5の3日前になって新コーチ2名の加入が発表された。

LCK(韓国LoLプロリーグ)KT Rolsterのヘッドコーチも務めたZanDarC氏
LMS(台湾LoLプロリーグ)Flash Wolvesのヘッドコーチも務めたSweet氏


ゲーム内環境(パッチ)の変化


春の決勝はパッチ10.8、夏の開幕はパッチ10.11、Week 4にはパッチ10.12になっている。



チャンピオン自体の変化としては、フィドルスティックスのリワークが行われたのは10.7だったが、当時は運用法がプロにおいても定まっていなかった。現在は強化調整されピック可能な強さになり、またレーンでのタンクビルドの開発により運用の幅も増えている。とはいえプロシーンでの活躍はまだまだといったところ、今季の「LJL」では1ピックしかされていない。

ボリベアはパッチ10.11でリワークされたが、実装直後は強さが足りていなかった。しかしパッチ10.12での多くの強化・バグ修正によりトップ・ジャングルにおいて世界的に存在感のあるチャンピオンとなっている。「LJL」においてもおそるおそるといった様子ではあるが5回ピックされている。



そして、パッチ10.11ではマークスマンに対してクリティカルアイテムの移動速度とチャンピオン自身の基礎体力の両面で、全体的に生存力を高める強化が与えられ、以前に比べより継続的にダメージを出すことが可能になる環境となった。

夏の「LJL」でもヴァルス、アフェリオス、エズリアル、カリスタと、春にも活躍していたチャンピオンたちが並ぶ。また、序盤のレーンでの強さや視界をとるスキル、カリスタへの相性といった面で、アッシュがメタに上がってきている。

オンライン環境での「LJL」開催


コロナ禍により依然として無観客での試合となっている。しかし、Week 1とWeek 2をオンライン試合で行ったのちに、Week 3からは現地に選手たちや実況解説の面々が集まってのオフライン試合が再び行われるようになった。

チームによってはオンラインでの試合の方がリラックスできていた、あるいは逆に雰囲気が掴めず調子が出なかったところもあるようだが、やはり会場に選手たちが並び声を掛け合いながら試合に臨む様子が見られるのは観戦する側として大変喜ばしく思う。

前半戦各チームの状況


ここからは、Week4時点の順位順に、勝敗数とともに各チームの状況をともに紹介していこう。なお、戦績はWeek4までの勝敗(8戦終了時点)を明記している。


V3 Esports 8勝0敗


ここまで全勝無敗で文句なしで1位のV3。チーム全体の呼吸が揃っているのか睨み合いの状況での押し引きやオールインの判断と連携が素晴らしい。JgのBugi選手の序盤の動きがスノーボールの契機となる試合が非常に多い。おすすめするDFMとの対戦では、23分まではDFMに大きくリードを許していたものの、千載一遇の機会を逃さずに形勢逆転、その後勝利をもぎ取っている。

注目の1試合 Week 3 Game 3 vs. DFM

Crest Gaming Act 6勝2敗


チームに入ったばかりのYunika選手だが高い実力でゲームを作り上げている。序盤の安定感が低いものの中盤以降に相手の失策を咎めて結果につなげる好プレイが多い。観戦していてハラハラするシーソーゲームで魅せてくれる。

注目の1試合 Week 3 Game 8 vs. SG


Sengoku Gaming 6勝2敗


Blank選手という世界的にも注目される経歴を持つ選手がいるが、他のメンバーも遜色ない活躍を見せる。集団戦ももちろんなのだが全員の個人技が恐ろしくレベルが高い。勝敗を決めるスキルショットがこのチームの大きな魅力になっている。

注目の1試合 Week 4 Game 6 vs. BC


DetonatioN FocusMe 4勝4敗


春の王者がまさかの位置。過去の功績と現在の成績だけを見比べれば不調と言って差し支えないだろう。

実験的に見えるドラフトも要因に思えるが、春に何度も芸術的な集団戦を作り上げてきた卓越した連携がうまくいかない場面も多い。しかしそれでも勝率5割であるのだから、観戦する側の期待が高すぎるのも事実だろう。

注目の試合では、DFMの不安点が分かりやすいはずだ。

注目の1試合 Week 2 Game 5 vs. RJ


Burning Core 3勝5敗


春はCGAとのタイブレークに敗北しプレイオフへの参戦が叶わなかったBC。チーム全体での意思疎通があまり出来ていない印象を受ける場面が多い。

TopのRayFarky選手とJgのOnce選手の個人技が素晴らしく、時に危険な飛び込みを敢行しこれが効果的だった場合には集団戦での勝利を手にしている。

注目の1試合 Week 4 Game 5 vs. CGA



SoftBank HAWKS gaming 3勝5敗


今年の春からLJLに参加した若いチーム。春には個人技では光るところがあったものの、集団戦のぎこちなさから勝ち星を増やせずプレイオフ進出はならなかった。今季はこのまま成績を伸ばせばギリギリでプレイオフに進出できる。

おすすめする試合では、序盤のArumik選手の2つのテレポート関連のプレイにより一方的に得た有利からスノーボールし、今季最速でゲームを終わらせている。

注目の1試合 Week 1 Game 8 vs. RJ



Rascal Jester 2勝6敗


コロナ禍により急遽メンバー交代を余儀なくされたチームのひとつ。新たにPink選手とNagi選手の2名を入れた連携は、まだ他のチームについていくのが精一杯といった様子。しかしながら徐々に個人技と連携が噛み合い始めているのが見てとれる。

注目の1試合 Week 4 Game 1 vs. SHG



AXIZ 0勝8敗


コロナ禍により急遽メンバー交代を余儀なくされたもうひとつのチーム。uinyan選手はTopで近接ファイターを得意としていた選手であり、Botへの移動は補充されたNatsume選手もTopのプレイヤーだったためにやむをえない選択だったのだろうと推察する。おすすめの試合では序盤から個人技でスノーボールを狙う構成をとるが、やはり集団戦フェーズになると苦しくなってしまう。

注目の1試合 Week 3 Game 6 vs. RJ



Summer Split 後半戦の展望


V3、CGA、SGは安定した強さでこのまま成績を伸ばしていくことが予想できる。不完全燃焼の続くDFMがどれだけ盛り返してくるかが見どころになるだろう。下位4チームも徐々に調子を上げてきているが、劇的に成績を伸ばすには大きな変革が必要とされる。

次の試合からはパッチは10.14に進む見込みで、プロシーンの常連だったアフェリオス、シンドラ、オーン、カリスタ、ヴァルス、ウーコン、ユーミらに弱体化が施されている。反面、ナーやノクターン、カーサス、アリスターといった最近は影が薄かったチャンピオンには強化が入る。

また「征服者」と「デスダンス」の弱体化で、上がりすぎたマークスマンの生存力も下げられることになる。変化する環境に適応できるかどうかもプロチームに求められる能力である。観戦する側も見飽きることはなさそうだ。

残るSummer Splitの後半戦は、7月25日(土)と翌26日(日)に連日で行われるスーパーウィークのWeek 5~6と、8月1日(土)に行われるWeek7まで。プレーオフ~グランドファイナルはそこからさらに日程を空けて、8月16日(日)、8月22日(土)と23日(日)、9月5日(土)と6日(日)の5日間で争われる。

ちなみに、世界大会「Worlds 2020」への出場については、プレイオフで優勝したチームが日本代表として出場することになる。しかし、現在の世界的な混乱によりまず「Worlds 2020」の開催そのものが危ぶまれており、いまだに見通しがつかない状態となっている。

試合開始はいずれも13時から。上位チームはそのまま成績を維持できるのか、はたまた連携を深めた下位チームが上位に食い込めるのか、イレギュラーな状況の中での各チーム成長を見届けよう!


LoL Esports:https://lolesports.com/article/ljl-2020-summer-split/bltb4280b4d78b84cc5
LoL Esports JP(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCiN3B0QRdL4wn1TMJ_cJyMQ
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