【連載】Good 8 Squad カワノ備忘録
上京後、初めての海外大会で感じた手応えの話【連載・Good 8 Squad カワノ備忘録 第3回】
- オペレーションP発動〜「SFLワールド」
- 魔窟のルーザーズ〜「CAPCOM CUP IX」
- スポンサーがついて初めての海外大会「Brussels Challenge Major Edition 2019」
- オフ対戦会で練習すればトップに行けるという確信
- ベルギーの宿は雑魚寝で。
はいどうもこんにちは、カワノです。
今日はコラムに入る前に軽く、2月18〜19日に開催された「ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2022」(SFLワールド)、そして2月20日に開催された「CAPCOM CUP IX」の感想を話したいと思います。
時系列的に「SFLワールド」から話したいなと思うのですが、正直なところ僕だけに限らずチームメイトのみんな「SFL:JP」を優勝したことによってかなり満足というか、やり切った感はありました。
「SFLワールドはぷげらさんが勝ちまくってどうせ優勝するやろ」
僕とガチさんとどぐらさんは間違いなくそう思っていたはずです。オペレーションP。作戦ぷげらです。
そしていざ本番ですが、2日間での開催になっており、1日目はEU代表には勝ったもののUS代表にボコられてしまいました。海外チームが思ってる以上に強く、間違いなく僕らは焦りました。どのくらい焦っていたかというと、僕は負けた後「はぁ!? ボタン押したんだけど! ちょっとラグある気がしますわ……(実際は良環境)」などと言い訳をし、キレ気味に話すことで負けた事実を有耶無耶にしようとしてました。最悪の男ですね。
「オペレーションP」もEU代表には超機能したものの、やはりUS代表のユリアンがキャラ相性もあってキツく、2日目どうしようか……という空気になりました。
しかし2日目、US代表に対して自分のルークがかなり機能して優勝することができました。勝因は本当に「コーリンも出せるぞ」という圧を与えられたことだと思います。正直セスを当てられたらルークでは勝てる気がしませんでした。初戦でセスにコーリンで勝てたのが大きかったなと思います。
また、僕が大将で出る前にどぐらさん、ガチさんが勝っていてくれたので気が楽になった面もありました。ありがとうございました。
そして「CAPCOM CUP IX」本戦なのですが、こちらは振るいませんでした。
ルーザーズに落ちたら優勝することは絶対にないだろうなと最初から思っていました。ルーザーズに落ちると、俗に言うレアキャラと当たってしまう確率が高くなってしまうんですよね。自分のルークはやはり「SFL」用に仕上げたものなので、レアキャラまで対策する時間がありませんでした。
逆に、ウイナーズ側はよく競技シーンで見るキャラ(強いキャラ)ばかりが出そろうので、自分が優勝することがあるとすればウイナーズ側を勝ち進むことだろうなと思っていました。
ですが、初戦で中国の超新星Zhenベガに負けてしまい、そのままルーザーズでファンに負けてしまいました。「SFLワールド」で優勝してめちゃくちゃ気分が良かったので、なぜかちょっと損した気分になりました。
余談ではありますが、「SFLワールド」優勝直後に彼女と別れることになってしまい、日本に帰って家に戻ったら荷物が全くなく、もぬけの殻になっていました。
それでは本編に行きたいと思います。
前回の記事を軽くおさらいすると、東京に進出して毎日プロ達が集うオフ対戦会に練習しにいくものの、何度も何度も誰と対戦しても負け続けるという日々。今回は、そこからの続きを書いていきたいと思います。
そんなこんなで東京に来て負け続ける生活が1カ月くらい続いた頃、東京に来てから初めての海外大会に行くことになりました。例のAさんとの契約の「海外大会に3回行かせてもらえること(TOP8に入るごとにもう1回、海外大会に行かせてもらえる)」というやつですね。
上記の条件であれば、僕は絶対にプレミア大会よりランキング大会に参加した方がいいなと思っていました。というのも、プレミア大会の方がランキング大会より価値が高く、そうなると当然参加プレイヤーの数が増え、自分がTOP8に入れる可能性も低くなるわけです。プレミア大会に比べて参加プレイヤーの数が少ないランキング大会の方がTOP8を目指しやすいんじゃないかなと思いました。
(編集部注・当時の「Capcom Pro Tour」には、開催規模の大きなグローバルプレミア大会と、地域や国ごとに開催されるランキング大会があり、年に1度の「Capcom Cup」への出場権を得るためのポイントを獲得できた)
そういうわけで、大事な1回目はベルギーでのランキング大会「Brussels Challenge Major Edition 2019」に挑むことにしたんですよね。
ベルギーということで欧州のプロプレイヤーたちは集っていたものの、やはり日本やアメリカのプロプレイヤーの参加率は低く、ビギナーズラックというべきかなんと7位入賞を果たしました。
日本やアメリカのプロプレイヤーの参加率が低かったとはいえ、間違いなくレベルの高い大会でした。TOP8のメンツを見てみてもなおさらそう思います。今現在も最前線で活躍しているAngryBirdやProblem X、Takamura、Big Birdなど、そうそうたるメンバーの中7位入賞を果たしたことは、間違いなく自分の中で自信に繋がりました。
AngryBird(是空)とHurricane(キャミィ)に負けて7位だったのですが、途中でボンちゃんやtrashboxさんにも勝つことができたのでそれもうれしかったです。
試合の内容は正直もうそこまで覚えていませんが、この時からAngryBirdはずば抜けて強いなと思いました。実際にこの大会も是空1本で優勝してます。
この頃の是空って強キャラとはお世辞にも言えない性能だったと思います。中の下くらいのキャラパワーだと思うんですが、AngryBirdは試合のプランニングがうまく、具体的に説明すると「相手にボタンを押したい気持ちにさせる」行動がこの頃からうまいと思います。
7位で終わって悔しいという気持ちももちろんありましたが、それと同時にあることを確信しました。
「この調子で毎日オフ対戦会での練習を続けていけば、絶対にトップになれる」
そう思ったんですよね。
なぜなら、東京に来てから1カ月ほど経ってからの大会だったのですが、この1カ月がなければ絶対にTOP 8にすら滑り込めなかっただろうなと思ったからです。
1カ月という短い期間ではありましたが、自分にとって目に見えてわかるほど成長しているという実感があったんです。とても濃密で有意義な練習を1カ月やれていたという証拠だと思います。
この練習をこれからも継続することができれば、今回は7位止まりではあったけど、すぐにトップに仲間入りすることができるなと思いました。とても満足感を持ちながら帰国したのを覚えています。
ちなみに、当たり前ですがお金はないので、ブリュッセルでの宿から大会会場までとか、宿から空港までとかは、全部歩いてました。
宿から空港が10kmくらいあって、その距離をキャリーケースを運びながら歩くのが本当にしんどかった記憶だけあります。しかも道がちゃんと舗装されてないので、「ここ、人が歩いていいところなのか車専用の道なのか、よくわからん」みたいなところも歩いていて、結構怖かった記憶もあります。
ついでに言うと、元々ウメハラさんもこのベルギーの大会に参加する予定だったということで、ウメハラさんの宿にそのままお邪魔させてもらおうと思っていたのですが、なんと勘違いだったようで、当日になって不参加の旨を聞き、宿がなく途方に暮れてしまいました。
そんな中、WE-R1という日本チームもベルギー大会に参加していたので、そこにお邪魔させていただき、床で寝てました。
この年の海外大会は基本的に、ほとんどウメハラさんの宿にお邪魔して床で寝ていました。ホテル代なんて持ち合わせてるわけないですからね。たまにウメハラさんのマネージャーさんが予約した部屋がツインベッドの時もあって、その時は嬉々としてベッドに転がり込んだのを覚えています。
そんなこんなで、「この調子で毎日オフ対戦会での練習を続けていけば絶対にトップになれる」と確信したカワノでしたが、ここからが本当にきつい日々の始まりでした。
次回またお会いしましょう。
(続く)
カワノのTwitter:https://twitter.com/kawanoChannn
カワノ|Good 8 Squad:https://good8squad.com/
SFL カワノ:https://sf.esports.capcom.com/player/kawano/
今日はコラムに入る前に軽く、2月18〜19日に開催された「ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2022」(SFLワールド)、そして2月20日に開催された「CAPCOM CUP IX」の感想を話したいと思います。
オペレーションP発動〜「SFLワールド」
時系列的に「SFLワールド」から話したいなと思うのですが、正直なところ僕だけに限らずチームメイトのみんな「SFL:JP」を優勝したことによってかなり満足というか、やり切った感はありました。
「SFLワールドはぷげらさんが勝ちまくってどうせ優勝するやろ」
僕とガチさんとどぐらさんは間違いなくそう思っていたはずです。オペレーションP。作戦ぷげらです。
そしていざ本番ですが、2日間での開催になっており、1日目はEU代表には勝ったもののUS代表にボコられてしまいました。海外チームが思ってる以上に強く、間違いなく僕らは焦りました。どのくらい焦っていたかというと、僕は負けた後「はぁ!? ボタン押したんだけど! ちょっとラグある気がしますわ……(実際は良環境)」などと言い訳をし、キレ気味に話すことで負けた事実を有耶無耶にしようとしてました。最悪の男ですね。
「オペレーションP」もEU代表には超機能したものの、やはりUS代表のユリアンがキャラ相性もあってキツく、2日目どうしようか……という空気になりました。
しかし2日目、US代表に対して自分のルークがかなり機能して優勝することができました。勝因は本当に「コーリンも出せるぞ」という圧を与えられたことだと思います。正直セスを当てられたらルークでは勝てる気がしませんでした。初戦でセスにコーリンで勝てたのが大きかったなと思います。
また、僕が大将で出る前にどぐらさん、ガチさんが勝っていてくれたので気が楽になった面もありました。ありがとうございました。
魔窟のルーザーズ〜「CAPCOM CUP IX」
そして「CAPCOM CUP IX」本戦なのですが、こちらは振るいませんでした。
ルーザーズに落ちたら優勝することは絶対にないだろうなと最初から思っていました。ルーザーズに落ちると、俗に言うレアキャラと当たってしまう確率が高くなってしまうんですよね。自分のルークはやはり「SFL」用に仕上げたものなので、レアキャラまで対策する時間がありませんでした。
逆に、ウイナーズ側はよく競技シーンで見るキャラ(強いキャラ)ばかりが出そろうので、自分が優勝することがあるとすればウイナーズ側を勝ち進むことだろうなと思っていました。
ですが、初戦で中国の超新星Zhenベガに負けてしまい、そのままルーザーズでファンに負けてしまいました。「SFLワールド」で優勝してめちゃくちゃ気分が良かったので、なぜかちょっと損した気分になりました。
余談ではありますが、「SFLワールド」優勝直後に彼女と別れることになってしまい、日本に帰って家に戻ったら荷物が全くなく、もぬけの殻になっていました。
スポンサーがついて初めての海外大会「Brussels Challenge Major Edition 2019」
それでは本編に行きたいと思います。
前回の記事を軽くおさらいすると、東京に進出して毎日プロ達が集うオフ対戦会に練習しにいくものの、何度も何度も誰と対戦しても負け続けるという日々。今回は、そこからの続きを書いていきたいと思います。
そんなこんなで東京に来て負け続ける生活が1カ月くらい続いた頃、東京に来てから初めての海外大会に行くことになりました。例のAさんとの契約の「海外大会に3回行かせてもらえること(TOP8に入るごとにもう1回、海外大会に行かせてもらえる)」というやつですね。
上記の条件であれば、僕は絶対にプレミア大会よりランキング大会に参加した方がいいなと思っていました。というのも、プレミア大会の方がランキング大会より価値が高く、そうなると当然参加プレイヤーの数が増え、自分がTOP8に入れる可能性も低くなるわけです。プレミア大会に比べて参加プレイヤーの数が少ないランキング大会の方がTOP8を目指しやすいんじゃないかなと思いました。
(編集部注・当時の「Capcom Pro Tour」には、開催規模の大きなグローバルプレミア大会と、地域や国ごとに開催されるランキング大会があり、年に1度の「Capcom Cup」への出場権を得るためのポイントを獲得できた)
そういうわけで、大事な1回目はベルギーでのランキング大会「Brussels Challenge Major Edition 2019」に挑むことにしたんですよね。
ベルギーということで欧州のプロプレイヤーたちは集っていたものの、やはり日本やアメリカのプロプレイヤーの参加率は低く、ビギナーズラックというべきかなんと7位入賞を果たしました。
日本やアメリカのプロプレイヤーの参加率が低かったとはいえ、間違いなくレベルの高い大会でした。TOP8のメンツを見てみてもなおさらそう思います。今現在も最前線で活躍しているAngryBirdやProblem X、Takamura、Big Birdなど、そうそうたるメンバーの中7位入賞を果たしたことは、間違いなく自分の中で自信に繋がりました。
Brussels Challenge Major Edition 2019 トップ24
※太字は日本人選手
1. AngryBird
2. Problem-X
3. Takamura
4. Big Bird
5. Hurricane
5. Shakz
7. Kawano
7. TKR
9. Phenom
9. Bonchan
9. SaltyKid
9. Mister Crimson
13. Atrosh
13. Veggey
13. Trashbox
13. VegaPatch
17. Momi
17. JuniorLeo
17. Brian
17. Akainu
17. Zera
17. Vivi
17. Jimmy1
17. RASS
https://www.start.gg/tournament/brussels-challenge-major-edition-2019/event/street-fighter-v-arcade-edition-solo/standings
※太字は日本人選手
1. AngryBird
2. Problem-X
3. Takamura
4. Big Bird
5. Hurricane
5. Shakz
7. Kawano
7. TKR
9. Phenom
9. Bonchan
9. SaltyKid
9. Mister Crimson
13. Atrosh
13. Veggey
13. Trashbox
13. VegaPatch
17. Momi
17. JuniorLeo
17. Brian
17. Akainu
17. Zera
17. Vivi
17. Jimmy1
17. RASS
https://www.start.gg/tournament/brussels-challenge-major-edition-2019/event/street-fighter-v-arcade-edition-solo/standings
AngryBird(是空)とHurricane(キャミィ)に負けて7位だったのですが、途中でボンちゃんやtrashboxさんにも勝つことができたのでそれもうれしかったです。
試合の内容は正直もうそこまで覚えていませんが、この時からAngryBirdはずば抜けて強いなと思いました。実際にこの大会も是空1本で優勝してます。
この頃の是空って強キャラとはお世辞にも言えない性能だったと思います。中の下くらいのキャラパワーだと思うんですが、AngryBirdは試合のプランニングがうまく、具体的に説明すると「相手にボタンを押したい気持ちにさせる」行動がこの頃からうまいと思います。
オフ対戦会で練習すればトップに行けるという確信
7位で終わって悔しいという気持ちももちろんありましたが、それと同時にあることを確信しました。
「この調子で毎日オフ対戦会での練習を続けていけば、絶対にトップになれる」
そう思ったんですよね。
なぜなら、東京に来てから1カ月ほど経ってからの大会だったのですが、この1カ月がなければ絶対にTOP 8にすら滑り込めなかっただろうなと思ったからです。
1カ月という短い期間ではありましたが、自分にとって目に見えてわかるほど成長しているという実感があったんです。とても濃密で有意義な練習を1カ月やれていたという証拠だと思います。
この練習をこれからも継続することができれば、今回は7位止まりではあったけど、すぐにトップに仲間入りすることができるなと思いました。とても満足感を持ちながら帰国したのを覚えています。
ベルギーの宿は雑魚寝で。
ちなみに、当たり前ですがお金はないので、ブリュッセルでの宿から大会会場までとか、宿から空港までとかは、全部歩いてました。
宿から空港が10kmくらいあって、その距離をキャリーケースを運びながら歩くのが本当にしんどかった記憶だけあります。しかも道がちゃんと舗装されてないので、「ここ、人が歩いていいところなのか車専用の道なのか、よくわからん」みたいなところも歩いていて、結構怖かった記憶もあります。
ついでに言うと、元々ウメハラさんもこのベルギーの大会に参加する予定だったということで、ウメハラさんの宿にそのままお邪魔させてもらおうと思っていたのですが、なんと勘違いだったようで、当日になって不参加の旨を聞き、宿がなく途方に暮れてしまいました。
そんな中、WE-R1という日本チームもベルギー大会に参加していたので、そこにお邪魔させていただき、床で寝てました。
この年の海外大会は基本的に、ほとんどウメハラさんの宿にお邪魔して床で寝ていました。ホテル代なんて持ち合わせてるわけないですからね。たまにウメハラさんのマネージャーさんが予約した部屋がツインベッドの時もあって、その時は嬉々としてベッドに転がり込んだのを覚えています。
そんなこんなで、「この調子で毎日オフ対戦会での練習を続けていけば絶対にトップになれる」と確信したカワノでしたが、ここからが本当にきつい日々の始まりでした。
次回またお会いしましょう。
(続く)
カワノのTwitter:https://twitter.com/kawanoChannn
カワノ|Good 8 Squad:https://good8squad.com/
SFL カワノ:https://sf.esports.capcom.com/player/kawano/
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