【インタビュー】 QT DIG∞ misaya & ikedamaruが語る、地獄の「Advance Stage」とクビの覚悟 【VALORANT Challengers Japan 2025 Split 2 Playoff Finals】

2025.4.22 宮下英之
VALORANT』公式国内大会「VALORANT Challengers Japan 2025 Split 2 Playoff」(以下、Challengers Japan Split 2)のオンライン最終戦が4月18日(金)に行われ、FENNELQT DIG∞(キューティーディグ。旧Sengoku Gaming)が勝利。これにより、5月17日〜18日に幕張メッセで行われるオフライン大会「VALORANT Challengers Japan 2025 Split 2 Playoff Finals」の出場チームと対戦カードが決定した。

▲FENNELはMURASH GAMINGに、QT DIG∞はREJECTにそれぞれ勝利。RIDDLE ORDERの指定により、この対戦カードとなった

今回は、Playoff Finalsへの最後の切符をかけた「Advance Stage」のロワーブラケットから勝ち上がり、オンライン最終戦にて見事REJECTを下した、QT DIG∞のmisaya(みさや)選手とikedamaru(いけだまる)コーチへのプレスカンファレンスの模様をお届け。

Sengoku Gamingからリブランディングして初めての大規模オフライン大会となるが、「Advance Stage」を勝ち抜いたQT DIG∞の自己分析と当時の心境、そしてオフライン大会への意気込みをうかがった。


RIDDLE再戦、FENNELリベンジに燃える、改名後初のオフライン大会


──Split 2では「Advance Stage」を泳ぎきってオフライン大会進出となりました。今シーズンの振り返りと、オフライン大会に向けた意気込みをお願いします。

misaya選手:総合的に見てすごくよかったと思っています。初戦でRIDDLE、MURASH GAMINGに勝てて、次の週に少し調子を落としたりとチームの波がありつつも、最後のところでグッと調子を上げられたのが良かったですね。

オフライン大会に対しては、Sengoku GamingからQT DIG∞に名称が変わってオフライン初ということもあり、気合も入れて練習したいと思っています。

ikedamaruコーチ:去年からそんなに大きく変わらずタフなチームなので、「Advance Stage」からオフラインまで行くという厳しい状況はなかなかないと思うんですけど、ここまでやってこれた選手のタフさに素直に感謝しています。

オフライン大会については、昨年も2回出られたんですけどどっちもFENNELに勝てなくて。決勝ではリベンジしたいと思っています。

──そのオフラインの対戦相手は、Split 2首位のRIDDLEに確定しました。RIDDLEには一度勝利していますが、どう見ていますか?

misaya選手:RIDDLEはSplit 1も優勝している現王者ですが、苦手意識はFENNELほどはないので、普通に戦えたらいい試合になると思っています。

ikedamaruコーチ:リョウタ(misaya選手)も言った通り、現日本王者で「Ascension」でもいい成績を残しているチームで、格上であることは間違いないです。僕たちは1回勝利はしていますが、いつ戦っても勝てるという印象ではなくて、今はRIDDLEのためにもっと練習しようというスタンスでいます。ここから1カ月間の練習でいい勝負ができるような練習を積み重ねていけたらなと思ってます。

──Split 2を通して、チームとして成長できた部分と課題を教えてください。

ikedamaruコーチ:多分リョウタも同じだと思うんですけど、Split 2は「Advance Stage」から上がってこれたことが本当に大きいです。

それこそ、Crest Gaming Zst(CGZ)に2-0で負けてから、後がない試合をIGZIST、SCARZ、CGZと3回連続で戦ったんですけど、その時にメンタルがすごく強くなったことで、昨日のREJECT戦もいい内容で戦えました。

▲Playoff FinalsをかけたREJECT戦、QT DIG∞は今季勝率0%だったアセントをピックして勝利し、REJECTピックのヘイブンも13-11で勝利した


課題としては、メインイベントでREJECT、NOEZ、FENNELに負けたのは単純にチームの戦術に差があったためだと僕は認識していて、そこを改善しないとオフラインでは勝てないと思うので、しっかり対策していきたいです。

misaya選手:Split 2では、チームとしていい練習を行えたことが結果につながったと思っています。初戦でRIDDLEに勝ててから自信もついて、どんどん右肩上がりになったのもよかったです。また、「Advance Stage」が始まったくらいから質のいい練習をしようという話がチーム内で上がって、意識してずっとやってきました。

今後の課題は、やっぱりチームの雰囲気作りが自分の中で大きな課題です。スクリムでもちょっとミスをするとすぐに悪いムードになってしまってなんとか戻そうと意識はするんですけど、オフライン大会までに改善したいですね。

──そのために、チームとしての声がけとか、具体策はありますか。

misaya選手:まず、そもそもそういうミスを起こさないことですね。本当に初歩的なところなので。その上で、ミスが起きてしまった後にもいったん気にせず行きたいと考えています。


「Advance Stage」で終わるわけにはいかない──背水の逆転劇の裏で覚悟した「クビ」の2文字


──「Advance Stage」を戦っている間は、後がないギリギリの戦いだったと思いますが、どのあたりからチームとして行ける、と思われましたか?

misaya選手:Split 1で負けてからですね。本当に意識が変わって、「Advance Stage」も負けたら終わり、周りはみんなプロチームという地獄みたいな状況の中で、勝ち上がるためにどうするかと考えた時に、「どこのチームよりも練習するしかない」。みんな本当に努力してくれたからこそ、Playoff Finalsに進出できたんだと思います。苦しかったですけど。

──勝ち上がっている間は、ホッとした、絶対勝てると自信を取り戻せたで言うと、どちらでしたか?

misaya選手:僕は結構ネガティブな人間なので、「もういつプロ辞めるんだろう」とずっと思いながらやっていました。1勝しても2勝しても、ずっと苦しかったです。

──やっぱりIGLとしてチームを率いている立場として、という部分も?

misaya選手:そうですね、それもありました。

──コーチの立場からはどうですか?

ikedamaruコーチ:Split 1でFENNELに2連敗して、結局5〜6位で終わったことに責任を感じて坊主にしました。そうやってチームの雰囲気を明るくしつつも、シリアスにやらなければいけない、という話もして。みんなが真剣に取り組んでいるからこそ、こんなに仲良さそうに見えるチームでも喧嘩は起きるし、多分それがいい練習になったと思います。

でも、「Advance Stage」を戦っている最中は、僕も「明日クビになるかもしれない」という気持ちで、毎日震えていましたね(笑)。

──ikedamaruコーチは、以前のmltdwn(めるとだうん)から改名もされていますよね。

ikedamaruコーチ:3年くらい所属していたFENNELからQT DIG∞に移籍してきて、1年間で通算1勝と、僕が入ってから負けすぎていて。それが僕の名前とか、FENNELに対してリスペクトを持ちすぎているという話も出たりして、心機一転しようということで名前と髪をまっさらにしました。

──今年の頭にXで「チームの悪いところ募集」みたいなポストをされていましたが、集まった意見に参考になるものはありましたか?

ikedamaruコーチ:かなり知見は得られていて、一般の方からも声はいただいたんですけど、一番良かったのがあれをきっかけにチームに携わってくれる人がふたり増えたんです。

ひとりは体のサポートをしてくれる方で、トレーニングとか練習のストレッチで、疲労軽減とかを手伝ってくださって。もうひとりは完全に戦術部分で、すでに一緒に働いてもらっています。


Split 2で大化けしたYuran、KIPPEI


──チームメンバーの中で、特に成長した選手は?

misaya選手:成長率でいったらやっぱりKIPPEIちゃんですね。最初は“フィジカルだけ”って感じだったんですけど(笑)、Norisenさんとかコーチからのフィードバックや僕とも話してどんどんうまいスモークになっていきました。

ikedamaruコーチ:NOBITAかな。たまに怒るんですけど、一番頑張っていると感じます。成長したのは、僕から見ているとリョウタかなと思いますね。あまりこういう褒め方はしないのでちょっと恥ずかしいですけど。KIPPEIちゃんはかわいいですね。いつも通りずっと頑張ってます。

──経験が長くなるとだんだん成長しにくくなりますが、それでもmisaya選手の伸びはすごかったですか?

ikedamaruコーチ:いや、今年は本当にやばいですよ、こいつ。フィジカルが注目されていますが、IGLがマジでうまくなったと思う瞬間が多くて。

俺らは「将棋」って呼んでるんですけど、1ラウンドを通してこうやったらもっとよかったんじゃないか、みたいな振り返りを画面を見ながらやっていったんです。その効果が出ました。そもそも本人も努力しているので、一気に伸びたしここからまた伸びると思います。

──2024年のSplit 3から加入したYuran選手はどうですか?

misaya選手:Yuranはかなりプレースタイルが変わりましたね。当時、センチネル枠でトライアウトしていたんですけど、Yuranはどちらかというとセーフティで、たまにアグレッシブみたいなイメージが僕はあったんです。だけど、ここ最近は本当にマップコントロールにおいてエリアが広くて、トライする瞬間が増えました。人間性はもうあんな感じで、ずっとニコニコしてます。

ikedamaruコーチ:Yuranは最近めっちゃ頑張ってるし、プレースタイルを変えてから本当に良くなりました。それこそSplit 1が終わった後に募集したXの意見の中に、「Yuranのポジション、変えてやれよ」みたいな意見もあって、実際に検討したんですよ。

で、Yuranとも話して、ロールは一緒ですけど、リョウタともっとコミュニケーションを取るポジションにしてだいぶ化けました。


世界との小さくて大きい“ちょっとの差”とは


──今回オフラインに出場する4チームを含め、日本で戦っているチームと世界を比べた時に、QT DIG∞はどれくらいのレベルだと感じていますか?

misaya選手:難しい質問ですね……。去年Jinboongとgatoradaがいた時は、開催地が日本だったじゃないですか。なので、海外から来た「Masters Tokyo」のチームともスクリムしていて、感触は正直悪くなかったんです。個人的には、今「Pacific」リーグが世界のリーグの中で一番強いと思っているので、EMEAとかは意外といけるかなって思っていますね。これ、やばいね(笑)。

ikedamaruコーチ:僕は、今年に入ってからほとんどリーグで負けてはいるんですけど、そこから学ぶことが多くて、大会本番では戦績がいいということが多いですね。結構海外との差はあるとは思うけどな。

misaya選手:僕はEMEAとかNAで言うとG2とかの試合を見ていて、さすがにうまいとは思うんですけど、すごく大きな差があるというより、ちょっとの差がずっと埋まらない感じがしていて。そのちょっとの差を埋めるのが途方もなく大変なんだろうけど、それを埋められたら、多分「Pacific」でも通用するのかなと思います。

──より具体的には、その「小さいけれど大きな差」というのはどんなものなんでしょう?

misaya選手:なんていうか……アングルコールとかプレーコールとか、本当にすごく細かい部分で。例えばプレーコールでも正解はないと思いますが、6割と4割の択で、「Pacific」のチームはいつも6割の拓を出せるんだけど、僕たちは4割の方が多いとか。

──それは努力で埋められる?

misaya選手:そうですね、もちろんそこは努力です。

※ ※ ※

改名などもありつつ、「Advance Stage」を泳ぎ切った胆力など勢いに乗っているQT DIG∞。REJECT戦後のインタビューでは「オフラインダンスバトル」についてふれるなど、念願叶ったという雰囲気が伝わってきた。

メインステージの戦績的には4番手のQT DIG∞だが、持ち前の爆発力と新生チームとしてのフレッシュさで、幕張メッセでもいい意味でやらかしてくれるに違いない。

オフラインで開催されるPlayoff Finalsは5月17日(土)〜18日(日)にかけて行われる。


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