【SHG FATE選手 「LCP」現地インタビュー】「使える日本語も増えてコミュニケーションは良くなってきている」

『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)のアジア太平洋地域の大会「LCP 2025 Mid Season」が2025年4月19日(土)に開幕した。
昨シーズンは無観客のスタジオで試合が行われていたが、今シーズンからは「LCP Arena」という有観客の競技場での開催。開幕戦ということもあり、この日のチケットは完売。満員の観客が見守るなかで熱い試合が繰り広げられた。
シーズン初戦のMatch 1では、日本のFukuoka SoftBank HAWKS gaming(SHG)が登場し、ベトナムのMGN Vikings Esports(MVKE)と対戦。Bo3で行われたゲーム1、SHGは終始苦しい展開を強いられ、相手のスノーボールを許してしまう形となった。続くゲーム2は序盤からいい形の試合展開ができていたものの、中盤にヘラルドの召喚をうまく使えなかったあたりから試合が傾き始める。MVKEの素早い試合展開に対応しきれなかったSHGは、最終的にネクサスを破壊され試合終了。これによりSHGは0-2で敗北となり、初戦から苦しいスタートとなった。
筆者は現地取材を行っており、試合終了後にSHGのFATE選手に直接お話を聞くことができたので、その時の模様をお届けしたい。

──今日の試合は残念ながら敗北となりましたが、振り返ってみていかがですか。
FATE:勝てたら一番良かったんですけど、勝てなくても底力があるところを見せなければならなかったと思います。ですが、大きく差をつけられて負けてしまったのですごく悔しいです。
──それでも2戦目の序盤は悪くなかったのでは?
FATE:個人的には2戦目も苦しかったので、1戦目よりは良かったですけど、すごく有利という感じでもなかったのが残念だったなと思いました。
──では、ズバリ敗因は何だったと思いますか。
FATE:『LoL』のチャンピオンはすごく多いので、ひとつ変わるだけでも構成の種類がかなり多くなるじゃないですか。僕らが「LCP」チームとあまり練習できていないこともあるのですが、フィアレスドラフトで対戦相手がやりそうな構成や、それに対してこちらがどのように対応すればいいか、どんな構成で当たるのが一番いいかというところで、チームとしてうまく対処できなくて崩れてしまったんだと思います。
具体的に言うと、ゲーム2でパイクやフェイのような一般的によく使われないチャンピオンが出た場合、自分たちの構成をどう組み立ててどのようにゲームを進めれば効率的か、ということをうまく適用させられなくて、そういった面で振り回されてしまいました。
──チームとして難しいと感じているのはどんな点でしょうか。
FATE:「LCP」というリーグ自体が複数のリージョンが合わさってできた大会なので、チームごとのカラーがあまりにも違い過ぎるし、好んで使用するチャンピオンなんかも全然違うんです。そういう意味でバンピックが非常に難しいという点がありますね。

──「Mid Season」を迎えるにあたって、チーム的にどういった準備をしてきましたか。
FATE:昨シーズンはみんなのパフォーマンスがうまく出せなかったので、うまくいかなかった部分をいろいろと修正しようと練習してきました。
たとえば、序盤のマクロ的な部分ではジャングル・サポートの考えが大きく反映されるので、そこのふたりが果敢に決めてプレーしていけるよう、チームとして合わせて助け合っていこうということで何度もトライしたり。それと、勝つためにはどうしたらいいか、ということもすごく考えました。
──では、いまのチームの雰囲気はいかがですか。
FATE:やっぱり一緒に過ごしていると、昨シーズンよりも日本語がすごく上達した、とまではいかないですけど、使える言葉の数も増えてコミュニケーションは良くなってきていると思います。会話も以前よりは楽になってきたので、みんなでふざけ合ったりもしていますよ(笑)。だからチームの雰囲気としては悪くないんですけど、パフォーマンスが出せていないのがちょっと残念ですね。
──コミュニケーションの話も聞きたいと思っていましたが、良くなってきているんですね。では、FATE選手がゲーム内でよく使う日本語はありますか。
FATE:何かひとつの言葉をよく使うみたいなことはないと思います。ただ、以前は簡単に「敵が先に来る」としか言えなかったところを、今は「相手もTPあるから、向こうがTP使わないなら俺も行かない」みたいな感じで具体的に言えるようにはなってきましたね。
──すごいですね。じゃあそろそろ日本語でインタビューも……?
FATE:それはまだ無理です、タメ口しか話せなのんで(苦笑)。文法とかもきちんとできていないですし、なんとか通じるレベルって感じなので、インタビューのようにきちんとした場で話すのはまだまだ難しいと思います。

──今シーズンからお客さんのいる競技場で試合が行われるようになりましたが、この「LCP Arena」はいかがですか。
FATE:僕は「LCK」にいたときの試合会場だった「LoL Park」しか行ったことがなかったので、こうして新しい競技場ができてちょっと不思議な感じがしました。
昨シーズンはお客さんがいなかったので活気のある感じではなかったんですけど、いまは現場の雰囲気が感じられるので、試合をするときの気分的にもすごくいいですね。大会で戦っている実感も沸く感じがします。
──今もお話が出ましたが「LCK」経験者のFATE選手から見て、「LCK」と「LCP」の違いってどんなところにあると思いますか。
FATE:「LCK」では個人に対して要求されるスキルのレベルが高いので、フィードバックも簡単な内容よりは、効率性の高い行動をするためのフィードバックをよくする感じがします。それに対して「LCP」は、基礎的な部分だったり、チーム的な動きだったりっていうところを重視している点が大きく違うと思います。
──そういった「LCP」ならではの練習の仕方には慣れてきましたか。
FATE:やること自体は難しいことではないんですけど、チームとしてうまくなるにはそういったスタイルをどんどん追求していかなければならないので、もう少し時間がかかりそうです。
──では、今シーズンの意気込みを聞かせてください。
FATE:今シーズンはせっかく会場で応援してくださるファンの方もいらっしゃるので、なるべくうまいところをお見せできるように頑張りたいと思います。
──最後に日本のファンの皆さんへメッセージをお願いします。
FATE:僕はSNSもやっていないですし、日本のファンの皆さんとコミュニケーションをとる機会がなかなかないのが残念ですが、チームがもっと調子を上げて僕の日本語の能力ももう少し上がったら、日本の皆さんと交流できるような機会が増えたらいいなと思っています。いつも応援ありがとうございます。

初戦の結果はSHGにとって想定より厳しいものになったが、FATE選手本人は落ち込んでいるという印象もなく、次に向けてすでに気持ちを切り替えているような印象を受けた。難しい状況が垣間見えるインタビューではあったが、SHGがここからひとつでも上へと這い上がっていくことを期待したい。
SHGの次戦は4月26日(土)21時頃(Match 1終了後)にGAM Esports戦が予定されている。
福岡ソフトバンクホークスゲーミング:https://gaming.softbankhawks.co.jp/
昨シーズンは無観客のスタジオで試合が行われていたが、今シーズンからは「LCP Arena」という有観客の競技場での開催。開幕戦ということもあり、この日のチケットは完売。満員の観客が見守るなかで熱い試合が繰り広げられた。
シーズン初戦のMatch 1では、日本のFukuoka SoftBank HAWKS gaming(SHG)が登場し、ベトナムのMGN Vikings Esports(MVKE)と対戦。Bo3で行われたゲーム1、SHGは終始苦しい展開を強いられ、相手のスノーボールを許してしまう形となった。続くゲーム2は序盤からいい形の試合展開ができていたものの、中盤にヘラルドの召喚をうまく使えなかったあたりから試合が傾き始める。MVKEの素早い試合展開に対応しきれなかったSHGは、最終的にネクサスを破壊され試合終了。これによりSHGは0-2で敗北となり、初戦から苦しいスタートとなった。
筆者は現地取材を行っており、試合終了後にSHGのFATE選手に直接お話を聞くことができたので、その時の模様をお届けしたい。
「LCP」はチームカラーが違いすぎてバンピックが難しい

──今日の試合は残念ながら敗北となりましたが、振り返ってみていかがですか。
FATE:勝てたら一番良かったんですけど、勝てなくても底力があるところを見せなければならなかったと思います。ですが、大きく差をつけられて負けてしまったのですごく悔しいです。
──それでも2戦目の序盤は悪くなかったのでは?
FATE:個人的には2戦目も苦しかったので、1戦目よりは良かったですけど、すごく有利という感じでもなかったのが残念だったなと思いました。
──では、ズバリ敗因は何だったと思いますか。
FATE:『LoL』のチャンピオンはすごく多いので、ひとつ変わるだけでも構成の種類がかなり多くなるじゃないですか。僕らが「LCP」チームとあまり練習できていないこともあるのですが、フィアレスドラフトで対戦相手がやりそうな構成や、それに対してこちらがどのように対応すればいいか、どんな構成で当たるのが一番いいかというところで、チームとしてうまく対処できなくて崩れてしまったんだと思います。
具体的に言うと、ゲーム2でパイクやフェイのような一般的によく使われないチャンピオンが出た場合、自分たちの構成をどう組み立ててどのようにゲームを進めれば効率的か、ということをうまく適用させられなくて、そういった面で振り回されてしまいました。
──チームとして難しいと感じているのはどんな点でしょうか。
FATE:「LCP」というリーグ自体が複数のリージョンが合わさってできた大会なので、チームごとのカラーがあまりにも違い過ぎるし、好んで使用するチャンピオンなんかも全然違うんです。そういう意味でバンピックが非常に難しいという点がありますね。
チームの雰囲気は悪くないがパフォーマンスが出せず残念

──「Mid Season」を迎えるにあたって、チーム的にどういった準備をしてきましたか。
FATE:昨シーズンはみんなのパフォーマンスがうまく出せなかったので、うまくいかなかった部分をいろいろと修正しようと練習してきました。
たとえば、序盤のマクロ的な部分ではジャングル・サポートの考えが大きく反映されるので、そこのふたりが果敢に決めてプレーしていけるよう、チームとして合わせて助け合っていこうということで何度もトライしたり。それと、勝つためにはどうしたらいいか、ということもすごく考えました。
──では、いまのチームの雰囲気はいかがですか。
FATE:やっぱり一緒に過ごしていると、昨シーズンよりも日本語がすごく上達した、とまではいかないですけど、使える言葉の数も増えてコミュニケーションは良くなってきていると思います。会話も以前よりは楽になってきたので、みんなでふざけ合ったりもしていますよ(笑)。だからチームの雰囲気としては悪くないんですけど、パフォーマンスが出せていないのがちょっと残念ですね。
──コミュニケーションの話も聞きたいと思っていましたが、良くなってきているんですね。では、FATE選手がゲーム内でよく使う日本語はありますか。
FATE:何かひとつの言葉をよく使うみたいなことはないと思います。ただ、以前は簡単に「敵が先に来る」としか言えなかったところを、今は「相手もTPあるから、向こうがTP使わないなら俺も行かない」みたいな感じで具体的に言えるようにはなってきましたね。
──すごいですね。じゃあそろそろ日本語でインタビューも……?
FATE:それはまだ無理です、タメ口しか話せなのんで(苦笑)。文法とかもきちんとできていないですし、なんとか通じるレベルって感じなので、インタビューのようにきちんとした場で話すのはまだまだ難しいと思います。
チームとしてのスタイルを追求するには時間がかかりそう

──今シーズンからお客さんのいる競技場で試合が行われるようになりましたが、この「LCP Arena」はいかがですか。
FATE:僕は「LCK」にいたときの試合会場だった「LoL Park」しか行ったことがなかったので、こうして新しい競技場ができてちょっと不思議な感じがしました。
昨シーズンはお客さんがいなかったので活気のある感じではなかったんですけど、いまは現場の雰囲気が感じられるので、試合をするときの気分的にもすごくいいですね。大会で戦っている実感も沸く感じがします。
──今もお話が出ましたが「LCK」経験者のFATE選手から見て、「LCK」と「LCP」の違いってどんなところにあると思いますか。
FATE:「LCK」では個人に対して要求されるスキルのレベルが高いので、フィードバックも簡単な内容よりは、効率性の高い行動をするためのフィードバックをよくする感じがします。それに対して「LCP」は、基礎的な部分だったり、チーム的な動きだったりっていうところを重視している点が大きく違うと思います。
──そういった「LCP」ならではの練習の仕方には慣れてきましたか。
FATE:やること自体は難しいことではないんですけど、チームとしてうまくなるにはそういったスタイルをどんどん追求していかなければならないので、もう少し時間がかかりそうです。
──では、今シーズンの意気込みを聞かせてください。
FATE:今シーズンはせっかく会場で応援してくださるファンの方もいらっしゃるので、なるべくうまいところをお見せできるように頑張りたいと思います。
──最後に日本のファンの皆さんへメッセージをお願いします。
FATE:僕はSNSもやっていないですし、日本のファンの皆さんとコミュニケーションをとる機会がなかなかないのが残念ですが、チームがもっと調子を上げて僕の日本語の能力ももう少し上がったら、日本の皆さんと交流できるような機会が増えたらいいなと思っています。いつも応援ありがとうございます。

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初戦の結果はSHGにとって想定より厳しいものになったが、FATE選手本人は落ち込んでいるという印象もなく、次に向けてすでに気持ちを切り替えているような印象を受けた。難しい状況が垣間見えるインタビューではあったが、SHGがここからひとつでも上へと這い上がっていくことを期待したい。
SHGの次戦は4月26日(土)21時頃(Match 1終了後)にGAM Esports戦が予定されている。
福岡ソフトバンクホークスゲーミング:https://gaming.softbankhawks.co.jp/
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