【Apex Legends 開発者インタビュー】「シーズン23でタップストレイフが消えた調整は意図的。エイムアシストは常に監視している」——Josh Mohan氏が語るアップデートの意図とは
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2025年1月29日(水)から2月2日(日)の5日間にかけて札幌で開催された『Apex Legends』の世界大会「Apex Legends Global Series(ALGS) Year 4 Championship」。その最中に『Apex Legends』のゲームデザインなどを担当するJosh Mohan氏にインタビューすることができた。
日本開催のALGSの雰囲気やS23のアップデートで一時的に消えたキャラコンについて、競技シーンの変化などなど、気になることをうかたがったのでその様子をお届けしよう。
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——初めて日本でALGSが開催されたと思います。日本と海外の会場やファンの違いはありましたか。
Josh Mohan:会う方々がみんな情熱をもって接してくれて、ファンの方やコスプレーヤーさんとも交流しましたが、みなさんポジティブな話ばかりでした。初開催の日本で史上最大規模の会場にも関わらず、最終日はチケットが売り切れになるほどの人気ぶりで、非常にうれしいです。
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——今回大きなアップデートが入って初めての大会だったと思いますが、大会を通して感じたことはありますか。
Josh Mohan:武器のピック率も変わってきて、その武器とシナジーのあるレジェンドが選ばれるようになりました。中でも、ランパートがとても使われるようになりましたし、ローバやミラージュもピックされるようになりました。このALGSという競技的に一番レベルの高い舞台でミラージュが使われるというのは本当に面白いなと思います。
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——本大会で印象に残っているシーンはありますか。
Josh Mohan:時間を見つけてスタンドから観戦していたのですが、Fnaticがいいプレーをしたときに歓声が凄くてFnaticのファンが多いなという印象がありました。ただ、日本だけでなく世界各地からもファンが来ているのを見ていますし、特にフランスは国旗を持った一団が来ていましたね。
——S23のミッドシーズンパッチでタップストレイフ(空中で急な方向転換する移動テクニック)が消えるという変更があり、その後元に戻ったと思います。この変更には何か意図があったのでしょうか。
Josh Mohan:私たちはfpsが高い低いといったPCの性能によって決まる有利をできるだけなくしたいと考えています。今回はこの考えのもと変更を加えたのですが、コミュニティから戻してほしいという声が多くて戻しました。
——将来的にはPADのエイムアシストもどんどん下げていくのでしょうか。
Josh Mohan:去年調整を入れていますが、まだ完璧とは言えないので引き続き監視しています。ゲーム内の勝率などを見て、必要であれば再び調整しようかなと考えています。
——『Apex Legends』はかなり前からクロスプレーができるようになっていると思いますが、プラットフォームを分けないことへのこだわりはありますか。
Josh Mohan:現状、クロスプレーの切り替えはできるようになっていますが、オフにした場合マッチメイキングがゆっくりになるのでプレーヤーにとって良くないものになると思います。
また、『Apex Legends』は1マッチ60人と規模が大きく、クロスプレーをオンにしないとゲーム体験を損ねてしまう可能性があります。何より、クロスプレーを導入したのはどのプラットフォームで遊んでも友達と一緒にプレーできるような環境を作るためだったので、現時点ではクロスプレーを無くす予定はありません。ただ、キーボード&マウスのプレーヤーも、PADのプレーヤーも同じような体験ができること、これをすごく大切にしています。
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——レジェンドや武器の調整というのはどのようにして決めているのでしょうか。
Josh Mohan:コミュニティの声とデータの両方を見て決めています。私たちは常にコミュニティの声に耳を傾けていますが、それだけでは足りないので勝率や使用率といったデータも参考にしています。
また、ライフラインのように能力が古いなと感じたレジェンドがいたら調整を検討しています。以前のライフラインはアビリティが限定的で、アルティメットも古いなと感じていたので調整しました。
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——今まで多くのアップデートを行ってきたと思いますが、アップデートを行っていく中で大変だったことはありますか。
Josh Mohan:デザイナーとしてはパッチをリリースしたあと、プレーヤーがどういう風にリアクションするのか目星をつけるためにものすごい時間をかけてプレーテストをします。それに加えて、データを見たり、コミュニティのフィードバックを見て、多分こうなるだろう、こういうフィックスを入れたほうがいいなというのは常に考えています。
最近で言えばアキンボのモザンビークですね。これは次のシーズンを待たずしてパッチを新しく出しましたし、バランスが崩壊したニューキャッスルの金のノックダウンシールドもそうです。今後はできるだけ早くリアルタイムで直していきたいなと思っています。
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——さまざまなマップが登場してきたと思いますが、マップによってコンセプトというのはあるのでしょうか。
Josh Mohan:各マップにはデザインゴールと呼ばれる意図するものがあります。どのマップも個性を持たせて、マップ固有のユーザー体験ができるようにデザインの意図とゴールを持っています。
最近のマップで言えば、Eディストリクトという夜をテーマにしたマップを実装しました。インスピレーションは日本やほかのアジアの国から得ています。競技性の高いマップでありながら縦への展開が特徴的ですし、屋内のバトルも結構あります。このマップは大成功を収めたと考えていて、その証拠に長らく追加されてこなかったALGSのマップにも採用されました。
いろいろ挙げていけば細かな例は出るのですが、結局は必要に応じて調整を加えていくのが大事です。
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——今後『Apex Legends』をどのように発展させていきたいのか教えてください。
Josh Mohan:『Apex Legends』の歴史を見ていくとさまざま変化がありましたが、私たちが目指しているものはマーケットの中で競技性の高いシューティングゲームを作ることです。その基礎となるものが動きであったり、動きながらの射撃です。
バトルロイヤルというゲームジャンルは競技的なものに馴染んでこなかったという意見がありますが、私たちは従来のバトルロイヤルの仕組みに手を加えて競技性の高いゲームを実現していると思います。
例えば、シーズン20で追加された進化シールドです。これまではランダムで獲得していたものを確実に手に入れられるようにしましたし、次のシーズン24では今までランダム性の高すぎたところのバランスを取って、自分の立てた戦略の通りにコントロールできるようなゲームにしていきます。
また、アーセナルステーションの追加によって自分の好きな武器でプレーできるようにしています。これはプロプレーヤーにとっても新しく入ってきたプレーヤーにとってうれしい変更だと思います。今後もこんな風にバランスを取っていきたいと考えています。
——ありがとうございました!
ゲーム中における不透明な部分がたくさん聞けた貴重なインタビューだった。個人的にはタップストレイフなどのキャラクターコントロール周りを意図的に変更しているということに驚いた。どのプラットフォームで遊んでいても同じ体験ができるようにしたいという思いが伝わってくる内容ではないだろうか。
また、競技シーン的な目線で見ると、POIドラフトや進化アーマーといったシステムは運要素が多いバトルロイヤルをできるだけ実力が反映されるように開発陣が設計したシステムだと知り、非常に感心した。
競技シーンにおいて、初動ファイトが起きたり、武器ガチャで負けたりというのを見ると少しやるせない気持ちだったのだが、それができるだけ起きないようになっているのでプレーする選手はもちろん、観戦勢としても非常にありがたいシステムだ。
シーズン24では確定で武器が手に入るアーセナルステーションが追加され、より武器ガチャの要素が減ったシーズンが到来する。プレーしていて確定で同じ武器が使えるというのは安心感があるし、競技シーン目線で見てもランドマークにアーセナルステーションの要素が追加されるので、より面白くなるだろう。
これからもシステムが変更、追加されていくであろう『Apex Legends』。どんな風に面白くなっていくのか、これから先のシーズンに期待が高まる。
■関連リンク
公式サイト:
https://www.ea.com/ja-jp/games/apex-legends/compete
撮影:フリーダム山中
編集:いのかわゆう
日本開催のALGSの雰囲気やS23のアップデートで一時的に消えたキャラコンについて、競技シーンの変化などなど、気になることをうかたがったのでその様子をお届けしよう。
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▲今回インタビューに応じてくれたのは『Apex Legends』のゲームデザインなどを担当しているJosh Mohan氏だ
開発者インタビュー
——初めて日本でALGSが開催されたと思います。日本と海外の会場やファンの違いはありましたか。
Josh Mohan:会う方々がみんな情熱をもって接してくれて、ファンの方やコスプレーヤーさんとも交流しましたが、みなさんポジティブな話ばかりでした。初開催の日本で史上最大規模の会場にも関わらず、最終日はチケットが売り切れになるほどの人気ぶりで、非常にうれしいです。
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▲史上最大規模の会場でも最終日はほとんどの席が埋まるほど人が詰めかけていた。本作の人気の高さがうかがえた
——今回大きなアップデートが入って初めての大会だったと思いますが、大会を通して感じたことはありますか。
Josh Mohan:武器のピック率も変わってきて、その武器とシナジーのあるレジェンドが選ばれるようになりました。中でも、ランパートがとても使われるようになりましたし、ローバやミラージュもピックされるようになりました。このALGSという競技的に一番レベルの高い舞台でミラージュが使われるというのは本当に面白いなと思います。
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▲直前のアップデートで強化されたということもあり、世界大会で採用されたミラージュ。回復中に透明になれる能力が活躍していたと感じた(https://www.youtube.com/live/qUvuGezWkOA?si=xk1I0GTvKy7yxuy6&t=6739)
——本大会で印象に残っているシーンはありますか。
Josh Mohan:時間を見つけてスタンドから観戦していたのですが、Fnaticがいいプレーをしたときに歓声が凄くてFnaticのファンが多いなという印象がありました。ただ、日本だけでなく世界各地からもファンが来ているのを見ていますし、特にフランスは国旗を持った一団が来ていましたね。
Fnaticチャンピオンの瞬間 pic.twitter.com/MeEdyrRrkl
— フリーダム山中 (@free_ymnk) January 29, 2025
▲日本チームのチャンピオンですごい歓声。日本チームへの期待がうかがえる歓声だった
——S23のミッドシーズンパッチでタップストレイフ(空中で急な方向転換する移動テクニック)が消えるという変更があり、その後元に戻ったと思います。この変更には何か意図があったのでしょうか。
Josh Mohan:私たちはfpsが高い低いといったPCの性能によって決まる有利をできるだけなくしたいと考えています。今回はこの考えのもと変更を加えたのですが、コミュニティから戻してほしいという声が多くて戻しました。
——将来的にはPADのエイムアシストもどんどん下げていくのでしょうか。
Josh Mohan:去年調整を入れていますが、まだ完璧とは言えないので引き続き監視しています。ゲーム内の勝率などを見て、必要であれば再び調整しようかなと考えています。
——『Apex Legends』はかなり前からクロスプレーができるようになっていると思いますが、プラットフォームを分けないことへのこだわりはありますか。
Josh Mohan:現状、クロスプレーの切り替えはできるようになっていますが、オフにした場合マッチメイキングがゆっくりになるのでプレーヤーにとって良くないものになると思います。
また、『Apex Legends』は1マッチ60人と規模が大きく、クロスプレーをオンにしないとゲーム体験を損ねてしまう可能性があります。何より、クロスプレーを導入したのはどのプラットフォームで遊んでも友達と一緒にプレーできるような環境を作るためだったので、現時点ではクロスプレーを無くす予定はありません。ただ、キーボード&マウスのプレーヤーも、PADのプレーヤーも同じような体験ができること、これをすごく大切にしています。
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▲ロビーで事前に検知して、PCはPC同士、コンソールはコンソール同士でマッチするようだ
——レジェンドや武器の調整というのはどのようにして決めているのでしょうか。
Josh Mohan:コミュニティの声とデータの両方を見て決めています。私たちは常にコミュニティの声に耳を傾けていますが、それだけでは足りないので勝率や使用率といったデータも参考にしています。
また、ライフラインのように能力が古いなと感じたレジェンドがいたら調整を検討しています。以前のライフラインはアビリティが限定的で、アルティメットも古いなと感じていたので調整しました。
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▲リワークが入る前にも競技シーンで採用しているチームがいた。それがEMEA地域のAURORAだ。安置外ムーブを得意とし、回復できるライフラインを生かした戦い方だった(https://www.youtube.com/live/pV8Oi_OrwzM?si=9u1Q1xo2BwBjctL6&t=6222)
——今まで多くのアップデートを行ってきたと思いますが、アップデートを行っていく中で大変だったことはありますか。
Josh Mohan:デザイナーとしてはパッチをリリースしたあと、プレーヤーがどういう風にリアクションするのか目星をつけるためにものすごい時間をかけてプレーテストをします。それに加えて、データを見たり、コミュニティのフィードバックを見て、多分こうなるだろう、こういうフィックスを入れたほうがいいなというのは常に考えています。
最近で言えばアキンボのモザンビークですね。これは次のシーズンを待たずしてパッチを新しく出しましたし、バランスが崩壊したニューキャッスルの金のノックダウンシールドもそうです。今後はできるだけ早くリアルタイムで直していきたいなと思っています。
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▲リリース当初からネタ武器とされてきたモザンビークがまさかの強化。当時は強すぎて競技シーンを見るとどのプレーヤーも2丁持ちモザンビークばかりだった(https://www.youtube.com/live/M3Y1h2kZuGE?si=0nkVwCJ3ZK0D3XFV&t=14322)
——さまざまなマップが登場してきたと思いますが、マップによってコンセプトというのはあるのでしょうか。
Josh Mohan:各マップにはデザインゴールと呼ばれる意図するものがあります。どのマップも個性を持たせて、マップ固有のユーザー体験ができるようにデザインの意図とゴールを持っています。
最近のマップで言えば、Eディストリクトという夜をテーマにしたマップを実装しました。インスピレーションは日本やほかのアジアの国から得ています。競技性の高いマップでありながら縦への展開が特徴的ですし、屋内のバトルも結構あります。このマップは大成功を収めたと考えていて、その証拠に長らく追加されてこなかったALGSのマップにも採用されました。
いろいろ挙げていけば細かな例は出るのですが、結局は必要に応じて調整を加えていくのが大事です。
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▲今回の大会でさまざまな名シーンを生み出したEディストリクト。GoNext Esportsがマッチポイントチームのチャンピオンを止めて試合を終わらせなかったのもこのEディストリクトだ(https://www.youtube.com/live/wZrSckB1w5M?si=5yp7CygYfmzkxh3a&t=20103)
——今後『Apex Legends』をどのように発展させていきたいのか教えてください。
Josh Mohan:『Apex Legends』の歴史を見ていくとさまざま変化がありましたが、私たちが目指しているものはマーケットの中で競技性の高いシューティングゲームを作ることです。その基礎となるものが動きであったり、動きながらの射撃です。
バトルロイヤルというゲームジャンルは競技的なものに馴染んでこなかったという意見がありますが、私たちは従来のバトルロイヤルの仕組みに手を加えて競技性の高いゲームを実現していると思います。
例えば、シーズン20で追加された進化シールドです。これまではランダムで獲得していたものを確実に手に入れられるようにしましたし、次のシーズン24では今までランダム性の高すぎたところのバランスを取って、自分の立てた戦略の通りにコントロールできるようなゲームにしていきます。
また、アーセナルステーションの追加によって自分の好きな武器でプレーできるようにしています。これはプロプレーヤーにとっても新しく入ってきたプレーヤーにとってうれしい変更だと思います。今後もこんな風にバランスを取っていきたいと考えています。
——ありがとうございました!
———
ゲーム中における不透明な部分がたくさん聞けた貴重なインタビューだった。個人的にはタップストレイフなどのキャラクターコントロール周りを意図的に変更しているということに驚いた。どのプラットフォームで遊んでいても同じ体験ができるようにしたいという思いが伝わってくる内容ではないだろうか。
また、競技シーン的な目線で見ると、POIドラフトや進化アーマーといったシステムは運要素が多いバトルロイヤルをできるだけ実力が反映されるように開発陣が設計したシステムだと知り、非常に感心した。
競技シーンにおいて、初動ファイトが起きたり、武器ガチャで負けたりというのを見ると少しやるせない気持ちだったのだが、それができるだけ起きないようになっているのでプレーする選手はもちろん、観戦勢としても非常にありがたいシステムだ。
シーズン24では確定で武器が手に入るアーセナルステーションが追加され、より武器ガチャの要素が減ったシーズンが到来する。プレーしていて確定で同じ武器が使えるというのは安心感があるし、競技シーン目線で見てもランドマークにアーセナルステーションの要素が追加されるので、より面白くなるだろう。
これからもシステムが変更、追加されていくであろう『Apex Legends』。どんな風に面白くなっていくのか、これから先のシーズンに期待が高まる。
■関連リンク
公式サイト:
https://www.ea.com/ja-jp/games/apex-legends/compete
撮影:フリーダム山中
編集:いのかわゆう
【フリーダム山中プロフィール】
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2022年より活動を始めた新人ライター。RPGやアクション、シューティングなど、さまざまなジャンルのゲームを愛している。最近では『VALORANT』や『Apex Legends』、『リーグ・オブ・レジェンド』などの競技シーンを視聴しており、暇さえあれば日本の大会だけでなく、海外の大会も見るほど競技シーンが好き。
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2022年より活動を始めた新人ライター。RPGやアクション、シューティングなど、さまざまなジャンルのゲームを愛している。最近では『VALORANT』や『Apex Legends』、『リーグ・オブ・レジェンド』などの競技シーンを視聴しており、暇さえあれば日本の大会だけでなく、海外の大会も見るほど競技シーンが好き。
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