【『LoL』新人実況者・syouryuインタビュー〈後編〉】 「LJLアカデミー」から浪人時代を経て、晴れて「LCP」へ──2025年の意気込み
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『リーグ・オブ・レジェンド』の2025年シーズンから新たに公式キャスターに加わったsyouryu(ショウリュウ)氏へのインタビュー。
後編では、実況する中で心がけていること、2024年の挫折と努力、そして2025年シーズンへの意気込みや期待を語ってもらった。
──『LoL』との出会いから実況に携わるまでをうかがってきましたが、ご自身の実況の能力についてはどう思っていますか?
syouryu:うーん、あまり考えたことがないですが、いつも「人の記憶に残るような実況がしたい」と考えています。実は、専門学校時代からずっとeyesさんに教えを受けてきたのですが、基本的にはeyesさんベースの実況を心がけてきました。
ルーツは『Dota 2』スタイルの真似ですが、結果的に集団戦中のしゃべり方はイェーガーさんと似た考え方なのだと思います。よく配信のコメントで「ジェネリックイェーガー」と書かれたりもしますが、いまの「LJL」キャスターの中で、集団戦においてはイェーガーさんの実況が一番求められていると思うので嬉しいです。
──イェーガーさんの、試合状況を整理し視聴者に伝える能力はすごいですよね。
syouryu:僕としては、eyesさんとイェーガーさんの中間くらいになりたいんです。eyesさんの俯瞰的で解説との掛け合いを重視する実況と、イェーガーさんの集団戦での正確な実況の両方を目指したいです。年齢的にもeyesさん、katsudionさん、イェーガーさん、僕と、実況者は5歳ずつくらい離れているのでちょうどいいですよね。
──目標にされている「人の記憶に残るような実況」を行うために、どんな練習や努力をされたんですか?
syouryu:とにかく数をこなして、時々eyesさんからフィードバックをいただいて修正して、また数をこなして……という感じです。eyesさんからのアドバイスでは、実況と解説の役割分担を意識する『ターン』という概念が特に印象に残っています。
今は実況のターン、今は解説のターン……と意識することは、僕も自分の後輩に実況を教えるときに重点的に行っています。
──ちょっと公式大会での経験を振り返ってみると、2022年に「LJLアカデミー」でデビューしましたが、選手の顔も映されませんし、視聴者も決して多くはなかったと思います。当時はどんなモチベーションで取り組んでいたのでしょうか?
syouryu:1部リーグ(LJL)ほど反響はないにしても、コアなファンはアマチュア上がりの僕のことも見てくれていました。イェーガーさんがデビューして2年くらいの時期で、結構地盤も固まっていましたし、1部リーグは実況も解説も増えても減ってもいなかったので、新人という点でも僕たちに対する反響はありましたね。
──高評価、低評価、どちらが多かったですか? “LoL民”は厳しいことでも有名ですが……。
syouryu:それで言うと、褒められる方が多かったですね。当時から毎年1回くらい、僕のことを知らない人から「ジェネリックイェーガー」と呼ばれるようになって。
──この頃だったんですね。でも、誰かに似ていると言われるとちょっとへこみませんでしたか?
syouryu:へこみはしなかったです。「LJLアカデミー」でデビューした時点でもうイェーガーさんは評価されていましたし、イェーガーさんのように聞こえるということは、遜色なかったということですから。
──ポジティブですね。あまり壁にぶち当たることなくここまでこれた、という感じですか?
syouryu:いえ、壁は結構ありました。特に2024年シーズンは結構絶望しました。
──去年の実況というと……。
syouryu:2023年までは「LJLアカデミー」に加え、Afreeca TVで「LCK」の日本語実況も担当していたんです。ただ、2024年シーズン開幕時にAfreeca TVの日本語放送が終了し、「LJL」の運営も変わってしまって。
──「PCS」に統合されたことで、本拠地が台湾になりましたよね。
syouryu:そこで「LJLアカデミー」が今の体制ではなさそうだとわかって、もう『LoL』と付き合っていけないかも……というところまで悩みました。アマチュア大会はありましたが、ここまで2年間公式キャスターとしてやってきた人間が、一気に舞台を失うのは結構まずい……と。
そんな話をしていた時に、知り合いから『ポケモンユナイト』に誘われて、2024年シーズンは『ポケモンユナイト』をメインに活動していました。公式大会の「ユナイト甲子園」でもやらせていただけました。
──集団戦もあるし、マップ全体を見なきゃいけないという判断力も必要ですしね。
syouryu:篠原光さん(元日本テレビアナウンサー)や岸(大河)さん、平岩(康佑)さんのようなアナウンサータイプが多くて、ゲーマー上がりでMOBAを熟知しているキャスターは逆にいなかったこともあり、『ポケモンユナイト』界隈の人たちにはすんなり受け入れてもらえたかなとは感じました。
ただ、『LoL』もしゃべらないと腕が落ちるので、アマチュアで解説をしていたsaebaiolbe(せびおび)という子を捕まえて、「LEC」「LCK」「LCS」のアーカイブ映像で1日最低5ゲーム、最大10ゲームを年間630ゲームしゃべって、すべてYouTubeに載せるということもしていました。解説の子は546ゲームで解説してもらっています。
──630ゲームってとんでもない数ですね……。
syouryu:当時のチャンネルはもうなくなってしまったのですが、一番やばかった時は、土曜日の昼から始めて1人目が5試合、2人目が5試合と交代してもらって、僕はぶっ通しで合計10試合実況していました。
──想像しただけでも大変だ……。
syouryu:そうですね。630ゲームしゃべったという数字だけなら、おそらく「LJL」キャスターの皆さんの1年間の実況よりも多かったと思います。
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──そうした努力が実って今年、公式キャスターに加わりましたが、抜擢された経緯は?
syouryu:運営会社がプレイブレーンに戻り、eyesさんが解説もされることになって実況者が欲しいということで、「LJLアカデミー」をやっていた経験から呼んでくださったのだと思います。
──晴れて日本のトップカテゴリー、そして「LCP」でも実況することになったわけですが、実際に担当してみていかがでしたか?
syouryu:特に「LCP」初実況のSHGの試合は、緊張感がすごかったですね。「LJLアカデミー」の時にも、一応「ASCI」という国際大会があったのですが、ほとんど国際戦を実況する機会がなかったんです。
僕が見始めた2017年から「LJL」から必ず1チームが「MSI」や「Worlds」に出ていましたが、ずっとアイレボコンビ(eyes&Revol)が担当していました。ここ数年はイエリクコンビ(イェーガー&リクルート)とかカツネモコンビ(katsudion&Nemoh)もやっていましたが、「聖域」みたいな認識があったんです。
そんな中で、2024年の『PCS』で活躍したSHGの試合を、自分が実況するという緊張感がありました。しかも隣はeyesさんですから。
──私も純粋に驚きました。syouryuさんもそうですが、eyeさんが解説に回ったことも。
syouryu:SHGの試合を見たいと思ったファンにとっては、びっくりが2つあったから、結構注目度は高かったでしょうね。ただ、いいチャンスだとも思いました。多分見てくれている人が多いでしょうから。
──今年はそんなeyesさんとのコンビですね。
syouryu:そうですね、そもそもeyesさんの思考パターンを学んでいたおかげか、結構フィードバックはサクサク進んでいます。
──初の「LCP」で、しかも先生だったeyesさんとのコンビは緊張されました?
syouryu:eyesさんに対する緊張はありませんでしたが、「LCP」という舞台にはありましたね。最初は、「下手なことは言えないな」ということでした。
ファンは日本チームを応援するために日本語放送を見ていますが、実況者としては、今年から「LCP」は日本にとってもホームになったわけで、あくまでもどのチームにも中立でいなければなりません。そのあたりのいい塩梅を取るのが難しく、自分にできるのかという不安もありました。
──つまり、どのチームも公平に扱って、日本チームだけ優遇してはいけないと。
syouryu:はい、いちファンとしては日本チームを応援したい。ただ、国際戦でのDFM応援実況のようにしてしまうと、ファンの受けはいいでしょうが、APACのキャスターとしてどうなのか、という自覚もあったんです。
SHGも初戦は結構苦労していましたが、打ちのめされているSHGに対して下手なことを言うとファンが怒る。でもこの試合は正直CFOがうまくやったから、そっちは褒めなければいけないし……。
──たしかに日本のファンの気持ちを考えると難しいですが、eyesさんが暴れてくれましたね(笑)。
syouryu:SHG戦の前のGAM vs MVKEの試合が最初のコンビでしたが、eyesさんも「まだ1戦目で緊張している」とおっしゃっていて。どういうスタンスで来るのか、僕はわからなかったんです。それが、いざフタを開けたらGAMもMVKEも結構問題点を指摘するタイプで「このスタンスで来るのね」とは思いました。でも、驚きはしませんでしたね。個人配信ではいつもあんな感じの方なので。
ただ、SHG戦はかなりヒヤヒヤしました。SHGにもしっかり指摘するeyesさんに対して、僕は僕でとりあえず試合の実況をしなければなりませんし。
──ともすると、初実況のsyouryuさんを試しているのかな? とも思ったりしました(笑)。
syouryu:あの日の試合が終わって、「俺は(今年は)このスタイルで行くからよろしく」とだけ言っていました。僕としては、SHG:GAM=6:4くらいで、eyesさんのトゲトゲの部分をいい感じに削ぎ落として収める──キックオフシーズンはそれでいいんじゃないかと思います。
──あっという間にキックオフも終わりますが、今後の解説も楽しみですね。
syouryu:僕もです。でも、内心ちょっと怖くてヒヤヒヤもしています(笑)。
(※eyesさんが2025年から解説をするようになった真意は、後日インタビューにてお届けする予定です!)
──2025年シーズンの「LCP」「LJL」に向けた実況の目標を教えてください。
syouryu:今年は世界的にもレーンスワップが流行っているし、「力の偉業」とか「アタカン」も増えましたが、僕は年初めのシーズンはどうしてもわからないことが多いからこそ、実況・解説をきちんと聞こうと思ってくれるファンが多い時期だと思うんです。
なので、eyesさんが解説したことをわかりやすく噛み砕いて皆さんに伝えることが、僕がやらなくてはいけない仕事だと思っています。特にキックオフシーズンへの意気込みは大きいです。
──なるほど。
syouryu:日本チームについては、SHGのCourage選手、Fate選手、Gaeng選手の韓国人選手に注目しています。中でもFate選手は2024年の夏から「BRION」というチームに所属していて、「LCK」の実況をしていた時に、トリスターナで集団戦をひっくり返して勝った試合が印象的でした。底力のある選手がSHGに入ってくれたことはすごく楽しみです。Marble選手も年が1個上と近いこともあって、個人的に期待しています。
DFMは、ジャングルで新加入したGuwon選手がT1アカデミーにいた時代に、「ASCI」という国際大会で結構見ていました。あとは、ADCのkakkun選手も「LJLアカデミー」で実況していたので、親近感がありますね。
──これまで海外の試合やアカデミーを実況してきたことが生かせそうですね。SHGとDFMは厳しいスタートになりそうですが、どう見ていますか?
syouryu:変にプレッシャーを感じずに伸び伸びやってほしいです。メンバー変更もあり、多国籍チームということでまだコミュニケーションが難しいのかなと思います。特に、どのタイミングでスワップするか、戻すか、ファイトするかなどは、密にコミュニケーションを取らなければいけない部分だと思うので、そこで言語が違うのは大変そうです。
この課題を抱えているのは、多国籍なSHG、DFM、CHFの3チームだけ。逆に、Talon、Team Secret Whales、Viking Esportsあたりは、本当にずっと同じメンバーで揃えているので、高度な集団戦やマクロができていますから。なので、コミュニケーションの改善ができるまでは、日本チームには苦しい時間が続くのかなとは思いますね。
──最後に、ファンの方々に一言お願いします。
syouryu:新人ということもあって、まだまだ聞きづらい部分や改善しなければならない部分は多数ありますが、温かい目で見守っていただけるとうれしいです。
「LJL」キャスターの先人である3人の実況者と遜色ないような実況ができるように心がけていきますので、応援よろしくお願いします!
syouryu氏の実況を聞いてもらえればわかるとおり、各種名称の正確さや集団戦での的確な描写力は、「LJL」キャスターと比べてもかなりレベルが高いと感じる。それは、eyes氏からのアドバイスを受けてきたこと、「LJL」で手本となる先輩たちが、高いレベルで『LoL』の実況を行ってきた実績があればこそだろう。
いい意味で新人っぽくないのも、実況歴はすでに5年に及び、年間600試合以上も実況してきたと聞けば納得だ。あとは、本番での経験をさらに積み重ねていくのみ。
師匠であるeyes氏との掛け合いはもちろん、他の解説者との組み合わせも楽しみなsyouryu氏。「LJL」の大変革により国内競技シーンがややさみしくなりそうな状況ではあるが、新キャスターの参加で日本の『LoL』シーンに新たな風が吹くことを期待したい。
syouryuのX:https://x.com/syouryu0717
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後編では、実況する中で心がけていること、2024年の挫折と努力、そして2025年シーズンへの意気込みや期待を語ってもらった。
syouryuプロフィール
2001年生まれ。高校時代に「LJL 2017 Summer Split Finals」の配信で『LoL』に出会い、自らもプレイ。高校生限定大会出場のために普通科高校からN高等学校に転校する。卒業後は専門学校のキャスターコースで学びながら実況技術を磨き、2021年に学生として「全日本eスポーツ実況王決定戦」の初代王者に輝く。2022年には「LJLアカデミー」で公式大会の実況者デビューを果たし、Afreeca TVでの「LCK」実況なども担当。紆余曲折を経て、2025年に「LCP」「LJL」の実況者に就任した。高校時代はサポートだったが、メインロールはADC。最高ランクはプラチナで、好きなチャンプはザヤ、トリスターナ、カリスタ。
2001年生まれ。高校時代に「LJL 2017 Summer Split Finals」の配信で『LoL』に出会い、自らもプレイ。高校生限定大会出場のために普通科高校からN高等学校に転校する。卒業後は専門学校のキャスターコースで学びながら実況技術を磨き、2021年に学生として「全日本eスポーツ実況王決定戦」の初代王者に輝く。2022年には「LJLアカデミー」で公式大会の実況者デビューを果たし、Afreeca TVでの「LCK」実況なども担当。紆余曲折を経て、2025年に「LCP」「LJL」の実況者に就任した。高校時代はサポートだったが、メインロールはADC。最高ランクはプラチナで、好きなチャンプはザヤ、トリスターナ、カリスタ。
eyes先生の教え
──『LoL』との出会いから実況に携わるまでをうかがってきましたが、ご自身の実況の能力についてはどう思っていますか?
syouryu:うーん、あまり考えたことがないですが、いつも「人の記憶に残るような実況がしたい」と考えています。実は、専門学校時代からずっとeyesさんに教えを受けてきたのですが、基本的にはeyesさんベースの実況を心がけてきました。
ルーツは『Dota 2』スタイルの真似ですが、結果的に集団戦中のしゃべり方はイェーガーさんと似た考え方なのだと思います。よく配信のコメントで「ジェネリックイェーガー」と書かれたりもしますが、いまの「LJL」キャスターの中で、集団戦においてはイェーガーさんの実況が一番求められていると思うので嬉しいです。
──イェーガーさんの、試合状況を整理し視聴者に伝える能力はすごいですよね。
syouryu:僕としては、eyesさんとイェーガーさんの中間くらいになりたいんです。eyesさんの俯瞰的で解説との掛け合いを重視する実況と、イェーガーさんの集団戦での正確な実況の両方を目指したいです。年齢的にもeyesさん、katsudionさん、イェーガーさん、僕と、実況者は5歳ずつくらい離れているのでちょうどいいですよね。
──目標にされている「人の記憶に残るような実況」を行うために、どんな練習や努力をされたんですか?
syouryu:とにかく数をこなして、時々eyesさんからフィードバックをいただいて修正して、また数をこなして……という感じです。eyesさんからのアドバイスでは、実況と解説の役割分担を意識する『ターン』という概念が特に印象に残っています。
今は実況のターン、今は解説のターン……と意識することは、僕も自分の後輩に実況を教えるときに重点的に行っています。
実況の舞台を失った2024年は、年間630ゲームの個人実況
──ちょっと公式大会での経験を振り返ってみると、2022年に「LJLアカデミー」でデビューしましたが、選手の顔も映されませんし、視聴者も決して多くはなかったと思います。当時はどんなモチベーションで取り組んでいたのでしょうか?
syouryu:1部リーグ(LJL)ほど反響はないにしても、コアなファンはアマチュア上がりの僕のことも見てくれていました。イェーガーさんがデビューして2年くらいの時期で、結構地盤も固まっていましたし、1部リーグは実況も解説も増えても減ってもいなかったので、新人という点でも僕たちに対する反響はありましたね。
──高評価、低評価、どちらが多かったですか? “LoL民”は厳しいことでも有名ですが……。
syouryu:それで言うと、褒められる方が多かったですね。当時から毎年1回くらい、僕のことを知らない人から「ジェネリックイェーガー」と呼ばれるようになって。
──この頃だったんですね。でも、誰かに似ていると言われるとちょっとへこみませんでしたか?
syouryu:へこみはしなかったです。「LJLアカデミー」でデビューした時点でもうイェーガーさんは評価されていましたし、イェーガーさんのように聞こえるということは、遜色なかったということですから。
──ポジティブですね。あまり壁にぶち当たることなくここまでこれた、という感じですか?
syouryu:いえ、壁は結構ありました。特に2024年シーズンは結構絶望しました。
──去年の実況というと……。
syouryu:2023年までは「LJLアカデミー」に加え、Afreeca TVで「LCK」の日本語実況も担当していたんです。ただ、2024年シーズン開幕時にAfreeca TVの日本語放送が終了し、「LJL」の運営も変わってしまって。
──「PCS」に統合されたことで、本拠地が台湾になりましたよね。
syouryu:そこで「LJLアカデミー」が今の体制ではなさそうだとわかって、もう『LoL』と付き合っていけないかも……というところまで悩みました。アマチュア大会はありましたが、ここまで2年間公式キャスターとしてやってきた人間が、一気に舞台を失うのは結構まずい……と。
そんな話をしていた時に、知り合いから『ポケモンユナイト』に誘われて、2024年シーズンは『ポケモンユナイト』をメインに活動していました。公式大会の「ユナイト甲子園」でもやらせていただけました。
──集団戦もあるし、マップ全体を見なきゃいけないという判断力も必要ですしね。
syouryu:篠原光さん(元日本テレビアナウンサー)や岸(大河)さん、平岩(康佑)さんのようなアナウンサータイプが多くて、ゲーマー上がりでMOBAを熟知しているキャスターは逆にいなかったこともあり、『ポケモンユナイト』界隈の人たちにはすんなり受け入れてもらえたかなとは感じました。
6/15-6/16に開催される #ポケモンユナイト甲子園 で2年振りに実況を担当させていただきます🎙️
— syouryu⚖️esportsキャスター (@syouryu0717) June 10, 2024
青春の1ページを彩れるような実況を目指しますので、
是非!選手への応援よろしくお願いします📣
出場される高校生の皆さん‼️ファイティン💪#ポケモンユナイト https://t.co/3LeGg8XSLV
ただ、『LoL』もしゃべらないと腕が落ちるので、アマチュアで解説をしていたsaebaiolbe(せびおび)という子を捕まえて、「LEC」「LCK」「LCS」のアーカイブ映像で1日最低5ゲーム、最大10ゲームを年間630ゲームしゃべって、すべてYouTubeに載せるということもしていました。解説の子は546ゲームで解説してもらっています。
──630ゲームってとんでもない数ですね……。
syouryu:当時のチャンネルはもうなくなってしまったのですが、一番やばかった時は、土曜日の昼から始めて1人目が5試合、2人目が5試合と交代してもらって、僕はぶっ通しで合計10試合実況していました。
──想像しただけでも大変だ……。
syouryu:そうですね。630ゲームしゃべったという数字だけなら、おそらく「LJL」キャスターの皆さんの1年間の実況よりも多かったと思います。
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現在は公開されていないが、syouryuさんのPCには練習した記録がすべて残っている
「LCP」と「LJL」での実況スタンスの違い
──そうした努力が実って今年、公式キャスターに加わりましたが、抜擢された経緯は?
syouryu:運営会社がプレイブレーンに戻り、eyesさんが解説もされることになって実況者が欲しいということで、「LJLアカデミー」をやっていた経験から呼んでくださったのだと思います。
──晴れて日本のトップカテゴリー、そして「LCP」でも実況することになったわけですが、実際に担当してみていかがでしたか?
syouryu:特に「LCP」初実況のSHGの試合は、緊張感がすごかったですね。「LJLアカデミー」の時にも、一応「ASCI」という国際大会があったのですが、ほとんど国際戦を実況する機会がなかったんです。
僕が見始めた2017年から「LJL」から必ず1チームが「MSI」や「Worlds」に出ていましたが、ずっとアイレボコンビ(eyes&Revol)が担当していました。ここ数年はイエリクコンビ(イェーガー&リクルート)とかカツネモコンビ(katsudion&Nemoh)もやっていましたが、「聖域」みたいな認識があったんです。
そんな中で、2024年の『PCS』で活躍したSHGの試合を、自分が実況するという緊張感がありました。しかも隣はeyesさんですから。
──私も純粋に驚きました。syouryuさんもそうですが、eyeさんが解説に回ったことも。
syouryu:SHGの試合を見たいと思ったファンにとっては、びっくりが2つあったから、結構注目度は高かったでしょうね。ただ、いいチャンスだとも思いました。多分見てくれている人が多いでしょうから。
──今年はそんなeyesさんとのコンビですね。
syouryu:そうですね、そもそもeyesさんの思考パターンを学んでいたおかげか、結構フィードバックはサクサク進んでいます。
「LCP」でのアイショウコンビの初解説。SHG戦ではeyes節が炸裂した
──初の「LCP」で、しかも先生だったeyesさんとのコンビは緊張されました?
syouryu:eyesさんに対する緊張はありませんでしたが、「LCP」という舞台にはありましたね。最初は、「下手なことは言えないな」ということでした。
ファンは日本チームを応援するために日本語放送を見ていますが、実況者としては、今年から「LCP」は日本にとってもホームになったわけで、あくまでもどのチームにも中立でいなければなりません。そのあたりのいい塩梅を取るのが難しく、自分にできるのかという不安もありました。
──つまり、どのチームも公平に扱って、日本チームだけ優遇してはいけないと。
syouryu:はい、いちファンとしては日本チームを応援したい。ただ、国際戦でのDFM応援実況のようにしてしまうと、ファンの受けはいいでしょうが、APACのキャスターとしてどうなのか、という自覚もあったんです。
SHGも初戦は結構苦労していましたが、打ちのめされているSHGに対して下手なことを言うとファンが怒る。でもこの試合は正直CFOがうまくやったから、そっちは褒めなければいけないし……。
──たしかに日本のファンの気持ちを考えると難しいですが、eyesさんが暴れてくれましたね(笑)。
syouryu:SHG戦の前のGAM vs MVKEの試合が最初のコンビでしたが、eyesさんも「まだ1戦目で緊張している」とおっしゃっていて。どういうスタンスで来るのか、僕はわからなかったんです。それが、いざフタを開けたらGAMもMVKEも結構問題点を指摘するタイプで「このスタンスで来るのね」とは思いました。でも、驚きはしませんでしたね。個人配信ではいつもあんな感じの方なので。
ただ、SHG戦はかなりヒヤヒヤしました。SHGにもしっかり指摘するeyesさんに対して、僕は僕でとりあえず試合の実況をしなければなりませんし。
──ともすると、初実況のsyouryuさんを試しているのかな? とも思ったりしました(笑)。
syouryu:あの日の試合が終わって、「俺は(今年は)このスタイルで行くからよろしく」とだけ言っていました。僕としては、SHG:GAM=6:4くらいで、eyesさんのトゲトゲの部分をいい感じに削ぎ落として収める──キックオフシーズンはそれでいいんじゃないかと思います。
──あっという間にキックオフも終わりますが、今後の解説も楽しみですね。
syouryu:僕もです。でも、内心ちょっと怖くてヒヤヒヤもしています(笑)。
(※eyesさんが2025年から解説をするようになった真意は、後日インタビューにてお届けする予定です!)
syouryuの2025年「LCP」「LJL」注目ポイント
──2025年シーズンの「LCP」「LJL」に向けた実況の目標を教えてください。
syouryu:今年は世界的にもレーンスワップが流行っているし、「力の偉業」とか「アタカン」も増えましたが、僕は年初めのシーズンはどうしてもわからないことが多いからこそ、実況・解説をきちんと聞こうと思ってくれるファンが多い時期だと思うんです。
なので、eyesさんが解説したことをわかりやすく噛み砕いて皆さんに伝えることが、僕がやらなくてはいけない仕事だと思っています。特にキックオフシーズンへの意気込みは大きいです。
──なるほど。
syouryu:日本チームについては、SHGのCourage選手、Fate選手、Gaeng選手の韓国人選手に注目しています。中でもFate選手は2024年の夏から「BRION」というチームに所属していて、「LCK」の実況をしていた時に、トリスターナで集団戦をひっくり返して勝った試合が印象的でした。底力のある選手がSHGに入ってくれたことはすごく楽しみです。Marble選手も年が1個上と近いこともあって、個人的に期待しています。
DFMは、ジャングルで新加入したGuwon選手がT1アカデミーにいた時代に、「ASCI」という国際大会で結構見ていました。あとは、ADCのkakkun選手も「LJLアカデミー」で実況していたので、親近感がありますね。
──これまで海外の試合やアカデミーを実況してきたことが生かせそうですね。SHGとDFMは厳しいスタートになりそうですが、どう見ていますか?
syouryu:変にプレッシャーを感じずに伸び伸びやってほしいです。メンバー変更もあり、多国籍チームということでまだコミュニケーションが難しいのかなと思います。特に、どのタイミングでスワップするか、戻すか、ファイトするかなどは、密にコミュニケーションを取らなければいけない部分だと思うので、そこで言語が違うのは大変そうです。
この課題を抱えているのは、多国籍なSHG、DFM、CHFの3チームだけ。逆に、Talon、Team Secret Whales、Viking Esportsあたりは、本当にずっと同じメンバーで揃えているので、高度な集団戦やマクロができていますから。なので、コミュニケーションの改善ができるまでは、日本チームには苦しい時間が続くのかなとは思いますね。
──最後に、ファンの方々に一言お願いします。
syouryu:新人ということもあって、まだまだ聞きづらい部分や改善しなければならない部分は多数ありますが、温かい目で見守っていただけるとうれしいです。
「LJL」キャスターの先人である3人の実況者と遜色ないような実況ができるように心がけていきますので、応援よろしくお願いします!
※ ※ ※
syouryu氏の実況を聞いてもらえればわかるとおり、各種名称の正確さや集団戦での的確な描写力は、「LJL」キャスターと比べてもかなりレベルが高いと感じる。それは、eyes氏からのアドバイスを受けてきたこと、「LJL」で手本となる先輩たちが、高いレベルで『LoL』の実況を行ってきた実績があればこそだろう。
いい意味で新人っぽくないのも、実況歴はすでに5年に及び、年間600試合以上も実況してきたと聞けば納得だ。あとは、本番での経験をさらに積み重ねていくのみ。
師匠であるeyes氏との掛け合いはもちろん、他の解説者との組み合わせも楽しみなsyouryu氏。「LJL」の大変革により国内競技シーンがややさみしくなりそうな状況ではあるが、新キャスターの参加で日本の『LoL』シーンに新たな風が吹くことを期待したい。
syouryuのX:https://x.com/syouryu0717
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