【Riot Games ONE 2023】ZETA hiroronn選手インタビュー——日本一はまだ通過点、世界への道を選んだ理由とは

2023.12.13 まいる
ライアットゲームズによる2023年最後の集大成ともいえる一大イベント「Riot Games 2023」のオフラインイベントが12月2日(土)〜3日(日)に、Kアリーナ横浜で開催された。国内外の強豪4チームが対決する「PRO INVITATIONAL」が両日実施された。

▲出場チーム。左から🇸🇬Bleed Esports、🇯🇵DetonatioN FocusMe、🇪🇺NAVI、🇯🇵ZETA DIVISION

そんな出場チームの中から、今回は🇯🇵ZETA DIVISION(🇯🇵ZETA)をピックアップ。先月11月に新たなロスターが発表され、hiroronn・Yuranのアカデミー出身の選手が加入したばかり。Red Bull Home Groundでは当時アカデミーに所属していた選手がスタンドインで加入していたものの、今回は完全なフルロスターでの参戦。本当の意味での新生ZETAがお披露目されるということで、多くの人の期待が集まっていた。

▲左からJUNiOR(じゅにあ)コーチ、Dep(でっぷ)、Yuran(ゆらん)、SugarZ3ro(しゅがーぜろ)、hiroronn(ひろろん)、Laz(らず)

今回の「PRO INVITATIONAL」では、🇪🇺NAVIには破れたものの、🇯🇵DFMと🇸🇬BLDには勝利した好調な滑り出しだ。特に2戦目の🇸🇬Bleed Esports戦では、一時1:10という窮地に追い込まれたものの、攻守交代で一気に形勢逆転。怒涛の追い上げでオーバータイムに突入し、最終的に15:13というスコアで勝利した。

これから世界へ向けて日本を発つ彼らにとって、この経験はどのように生きるのか——。まずは、Day1の試合開始前に行われたhiroronn選手への個別インタビューの様子をお届けしよう。

hiroronn選手 個別インタビュー


——今回の「Riot Games ONE 2023」に対しての、思いや意気込みをお聞かせください。

hiroronn:去年のRiot Games ONE 2022には来られなかったので、初めて来て楽しみにしています。あとやっぱり会場が今回すごく広いので、ここまで大きい会場でやるというのは緊張していますね。

——前回の「Red Bull Home Ground」から、なにか変化した点と変わっていない点はありますか?

hiroronn:「Red Bull Home Ground」の時は始まったばかりで、Depさんがいない状態っていうのもあって、まだ未完成という状態でした。戦術的には、個人個人がみんな頑張って勝つような感じのチームだったんですけど、そこからDepさんを入れて活動していく上で、みんな仲も良くなったし、動きもどんどん上達していったと思います。まだ大会までちょっと時間はあるので、完成しきっているとはいえないんですけど、連携はやっぱりうまくなっていると思います。

——「Red Bull Home Ground」でもかなり完成されているように感じたんですが、今回はそれ以上のものが期待できるんでしょうか。

hiroronn:そうですね。ただ今回やっぱりイベントということもあって、みんな楽しんでやるということもあると思うんですけど。現在の形で練習して2カ月くらいが経っているので、戦術的な面をCarlaoコーチからも学んで、個人個人の連携の面は上達してきているのかなと感じます。


——チームのコミュニケーションの言語はなんですか?

hiroronn:Carlaoがコーチしてくれるのを、通訳さんが日本語に直してくれているという感じです。

——試合中は日本語ですか?

hiroronn:試合中はJUNiORさんとのコミュニケーションが多いので、日本語ですね。

——hiroronn選手はZETAアカデミーに所属していたことがありましたが、あの時の経験は現在にどのように繋がっていると感じますか。

hiroronn:自分はアカデミーに入る前、GTS(Gaming Team SELECTOR)っていうチームに所属していたんですけど、そこはコーチもいないような寄せ集めのプロチームみたいな感じでした。アカデミーに入るとVorzさんがコーチしてくれて、戦術面とか基礎的な部分をある程度教えてもらって、そこで上達したっていうのがあります。

あとはアカデミーでしかない利点でいうと、同世代の人とお互いに高め合っていくということだと思っています。最近、アカデミーのメンバーがRIDDLEに移籍したんですけど、みんな16歳とか17歳の同世代くらいの子たちで、モチベーションも維持しやすいですし、チームメイトなんですけどライバル的な存在にもなるので、刺激を貰えると思います。

——今お話にあった、ZETAアカデミーのメンバー・コーチがRIDDLEに移籍したということについて、彼らに対してなにかメッセージはありますでしょうか。

hiroronn:自分はVCJで一度優勝してすごい経験がついたんですけど、たくさん経験を積んで、欲をいえばPacificリーグに上がってくれたらうれしいです。みんなアカデミーの子たちは仲がいいし、みんな強いと思っているので、すごく期待しています。

——hiroronn選手ご自身のことについて、まずFENNELからZETAへ移籍した経緯もお聞かせください。

hiroronn:FENNELに所属しているとき、ZETAや他のチームでトライアウトをしているという話を聞いて、それでFENNELに残るか、トライアウトを受けるかという2つの選択肢を選ぶことになりました。

その時「Red Bull Home Ground」が近かったので、FENNELに残るんだったらトライアウトを受けられないし、トライアウトを受けるんだったらFENNELに残れないという感じになったんですけど、正直結構迷って——。でもやっぱり一回FENNELで日本一を獲ったってのもあって、さらに上を目指したい気持ちってのはあったので、多少のリスクがあることも承知で、いろんなチームのトライアウトを受けることになりました。

——ZETAのユニフォームに袖を通した率直なお気持ちをお聞かせください。

hiroronn:JUPITERの頃から日本の最前線を走り続けていて、本当に昔から憧れのチームだったので、その一員になれたことに感激しています。

——ちなみにですが、来シーズンからは韓国での生活が始まるわけですが、hiroronn選手は海外で生活をしたことはありますか?

hiroronn:小学生の時とかになっちゃうんですけど(笑)。一カ月とか、そういうレベルですかね。

——韓国料理は食べられますか?

hiroronn:母親が中国出身なんですけど、結構韓国料理が好きでよく作ってくれていました。辛いものも別にそんなに苦手ではないので楽しみですね。

——hiroronn選手個人、あるいはチームとして、なにか来年に向けての目標はありますか?

hiroronn:とりあえず、リーグ優勝とまではいかないんですけど、1回世界大会に出てみたい気持ちは個人的にものすごくあって、そこがひとつの目標です。チームとしても、個人としても、そこが通過点なのかなとは思います。

——プレッシャーはありますか?

hiroronn:自分はあまりプレッシャーとかは考えないような人なんですけど、リーグに2チームしかいない日本チームということで、その枠に入ってプレイするというプレッシャーはあります。

考えたくはないんですけど「負けちゃったらどうしよう」とかはちょっとあるかな。

——国際戦で戦ってみたい選手やチームはありますか?

hiroronn:Pacificだと、🇰🇷T1のSayaplayer選手。世界だと、🇪🇺NAVIのShaoとSUYGETSU選手が結構好きですね。あとは、🇫🇷Vitalityに所属したSayf選手が強いと思っています。

——最後に、読者の方へメッセージと意気込みをお願いします。

hiroronn:自分としては初めてのリーグになるんですが、プレッシャーに負けずに、自分の本来の実力を出して、世界大会にいければいいなと思っています。頑張ります!

ZETA DIVISION 代表インタビュー


最後に、Day2に実施された代表インタビューの内容もお届けしよう。

——まずは、2日間の試合を振り返ってなにかコメントをお願いします。

Laz:楽しく試合ができてとても良かったなと思っています。このタイミングでのチームでの試合というのは、来年のリーグに向けて情報が漏れないように、がっつりやりづらかったりもするんですが、参加チームみんなしっかりやってくれていたみたいで、楽しい試合ができて良かったと思います。

hiroronn:今回大きい会場でのイベントということで、とても楽しかったし緊張もしたんですけど、🇪🇺NAVIとかとも初めて戦えていい経験になったと思います。

SugarZ3ro:日本であまり大会をやることがないので、観客の前でたくさんプレイできてうれしかったです。あとキッズがいい経験を積んだんで(笑)、来年いい結果出せたらなと思います。

Yuran:最初は本当に楽しむだけの予定だったんですけど、なんだかんだみんなちゃんとやってくれたんで。自分もちゃんとやったんですけど、反省点がいっぱいあります。

JUNiORコーチ:日本で、しかも観客の前でオフラインが経験できて、なおかつ油断許されないプロ相手で、ある意味練習と言いますか。リーグの前にオフラインの環境に慣れたということで、ひとつ経験値を積めたということで、本当にありがたい大会だったと思います。これも日本で観客を呼べて、いろいろペイできるということで開かれていると思うので、皆さんのおかげでいい経験値が得られたと思います。これからも是非よろしくお願いします。

あとジェットラグ(時差ボケ)ですね。🇪🇺NAVIとか大変だったみたいなんですけど、その中でいいパフォーマンスでやってくれてありがとうって感じです。🇸🇬Bleedもありがとうございます。

(一同笑い)

JUNiORコーチ:なんすかなんすか

Laz:どこ目線すか(笑)

——そのままJUNiORコーチへお聞きします。今回、2デュエリスト構成を軸に戦っていたかと思いますが、これはなにか意図があったのでしょうか。

JUNiORコーチ:いえる範囲でいうと、エージェント構成周りの情報戦があるので、本物なのか本物じゃないのかというところギリギリを攻めながらも、一応マップとしては強い構成です。一応、2デュエリストって今は世代遅れな構成ではあるんですけど、旧世代では結構強かったんで、これならある程度イケるんじゃないかと。それでこの大会のためにちょっと練習して、持ってきたというところです。

▲リーグ戦やMasters Tokyoの頃に流行った2デュエリスト構成は、生き生きとしたプレイが多く、見ていてとても楽しい(https://www.youtube.com/live/WFqySiJ1O-E?t=32746

——リーダーであるLaz選手に、今年一年の振り返りと来年に向けての抱負をお願いします。

Laz:今年一年を振り返るってなると、別のメンバーだったり、初のPacificリーグですごく大変だったりと、キツイ経験もあったし、もちろん勝てて良かった経験もあるし、LCQを優勝できて良かったっていう経験もあるしで。

来年からは新しい風が入って、全然違うZETA DIVISIONでいい姿を見せられるんじゃないかなと思っているんで、楽しみにしております。皆さん応援ありがとうございました。来年もよろしくお願いします!

———

この「VALORANT」というゲームは、勝利に必要なラウンド数が13であるため、10点という大幅な点差をつけられると逆転するのは非常に困難だ。戦術の手数の多いプロの選手同士なら尚更だ。しかしZETA DIVISIONというチームは、ときにその常識を覆し得るポテンシャルを秘めたチームだ。昨年世界3位を獲得した「Masters Reykjavík」から続いたそのDNAは、新メンバーが加入した現在でも、まだまだ健在だということを思い知らされた。

▲対Bleed Esports戦。手に汗握る1vs1の状況、SugarZ3roのガチ解除によって王手を決めた。(https://www.youtube.com/live/mm2wA5uRA7E?t=24325

あっという間に師走が過ぎ去れば、公式戦ももう目前だ。既にある程度の完成度を誇るこの新生ZETA DIVISIONが、来年はどのような活躍を魅せてくれるのだろうか。そして、新メンバーたちがこのオフシーズン期間に経た数々の試合をもとに、どのような進化を続けてくれるのだろうか。競技シーンを追う者として、そして日本代表を応援する身として、次の活躍を楽しみにしたいと思う。


© 2023 Riot Games, Inc. Used With Permission

■関連SNS
ZETA hiroronn:
https://twitter.com/hiroronnsann

VALORANT // JAPAN:
https://twitter.com/VALORANTjp

VALORANT Champions Tour JAPAN:
https://twitter.com/valesports_jp

■配信URL
Twitch:
https://www.twitch.tv/valorant_jpn

YouTube:
https://youtube.com/@VALORANTjp

AfreecaTV:
https://bj.afreecatv.com/valorantjp


撮影:まいる(サムネイル)
編集:いのかわゆう

【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレイヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。Twitter:@mlunias(Photo by Subaru.F.)
eSports World の
Discord をフォローしよう
SALE 大会 チーム 他にも...? 他にも

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

レポート VIEW ALL